すべてはゲームのために
あなたはどれ位フェアウェイウッドに重点を置き、考慮しているだろうか?
自分のプレースタイルに合わせ使用するクラブには目的を持たせているはずだ。主にティーショットなのか、フェアウェイから使うのか?
ほとんどの場合、ティーグラウンドから打つ場合と、ロングパー4とショートパー5でグリーンに向けて打つ場合がほとんどだろう。
フェアウェイウッドがスコアに直結するクラブだという認識は薄いが、実際はコースのあらゆる状況からスコアメイクが可能なクラブである。
『2019年Most Wantedフェアウェイウッドテスト』では、15メーカーから24モデルのフェアウェイウッドをテストした。
20名で構成されるテスターの年齢、ヘッドスピードやレベルは多岐に渡り、4,000ショット以上のデータを収集した。また対象クラブは、ロフト角が14.5度から16度の3ウッドに絞った。
2019年フェアウェイウッドをお探しなら、このテストはあなたにとって有益なものになるだろう。
MOST WANTED:キャロウェイ「EPIC FLASH SUB ZERO」
フェアウェイウッドの購入にあたり
フェアウェイウッドを購入する際、最も考慮すべきは「性能」だが、重要なポイントは他にもある。
打てればそれがあなたのクラブだ
紛れもなくフェアウェイウッドは難しいクラブであり、テストでも全てのゴルファーに機能するフェアウェイウッドはなかった。通常「Most Wantedテスト」では、テストグループの60%~70%が高性能と認めたクラブが勝者となる。
しかし、フェアウェイウッドの場合、その割合は45%に落ちる。つまり、ゴルファーのニーズは多岐に渡り、すべての人に合うフェアウェイウッドが存在しないということだ。
また、他のクラブに比べて長く所有する傾向があるが、これは自分に合うフェアウェイウッドを見つけることが非常に難しいからだろう。
いまだその1本に出会っていない人もいる。調節機能への斬新な取り組みはあるものの、フェアウェイウッドはまだ“進化の途中”だ。だから、すでに自分に合うフェアウェイウッドを持っているなら、買い替える必要はない。それを使い続けよう。
ロフト
ゴルフは各クラブの正しい飛距離を知ることがスコアメイクにつながる。つまり、クラブごとの飛距離のギャップが実践的で一定でなければならない。
3ウッドの飛距離がドライバーと同じなら、正しいギャップが生まれるように双方のクラブを見直す必要がある。
フェアウェイウッドのロフト角をねかせれば弾道が改善し、グリーンを捉えられるようになるだろう。また、シャフトを短くすればコントロール性が生まれる。
逆に、飛距離が欲しい場合、強めのロフトを検討するか(13.5度のロフトを用意しているメーカーも多数ある)、調節可能ホーゼルでロフト角を調整して飛距離を伸ばす方法もある。
シャフトの長さ
ロフトの立ったフェアウェイウッドをうまく打つのは非常に難しい。
同じように、毎年メーカーはボールスピードや飛距離の改善を謳うが、飛距離が伸びる理由のひとつに「シャフトの長さ」がある。しかし、シャフトが長くなるほど、安定的にボールをスクエアにとらえることが難しくなる。
2012年の調査では、シャフトが短い方が、安定して芯を捉えることが分かっている。これはフェアウェイウッドにも当てはまる。ロングシャフトは飛距離を生むかもしれないが、ボールスピードに繋がらなければ意味がない。
ロフト角だけではなく、シャフトの長さにも注意してみよう。
ツアーモデルVS標準モデル
名前はそれぞれだが、フェアウェイウッドは一般的に「標準モデル」と「上級者向けツアーモデル」に分かれる。
ツアーモデルは、コンパクトヘッドや、浅重心、スクエアからオープンフェース、強めのロフト角が特徴だ。標準モデルは、ヘッドが大きく、アドレスがクローズ傾向、やさしさを増す深重心が主な特徴となる。
ここで興味深いのが、上級者向けのクラブが高ハンディキャッパーでも、特にスピンを抑えたい人に合う場合がある。繰り返しになるが、適切なクラブ選択にはプロのフィッターに相談することが欠かせない。
調節機能
近年のドライバーのように、多くのフェアウェイウッドにロフト角や、ライ角、フェースアングルまで調節可能な調整式ホーゼルが装備されている。
調節機能により多様なフィッティングが可能になったのは事実だ。特に既成クラブを購入する人はセットしたまま忘れがちだが、豊富な知識を持つフィッターが個人に合わせて調節してくれる。
モニターの数字VS実際のプレー
弾道測定機に映し出される数字にこだわるよりも、結果にこだわってほしい。実際、安定したショットだけでなく、継続的なプレーができずに苦戦するゴルファーは多い。
フェアウェイウッドに関しては、弾道測定機の数字や、数ヤードの飛距離にこだわらない方がいい。弾道の修正を売りにするピン「G410 SFT」などを選べば、安定したショットを継続的にヒットすることも可能だろう。
それがスコアメイクに繋がるはずだ。
MOST WANTED準優勝 – コブラ F9 SPEEDBACK
今年トップにランクしたコブラ 「KING F9 Speedbackシリーズ」が2019年テストシーズンを通して、安定した成績をみせた。独特でクラシックなデザインが特徴の「F9 Speedback」は、バフラーのレールシステムを搭載。
ソールに沿って配置されたレールにより、芝の抜けがさらに良くなる。テスターからの評価も高く、レール効果でクラブフェースがスクエアに保てるという意見も多くみられた。コブラ 「KING F9 Speedback」は最高ボールスピードとキャリーディスタンスを誇るため、次のフィッティングで是非トライしてほしいモデルだ。
記録
テストでは、マーケット全体がどこに向かっているのか、前モデルから何が変わり改善したのかを探るため、トレンドも追っている。
また、テスターからフィードバックを提供してもらい、良かった点、悪かった点を理由とともに共有してもらう。ただし、これらの主観的なフィードバックが、『Most Wantedランキング』に直接影響することはない。
トレンドと改善点
・フェアウェイウッドの所有率は少なく1~2本が平均だが、ユーティリティーアイアンや、ユーティリティーの数が増えているため、自分のプレースタイルに合わせて無限の組み合わせが可能だ。
・Sub70「Pro」やツアーエッジ「Exotics CBX 119」などのフェアウェイウッドは、高精度なショットメイクが可能なコンパクトフェースが特徴。上級向けデザインだ。その一方で、ゼクシオやピン「G410 SFT」などは、大型ヘッドで、高い弾道とやさしさを増す設計が特徴的だ。これらのタイプは特に打ち出しに苦戦している人向きである。
・調節機能は、フェアウェイウッドに必要不可欠な設計になっている。21のうち10モデルが調節式ホーゼルを搭載していて、可動式ウェイトシステムを備えているモデルも多い(キャロウェイ「EPIC Flash SZ」やSub70「Pro」、PXG「0341X GEN2」、タイトリスト「TS3」、テーラーメイド「M5」)。調節機能を利用すれば、打ち出しや、弾道、角度、やさしさなどの特性が緻密に調節できる。
ミスの修正
アベレージゴルファーに共通するミスは、「スライス」であることは想像に難くないだろう。その際の強力な助っ人が、テーラーメイドやピンだ。テーラーメイド「M6 D-Type」やピン 「G410 SFT」は、スライスを防ぐ設計になっている。
これらのモデルはヒール寄りウェイトや僅かなオフセット設計になっているため、ボールを曲げずにグリーン方向に飛ばすことができる。スライスでお悩みなら、これらのモデルは非常におすすめだ。
テスターからのフィードバック
・キャロウェイ「EPIC Flash」は総じて高評価だった。EPICの優れたルックスや打感、特にカーボンファイバークラウン設計がテスターを惹きつけた。また、独自の「ジェイルブレイク」や「フラッシュ・フェース」テクノロジーなどの存在感が今年のトップフェアウェイウッドに結びついた。
・次に高評価を得たのは、コブラ「F9 Speedback」、ピン「G410」、「G410 LST」、タイトリスト「TS2」/「TS3」フェアウェイウッドだ。「F9 Speedback」フェアウェイウッドの使いやすさは非常に好評だった。また、「TS2」や「TS3」の打感が非常に優れているという評価が多かった。
・低ハンデゴルファーを惹きつけたのは、キャロウェイ「EPIC」や「Sub Zero」、ツアーエッジ「CBX 119」フェアウェイウッドのようなコンパクトヘッド設計モデル。これらモデルは、コンパクトで薄肉フェース、スピンが少ないことが特徴だ。
・シングルプレーヤーはコンパクトヘッドを好む傾向があるが、ハンデやヘッドスピードにかかわらず、クリーブランド「Launcher HB」フェアウェイウッドは幅広く人気があった。打感の良さに加えて、ボールを高く打ち出す能力に優れているというのがその理由だ。
・MyGolfSpyの全てのテストに共通することだが、主観的フィードバックにはもちろんネガティブな意見もある。そのひとつが、ブリヂストン「Tour B JGR」とSub70「939X」だ。「Tour B JGR」の場合、オフセットが強すぎるため、アドレス時やインパクトの際にクラブフェースが閉じているように感じるとのことだ。Sub70「939X」はシャープなエッジやミスヒット時の鈍い打感が不評だった。
抜群の飛距離とやさしさ-スリクソン「ZF85」
スリクソン「ZF85」の平均ボールスピードとトータルディスタンスは最高値だったが、目立ったのは「飛距離」だけでなく「やさしさ」にも優れている。さらに数字を深く読むと、ZF85のボールスピードの標準偏差が最も小さいことが分かる。
スリクソン「ZF85」はこのレベルのやさしさを可能にするために、2つのテクノロジーを利用した。ウェイトをヘッド低後部に自由に動かすカーボンクラウン設計や、フェース全体を通してボールスピードを上げるカップフェーステクノロジーだ。
上級者向けルックスに加えて飛距離を求めたい人には、スリクソン「ZF85」は必見だ。
2019 MOST WANTEDフェアウェイウッドデータ
2019 MOST WANTEDフェアウェイウッド データ
モデル名 | ボール スピード (m/s) | 打ち出し 角度 (度) | スピン量 (RPM) | キャリー (ヤード) | トータル 飛距離 (ヤード) | 最大高さ (ヤード) | 落下角度 (度) | 中央から の距離 (ヤード) | ショット範囲 (平方ヤード) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AirForceOne N7 | 60.9 | 11.92 | 2,978 | 215.50 | 229.61 | 25.61 | 35.90 | 16.65 | 2,242 |
Bridgestone Tour B JGR | 61.3 | 12.69 | 3,214 | 216.10 | 229.82 | 28.58 | 38.38 | 15.67 | 2,923 |
Callaway EPIC Flash | 61.6 | 12.12 | 3,003 | 218.62 | 233.68 | 26.90 | 36.79 | 15.37 | 3,390 |
Callaway EPIC Flash Sub Zero | 62.1 | 11.84 | 2,871 | 220.72 | 236.22 | 25.68 | 35.39 | 16.56 | 2,762 |
Cleveland Launcher HB | 61.6 | 12.36 | 3,127 | 216.84 | 231.29 | 27.86 | 37.49 | 16.16 | 3,145 |
Cobra KING F9 | 62.0 | 12.41 | 3,128 | 219.68 | 234.15 | 28.55 | 37.96 | 14.79 | 2,535 |
PING G410 | 61.0 | 12.80 | 3,195 | 215.75 | 229.49 | 28.57 | 38.51 | 15.80 | 2,468 |
PING G410 LST | 61.2 | 12.56 | 3,103 | 216.79 | 231.83 | 27.86 | 37.68 | 14.98 | 2,387 |
PING G410 SFT | 61.1 | 13.18 | 3,633 | 212.07 | 225.04 | 30.78 | 40.79 | 13.89 | 2,000 |
PXG 0341X GEN2 | 61.0 | 12.14 | 2,830 | 216.95 | 232.53 | 25.35 | 35.23 | 17.07 | 2,840 |
Srixon ZF85 | 62.4 | 12.13 | 2,932 | 223.52 | 238.90 | 27.30 | 36.76 | 16.12 | 2,696 |
Sub 70 939X | 61.5 | 11.14 | 2,974 | 216.67 | 232.77 | 24.33 | 34.74 | 14.89 | 2,457 |
Sub 70 Pro | 61.3 | 11.86 | 2,948 | 216.26 | 231.06 | 25.77 | 35.71 | 16.65 | 2,802 |
TaylorMade M5 | 60.8 | 13.98 | 3,086 | 217.18 | 231.36 | 30.51 | 39.67 | 15.06 | 2,287 |
TaylorMade M6 | 61.8 | 12.29 | 2,827 | 221.22 | 236.59 | 26.94 | 36.24 | 16.44 | 3,351 |
TaylorMade M6 Draw | 61.4 | 13.40 | 3,129 | 217.64 | 231.37 | 30.22 | 39.34 | 16.10 | 2,412 |
Titleist TS2 | 62.1 | 12.63 | 3,208 | 219.86 | 233.03 | 29.43 | 38.97 | 17.00 | 2,723 |
Titleist TS3 | 61.9 | 12.09 | 3,010 | 219.89 | 234.41 | 26.96 | 36.75 | 16.54 | 2,696 |
Tommy Armour Atomic | 61.7 | 12.40 | 3,151 | 218.29 | 232.78 | 28.19 | 38.00 | 15.43 | 2,815 |
Tour Edge Exotics CBX 119 | 61.0 | 12.89 | 3,128 | 214.76 | 228.04 | 28.15 | 37.98 | 17.69 | 3,023 |
Tour Edge Exotics EXS | 61.2 | 11.97 | 3,341 | 213.42 | 226.97 | 27.10 | 37.67 | 15.97 | 2,346 |
Tour Edge HL4 | 61.5 | 12.20 | 3,219 | 216.30 | 230.81 | 27.61 | 37.68 | 15.52 | 2,699 |
Wilson D7 | 61.2 | 12.48 | 3,102 | 216.96 | 231.19 | 27.60 | 37.57 | 15.97 | 2,706 |
XXIO X | 61.2 | 12.86 | 3,359 | 214.35 | 226.57 | 29.32 | 39.25 | 17.81 | 2,754 |
アドバイス - 設計による違い
他のクラブと同様フェアウェイウッドもある一定の弾道が得られるように設計されている。ロングパー4やパー5でグリーンを捉えたい時に必要な高い打ち出しや高スピンショットが可能なクラブもある。
また、重心を前方に配置しスピンを抑えることによって、貫通するような弾道を可能にするフェアウェイウッドもある。このような特徴は、飛距離が欲しいティーショットに最適だ。
スペック
FAQ
フェアウェイウッドの購入にあたり
Q:どのくらいの頻度でフェアウェイウッドを買い替えるべきか?
A:まれに技術革新が続くこともあるが、通常メーカーがクラブの性能を向上させるには3~5年かかる。特にUSGAが規制を厳しくしたことから、今後の技術革新にはより時間がかかる可能性がある。おすすめするのは、今使っているユーティリティーよりも、明らかに性能が優れたクラブが見つかったときに買い替えることだ。ただし、単に新しいフェアウェイウッドが欲しいという理由で買っても問題ない。
Q:自分に適したフェアウェイウッドを見つけるには?
A:プロのフィッターの力を借りて正しいクラブ選びをすれば、各々のゲームに最適なフェアウェイウッドが見つかるはずだ。同時に、3番ウッドでどのようなショットを打ちたいのか自分のニーズを把握することも必要だ。ティーショットなのか、芝からのショットなのか?ティーショットの場合、深めのフェースを選べばしっかり芯を捉えてくれるだろう。反対に、少し細長く浅いフェースのフェアウェイウッドは芝の抜けがよく、フェアウェイやラフからしっかりとボールをとらえてくれる。プロのフィッターに相談する前に、自分のゲームやフェアウェイウッドに求めるものを把握することが重要だ。
Q:シャフトは重要か?
A:もちろんシャフトは重要だ。スピンや打ち出しの変化はそれほど大きくないが、シャフト交換によってショットの精度やボールのばらつき、総合的な安定性の向上が期待できる。
Q:試打の際、何に注目すべきか?
A:飛距離以外の他の要素が無視されがちだが、たとえフェアウェイウッドでも安定性や操作性に着目してほしい。飛距離やボールスピードのような測定項目を比べるときでも「安定性」を過小評価してはならない。
重心調節機能を搭載したフェアウェイウッド
ドライバーほど一般的ではないが、今シーズンモデルの中には可動式ウェイト(重心調節機能)を搭載したフェアウェイウッドがある。タイトリスト「TS3」のSureFit CGウェイトや、PXGのマルチポート搭載タングステンウェイト、テーラーメイドのスライド式ソールウェイトなどの調節機能は、どれもフィッティングの可能性やクラブ性能を押し広げてくれる。特に既製品を好む人は一度セットしたら忘れがちだが、知識豊富なフィッターに微調整してもらうことで、ベストな結果を生むことがある。
MOST WANTED
Q:テスターは、どのようにフェアウェイウッドを選ぶのか?
A:アップグレードオプションはなく、標準スペックのみを使ってもらう。テストに使用したフェアウェイウッドのロフト角は、14.5度から16度の3番ウッド。可動式ウェイトや調節式ホーゼルを最大限利用し、各テスターに最適なクラブを用意した。弾道の向上が期待できるため、複数のシャフトが利用できる場合は使用した。
Q:Most Wantedフェアウェイウッドはどのように決定するのか?
A:フォーサイトスポーツGC Quad(GCクワッド)弾道計測機で集めたデータをもとに、あらゆるパフォーマンス測定項目を検証する。また、ストロークゲインド値という統計的有意性を重視する独自手法を用いて、総合ランキングを決定している。
Q:「最も飛ぶフェアウェイウッド」の決め方は?
A:統計学的有意性に基づいてテスター全員の平均トータルヤードを検証し、「最も飛ぶフェアウェイウッド」を決定する。
Q:「最もやさしい」フェアウェイウッドは、どのように決定したのか?
A:ショットエリア(方向性)や精度、ボールスピードとキャリーの平均標準偏差などの測定結果を検証し、「最もやさしいフェアウェイウッド」を決める。
Q:ルックスや打音、打感などの主観的な要素は、どのくらいランキングに反映されるか?
A:まったく反映されない。MyGolfSpyのランキングは、弾道計測モニター上のデータとパフォーマンス測定項目のみで決まる
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