2年前、クリーブランドはCBXウェッジを発売した。当時、84%のゴルファーが易しいアイアンを使用していた。

当然ウェッジについても同じ傾向のものを使うべきだ。

大きくて、中空キャビティデザインの易しいヘッドだが、セットもののギャップウェッジ、サンドウェッジ、ロブウェッジよりも遙かにウェッジらしいウェッジを使うというのがクリーブランドの考え方だ。

発売から2年、CBXは新たに生まれ変わる。

予測を上回る売上となった初代CBXウェッジは、伝統的なブレードタイプのウェッジが幅を利かせる世の中で、伝統的ではなく、ブレードタイプではないウェッジ、という面で画期的な商品だった。

CBX2ウェッジもそれらを引き継ぎ、中~高ハンディキャップのゴルファーが、より使いやすいように進化している。

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多様化したソール形状

初代のCBXウェッジは、本当にそれを必要としている人々のために創られた。その想いは届いたのだろうか。答えはイエスでありノーでもある。

「もし自分が易しいアイアンやキャビティタイプを使っていたなら、重くて小さいブレードタイプのウェッジは使わないほうがいいと思ったはずだ」と言うのは、クリーブランドゴルフのマーケティング・ディレクターであり、以前ゴルフクラブ・プロダクト・マネージャーも務めたブライアン・シャルキ氏だ。

「数字の面で、うまく世に送り出すことができたという意味では答えはイエス。しかし、易しい道具を使っている84%のゴルファーたちが全員CBXに買い換えなかったという意味ではノーだ」

初代CBXに対してひとつだけ注文をつけるならば、このシリーズにはソール形状が1種類しかなかったため、シンプルではあるが多様性には欠いたということだ。

つまりグリーンまわりでのショットの種類が限られる。クリーブランドの計算違い?かもしれない。

中~高ハンディキャップのゴルファーのなかにも、アプローチの引き出しを増やしたい人はいるはずだ。初代CBXはフルショットにはいいが、短い距離になるとひと工夫が必要だった。

「確かに初代のソールは多彩なショットに向いているとは言えなかった」とシャルキ氏も認める。「なのでCBX2ではソールの設計をやり直し、ロフト毎に異なるソール形状を採用した」。

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新たなCBX2には、ロフトによって異なる3つのソール形状がある。例えば、46度~52度のウェッジをどう使うかを考えると、フルショットやフェースをスクエアに構えたショットが多くなるはずだ。

そこで、新CBX2では、このロフトのウェッジには、クリーブランドではお馴染みのVソールを採用した。

また、54度と56度のウェッジはバンカーショットやフェースを開いて使うことを想定してSグラインドソールを採用。

寛容性を上げるためにトゥ側は広く、開いて使えるようにヒール側は狭くした。ブレードタイプのウェッジほどではないが、アベレージゴルファーには十分使える設計だ。

そして58度と60度のウェッジには、フェースを開いたロブショットに最適でありながら、リーディングエッジを低い位置に保てるようにC-shapedソールが選ばれた。

「選択のわずらわしさを負わせることなく、ゴルファーが様々なショットを繰り出せるようにすること。それがテーマだ」とシャルキ氏は言う。

「もしソール形状の選択肢が10種類あったなら、ゴルファーは10回に9回は間違った選択をするだろう。ソール形状を選ぶ基準が当て推量にならないように、ターゲットゴルファーの協力のもと、連日プレーヤーテストをおこなっている。大事なことは、ショットの種類に応じたソール形状を提供することだ」

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溝にワザあり

前作に引き続き、CBX2は同社のRTX-4ウェッジの溝テクノロジーを受け継いでいる。

簡単にいうと、溝の上に溝、そのまた上に溝という構造だ。まず、カーブ状のパターンを採用したRotex(ローテックス)ミーリング。次に、クリーブランドの「商標登録済エッジ径仕様書」によりフェースに施された17本ものツアージップグルーブ。

ほぼ全てのメーカーがこのようなことをやっているが、ロフトが立っているものにはフルショットを想定し、より狭くより深い溝。寝ているものには、コントロールショット時にボールがピタッと止まるよう、より広くより浅い溝を施している。

最後の工程はレーザーミーリングだ。溝の間にくっきりと描き出された96の線がフェースにさらなる凹凸を創り出す。

「湿っていようが乾いていようが、どんなライからだろうが、いかなる状況下においても理想的なスピンを得るためだ」とシャルキ氏は言う。

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「ウェッジでティーアップしたボールを打てば、ボールとフェースはクリーンにコンタクトするため適正なスピンを得られる。しかし問題は、ボールとフェースの間に芝あるいは水分などがある場合、スピン量の減少が顕著になる」

「そのため我々は溝を最適化し、レーザーミーリングでフェースの表面に凹凸を創り出している。それは、スピン量を一定にするためだ」

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フィーリングの向上

ソール形状ともうひとつ大きなアップグレードは、RTX-3で初めて採用され、初代CBXでも使われた、フィール・バランシング・テクノロジーによるものだ。

これにより、ヒール寄りにある重心位置をフェースのセンターに近づけることが可能になった。簡単に聞こえるかもしれないが、非常に複雑な技術だ。ウェッジで有名なメーカーは、ほぼ同じことをしている。

CBXのターゲットとなるゴルファーの多くがトゥ寄りで打つ傾向があるにも拘わらず、クリーブランドは、CBX2の実際の重心位置をトゥ側に持ってくるという大きな賭けにでた。

トゥショットは、特にグリーンを狙うショットでショートしたときや、ティーショット後のバンカーショット、長いパー5の2打目などでするとダメージが大きいが、CBX2はオフセンターヒットに強い設計になっている。

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重心位置をトゥ側に近づけるために、クリーブランドが試みたのが、ホーゼル内でマイクロキャビティを削り出し、ホーゼルを軽量化した。

また、CBX2では中空キャビティも進化し、ウェイトを適所に再配分することが可能になった。

「こうすることでトゥ側により多くのウェイトを置けるので、見た目はバランスの良いウェッジのまま、求める場所に重心位置を持ってくることができる。これを中空キャビティのないブレードタイプのウェッジで同じことをするとしたら、かなりの量のメタルのかたまりをトゥ側に持ってこざるを得ず、見た目やバランスも悪くなるので、ゴルファーは一気に興味をなくすだろう」

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CBX2は、キャビティにウレタン素材のGelbackインサートを埋めることで、余計な振動を軽減、打感も向上している。

初代CBXはオープンキャビティだったので、見た目もまさにキャビティだったが、CBX2は、Gelbackをキャビティに埋めることでよりウェッジらしい見た目になった。


 

とにかく易しい

CBXウェッジの最も大きな特徴は、易しいということ。フルショットは、ソール形状を問わず、極めてオートマチックに打てる。

ロフトのあるウェッジではソールが狭いヒールがラフや悪条件のライからのコントロールショットを容易なものにしてくれる。バウンスも十分にある。どんな条件下においてもバウンスは友達だ。

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CBX2でもスチールシャフトの選択肢は中低打ち出し角、低スピンのダイナミックゴールド115のまま。115グラムという重量帯は、105グラム以下のシャフトを挿した易しいアイアンからの流れもいい。

また、カーボンも90グラム台の純正シャフトRotexを継続している。

「初代CBXでは、カーボンシャフトのウェッジが過去最大の売上だった。60グラム台のカーボンシャフトを挿したアイアンの利用者が、130グラムのスチールシャフトを使うのはどう考えても現実的ではない。Rotexは軽く、スイングしやすく、アイアンとの相性もいい」とシャルキ氏言う。

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価格、選択肢、まとめ

「ゴルファーはみな上手になりたいし、コースではもっと楽しみたい。それが叶う道具を提供することが我々の役目だ」

前作と同じく易しさを求めるならCBX2は買いだ。試打ではフルショット、コントロールショットともにおそろしく簡単に打てた。

また、そのように設計されているわけではないが、ちょっとした調整でボールは高くも低くもできる。ただ、もしそれがウェッジに求める重要な要素ならば、ブレードタイプのウェッジのほうが合っているだろう。

もしそこまで望まず、ただボールをぶったたいて、それが止まってくれることだけを求めるなら、ブレードタイプよりもCBX2を試打候補に挙げるべきだ。

ソール形状とバウンスはグリーンまわりで大いに役立つ設計で、初代CBXよりはるかに多彩なショットを繰り出すことができる。しかし、小細工が好きで手数の多いプレーヤーならブレードタイプのウェッジのほうが向いているだろう。

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とにかく誰のために設計されたウェッジなのかを念頭に置くこと。

「これはよく考えられた高品質なウェッジだ。そもそも、常にフェースのど真ん中でボールを捉えられる完璧なボールストライカーのために設計されたウェッジと同じものを使う意味があるだろうかということ。ゴルファーはみな上手になりたいし、コースではもっと楽しみたい。それが叶う道具を提供することが我々の役目だ」シャルキは言う。

初代CBXでクリーブランドがひとつ学んだことは、見せ方の重要性だ。CBX専用ディスプレイラックや店内ポスター、お得なパッケージなどを充実させ、小売店でのプレゼンテーションに力を入れようとしている。

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CBX2はまた、仕上げが1種類しかないにも拘わらず、初代よりはるかに見た目が良い。確かに標準的なブレードタイプのウェッジに比べるとヘッドは大きい。

「ウェッジの後ろ側に心血を注いだ。キャビティだけでなくいろいろな工夫を凝らしたにも関わらず、アドレス時にはスタイリッシュなブレードタイプのウェッジの見た目になっている。後ろ側には易しくするためのあらゆる仕掛けを施したが、アドレス時のシュっとしたクリーンな見た目こそが、ブレードタイプのウェッジを使っているゴルファーの注意を引くカギなのだ」とシャルキ氏。

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CBX2は2度刻みのロフト角、46度~60度のラインナップで、右利き左利き両方の用意がある。

46度~52度のウェッジはVソール、54度と56度はS-shapedソール、58度と60度はC-shapedソールが採用されている。前述の通り、スチールシャフトはダイナミックゴールド115、カーボンはRotexプレシジョンが標準。

クリーブランドのカタログから選んでカスタムオーダーすることも可能。グリップはLamkin360。

同じロフト角、ソール形状のレディースもある。

標準はウイメンズ・アクション・ウルトラライト50ウェッジシャフト。女性の左利き用は標準では52度と56度しか用意がない。

ただ、ヘッドは男性用と同じものなので、事実上は全ロフトで好きなシャフトを組み合わせてカスタムオーダー可能。

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価格はスチールシャフトで$139.99、カーボンは$149.99。

初代CBXからは$10上がったが、価格帯はRTX-4と同じで、2019/2020年モデルのウェッジ市場においては中低価格帯に位置する。

CBX2は小売店およびクリーブランドのウェブで8月30日より販売開始。