以前の記事にも書いたが、2019年はドライバーにとって最高の年になるだろう。「日食」のように、数年ぶりにキャロウェイ、ピン、テーラーメイドがほぼ同時にフラッグシップのドライバーを発売するのだ。

さらに、タイトリスト、ウィルソン、スリクソン、ツアーエッジ、PXGなど数え切れないほどのブランドが新製品を発表している。

キャロウェイとピンにとって、2018年は素晴らしい一年だった。アディダスによる売却後の環境変化に苦しんでいたが、テーラーメイドにとっても良い一年だっただろう。テーラーメイドはM5/M6でトップに返り咲くことができるだろうか。少なくとも彼らはそう信じている。

 

課題:ドライバーのフェースが十分熟していない

2019年は、「ボールスピード戦争」としてゴルフ用品オタクの記憶に残る年になるかもしれない。業界では長い間CORやCT値、ボールスピードはすでに限界に達したと言われてきた。メーカーは嘘をついていたか、少なくとも真実をすべて伝えてこなかったのだろう。

コブラは昨年、CNCミーリングのドライバーフェースにおいて、そのことに少し触れている。ドライバーのフェースは実際には性能の限界には達していない。ほぼ全メーカーが「限界に達した」と言っているが、製造上の許容誤差はそうではないことを示している。

つまり、メーカーが最大CT値のドライバーを製造すると、必然的にUSGAの規定値を超えるドライバーが生まれてしまうのだ。

そのため、彼らが目標CT値をUSGAの規定値よりも(安全性を考えて)低く設定すれば、誤差によってその目標を多少超えたフェースでも、USGAの規定値に収まるだろう。

この現実は、消費者が購入しているドライバーが限界をはるかに下回っていることを意味する。ドライバーのフェースを削ること以外に(これは根本的な解決ではないが)消費者ができることはない。

ロフト角に許容誤差があることについては、ゴルファーはずっと前から認識している。ドライバーを購入しても、実際のロフト角がヘッドに刻印されている数字と合っていないかもしれないことは、皆が知っていることだ。

製造上の誤差は改善されているが、それでも個々の部品のちょっとしたズレによって目標ロフト角からずれてしまう可能性がある。自分の望むロフトを確実に手に入れるには、ピンのデジタルロフトドライバーか、トム・ウィッションが厳選したヘッドを注文するしかない。

注文することができないのは、CT値の限界に達していることが確認されたテスト済みのヘッドだ。

ツアー仕様のヘッドは既製品よりも素晴らしいとされてきたし、ツアー市場は何とかツアーに食い込もうとあらゆるものを扱う少数精鋭が儲けやすい場所だ。

テーラーメイドは、M5/M6はPGAツアープロが昨年使っていたドライバーよりも素晴らしいとゴルファーにアピールし、すべての論争に終止符を打とうとしているように見える。

 

解決策:スピードインジェクト・ツイストフェース

テーラーメイド M5 M6 ドライバー フェアウェイウッド ユーティリティー

スピードポケットやインバートコーンテクノロジー、ツイストフェースを開発してきたテーラーメイドが、今回はスピードインジェクト・ツイストフェースを発表した。「#ScrewFace」と呼ばれるこのドライバーについて、何から紹介すればいいだろうか。

まず、「スピードインジェクト」という名前は不適切だ。「スローインジェクト」のほうが正確だろう。テーラーメイドの最新ドライバーのフェースは、意図的にCT値の規定を超えるように設計されている。実際、テーラーメイドは出荷されたドライバーがCOR(反発係数)の限界を超えているという。

実際のUSGAの規定はCT値(特性時間、ボール初速に影響する)であることを考えると奇妙だ。このことは、重要な情報を隅に追いやっているように見える。M5/M6ドライバーは、限界ギリギリまで上げていくのではなく、最初に一気に加速して、それからブレーキをかけてスピードを落としているのだ。

 

一体どうやっているのだろうか?

 

まず、限界をどの程度超えているか確認するために、ドライバーのフェースを個別にテストする。アダムス(テーラーメイドが吸収したテキサス州の革新的な会社)は、かつてXTDドライバーで似たようなことをしたことがある。

すべてのヘッドを個別に検査することも、テーラーメイドがすべてのヘッドが限界に達していると主張するのも、今回が初めてではない。

CT値をテストするメーカーは、製造工程の中で複数回ヘッドをテストしている。どのメーカーにもそれぞれ誤差の範囲があるが、テーラーメイドは各ヘッドにスピードインジェクトを施すことによって、その範囲を狭めようとしている。

M5/M6の「ストーリー」に、ドライバーのフェースの裏側にある「2つのポケット(のようなもの)」がある。テーラーメイドは必要に応じてポケットをレジン(樹脂)で埋め、USGAの規定値内まで下げている。

今話しているのは「スピードフォーム」(フェースの反発力を落とさず打感や打音を向上させる充填剤)のことではない。これを「アンチスピードレジン」と名付けることにしよう。

フェースのスクリューを外せばポケットにアクセスできる。独自のアルゴリズムによって、各ドライバーをUSGAの規定値内まで下げるために、ヒールとトゥのポケットに注入すべきレジンの正確な量がわかる。

スクリューが目障りだという意見も多いが、アドレス時にはほとんど見えない。スクリューはフェースと同一平面ではなく、ほんの少しだけフェース面より低いところにある。

さらに新しいM5/M6は、設計を一新したインバートコーンテクノロジー(テーラーメイド独自のボールスピードを維持するフェーステクノロジー)を採用しており、予想どおりツイストフェースも受け継がれている。

ツイストフェースとは、バルジ(フェースの水平方向の湾曲)とロール(垂直方向の湾曲)を傾け、さらにねじった独自のフェース技術で、弾道が左右に散らばるのを抑制してくれる。

 

M5/M5 Tour:549.99ドル

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M3やM1同様に、M5も調整機能に優れたモデルだ。460ccの標準ドライバーと435ccの M5 Tourの2種類のヘッドがあるが、M3/M4のシルバーのカラーリングとカーボンコンポジットクラウンを継承し、非常にクールなマット仕上げでアップデートしており、構えるととても美しい。

ヘッド形状は、テーラーメイドがRBZ以来採用してきたモダンな洋ナシ型だ。どちらのヘッドも昨年モデルより四角く、多くの人に合うように見える。

写真を見てソールのデザインを気に入らなかったゴルファーもいたが。実物を見るととにかく見栄えがいい。全体的には、「テーラーメイドの最大のライバル」のものよりもモダンに映る。見た目は性能とは関係がないが、(どちらか迷った場合)ルックスが購入の決め手になることはある。

 

インバートT-TRACK

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最新のテーラーメイドのウェイト調節システムは、T-TrackからY-Trackへ、さらにはインバートT-Trackへと進化した。テーラーメイドのエンジニアは、これこそが思い描いていたウェイト調節システムだという。これまでその実現を妨げていたのは、製造上の制約だけだった。

それがどのように最適化されているかを確認したいと思う。

我々は、この「ストーリー」を信じるかどうかは別として、一旦は受け入れるつもりだ。ウェイト調節システムには10gのウェイトが2つあり、その配置の組み合わせは1,700通りある。フィッターに頼んで、すべて試してもらおう。

ヘッドの湾曲がフラット気味なので、テーラーメイドは、ウェイトの設定にかかわらず重心位置をできるだけ低くしたという(常にそうなるとは限らないが)。

またウェイトを後方へと移動すると、打ち出し角が1度、スピン量が最大600rpm変わるという。左端または右端にウェイトを配置すると、弾道を左右に25ヤード調節することができる。スリーブでロフト角を2°増やす(減らす)と調整幅はさらに広がる。

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新設計によってスイートスポットがM3より66%広く、初代M1の2倍以上になったという。

打感はソリッドで、「ピシッ」という感じの抑えられた打音だ。これは、M5 TourとM6ドライバーを含むシリーズすべてに共通している。PXGドライバーほど抑えられているわけではなく、フェースの後ろにあるレジンがソリッドな打感に寄与しているのだろう。

ロフト角9°、10.5°、12°の標準シャフトは、三菱CKテンセイOrange 60(プロではない)とProject X HZRDUS Smoke 70だ。今回もテーラーメイドは、追加料金なしでいくつかオプションを提供している。グリップはGolf Pride MCC Decadeだ。

 

M5 TOURドライバー テーラーメイド M5 M6 ドライバー フェアウェイウッド ユーティリティー

多くの人にとってM5 Tourは、自分に合っているかどうかは別として、打ってみたいドライバーだろう。コンパクトな435ccヘッドは、ディープフェースとずんぐりとしたボディが特徴だ。モダンな形状ではあるが、伝統的な形状を好む人でも、アドレス時の美しさに魅了されるだろう。

予想通り打ち出し角が最も小さく(弾道が低く)、スピン量も少ないが、MOI(慣性モーメント)は小さい。投影面積が小さいため、空気抵抗が少ない。ロフト角は9°と10.5°があり、調整機能がついている。「吊るし」と追加料金なしのオプションは、M5と同じだ。

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一部の人にはフィットするだろうが、大衆向けのドライバーではない。

 

M6ドライバー:499.99ドル

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M6は、構えるとM5とほとんど同じように見えるが、その裏側には別のストーリーが隠されている。M6はM4よりも54%多くカーボンを使用しており、ソールの大部分は軽量素材で造られている。テーラーメイドは削減した重量を、彼らが「Inertia Generator」と呼ぶソール後方部分に再配置した。

これはコブラF9 Speedbackとほとんど同じであり、同様の技術(そこまでアグレッシブではないが)がピンG400でも採用されている。最初にこの機能を世に出したのは、間違いなく日本のRyomaのドライバーだ。

M6は、以前のテーラーメイドのドライバーと比較して重心位置がはるかに低い。昨年、M4がマーケットで最も重心位置の高いドライバーの一つであったことを考えると、それを超えることは必達目標だったのだろう。

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設計意図のとおり、M6の打ち出しはM5よりも高かった。テーラーメイドは、(特徴だけでなく)性能面でもM5とM6を区別するために、前モデルの時よりも努力したようだ。

M6もロフト角は9°、10.5°、12°となっている。標準シャフトはフジクラATMOS Orange 5(テーラーメイドとの共同設計でアフターマーケットでは入手できない)と、より低い打ち出しのATMOS Black 6だ。グリップはラムキンDual Feelだ。

 

M6 D TYPEドライバー:499.99ドル テーラーメイド M5 M6 ドライバー フェアウェイウッド ユーティリティー

また、M6 には「D Type」がある。これはピンのG400 SFTのように、スライサーを救済するオプションだろう。ほとんどの技術は見た目ではわからないが、構えると完璧なルックスだ。

多くのゴルファーは、オフセットドライバーが非常に醜いと思っており、練習器具みたいなドライバーは使いたくないと思っている。テーラーメイドは、ペイントを工夫することでD Typeを多くの人が気に入るルックスに仕上げた。また、ヒールバイアスのウェイトによって、インパクト時にフェースが閉じやすくなっている。

テーラーメイドは、D Type はM6ドライバーと比較して20ヤード分ドローバイアスだという。

標準シャフトは、Project X EvenFlow Max Carry 45だ。

 

フェアウェイウッド

今年テーラーメイドが、フェアウェイウッドにツイストフェースを採用することになったのは、当然の流れだった。キャロウェイは、ジェイルブレイクをフェアウェイウッドに採用するのに1年かかっている。

テーラーメイドは、初代のツイストフェースはフェアウェイウッドでは使用できないとしていたが、研究開発に時間をかけたことで、今回の採用を実現したのだ。

そのストーリーは、単純明快だ。

テーラーメイドは、フェアウェイウッド向けにツイストフェースを改良し、ドライバーよりもフェースがねじれているという。ここまでは悪くないのだが、ゴルフクラブのエンジニアなら誰でも、フェアウェイウッドにバルジとロールを実装するためにツイストフェースが必要だと言うだろう。

 

M5チタンフェアウェイ:399.99ドル

テーラーメイド M5 M6 ドライバー フェアウェイウッド ユーティリティー

M3のフェアウェイウッドは、面白いクラブだった。パフォーマンスは問題なかったが、最近のフェアウェイウッドにしては小さく見えた。

いや、間違いなく小さすぎたのだ。最近のテーラーメイドの調整機能付きフェアウェイウッドは、ツアーでは概して競合他社の固定ホーゼルモデルの後塵を拝している。

そのため、テーラーメイドはM5/M6のフェアウェイウッドをさらに差別化しようと試みた。前述のとおり、どちらもフェアウェイウッドでは初めてツイストフェースを採用しているが、スピードインジェクトフェースは採用していない。

それについては、次のモデルに期待したい。強化されたツイストフェースとそのバルジ・ロールが、両方のモデルに備わっていることは外観からも明らかだ。

M5/M6のフェアウェイウッドは、チタンとカーボンファイバー構造を特徴としており、テーラーメイドでは2011年のR11以来のチタンフェアウェイウッドということになる。R11はやさしさに重点を置いていたが、M5/M6はパワーと調整機能をテーマに設計されている。

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チタンで良いフェースを作るのは簡単だが、さらに重要なのはチタンは軽いということだ。チタンを軽量カーボンクラウンと組み合わせることで、従来のスチールフェアウェイウッドよりもはるかに設計の幅が広がり、65gの可動ウェイトを設置することができた。

これは、ゴルフクラブの可動ウェイトの中で最大と言っていいだろう。ウェイトは意外と小さいトラックに沿って移動するが、かなり重いウェイトがスライドするため、弾道はかなり変化するはずだ。

ヘッドの総重量の30%を超える可動ウェイトはソールの前方にあり、これによって打ち出しが高く、スピン量が少ないボールが打てるはずだ。これはもちろん理論上の話であり、テストでその性能が明らかになるだろう。

確かに、クラブを少し試してみて感心した。ウェイトトラックは湾曲しており、ソールの大部分を占めていて、フェアウェイで使いやすくなっている。

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新モデルの打ち出しは十分に高いので、今回テーラーメイドは3HLを造る必要性を感じなかったのだろう。ただしゴルファーは、打ち出しを高くするためだけに3HLを使うわけではないので、これは危険な賭けと言える。

ゴルフでは番手間の飛距離のギャップを考慮しなければならない。3番ウッドでボールを飛ばしやすくするのは結構なことだが、誰もが遠くに飛ばしたいわけではない。ダスティン・ジョンソンは、3HLを好んだ選手の好例だ。

「Rocket」についても少し触れておこう。発売されるのは最高にエキサイティングだ。Rocketの特徴は、ストロングロフトにある。3W(14°)は、ほとんどのストロングロフトのスプーンよりも0.5度立っているが、目標ロフトと許容誤差の話になれば、その差は打ち消されてしまう。

テーラーメイド M5 M6 ドライバー フェアウェイウッド ユーティリティー

価格については、複雑な心境だ。399ドルは3番ウッドにしては高いが、メーカーが前モデルを単に焼き直したのではなく、新製品(もしくはまた流行が巡ってきた製品)を提供してくれるのは嬉しいことだ。

M5フェアウェイウッドは、Rocket 3W(14°、右利き用のみ)、3W(15°)、5W(18°)が発売される。標準シャフトは三菱テンセイCK Orange 75(X)と65(S、R)だ。追加費用なしで多くのオプションが利用できる。標準グリップはGolfPrideのMCC Decadeだ。

 

M6フェアウェイウッド:299ドル

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M6フェアウェイウッドについて、言うことはあまりない。悪い意味ではなく、それは存在自体に意義があるクラブだと思う。M5フェアウェイウッドには何かとトピックがあるが、M6は前モデルとほぼ変わらない。

確かにM2とM4のフェアウェイウッドは人気があったし、今回もそうなるだろうが、M6についてはテーラーメイドは何かしらチャンスを逃したように感じてしまう。

確かにM6にはツイストフェースがあるし、新設計のスピードポケットもあるが、アップグレードする正当な理由が見当たらない。M6は前モデルとほぼ同じだ。ただ公平に見れば、毎年市場に出回る新製品のほとんどについても同じことが言えるだろう。

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M5には大幅な変更を加えたのだし、価格も上がっているのだから、M6には調節可能ホーゼルをつけてほしかった。特にM6には3HLがないのが大きいと思うが、Rocketと7W・9Wで埋め合わせしているのだろう。

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今回M6フェアウェイウッドに D Typeが追加された。アマチュアゴルファーのほとんどがスライサーであることを考えると、納得がいく。

M6フェアウェイウッドには、Rocket 3W(14°)、3W(15°)、5W(18°)、7W(21°)、9W(24°)がある。標準シャフトは、S、R、AフレックスのフジクラのAtmos Orangeだ。

M6 D Typeには3W(16°)(HLではないかと思う)、5W(19°)、7W(22°)がある。標準シャフトは、6.0(S)、5.5(R)、5.0(A)のProject X EvenFlow Max Carry 50だ。グリップはLamkin Dual Feel。

 

M5にはユーティリティーがない

今回、M5にはユーティリティーがない。テーラーメイドは、「GAPR」がそのニーズを満たすと考えている。

これには驚いたが、我々は彼らが商品数を絞っていることを評価したい。もしかすると彼らは、チタンのレスキュー(ユーティリティー)を発売する前に、チタンフェアウェイウッドがどのくらい売れるかを確認したいのではないだろうか。

 

M6レスキュー:249.99ドル

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M6レスキューは、テーラーメイドいわく「ツイストフェースを持つ万能なレスキュー」だ。

確かにその説明は、このユーティリティーを見事に表現している。テーラーメイドが、これまでで最も横に長く、最もボールスピードが速いフェースを持つユーティリティーと謳うM6は、高い打ち出しで、ソフトに着地するように設計された、低重心のクラブだ。

フェアウェイウッド同様、レスキューでもツイストフェースは目立つ(繰り返すが、これは設計上の必要事項だ)。そのため、ツイストフェースの存在感を弱めるようにクラウンの設計が調整されている。

番手は、#3(19°)、#4(22°)、#5(25°)、#6(28°)、#7(31°)で、標準シャフトは7(S)、6(6)、5(A)のフジクラATMOS Orange HYだ。

テーラーメイド M5 M6 ドライバー フェアウェイウッド ユーティリティー

M6フェアウェイウッド/レスキューの最大の問題点は、全体的に安っぽく見えることだ。ドライバーにはカーボンファイバーがふんだんに使われているが、他の番手にはシルバーペイント以外の特徴はなく、それも特に優れたものではない。

計測器で測定するときに、ペイントは関係ない。ショップに並んだときのことを考えると、競合他社が発売する2019年のプレミアムモデルと肩を並べるクラブとは言い難い。

 

まとめ

テーラーメイドの2019年のウッドには、いいところと悪いところがある。

スピードインジェクト・ツイストフェースは、テーラーメイドのマーケティング部門の強みなのだろうが、実際にテストしてみないと性能はわからないし、彼らの「ストーリー」のどこまでが真実なのかもわからない。

特にスピードインジェクションに関する「ストーリー」は多いが、まだテストをしたわけではない。ゴルファーや競合他社が最新技術をあっさりと否定するのはよくあることだが、テーラーメイドの主張は正直怪しさを感じる。

フェースのスクリューは、構造の完全性を損なうのではないかという疑問を生じる。スクリューにボールが当たってしまうことはあるだろう。果たしてフェースは持ちこたえるだろうか?

フェーススロット(溝)を備えたアイアンのように、フェースが割れてしまうのではないか?新しいクラウン設計にも同様の懸念がある。

そしてCT値についてだが、最大CTの現実的な価値とはそもそも何だろうか?44.7m/sにおける10 CTポイントは、0.22m/sに相当する。1ヤード遠くに飛ばすためには、CTポイントを10高くすればいいことになるが、おそらくそうはならないだろう。

これは、ブレークスルー(飛躍的進歩)と謳いながらも実際にはそうではないという、ゴルフ用品業界によくある「ストーリー」だ。(特に、センターCTと同じ制約をオフセンターCTにも適用したUSGAの最近の規定変更を考慮すると)。

MyGolfSpyには、過去数年間のテーラーメイドのCTは他の競合他社のものよりも低く、安定していないとの情報が多数寄せられている。ある内部関係者は、「おそらく彼らは競合に負けるのを恐れて、何とかしてボールスピードを上げているのだろう」とにべもなく述べた。

前述のとおり、USGAはCT値を規制しているが、テーラーメイドはCTではなくCORを謳っている。

ボールスピードを実際に上げる唯一の方法は、CTを規定値内に保ちながら、CORを以前の規定値を超えて押し上げることなので、テーラーメイドの主張は理解しがたい。他社のCORがすでに0.830を超えているのに、今さらテーラーメイドが「0.830に達した」とアピールするのはおかしい。

基本的には、限界まで上げた後にUSGAの規定値まで下げられたフェースがCT(新しいUSGA規格)とCOR(古い規格)の関係を変えることはないし、新しいボールスピードを生み出すこともない。

別の何かが水面下で起こっている可能性は非常に高いが、それについてテーラーメイドは何も発表していない。

そうは言っても、我々はM5とM6が強力なパフォーマーになると予想している。

テーラーメイドのドライバーは常にそうであり、目に見えるテクノロジーも素晴らしいというほかない。新ドライバーは、キャロウェイがジェイルブレイクを発表したときよりも、ショップで間違いなく消費者の目に魅力的に映るだろう。

ドライバーのルックスや打感が素晴らしいことも大きい。それに、私はキャロウェイのグリーン/イエローよりも、テーラーメイドのブラッドオレンジのほうが好きだ。

M5フェアウェイウッドは、他に類を見ないような新技術を採用している。M6ドライバーは、メーカーがウェイトをソールの後方に配置するという、同じような設計に収束し始めていることを表している。

これは、パフォーマンスへの影響を考えると心強い材料だが、イノベーションの観点では少し心配だ。M6フェアウェイウッドとレスキューは、ツイストフェース以外に新しいものはなく、プレミアムクラブには見えない。

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スピードインジェクションは大いに注目されるだろうが、控えめに言っても、テーラーメイドのこの序盤の仕掛けは奇妙だ。「限界に合わせて設計されたもの」と「限界に合わせて製造されたもの」の違いはさておき、テーラーメイドがこれまでに主張してきたことと現在謳っていることは根本的に矛盾している。

彼らはCORがようやく限界に達しつつあることを伝えることで、真実を弄んでいるのだ。

テーラーメイドが、規定値がある以上フェースは既に限界に達していると主張していたことを憶えているだろうか?彼らはこれまで、CORとCTの両方を最大化したと主張していた。他社もそうだ。

新モデルのドライバーがテーラーメイドの謳い文句通りに素晴らしく、スピン数が適切で、十分にやさしいなら、当時と今の言動の矛盾は問題にならないだろう。テーラーメイドが2019年にかなりの量を売るのは、ほぼ間違いない。

しかし、根本的な問題が残っている。これが、巧みに作られたマーケティングの誇大広告か、真のイノベーションなのかということだ。最終的にどちらに転ぶか、今からとても楽しみだ。

 

価格と販売予定

M5とM5 Tourドライバーの小売価格は549.99ドル、M6およびM6 D Typeドライバーは499.99ドルだ。M5フェアウェイウッドは399.99ドル、M6フェアウェイウッドは299.99ドル、M6ユーティリティーは249.99ドル。

M5とM6のウッドは、2019年1月14日に始まる先行予約で注文することができる。店頭に並ぶのは2019年2月15日の予定だ。