2018 MOST WANTED ウェッジランキング
総合1位 ピンGLIDE 2.0 STEALTH
※各項目は上から、ACCURACY(正確さ)、SPIN(スピン量)、STROKES GAINED (ストロークス・ゲインド値)の順位を表している。
※ストロークス・ゲインド:「スコアを何で稼いでいるか」という観点で、ドライバー、アイアン、アプローチ、パット などの技術力を示す指標
MYGOLFSPYが評価した点
2018年のMOST WANTEDウェッジの総合1位であり、「精度」でも1位に輝いた。
ピンGlide 2.0 Stealthはルックス、打感、パフォーマンスにおいて非常にバランスの取れたウェッジだ。今回測定したほとんどすべての項目で、どの距離からも最も評価が高かったことがこの結果を導いた。
ピンGlide 2.0 Stealthには、ロフト角46~60度が用意され、グラインドオプションは54~60度で利用可能だ。つまり、どんなタイプのゴルファーにも十分適応できる万能さがある。
長所
・3つの距離において「ストロークゲインド値」が1位
・「精度」が1位
・「スピン量」が2位
・ルックスと打感について、テスターからの評価は全体的にポジティブ
短所
・「飛距離」では下位に留まった
スピン量賞 テーラーメイド MILLED GRIND
MYGOLFSPYが評価した点
テーラーメイドMILLED GRINDは今回のテスト対象の中でも最高のスピン性能を誇るウェッジだった。もし、フェース全体で高スピンを生み出すウェッジを探しているなら、MILLED GRIND以外見る必要はない。
データによると40ヤードと15ヤードからの精度についてテスターは苦戦していたようだが、フルショットの飛距離では主な測定項目において特に優れた性能を見せた。
短い距離では主な測定項目でトップ3には入らなかったが、テーラーメイドMILLED GRINDは、スピンに関してはすべての距離において1位または2位にラインインしている。
長所
・3つの距離において、最高のスピン量
・フルショットでは明らかに分散が少ない(着弾範囲が小さい)
短所
・フルショットにおけるキャリーの安定性では上位に入らない
・フルショットにおける総飛距離では、下位3分の1に入る
ベストバリュー賞 トミーアーマー OVER N’ OUT
MYGOLFSPYが評価した点
トミーアーマー Over N’ Outは、2018 Most Wanted ウェッジテストの主な測定項目のほとんどで上位3位に入った。Over N’ Outの価格は他のテスト対象ウェッジの平均価格の半分以下であり、「ベストバリュー」に輝いた。
テスターからの評価は分かれたが、その性能は決して裏切らない。性能に優れ、かつリーズナブルなウェッジを探しているゴルファーにとってOver N’ Outは手堅い選択だろう。
長所
・3つの距離において、「ショットエリア(着弾範囲の狭さ)」が1位または2位
・最も「精度」の高いウェッジの一つ
・3つの距離において、「キャリー」が上位3位内
・テスト対象ウェッジの平均価格の約半分(59.99ドル)
短所
・フルウェッジとしては短め
・3つの距離における「ストロークゲインド値」が下位3分の1に入る
・テスターのコメントによると、「ボールのカバーのカスが溝に残りやすく、汚れやすい」
このテストについて
このテストは、バージニア州ヨークタウンにある完全に独立した我々のテスト施設で行われた。
すべてのテスターはテストの一貫性を保ち、データの「ノイズ」を最小化するためにブリヂストンTour B-RXボールを使用した。ボールとヘッドのデータは、Foresight Sports GCQuad(計測器)で収集した。
・ショット数:12,291
・データポイント(着弾箇所):897,243
・テスト時間:60時間
・テスター:20人
・ハンディキャップ:2~16
・年齢:25~73才
・ヘッドスピード:33.52~55.88 m/s
・テスト対象クラブ: 56度のサンドウェッジ
調査記録
このセクションでは、クラブのスペックとデータに存在する可能性のある異常値について詳しく説明する。
・テスト対象クラブは56度サンドウェッジ。「15ヤードからのチップショット」「40ヤードからのピッチショット」「一般的にサンドウェッジでフルスイングする距離からのフルショット」の3つの距離から打ってもらう。
・テスト対象ウェッジの実測ロフト角は、56度プラスマイナス1度という極めて小さいものだった。実測ロフト角は55.91度だった。
・テスト対象の21モデルの内6モデルだけが、スペック上のロフト角と完全一致した。
・実測ライ角の平均は63.94度で、最低が62.25度、最高が66.25度だった。
・スイングウェイトはD 3.2からD 8.2までで、平均はD 5.45だった。
MOST WANTED ウェッジデータ
<チップショット>
<ピッチショット>
<フルショット>
正しいウェッジを選ぶことの重要性
忘れがちだが、ウェッジは14本のクラブの中でも極めて重要だ。世界のトッププロでさえ、グリーンを外すことがある。
そこで問題なのが、グリーン周りでの不安定なショットを克服するツールがあるかどうかだ。どのゴルファーでも持っているウェッジこそが、パーセーブできるかどうかを決めると言っても過言ではない。
要するに、正しいウェッジを選ぶことがベストスコアへの近道なのだ。
では、本当に自分に合うウェッジを知るにはどうしたらいいだろうか。
様々な状況において、ロフト角やバウンス角、ソールグラインドなどパフォーマンスに影響を与える要素はたくさんある。
自分に合うウェッジを確実に手に入れる方法は、フィッティングを受けることだ。このテストを、あなたを正しい方向へ導くガイドだと思ってほしい。
2018年モデルのウェッジを探しているなら、このテスト結果が役に立つに違いない。
技術のトレンド
ウェッジの開発技術は、改善の余地がないくらい進歩しているため、最近はこれといった変化がない。その中で各メーカーは限界に臨み、性能を改良すべく最善を尽くしている。近年の主な進歩としては、重心設計や溝技術、ヘッド形状の進化が挙げられる。
プログレッシブCG(進化した重心設計):
多くのメーカーがこの技術を採用している。
一般的にウェッジのロフト角ごとに変化させたスイートスポットを表し、時にはソールグラインドによっても位置を変化させることがある。
すべてではないが、プログレッシブCGを採用するメーカーは、ロフト角の小さいウェッジ(ピッチングウェッジやギャップウェッジ)ほど重心位置を低くし、ロフト角が大きくなるにつれて重心位置を上げる。
この設計の目的は、ロフト角ごとに弾道を最適化することだ。
グルーブテクノロジー(溝の技術):
2012年のUSGA規定改正以来、メーカーは規定の上限を目指して努力を重ね、フェアウェイだけでなくラフから打ってもスピン量が最大になるような技術を生み出してきた。
まったく新しい技術ではないが、ピンGlide 2.0やキャロウェイMack Daddy 4などは、リーディングエッジの近くに追加で溝を配置することによってスピン量を上げている。
最新の溝技術は、USGAが溝に関する新規定を開始後、ほとんどのウェッジで採用されている。
今回総合1位に輝いたGlide 2.0のようなモデルでは、ロフト角の小さい番手の溝は深く、狭くなっており、(開かずに)スクエアに構えてフルショットする時のパフォーマンスを最適化する。反対に、ロフト角の大きい番手の溝は浅くて、広い。
また多くのメーカーが、セットウェッジ(ギャップ、サンド、ロブ)に最新の溝技術を上手く採り入れている。特に、アイアンのように見えるウェッジを好むが、ウェッジ本来の性能は欲しいゴルファーに、その優れた性能で応えてくれるだろう。
プロダクトスポットライト - ミズノS18
今回のテストでもテスターから性能やルックス、打感に関するフィードバックを受けたが、その中で特に目立った商品があった。
今回受賞は逃したものの、ミズノS18の全体的に優れた性能は注目に値する。S18は総合2位であり、測定項目の約1/3においてトップ3に入っている。
テスターからの評価は圧倒的にポジティブで、半分以上のテスターが「ルックス」「打感」でトップに選んだ。テスターの中には、比較対象のT7よりヘッドが大きいことを好む人もいた。S18は従来のウェッジの形状に取って代わる新しい形状であり、訴求力が高い。
S18は、タイトリストSM7とクリーブランドCBXの中間に位置するが、SM7よりやさしく、CBXほど大きくない。
テスターからのフィードバック
テスターからのフィードバックは、MyGolfSpyのテストでは必要不可欠な要素だ。
フィードバック自体はランキングに反映されないが、クラブのルックスや感覚的な好みは間違いなく購買決定の重要なポイントになる。
MyGolfSpyはフィードバックを集めるにあたって、アドレス時のルックスや打感、アライメントに関してコメントしてもらうことにしている。
テスト対象の21モデルのうち、テスターたちが「打感」が最も良いクラブに選んだのはクリーブランドRTX-4とミズノT7(2017 MOST WANTEDウェッジ)だった。
RTX-4はバランスが非常に優れており、どの距離からでも素晴らしい打感を感じたという。また、RTX-4のアドレス時のルックスに対する評価が高かった。
テーラーメイドMilled Grindも好評で、15ヤードからのチップショットや40ヤードからのピットショットで優れた打感を感じたというコメントが目立った。中には、短い距離におけるコントロール性能を評価するテスターもいた。
今回のMost Wantedウェッジの勝者、ピンGlide 2.0 Stealthも高い評価を得た。
テスターの多くがマットブラックに魅せられ、「ルックス」の項目で高く評価している。ヘッド形状についても、従来のラウンドルックでありながら、その仕上げがモダンな雰囲気を醸し出しているとコメントしていた。
また、キャスト(鋳造)にもかかわらず、Glide 2.0 Stealthの打感を高く評価している。
これは、ピン独自のCTP(カスタム・チューニングポート)によるものだろう。それより重要なのが、Glide 2.0 StealthはオリジナルGlide 2.0よりも軟らかいカーボンスチールを使った鋳造クラブであることだ。
この規模のテストでさえ、テスターからは説得力のあるネガティブ評価も出てくる。
例えば、トミーアーマーOver N’ Outは今回「ベストバリューウェッジ」に選ばれたが、フェースが消耗しやすいというコメントがあった。
ボールのカバーのカスが溝に入り込んで、テストの間何度も拭き取らなければならなかったという。ベンホーガンの Equalizerも不評で、「薄い」「打感が悪い」という評価が目立った。ヘッドがコンパクト過ぎて、アドレス時にスクエアに構えにくいというコメントもあった。
その他のウェッジのほとんどはポジティブとネガティブの間に位置するのだが、ミウラのフォージドの打感と弾道が非常に優れているとのコメントもあった。
これらのフィードバックは、テスターのレベル(ハンデ)によって二極化するわけではないが、高ハンディキャッパーがクリーブランドCBXのようなモデルを好んだことは確かである。
CBXはキャビティーバックを特徴とし、まるでキャビティーバックアイアンを打っているようにプレーができるからだ。また、高ハンディキャッパーはトミーアーマー Over N’Outを好む傾向があり、幅の広いソールがボールを上げるのに役立っていると感じるとコメントしていた。
購入のアドバイス
正しいウェッジ選びとは、好みや性能、正しいフィッティングを総合したものである。ウェッジのフィッティングを行う際は、いくつか注意すべき点がある。
・バウンス角
ボールにソリッドに当てるために、バウンス角を自分のアタックアングルや普段プレーするコンディションに合わせる必要がある。今回は、ミドルバウンスのウェッジを使ってテストした(10~12度)。
アタックアングルが浅い、またはディボットのない状況なら、低バウンスが最適だろう。また、普段硬いコンディションの芝でプレーする場合も、低バウンスウェッジが役に立つだろう。
アタックアングルが普通で、柔らかすぎず、硬すぎない芝でプレーする場合は、ミドルバウンスのウェッジがいいだろう。ミドルバウンスは最も多目的に使えるクラブであり、もし様々な芝の状況でプレーするゴルファーなら検討してみてほしい。
大きなディボットを作るような、アタックアングルがスティープなゴルファーには、高バウンスが合うだろう。
どんな状況にも対応するため、高バウンスと低バウンスの両方を用意しているゴルファーも少なくない。
・ギャップ
ウェッジを購入するにあたって、「正しいギャッピング」は重要だ。
2本、3本、あるいは4本のウェッジをバッグに入れる時、ロフト角のギャップが大きすぎることによる飛距離の空白があってはならない。メジャーな小売店や独立したクラブフィッターの多くは、「ギャップ分析」を提供している。
・スピンが全てではない
アベレージゴルファーが、バックスピンに憧れるのはよく分かる。ボールの表面を削り取りながら、20フィートもバックさせるのは最高に気持ちいいかもしれないが、ほとんどのゴルファーはプロのように弾道やスピンコントロールができるわけではない。
自分のプレーに合うウェッジを選ぶ時、単にスピン量が最も多いという理由で選んではならない。
スピン量ではなく、インパクトの安定性や弾道のコントロール性能にフォーカスしよう。安定的にフェースの中心に当てることができれば、弾道も安定する。安定性は、スコアを向上するうえで最大の武器になるはずだ。
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