テーラーメイドは、メタルウッドを熟知している会社だ。このブランドに対する好みは分かれるだろうが、彼らは常に高い性能を持つウッドを造ってきた。
しかしアイアンに関していえば、優れたものとそうでないものがある。
彼らは長きに渡り、素晴らしい上級者向けアイアンを造ってきた。
歴史的に見てもツアープロを最も多く抱えきたこともあって、上級者に応えることを求められてきた。P790アイアンは、ゴルファーの心に火を付けるようなモデルだった。
PXGとの訴訟問題のせいか否か、中空スピードフォーム(充填剤)設計によってさらなる飛距離とやさしさを実現し、ルックスも申し分なかった。
しかし、テーラーメイドがキャロウェイBig BerthaやピンGシリーズの領域に足を踏み入れた際は、安定的な成功には至らなかった。
RocketBladezアイアンを除き、カールスバットに拠点を置くどのメーカーもこの領域では成功できなかった。
そして今、まだ誰にも分からないが、テーラーメイドはM5/M6がその歴史を塗りかえるクラブになると期待している。
スピードブリッジ
今年のテーラーメイドアイアンのメインテクノロジーは、「スピードブリッジ」だ。アイアンのソールをトップブレードに繋げるスチールバーが、インパクトでヘッドを固定させる働きをする。
インパクトで最も振動が発生する部分に正確にスピードブリッジを配置することにより、スピードポケットとの相乗効果で打音と打感が向上し、ボールスピードが増す。
これは基本的に、キャロウェイの「ジェイルブレイク」やナイキのスリングショットアイアンの技術をアイアンに応用したものだ。
テーラーメイドによると、この設計はインパクトでより多くのエネルギー伝達を可能にし、フェースを強化する革新的技術だという。借り物に過ぎない、と我々は思うのだが。
一方で単一構造は素晴らしく、これは複数のパーツを溶接したものより安定性が増す。「スピードブリッジ」の開発には時間がかかったが、十分な軽さと強度になったのは最近のことだという。
つまるところ、ほとんどすべてのゴルフ用品の設計は「強度」と「重量配分」に集約されているのだ。
新テクノロジー「スピードブリッジ」によって、特に当たりが薄い時にフェースの反発力を高める「貫通型スピードポケット」が初めて採用されることになった。
この技術によって、M3/M4よりも(ボールスピードが)速くなるという。過去のスロットを使用したアイアンは耐久性に問題があったため、今回の設計が性能だけでなく耐久性も優れているか見物だ。
一方で、スピードブリッジによってアイアンが破損するのではないかというネガティブな意見もある。
アイアンのバッジが嫌いというゴルファーは多いが、メーカーはそれを使い続けている。打感を良くするために、M5/M6にはHYBRARダンパーと複数素材を使ったバッジを採用している。
カチッとした打音で、シャープな打感だ。フォージドアイアン特有の打感ではないが、かといってスピードフォーム(充填剤)のそれでもなく、このカテゴリーのアイアンとしては、しっかりした打感といえるだろう。
M6
M6のヘッドはM5に比べて大きく、低重心化を目的とした縦溝模様の軽量化ホーゼルなど、前作から継承した設計が特徴だ。
360度アンダーカットキャビティーバックも健在で、フェース裏のインバーテッドコーン設計によりミスヒット時にもボールスピードが保たれる。
これらの特長によって打ちやすく、ボールを高く打ち出しやすくなる。ロフトは立っているが打ち出しは高く、飛距離も出る。それ以外には特に設計上目立つものはない。
M6は4~9番と、GW、PW、SW、LW。シャフトはKBS Max 85(スチール、S/R)、またはフジクラATMOS Orange(カーボン、7S/6R/5A)だ。レディースのM6アイアンのシャフトは、テーラーメイド製Tuned Performance。
M5
まさに期待どおり、サイズ的にもオフセットにおいてもM5はM6とP790の間に位置するアイアンだ。
モノクロのバッジは、M6よりシリアスゴルファー向けであることをアピールしている。
全体的にM6より小さめで、薄いトップラインやアドレス時に視界の邪魔にならないハーフフルーテッドホーゼルが特徴だ。
また、4~7番のヘッドにはタングステンウェイトが設置されており、M5とM6を区別する重要ポイントになっている。
明らか差はあまりないが、抜けを良くするために面取りをしたリーディングエッジも特徴の一つだろう。
M5アイアンセット内容は、4~9番、GW、PW、SW、LW。
オリジナルシャフトはTrueTemper X100(スチール、S/R)、または三菱Tensei Orange(カーボン、S/R)だ。他にも多くのカスタムシャフトオプションが用意されている。
テーラーメイドは、アベレージゴルファーには最新の中空アイアンよりもキャビティーバックのほうが合うと固く信じている。
なぜなら、キャビティーバックは重心がヘッドの低深部にあるからだ。ところで、アベレージゴルファー自身はどう思っているのだろうか?
M5/M6の外観は、P790や他のPシリーズアイアンのDNAを受け継いでいない。個人的には、面取りしたトップラインは好きではない。
トップラインが薄くなったのはいいとして、フェースの面取りをしてしまうとルックスが(悪い意味で)変わり、アドレスでスクエアに構えにくくなってしまう。
また、ストロングロフトはいいとしても、中級者向けの4番アイアンが19度というのはやりすぎだと思う。19度は、一般的な2番アイアンのロフト角だ。
M5/M6アイアンは、確かに優れたクラブだ。ただ、ドライバーやフェアウェイウッドと合わないかもしれないという不安が残る。
M6の小売価格は、スチールシャフトが899ドル、カーボンは999ドル。M5は100ドル高く、999ドル(スチール)と1,099ドル(グラファイト)だ。
1月18日に予約が開始され、2月1日に販売が始まる。
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