2017年1月、ピンはMOI(慣性モーメント)を増し、わずかにルックスを改良したi200アイアンを発売した。このアイアンは、やさしさを加えた上級者モデルに仕上がった。
それから約18か月経過した今、ピンはi200の後継モデルとして、さらなる進化を遂げた「i210」を発売しようとしている。
消費者は急速な商品サイクルについて懐疑的だ。改良したとされる新商品は実は前モデルとほとんど同じで、最新ではないというケースは多い。ピンはこのようなやり方を好まない会社だ。
例えば、iBladeがS55の後継モデルとしてリリースされるまでに約3年を要した。これは、この時発売からすでに数年経っていたS56モデルを改良したものだ。
要するに、ピンが商品をリリースする時は確実にそれまでと違うモデルであり、それはターゲットとするアマチュアゴルファー層とツアープロの両方にとって意義のある商品ということだ。
ところで、何が新しい?
i210が目指したのは、これまでで最も緻密で、魅力的なルックスを持つ、最高に歯切れのいい上級者向けアイアンだった。
期待通り、i210は平均以上のアイアンである。ピンは今回も431ステンレススチールヘッドとエラストマーCTPインサートを採用した。
i210は、操作性と打感にはこだわるが、iBladeより少しやさしいアイアンを求めるゴルファー向けに設計されている。
リー・ウェストウッドやダニエル・サマーヘイズ、ティレル・ハットンのようなプロ、またメジャーツアー(Web.com、European PGA、PGA Tour)でプレーするピンの契約プロの25~30%が、200シリーズアイアンを使っている。
i200シリーズは、中空ボディー構造であるi500のような馬力はないものの、十分な飛距離を生み出す。たとえば4番アイアンのキャリーが平均185ヤードだとしたら、i210のロングアイアンなら4~6ヤード飛距離の伸びが期待できる(ボール初速が上がり、最高到達点が高くなるため)。
また、ストロングロフトのアイアンの弾道は低いと思っているゴルファーがいるが、i210とi500にはその概念は当てはまらない。ピンは、この2モデルは(ストロングロフトでないアイアンと)ほぼ同じ条件で打ち出すことができるという。
ミドル・ショートアイアンは、これまでよりシビアにスコアメイクの役割を担うようになってきていて、同時に柔らかい打感と従来のスピン性能も求められている。
この2つの共存を可能にするのは、ピン独自の複数素材構造だ。エラストマー・カスタム・チューニング・ポート(CPT:バックフェースに設置された衝撃吸収装置)は、i200に使用されたものより2倍柔らかく、30%も大きい。
これによってインパクト時にフェースに触れる面積が約25%広がり、エラストマーが活性化することで高密度かつ控えめな打感を得られる。物理的にはありえないが、まるでボールがわずかに長い時間フェースにくっついているような感覚だ。
ピンはほとんど誇大広告をしないが、ピン社代表のジョーン・ソルヘイム氏が「i210の柔らかな打感は、私たちがこれまで発売したどのアイアンとも違う。」と述べたほどだ。
i210はiBladesと比べてバウンス角が大きく、またi500よりもソール幅が広い。これによってやさしさが増し、確かなインパクトを生み出す。
オフセットを減らし、ショートアイアンはシャープではっきりとした見た目になり、上級者が好む小さめのルックスにシフトしている。
一般的に、アイアンセットについてくるウェッジには画期的なテクノロジーはほとんど見られない。しかし、i210ではGlide 2.0の溝の技術をピッチングウェッジとUウェッジ(ユーティリティーウェッジ)にまで広げている。
このミルドフェースと溝によってスピン量が400RPM増し、どんなライからでも容易に飛距離や弾道をコントロールすることできるという。特に弾道が安定しないゴルファーには、効果てきめんらしい。
i210の見た目はシャープで、洗練されている。キャビティーやフェース、溝は精密に削られ、高級感がありながらもどこか節度を保っている。
ピンは、i200に採用されているトゥエリアのロフト設計を見直し、視覚的に気になる部分を取り除いた。
パールクローム仕上げによって光沢が増したが、水に濡れたりやフェースにゴミがついたときでも、その影響を和らげる低摩擦性能はしっかりと保持している。
スペック・価格・販売状況
i200シリーズと同様、i210でもストロングロフトの「Power Spec」が展開される。
新しくi210に加わるのは、47度PWを新設計した「Retro Spec」だ。このセットはウェッジを3本使うゴルファーや、スピン量やバウンス角がある方がメリットを享受できる、ウェッジの扱いが上手いゴルファーに応えてくれるだろう。
i210は3番からPW、UWまでのセットだ。小売価格はスチールシャフトで137.50ドル、グラファイトシャフトで152.50ドル。ピンの(追加料金なしの)ラインナップからシャフトを選べる。プレセールが本日(7/16)から始まり、小売店では7/31から販売が開始する予定だ。
革新的とまではいかないが、より良いアイアンに仕上がった。
ピンは見た目を優先して性能を犠牲にするようなメーカーではないが、i210アイアンはその両方を実現したモデルと言えるだろう。
Leave a Comment