・ピンは『Putting Lab Design(PLD)』 プログラムに基づいて、2021年新作パターモデル11種類を発売

・2021年新作パターは、複数素材構造や、新しくなった硬さの異なる二重構造インサートとグルーブ(溝)を搭載

・価格は249ドル(Harwoodは349ドル)


先月、ピンより2021年新作パターラインナップが発売された。今年の「Most Wantedブレードパターランキング」や「マレットパターランキング」にも、いくつか新しいモデルが登場している。ピンの新作パターのうち2モデルは“マレットカテゴリー”でトップ10入り、新作ブレードは「総合4位」という好成績を収めた。

2021年モデルは『グルーブドインサート』の復活や、複数素材構造の採用、従来の人気ヘッド形状に新しいデザインが加わり、バランスの良い組み合わせが魅力となっている。これこそが今年の“秘密兵器”だ。

それでは、2021年ピン新作パターラインの一般的な機能、特定のモデルをいくつか紹介しよう。


2021年ピンパター:インサートの復活

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2020年の「Heppler(へプラー)」のラインナップで最も印象的だったのは、フェースに溝が全くなかったこと。位置づけとしては、柔らかい「Sigma 2(シグマ2)」を、やや硬めの「Heppler」で補完していた。2021年発売のパターは基本的に「Sigma 2」の後継になるため、インサートの復活は納得の結果だろう。

「Sigma 2」インサートと同様に、 2021年のインサートも「硬さの異なるPEBAXポリマー」で作られている。特徴としては、インサートの表面は柔らかくショートパットで適切に反応するが、ロングパットで少し強くストロークすると、インサートのより硬い内部が作用する。この硬い部分が、ロングパットに必要なフィードバックを与えてくれる。

また、柔らかいのに、インパクト時の音が良いことも分かった。打音の強さとピッチはモデルによって異なる。この新しいフェースは、「Heppler」よりも間違いなく柔らかい。一見不可能に聞こえるが、柔らかい打感ながらもしっかりとしたボールの転がりを実現するのだ。


インサートは以前の「TR(トゥルー・ロール)溝」ではないが、フェースグルーブは今年戻ってきた。今年の新グルーブ(溝)はというと、フェース全面に均一に浅く削られている。同社は、ソフトな打感と一貫したボール初速を生み出すという点で、これらのグルーブ(溝)を推奨している。

「TR溝」の説明にやや似ているが、実際には少し異なる。TR設計では、センターヒットとオフセンターヒットでの距離を均等にするため、特にエッジ付近でボールの転がりを促進するような設計だった。しかし、「TR溝」のパターンではないだけで目的自体は共通している。


2021年ピンパター:複数素材構造

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2021年ピンパターのラインナップの特徴は、2種類のメタルからなる「バイメタル(2種類の金属)構造」だ。パターの本体は、「鋳造17-4ステンレス鋼」、「鋳造アルミニウム」、または「ミルド6061アルミニウム」のいずれかが使われ、2つ目のメタルはウェイト調整用で、ブレードとマレットの一部には、「タングステンウェイト」がフェースに埋め込まれている。

これらのウェイトは、以前「PING WRX」でカスタムオプションとしてのみ利用可能だった「タングステンプラグ」と非常によく似ている。一方、タングステンを搭載しないパターは「鋳造アルミニウム」から作られたもの。これらのパターには、ヘッドにウェイトを配置するための「ステンレススチール・ソールプレート」が搭載されている。

一般に、タングステンやステンレスのプレートを使用すると、MOIを高める重量配置が可能になり、理想的な重心が実現できる。


2021年ピンパター:グリップとシャフト

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今年の新作パターには、2種類あるオリジナルグリップのうちのどちらかが付属する。「ANSER 2(アンサー2)」、「Harwood(ハーウッド)」、「Fetch(フェッチ)」、「Oslo H(オスロ H)」には、「PP60」グリップが備わる。

このグリップは、他のモデルに搭載される従来のピストル型「PP58」よりも、平らな表面を持つミドルサイズの「ピストルグリップ」だ。ストレートテーパーの「PP58-S」も無料オプションとして利用可能。これらのグリップはどれも伝統的なピンのルックスを備え、ピンの象徴であるブラック/ホワイトの「PING Man(ピンマン)」ももちろん健在だ。


全体的なルックスは、真っ黒なシャフトに至るまで、まさにピンの世界観そのものだ。シャフトといえば、今回は調整可能シャフトは標準装備されていない。カスタムで注文することは可能だが、どの小売店でも長さは固定されている。

おそらく、シャフトの調整機能は消費者にとってさほど大事ではなかったか、ピンがゴルファーの好みに合わせた硬さを設計できなかったかのどちらかだろう。前作のパターラインナップを購入したとき、調整可能シャフトはなくてはならない機能だったか、消費者の皆さんにぜひ聞いてみたい。

とにかく、「ブラックグリップ」「ブラッククロームシャフト」「ブラックPVD仕上げのブラックヘッド」が特徴のこれらパターは、真っ黒に塗りつぶされたDIYカスタマイズとは一味違い、まるで1本の黒鉛筆のようだ。





モデル

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“ラインナップには、ピンの契約プロであるビクター・ホヴランド(「DS 72」)やキャメロン・チャンプ(「Tyne 4」)からインスピレーションを得たモデルなど、ツアーに焦点を当てた「PLD(Putting Lab Design)プログラム」からの新しいデザインがそろう。ピン社長 ジョン・K・ソルハイム氏


ピンのパターラインナップの本当の強みは、すべてのストロークパスに対応するモデルを常に備えていることだ。今回も全く同じで、上のチャートを見れば、「ストロークパス」と「ヘッドウェイト」に基づいて適切なモデルを選択できるようになっている。

繰り返しになるが、ピンは非常にたくさんのヘッドを揃えている。クラシックな「Anser」タイプ、「Tyne(タイン)」のような人気のモダンデザイン、そして「Harwood」や「CA 70」「DS 72」のような新作ヘッド。合わせて11種類のヘッドから選択できる。「Harwood」や「Fetch」「CA 70」にはシャフトオプションも可能で、そうなると最大15種類が選択肢となる。

自分にとって適切な長さやストロークパス、さらに上記のチャートのカラーコードを知れば、自分に合うパターが見つかる。それでは新モデルの一部を詳しく紹介しよう。


ANSER 4(アンサー4)


「Anser 4」は、今年の「Most Wantedブレードランキング」で4位にランクインしたモデルだ。「ANSER 4」は、ラインアップの中でも「ストロングアーク・ブレード」として「Sigma 2 ZB」から受け継がれた。おそらく、「Anser Milled」以来登場していないクラシックなヘッドが特徴だ。


KUSHIN 4(クッシン4)


「Sigma G」と「Sigma 2」の両方のラインナップでは、ワイドボディブレード版「Kushin (クッシン)」を見たことがあるが、スラントネック版はこれが初めてだ。上のモデルチャートからわかるように、今回の「Kushin 4」は「ストロングアーク用」のミドルサイズパターのオプションになっている。

最近のパタートレンドでもある、“ブレードのようにプレーできるマレット”のテーマにぴったり合うので、このモデルはかなり人気が出ると思う。


TYNE 4(タイン4)


ここでの秘密のテーマにお気づきだろうか?今紹介しているモデルはすべて、4月のリリースを記念して「4」が付けられている。さらに、紹介しているのは全て「ストロングアーク」タイプだ。「Tyne 4」自体は新しいヘッドではない。

前作のラインナップでも見かけたモデルだが、昨年は豪華なリミテッドエディションとなって登場した。継続的な発売の裏には、その人気度がうかがえる。3種類の「ストロングアーク」モデルの中で、これが一番のお気に入りだった。バランスは格別で、エイム(目標に向けて構える)しやすい。「Type 4」の人気はお墨付きだ。


HARWOOD(ハーウッド)


4つ目は上記とはやや異なるモデル、「Harwood」を紹介しよう。これは「ストロングアーク」用ではないが、「セミアーク」か、「ストレート」のどちらかに入る。「Harwood」は「ミルドアルミニウム」で作られた唯一のモデルで、他の仲間とは一味違う。

パターファンなら、次の「Ketsch(ケッチ)」が出るときに驚かせないように、同社がミルドアルミニウムマレットを展開するタイミングに注意を払っていることにお気づきだろう。

「Harwood」は2021年モデルの中で最も“ヘッドが大きい”が、アルミニウムはウェイトを適正に保つ。ウェイトといえば、MOI向上目的で角にタングステンを搭載している。しかし、性能の観点でみるとピンポイント(の性能)にフォーカスしたモデルだ。

「Most Wantedマレットテスト」では、主に「5フィートパット」で他の勢力に負けていたため6位に留まった。おそらく、アドレス時のルックスに多少の調整が必要だ。ショートパットをものにできれば、「Harwood」はトップ3も夢ではないだろう。


2021年ピンパター:「レッドライン」と呼ぶ?

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不思議なことに、2021年の新作ピンパターラインには「Sigma2」や「Vault(ヴォルト)」のような正式名称がない。その名の通り、「2021ピンパター」なのだ。

さて、私は新作ピンパターを「レッドライン(PING Redline)」を呼ぶことにしたい。フェースの下部にある「レッドライン(赤い線)」と、子供の頃からの憧れ「Redline BMX(レッドライン社製のBMX)」バイクから連想してみた。「BMX」のレッドラインは、このパターのように格好良かった。さらに、レッドラインパターを使うと振動が抑えられる気がする。


読者の皆さんならどのような反応をするだろうか。前途のとおり、今年の「Most Wantedテスト」に参加したパターは良い成績を収めた。「Harwood」は従来の典型的なパター形状ではないため、その性能には正直驚いたが、同社はアルミニウムの削り出しに関しては熟知している。

ピンが丹精込めて作ったルックスが気に入っただろうか?それとも、前作のカラーやポップさが恋しいと感じただろうか?最初に試したいヘッドは?私のお気に入りは、「Fetch」だ。トップが「Ketsch」のように見えても、ボトムにボールを引っ掛ける“穴”があるからだ。その名を「Mullet(マレット)」にしても良いくらいだ。

価格は比較的お手頃な249ドルで、素材のコストが高い「Harwood」だけ349ドル。2021年ピンパターは現在発売中。