ピン G400のドライバーをすでにご覧になった人もいるのではないだろうか。そして続いて登場したのがフェアウェイウッドとユーティリティー。このG400シリーズの中でも小さめな2つのウッドを紐解いてみたいと思う。
デザインの目的
よくフェアウェイとユーティリティーは抱き合わせることがあるが、今回のケースも理にかなっている。両カテゴリーにおいて、ピンは同じデザイン目的を持たせている。
・今どきのフェイスデザインにすること
・高い弾道をもたらすこと
・ばらつきを抑えること
・ゴルファーに理想のフィット感をもたらすことに注力すること
G400 Fairway Woods
G400フェアウェイウッドのラインナップは、ピンの中で、最も薄く柔軟性のあるフェースを一貫して提供している。もっと言えば、飛距離の大半がこの特徴からもたらされる。
薄いフェースを促進するため、ピンは以前のモデルで使用された455ステンレススチールからマレージングスチールに変更した。マレージングスチールは、455より強度があり、柔軟性もあり、それゆえ更に薄く造ることができる。
この素材がピンのフェアウェイウッドに使用されたのは初めてだが、これまでウィルソンやスリクソン、ボビージョーンズ、それにその他多くのフェアウェイウッドにも同じ素材が使われていた。
結果、他のGシリーズに比べてG400のフェイスは28%薄く、18%軽くなった。どのクラブもそうだが、ウェイト削減により、誰もが望む打ち出しコンディションを達成し、MOIを高めることが可能になった。高い打ち出しと、安定した方向性(ばらつきを抑える)を実現してくれるのだ。
ピンは、総合的な性能の進化により、卓越した高さと鋭い着地角度で0.8m/sものボールスピードと7ヤードのキャリーを生み出すことに成功したという。
心に留めて頂きたいのは、これらの成果は3番ウッドで約230ヤード飛ばすプレーヤーのことなので、一般のゴルファーの飛距離はそれほど目立たないかもしれない。
ドライバーと同様、フェアウェイウッドも、ヒール/トゥのMOIを平均で5%向上させる強化したバックウェイトデザインが特徴となっている。
打ちやすいステッチ
前回のGフェアウェイウッドのラインナップから最も興味をそそるモデルは、G400 Stretchである。高ロフトの3番ウッドで、ティショットやフェアウェイでもう少し飛距離を伸ばしたい時に最適である。あと数ヤード、STRECH(伸ばす)するのに使えるクラブだ。
G400は、飛距離を伸ばすだけではなく、打ちやすさの改良に特化した。マレージングスチールフェースによるウェイト削減を利用し、ソールのウェイトを中心から背面に持っていくことで、上/下の慣性モーメント(MOI)を20%以上、ヒール/トゥのMOIを8%程引き上げる事に成功した。
ピンは、「打ちやすいクラブ」において先端をはしり、G400でもそれは変わらない。卓越している点と言えば、最高クラスのやさしさと引き換えに、飛距離において妥協しなくてもいい点だ。
ロフト角により異なる溝構造
ピンのフェアウェイウッドであまり気づかない面白い特徴は、ロフト角により異なる溝である。Stretchを含む、3番ウッドモデルのフェース中心に溝はない。溝をなくすことで、フェースをもっと薄くし、ティーオフから、またフェアウェイからのショットの性能を伸ばしている。
高ロフトモデル(5番ウッドより上)では、フェース中心に溝が加えられ、ラフや濡れた芝のコンディションから安定したスピン量が得られるように設計されている。
オプション
様々なフィッティングオプションを提供するため、ピンは9番ウッドにスタンダードライン、7番ウッドにSFTを加えた。これらは、スウィングがスローなゴルファー向けだったが、ピンのフラッグシップラインとして、G400シリーズにはモデルとロフト角を完全補うことが必要だとピンは考える。
仕様と価格
ロフト角 (+-1⁰まで調整可能): 3W (14.5⁰), 5W (17.5⁰), 7W (20.5⁰), 9W (23.5⁰), 3 SFT (16⁰), 5 SFT (19⁰), 7 SFT (22⁰), Stretch 3W (13⁰)
ヘッドサイズ: 3W (181cc), 5W (169cc), 7W (155cc), 9W (152cc), 3 SFT (187cc), 5 SFT (178cc), 7 SFT (171cc), Stretch 3W (193cc)
標準長さ: 3W (43"), 5W (42 1/2"), 7W (42"), 9W (41 1/2"), 3 SFT (43"), 5 SFT (42 1/2"), 7 SFT (42"), Stretch 3W (43")
標準グリップ: Golf Pride Tour Velvet 360 six sizes (Blue -1/16", Red -1/32", Aqua -1/64", White Std., Gold +1/32", Orange +1/16")
シャフトオプション: PING Alta CB (counter-balanced) 65 (SR, R, S, X), PING Tour 75 (upcharge) (R, S, X)
アフターマーケットのシャフトオプション(小売価格: $75 追加料金): Mitsubishi Kuro Kage 60, 70 (R, S, X), Project X HZRDUS Yellow 75 (5.5, 6.0, 6.5), Aldila X-Torsion Copper (50R, 60S, 70X)
G400 Hybrids
最初に述べた通り、デザインの目的は、G400ユーティリティーがマレージングスチールを使い、今までよりも11%薄く、10%軽く仕上げることである。ピンはG400フェアウェイウッドよりも相対的にフェースフレックスからの利点を生かせると伝えている。例え3番ウッドで230ヤード飛ばせなくても、平均0.8m/sボールスピードが上がるのは納得がいく。
フェアウェイウッドと同様に、ピンはボールスピードを高める目的だけではなく、スピンがない高い打ち出しを約束している。また、鋭い着地角度によって、ロングアプローチショットの際、よりグリーンを捉える力を発揮する。
期待どおり、ピンは効果的なバックウェイト設計に伴うフェースのウェイト削減で、打ちやすさを一気に上げた。上下MOIは6%上がり、ヒール/トゥMOIは3%程の改善が見られた。
フックの解消
G400ユーティリティーは、飛距離や打ちやすさだけではない。
きっとこの記事を読んでいる多くのゴルファーが、ユーティリティーで左への大きいミスを経験しているだろう。G400はミスショットを解消してくれるか、少なくともフックを減らしてくれるとピンは謳っている。
問題を解決するために、ピンは「重心調整」を実施した。2番、3番ユーティリティーモデルは、高スウィングスピードプレーヤーに使われ、主にトゥ側に重心がおかれる。そしてロフト角が増える、5番・6番ユーティリティー(低ヘッドスピードプレーヤーがよく使用する)などは、重心がヒール側になる。すなわち、重心はヒール寄りになるのだ。
もし全員がそれぞれに合うロフトでプレーするなら、G400ユーティリティーはフックの問題を解消してくれる。かといって、フェード寄りにはなりすぎないのはもちろんだ。
ライ角の調整
一昔前まで、ユーティリティーはライ角アングルを曲げることができた。調整可能なクラブが使われるようになり、バーの曲げが必要なクラブは人気が無くなってしまった。しかしピンは再びG400でそれを採用し、新しいモデルは+/-2°曲げることができる。
0.370ホーゼルボア
ユーティリティーに関して、ホーゼルの直径を気にするようなゴルファーはあまりいないだろう。しかし、ゴルフのフィッターやフィッティングに関わる者、それかシャフトおたくなら、ホーゼルの直径は重要事項である。
前回のユーティリティーは、0.355(インチ)のテイパーシャフトに合うよう設計されていた。現在ほとんどのアイアンの定番なのだが、ピンのユーティリティーにアフターマーケットシャフトを付け替えたい場合は難しかった。他のメーカーはというと、アフターマーケットのユーティリティーシャフトを0.370(インチ)に設定しているため、これに合うようにユーティリティーを設計している。
G400ユーティリティーでは、ピンは他のゴルフメーカーと歩調を合わせようとしている。そして、フィッターが提案できるオプションが格段に増えたと言える。
もし0.355テイパーシャフトをG400に調整したい場合は、調整可能なくさびで対応してくれる。しかし、ユーティリティーのシャフトを気にするゴルファーは、初めから0.370を選ぶだろう。
仕様と価格
ロフト角: 2H (17⁰), 3H (19⁰), 4H (22⁰), 5H (26⁰), 6H (30⁰) – ライ角アングルは標準から+-2⁰ 調整可能
標準長さ: 2H (40 3/4"), 3H (40 1/4"), 4H (39 3/4"), 5H (39 1/4"), 6H (38 3/4")
標準グリップ: Golf Pride Tour Velvet in six sizes (Blue -1/16", Red -1/32", Aqua -1/64", White Std., Gold +1/32", Orange +1/16")
シャフトオプション: PING Alta CB (counter-balanced) 70 (SR, R, S, X), PING Tour 85 (追加料金あり) (R, S, X)
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