ゴルフ用品界という狭い世界で、先日偶然の一致が起こった。キャロウェイのEpic FlashシリーズがUSGAの適合クラブリストに載った日、テイラーメイドは2019年モデルのドライバーを紹介する短いティザービデオを公開したのだ。
公式ハッシュタグ「#EverbodyGetsFaster」とともに、2月1日発売を告知する内容だった(クラブの全貌はまだ見せていない)。 前作の「ツイストフェース」を継承することはほぼ間違いないだろうが、2019年のツイストフェースは、トゥとヒールの下部に1つずつ設置された赤い「スクリュー」が特徴だ。
興味深いと思わないだろうか?
2.1.2019.#EverybodyGetsFaster pic.twitter.com/t4yKvwk8qV
— TaylorMade Golf (@TaylorMadeGolf) December 3, 2018
ビデオでは、レーシングカーやジェットエンジン、ロケット噴射などで、新モデルがいかに「fast」かを表現している。
アマチュアゴルファーは「魚」のようなものだ。キラキラしたものに反応し、時に食べてはいけないものに食いついてしまう。 テーラーメイドはそれを踏まえて、ドライバーのフェースに大きな「スクリュー」を入れるなど、今まで誰もやったことのない目新しいことで注目を浴びようとする。フェース技術が注目される昨今、 その効果は絶大だ。
スクリューは、速く安定したボールスピードの「ストーリー」になるだろう。それはあなたでも、私でも、どのゴルファーのボールスピードでも速くできる。 テーラーメイドは一度ボールスピードを限界まで上げ、それをUSGAの適合レベルまで下げるためにスクリューをはじめとする構造を考えたという。 これまで各メーカーはこの手の技術を何度も採用してきたが、ゴルフ業界では昔の技術が時に新技術として再利用される。 テーラーメイドはアダムスXTDドライバーの話をリサイクルし、CT値がフェース上の複数箇所でUSGAの規定値以内に収まっていること、全個体検査を行っていることなどをアピールしてくるだろう。
好みによるだろうが、スクリュー自体は悪くない。ただ、どんなテクノロジーが使われていても実際それは目に見えない。テーラーメイドは、フェースの部分によって厚みを変えていること、ジェル材の充填やポケット構造などでCT値をよりコントロールできるという。 スクリューは、コブラのSpace Portと対した違いはなく、「見える部分」で「見えない部分」を意識させるものだ。 これはあくまで私の考え方であり、間違っているかもしれない。
また、改良されたトラックウェイティングシステムも新技術の一つとして採用されるという。
大成功?それとも大惨事?
テーラーメイドはこの「新技術」である程度のトレンドを作ることができると思うが、心配がないわけでもない。 業界関係者や専門家からは、構造上の欠陥を指摘する声もある。 ボールがスクリューに当たったらどうなるだろうか。スクリューはフェースの中心から離れているとはいえ、当たることはあるだろう。そうなると、スクリュー周辺のチタンが弱くなり、フェースが割れる原因になるのではないだろうか。
テーラーメイドは彼らのペースで新製品を出してきたが、Mシリーズのドライバーにはクラウンにひびが入る可能性があったし、数世代に渡ってアイアンに採用されているフェーススロット(溝)から亀裂が入る可能性があると言われている。よってテーラーメイドの新技術に関しては、驚くべき品質管理が存在するのだ。
また、スクリューを設置したり、充填材を入れることで増える重量の影響もある。 テーラーメイドが技術によって重量増加を抑えている可能性はあるが、、他メーカーが重心を低く深くしようとしているのに対し、テーラーメイドは前重心にしようとしているように見えるのは興味深い。これは 我々のAuditor CG計測器でヘッドを計測してわかったことだが、複雑な構造によって重量が増えることのデメリットはクラブ設計における永遠の課題と言えるだろう。
私の知る限りでは、テーラーメイドがCT値の限界に挑戦することの意味を誰も知らない。CT値としては239(マイクロ秒)だが、許容誤差があるためもう少し上げることができる。 しかし、CT値向上に積極的なメーカーでさえ、240台前半だ。それ以上になると、257未満であってもUSGAが警告を出して詳細な調査をする可能性が高いが、 誰もそれを望んでいない。フェースの性能の安定性は軽視してはならないが、ボールスピードが急に上がるような計測方法は存在しないことは明らかだ。。
#ScrewFace(これは公式ハッシュタグではない)が実戦で機能するかどうか判断するのはまだ早い。 ドライバー(モデル名はM5/M6と記されていた)のパフォーマンスレポートによると性能は全般的に優れていたが、特にM6は注目に値する。 聞いたところによると、これらはキャロウェイのEpic Flashよりも高い評価を得ており、テーラーメイドにとってはいいニュースだと思う。 ただし、初期のレビューはポジティブなことが多いので、真実は消費者が使ってみるまでわからない。
何はともあれ、初期の製品比較はメーカーが市場に関して近視眼的であること表している。 キャロウェイとテーラーメイドの新製品は良いと考えていいと思うが、これらは個々で考えるべきものではない。どちらかがもう一方の引き立て役ではないからだ。 最近のポッドキャストで議論したように、2019年はこれまでで最高の「ドライバーの年」になるだろう。もしあなたがピンやコブラ、ミズノ、スリクソン、ウィルソン、タイトリスト、PXGをまったく考えていないなら、痛い目に会うかもしれない。
新モデルの発売が近いが、「魚になるな」が私からのアドバイスだ。 キラキラしていることに意味はなく、 重要なのは重量特性とボールスピードで、 それ以外のものは単なる広告に過ぎない。ゴルフ用品の「技術革新」には巧妙なマーケティングが不可欠であり、それによって惑わされることのないように注意してほしい。
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