キャロウェイが発表した4代目Mack Daddyウェッジは、小さな改良を重ねて着実に進化している。キャロウェイが「業界のレジェンド、ロジャー・クリーブランド氏とキャロウェイの最高のコラボレーション」と称するにふさわしく、その違いは明らかだ。期待どおり、デザインにはツアープロのアドバイスが盛り込まれている。
現在ウェッジのカテゴリーで売り上げNo.2のクリーブランドとの順位交代を図るキャロウェイにとって、今回のリリースには通常のマーケティング以上にとても重要な意味がある。(ちなみに首位のタイトリストのボーケイは、他のブランドを引き離してダントツのトップである。)
キャロウェイはMD4(MACK DADDY 4 ウェッジの略)を、これまでで最も研究とテストを重ねたモデルだと宣伝している。すでに成功しているモデルに大幅な変化を加えるのにはリスクがあるため、MD3の製品美学はそのまま受け継がれた。ルックス的には多少ディープになった以外に大きな変化はないが、いくつかの重要な改良があったようだ。
溝はキャロウェイが得意とするテクノロジーで、独自の進化を遂げてきた。まず水平に入れたくぼみを削り、その後にカットする技法はキャロウェイの新技術だ。ロフトの少ないウェッジには20Vという溝を採用し、ロフトの大きいウェッジにはより鋭い5Vという溝を採用している。
念のために言っておくが、これらのVの数字は溝の側壁の角度を表している。
フェース表面の溝と溝の間にレーザーで削った線状のくぼみを入れた前作とは違い、MD4ではマイクロフィーチャーを採用し、くぼみではなく線状に幾筋もの突起を作ることで、全てのショットにおいて多くの安定したスピンを生む構造だ。その効果は、特にフルスイング以下のショットにおいて最大限に発揮されるという。溝と突起の総数はリーディングエッジ近くに新しく追加されたNip-Itと呼ばれるものを含めて全部で84本。このNip-Itの追加は、ピッチやチップなどの短いショットのコントロールを高めるのが目的だ。
キャロウェイは、この溝の技術がUSGAの規定に適合していること、そしてすべてのウェッジの溝が許容誤差の範囲内にあることを保証するため、販売店とツアーでの徹底した検証を約束している。
グラインド
グラインドについてはすでに多くが知られていると思うが、キャロウェイはCグラインドとWグラインドを融合させたXグラインド・ソールを新しくラインアップに追加した。
操作性に関する概要は以下の通りだ。
・三日月形のCグラインドは、トゥ・ヒールを削ったソール形状と8度のバウンス角が特徴だ。レリーフ(特にヒール部分の起伏)と低バウンスを組み合わせることで、硬い芝やライが悪い場合のオープンフェースショットの際に、リーディングエッジをターフ近くに保つことができる。
・Sグラインドは標準的で、4つのラインアップの中で最も多様性がある。10度のバウンス角と中程度のトゥ・ヒール、後縁のレリーフにより、あらゆるコースコンディションやスイングタイプをカバーする。多様性に優れたSグラインドは、ともすれば秀でた特徴のない「何でも屋」と思われるかもしれないが、もしW、C、Xの中で、どのグラインドが自分に合っているか確信がもてない場合は、Sグラインドで十分だ。
・Wグラインドは広いソールが特徴で、スティープスイングのゴルファーや、ソフトなコンディションでのプレーに最適だ。今回キャロウェイは、ソールのキャンバーとヒールのテーパーを大きくすることで従来のモデルより性能をアップさせた。バンカーのような大きいバウンス角を使うような条件下で効果を発揮する。
・Xグラインド(ロフト角58度と60度のみ展開)は、Wグラインドの特徴である高いバウンスと広いソール、Cグラインドの多様性の両方の利点を兼ね備えている。スティープなスイングで、グリーン周りのさまざまなショットを打ちたい上級者向けだ。
キャロウェイが提供するロフトとバウンス角の組み合わせは全部で21種類。これまでにリリースしてきた中で最も力強いウェッジラインナップを実現した。
MD4ウェッジのヘッドの仕上げは、プラチナムクロムとマットブラックの2種類から選択が可能だが、クリーブランドとタイトリストにはベーシックな3種類の選択肢があったと記憶している。些細な違いとはいえ、選択肢が少ないのは確かだ。どちらの仕上げも赤の差し色がアクセントになっている。MD3は緑色が特徴だったが、MD4は反対色の赤が、ウェイトポートのメダル、ラムキンUTxグリップ、ダイナミックゴールド 115シャフトに配色されている。全体的に力強く素晴らしい出来栄えだ。
115グラムのシャフトを使用したのは、軽めのシャフトに移行しつつある現在のマーケットを反映してのことだろう。これまでの商品と同様に、追加料金なしでシャフトの交換が可能である。
キャスト VS フォージド
キャスト(鋳造)対フォージド(鍛造)の議論がヒートアップするのは仕方がないのかもしれない。しかしキャロウェイは金属の加工法より、むしろ素材そのものと最終的な使用感に焦点を当てている。 MD4に使われる8620カーボンスチールは一般的には鋳造材である。是非の判断はお任せするが、小売市場とツアーでトップ2を占めるブランドは、ウェッジに鍛造材を採用していることを指摘しておこう。ただ、この点はあまり大きな問題ではない。
新スタンダード?
キャロウェイは、これまでも大胆な宣伝文句を積極的に発信してきたが、今回も自らを「ウェッジパフォーマンスの新スタンダード」と宣言している。それが適正な表現か、あるいは行き過ぎたマーケティングかは今の段階では分からない。だが、キャロウェイがウェッジのカテゴリーでクリーブランドを追い抜くことを視野に入れていることは確かで、MD4はそれを可能にするウェッジであると確信しているようだ。
価格と在庫状況
キャロウェイMD4ウェッジの小売価格は$149.99。発売は1月26日。
詳細は、callawaygolf.jp を参考にしてほしい。
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