クリーブランドは、再び各カテゴリーのクラブを発売する総合メーカーとなってから、エンジョイゴルファーにとって魅力的なクラブを提案しながらも真剣ゴルファーに対して真摯に取り組んできた。
そして第2世代のランチャーアイアンは、その両者にとって検討に値するクラブとなるだろう。
クリーブランド復活
クリーブランドは、2年前初心者向けブランドとして再生し、スリクソンの上級者向け製品を補完してきた。
当時は、それがまともなブランド再生なのか、捨て身の最後の賭けなのか分からなかった。しかし深掘りしていくと、クリーブランドのアイアンは生まれ変わったと言えるだろう。
ともかく、ランチャーHBアイアンは大成功したモデルだった。
2018年Most Wantedのスーパー・ゲームインプルーブメント・アイアン部門では、正確性、寛容性、ストロークス・ゲインド値で他を圧倒しトップに君臨。
しかし飛距離ではイマイチの評価だった。
一般的に、アイアンはどんなに良くても新作が2年ごとにリリースされる(改良されていれば、なお良しだ)。
ランチャーの場合、一つは弱点が微調整され、もう片方は徹底的な見直しがなされている。
ランチャーHB TURBO
2017年の発売以来、オリジナルのランチャーHBが、スリクソン/クリーブランド/XXIOブランドの中で最も売れたアイアンだと知ったら驚くだろうか?「今でも発売当初くらい売れている」と語るのはクリーブランドのマーケティング・ディレクター、ブライアン・シャルケ氏。「大型ヘッドの易しいアイアンの中で競合が少ないので、2年目に売上が落ち込むことがなかった」。
シャルケ氏によれば、HBは販売予測を160%も上回ったそうで、計画の2.5倍のアイアンセットが販売されたようだ。
となると、当然こんな質問をしたくなる。「今でも売れ行き好調なら、どうして変えるのだろうか?」。
すると、クリーブランドのエンジニアリング/R&Aトップのダスティン・ブレッキ氏はこう答えてくれた。
「2年周期なら時間は十分だ。この製品についてはツアーからではなく、全て消費者からフィードバックにより開発している。我々のゴールは製品を少しずつ改良することであり、今回の製品にもそれらが全て反映されている。最終的に現行品に変わるだけの価値があるクラブになった」。
新作のランチャーHB TURBOは、大型ヘッド、中空ボディのハイブリッドタイプアイアンで抜群の寛容性がある。
これら全てにより、エンジョイゴルファーがさらにゴルフを満喫できるようになっている。
レッスンを受けろ」や「新しいクラブでも、変なスイングは直らない」とネットで拡散されるだろうが、実際には、お遊びでゴルフをしている人もいるのだ。
「このアイアンは、寛容性についてこれまでのアイアンの常識を覆している」とブレッキ氏。
「(ランチャーHB TURBOの)重心の深さは、通常の平均的なキャビティアイアンの2倍あり、同様の重心の深さを持つ大型ヘッドのハイブリッド、フェアウェイウッド、ドライバーで得られるようなパフォーマンスの効果が得られるはずだ」。
ランチャーHBが易しいのは、非常に幅広なソールと中空ボディが要因だ。
ブレッキ氏の言う通り、独特で幾何学的なヘッド形状にしたことで、フェースやクラウン、その他の箇所から重量を削り取るだけでなく、その重量を他に配置することを可能にしている。
「上級者向けのキャビティアイアンで、重心の深さについて語られることはあまりない。そのようなアイアンのソールに対して重心を近づけることはできないのだ」とブレッキ氏は語る。
とはいえ、慣性モーメントの話やオフセンターヒット時のボールスピードをキープすることだけが寛容性ではない。
初心者層をターゲットにするアイアンにとって、振り抜けの良さ、インパクトの安定性、ダフらないということも重要だ。
この部類に入るプレーヤは、安定してインパクトすることができるわけではない」とブレッキ氏。「ソールがすごく幅広にすることで、話は変わる」
上級者がランチャーHBを手にすれば、とても簡単でボールも高く上がり、そしてスピンも多くなり過ぎるだろう。
しかしターゲットとするゴルファーが使えば、寛容では何が新しくなったのだろうか?上記で飛距離について言及したことを思い出して欲しい。
飛距離性能と薄いトップライン
ランチャーHBは、2018年Most Wantedスーパー・ゲームインプルーブメント・アイアンを獲得しながらも、飛ぶとは言えなかった。
飛距離ではローグX、ウィルソンD300などに圧倒されたが、そこにはロフトが大きく関係していたのだ。
しかしクリーブランドによれば、新作のHBは、ちょっと引いてしまいそうなネーミングであるもののストロングロフトにすることなくその名の通り「ターボ」が搭載されているという。
新作のTURBOアイアンは、前作同様、フェースに高強度HT1770Mスティールを採用しているが、5%の薄肉化を実現。
4%の低重心化、3%の深重心化、そして慣性モーメントを5%アップさせたことで、前作と同じロフト設定ながら半番手の飛びが得られるという。
また、7番アイアンの妥当なロフトが30度だと思うなら、TURBOアイアンは正にそこに当てはまる。
因みにツアーエッジEXSの7番アイアンは27.5度、ビッグバーサとピン G700の7番は29度、ローグXの7番は27度だ。
「ロングアイアンでは、ロフト角とともに形状、重量により、ターゲットゴルファーがボールを高く上げることができる」とシェルケ氏。
「6番アイアンよりも5番アイアンの方が遠くまで飛ばせるし、5番アイアンよりも4番アイアンの方が飛距離を稼げるようになる」。
これは分かりきったことのように聞こえるが、クリーブランドによれば、ターゲットゴルファーが大きな番手ほど飛距離を出しているわけではないというプレーヤーテストの結果もあるという。
シェルケ氏はこう続ける。「多くのゴルファーは、ストロングロフトの5番、6番アイアンの方が、同様の4番アイアンよりも飛ばしている。理由は、そうした人にボールを高く上げるだけのクラブスピードがないからだ。ロフトが立ったクラブだとボールが低くなり、4番アイアンで飛ばせない。5番がそれよりも上がるから、距離が稼げるという具合だ」。
そして、信じられないだろうが、超初心者向けアイアンを使うプレーヤーすらオリジナルのランチャーHBアイアンのトップラインは厚すぎると感じていたようだ。
今回のTURBOのトップラインは、それよりも10%も薄くなっており、背部をやや削り取ったことでよりスリムに見える。
当然ながら薄いことと、やや薄いとでは雲泥の差があるが、意味がないわけではない。
価格と発売時期
ランチャーHB TURBOアイアンの小売価格はスチールシャフト装着が799ドルでカーボンが899ドル(ともに7本セット)となっており2017年モデルよりも100ドル高くなった。
標準シャフトは、103グラムのダイナミック・ゴールドDST98で同シャフトのカタログでは中・高弾道に分類される。
標準のカーボンシャフトは、こちらも中・高弾道のミヤザキC. Kua 60(61グラム)で、スチールよりも販売数が多くなることが予測される。グリップはラムキンの360が標準装着される。
またメンズモデルは左右でラインナップされているが、C. Kua 40シャフト装着の女性用モデルは右利き用のみ。
ただしヘッドはメンズモデルと同じなので、レフティの女性は希望通りのカスタムオーダーが可能だ。
店頭には10月4日から並ぶことになっている。
ランチャー UHXアイアン
新作のランチャー UHXアイアンをCBXと並べてみると、同社のブランディングの他にも類似点がいくつかあることが分かる。
聞き慣れないネーミングだが、恐らくツアーエッジのCBXと混乱しないようにという意図もあるのだろう。
オリジナルのCBXは、高性能キャビティバッグの初心者向けアイアンだったが、今回のランチャーUHXは大きく異なる。
4番から7番までは中空のユーティリティタイプで、8番からPWまではキャビティバックという番手ごとにフローしているのだ。
「ほとんど毎週、ランチャーHBとスリクソンのユーティリティが、ツアーでトップ2を分け合っており、我々は中空構造のテクノロジーと性能でリードしている存在だ」とシェルケ氏は「UHXでは、スリクソンのZシリーズのツアーテクノロジーとランチャーHBの寛容性に関するテクノロジーをミックスさせた」と胸を張る。
番手ごとにフローしていると、番手の途中でクラブを変えることが簡単ではない。
例えば4番から7番までが超初心者向けのアイアンで、8番からPWまでが初心向けアイアンのミックスセットの場合、7番から8番への移行に難があり、番手ごとの飛距離ギャップの問題も浮上してくるだろう。
しかし今回のUHXでは、番手ごとのフローや性能がマッチするように設計されている。
ブレッキ氏によれば「UHXアイアンは、同じ見た目になるようにデザインされている。
一番大きいキャビティの番手と、一番小さい中空タイプの番手のギャップを小さくしており、中空タイプはやや小ぶりでキャビティバックの形状に寄せている」という。
新バリアブル・シックネス・フェースパターン
UHXにTURBOという名前はついていないが、クリーブランドによると中空構造のロングアイアンは、平均的なキャビティバックのロングアイアンよりも距離が稼げて易しいという。
UHXの寛容性は低・深重心化によってもたらされ、飛距離はHB TURBOアイアンでも採用されている高強度HT 1770Mスチールフェースと新たに再デザインされたバリアブル・シックネス・フェースパターンが要因だ。
「我々はクラブフェース全体でのインパクトについて研究している」と語るのはブレッキ氏。
「どの部分に重量を配置すれば強度が増すのかを理解しているし、インパクトの圧力が低い部分の重量をセーブし、必要な箇所に重量を配分することができる」とした。
例えばトゥで打つと、クラブは慣性モーメントにより抵抗するとはいえ、わずかにローテーションする。
インパクトによってクラブ全体の質量と勢いを受けた場合、このトゥインパクトはスイートスポットでインパクトした時ほどフェースへの衝撃はない。
つまり、センターにはより強度が必要でトゥはそこまでの強度はいらないということだ。ブレッキ氏は「(フェースの)どこにどのくらいの厚みが必要なのかを知ることができた。
同心円状のスイートスポットにではなく、トゥに向かって扇状に広がる非常に特徴的なフェイスパターンになったのはそれが理由。
これによりフェースから5〜6グラムの重量を軽減し後方に配したことで、慣性モーメントも高くなり、スイートスポットも大きくなる」と話す。
もしUHXの4番を俳優に例えると、態度が大きくて背が低くかっぷくが良いダニー・デヴィートだろう。5番はジョー・ペシで、6番、7番は徐々に背が高くてスリムになり、8番から始まるキャビティバックに繋がる。
構えると、4番はクラブの背部が見えるが、5番で見にくくなり、それ以降の番手では基本的に見えない。トップラインは、バターナイフのように薄くもないし、このカテゴリーのアイアンとしては厚すぎるということもない。
Vソールも採用
クリーブランド/スリクソンは、Vソールを採用しておりソールの抜けについて一日の長がある。そして、UHXがフローデザインのセットということは、Vソールもフローしている。
「大きな番手になるにつれて、クラブの入射角が減るというデータがある」と言うのはブレッキ氏。
「PW、9番、8番だとスピンを掛けようとして打ち込もうとするが、大きな番手だとボールから離れて構えてボールの位置も少し前になるので、より払うようなスイングになる」と説明する。
これは、ショートアイアンではソールにV字のバウンスかリーディングエッジにバウンスが必要であることを意味する。
一方、ロングアイアンにバウンスがあるとソールがはねてトップする傾向にあるのだ。今回のアイアンは、ショートアイアンではVソールを採用し、これが6番、7番アイアンになるにつれてフラットになり、オプションの3番ではこのVソールがほぼ見えなくなっている。
またCBXやUHXアイアンでは、各番手を通じて、クリーブランド独自のツアージップグルーブとフェース全体へのレーザーミーリング加工を採用。
ROTEXパターンはないが、クリーブランドのウェッジに施されているものと同水準の仕上がりになっている。
シェルケ氏は「殆どのアイアンには、非常に小さなキャストの溝がある。飛距離重視のアイアンは、フライヤーを喜ぶゴルファーもいるほどなので、スピンを安定させる必要もない。
しかし安定性を求めるなら、今回のアイアンにも当社のウェッジに搭載している溝を採用することは当然だ」と話してくれた。
スペック/価格/発売時期
UHXの標準セットは4番からPWまでの7本で、ロフト設定もこのカテゴリーとしてはスタンダード。
オプションとしてロフト49度のDウェッジ(クリーブランドではデュアルウェッジを意味するが、一般的にはギャップウェッジ)がある。
UHXのメーカー希望小売価格はスチールシャフトが799ドルでカーボンシャフトは899ドル。前作よりも100ドルアップしている。
HB TURBO同様、標準シャフトはスチールがダイナミックゴールドDST 98で、カーボンはミヤザキのC. Kua 60。グリップはラムキン360が装着されている
カスタムオーダーは追加料金なしでプレミアムなグリップとシャフトまで選択可能だ。
C.Kua 40が装着されたレディースモデルは右利き用のみだが、HB TURBOと同じく、レフティはカスタムオーダーを通じて、好きなスペックで手に入れることができる。
またUHXのロングアイアンはユーティリティアイアンとしても発売予定となっている。UST Recoil 95シャフトが装着された3番、4番、5番は単品で購入可能。価格はそれぞれ149ドルになる予定だ。
発売日は10月4日となっている。
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