2代目も同じテクノロジーを搭載
ポッドキャスト「No Putts Given」の一コマで(MYGOLFSPYの動画記事の1つ)、トニーがゴルフにおける新しいテクノロジーが大幅に進化するのは二作目になるのが一般的だと口にしていた。
基本的にメーカーは、テクノロジーの不具合を割り出すために丸一年に渡って市場調査を実施している。
そこから不具合を見つけ取り除くことで、結果として2代目に洗練されたパフォーマンスが実現しているというわけだ。
当然ながら、こうした考えはゴルフ用品以外にも当てはまり、商品の新バージョンは通常、60年代後半のアメ車を除けば前作よりも優れたものなっていることが多い。
新テクノロジーが特徴の2代目が優れていないというケースは、おそらくテクノロジーに変化がなかった時だろう。年が変わっても前作とテクノロジーは同じというわけだ。
場合によっては、テクノロジーが機能しているにもかかわらず、なんで変える必要があるのだろう?なんて思うこともある。
ストローク ラボ シャフトを採用したオデッセイの2020年モデルのパターもおそらくそういうことだろう。
2020年のストローク ラボ パターのシャフトと2019年モデルを比べても全く同じ。
これは、何度リリースを繰り返しても変らないテクノロジーであり、止まらぬ進化を遂げるゴルフ用品の世界では異質だ。
オデッセイは、低価格帯から高価格帯に至るまで全パターにこのストローク ラボ シャフトを標準装備することにも力を入れている。
今回の2020年新作のパターであるスロトーク ラボ ブラックとトリプルトラックシリーズにもストローク ラボ シャフトを装着。
2019年同様、スロトーク ラボのオンパレードだ。それじゃあ、新パターを紹介する前に、ストローク ラボ シャフトについて簡単に振り返ってみるとしよう。
ツアーで深く浸透
自分としては、ツアー使用率がクラブの購入動機にはならないけど、多くのゴルファーは、テクノロジーでプロのプレーが変わるならそのクラブを使うようだ。上のグラフを見て欲しい。
2019年上半期で、多くのプロがツアーにおいてストローク ラボ シャフトにスイッチしたことが分かる。
すごいのは使用数だけではなく、成績でも圧倒しているのだ。下記に2019年のオデッセイパターの成績をご紹介する。
・オデッセイは各メジャーツアーにおいてシーズン使用数でトップ。
・2位のタイトリストと3位のピンを足した数よりもオデッセイパターの使用者数が多い。
・オデッセイは65勝で勝利数No.1。
・オデッセイは2019年の全メジャーで使用数トップ(14試合全て、またメジャー6勝)
つまり、昨シーズン中に多くのオデッセイ契約プロがストローク ラボ シャフトに移行し勝利を重ねたということ。
あえて今年ストローク ラボ シャフトを改良する必要などなかったのだ。シャフトがパフォーマンスを発揮し使用者数も増加。
製品見直しの必要性など感じられないのだ。
ではパフォーマンスも良く人気度もアップしているわけだが、ストローク ラボが急増している秘密はどこにあるのだろうか?
カップインが増える
結局のところ、カップインすることが全てだ。
これでプロゴルファーは賞金を得ているし、アマチュアなら次のホールに行く上での満足感が得られる。
ミスパットなんて最低だ。とにかく、我々にはミスを減らしてくれるものが必要なのだ。
上のグラフを見ると、ストローク ラボ シャフトは様々なパッティングの指標で「一貫性」が向上している。
一貫性は、パッティングにおいて一番重要。
より一貫性のあるストロークにすることができれば、パッティングはより安定してくるはずだ。
もし毎度のように1mほど左にミスするようなら、1mほど右を向けば良い。でしょ?
先月にオデッセイの本社を訪ねた時、パター担当者たちがインパクト時のフェースアングルのデータについて掘り下げ、この数値の重要性を示す表を見せてくれた。
この表は、簡単に説明すると、直径4.25インチのホールに対して真ん中から2.125インチ以上ずれたらカップを外すということを示している。
緑の部分はカップインし、黄色は入る可能性があるということ。
赤の部分はミスパットだ。
インパクト時のフェースアングルが増えれば、カップ中央からのズレも増える。
それと反対に、インパクト時のアングルが改善されれば、カップの中央にラインが近づきよりカップインの可能性が高まるということだ。
グラフにある13%の改善は大した数字に見えないが、今より13%もパットが決まるならスコアがどうなるか考えて欲しい。
私は1ラウンドであと3打ほ減らしたいと思っており、当然、13%というフェースアングルの数値が、そのまま13%もカップインが増えるということにはならないが、パットが決まるようになることは間違いない。
ご意見は聞くが、より一貫性あるパッティングができるようなれば、パットの正確性も上がるはずで、読みとエイミング(当てたい時に当てたい箇所へ当てる能力)も向上しているだろう。
ストローク ラボ シャフトがグリーンの読みに役立つことはないだろうが、今回オデッセイでは新しいエイミングメソットを取り入れているので、それについては後ほどお話しする。
ストローク ラボ ブラック 2020年モデル
10月にオデッセイが発表したストローク ラボ ブラックのTEN、BIRD OF PREY、PREYを振り返ってみよう。
多くの人が、スパイダーに似ているTENに注目したが、何よりも大切なことは「マイクロヒンジ★インサート」を採用したことだ。
ホワイト・ホット・インサートは、オデッセイが全インサートを判断する上での基準となっている。
このインサートの人気は、長きに渡ってオデッセイの開発者にとっては呪縛のようになっているのだ。
ゴルファーがホワイト・ホット・インサートの音とフィーリングを非常に好んでいるため、オデッセイとしては別のインサートを搭載した新パターを開発しづらいというわけ。
ゴルファーは、ホワイト・ホット・インサートの音とフィーリングを求めている。
つまり、ホワイト・ホットよりも性能が良く、打感と音はホワイト・ホットのようになるインサートを生み出すことが設計上の課題と言える。
マイクロヒンジ★インサートの新構造では、あまりテクノロジーを注入することなく、この一見不可能に見えるホワイト・ホット・インサートの基準を満たすことに成功させている。
新たなマイクロヒンジ★インサートのボールスピードとヘッドスピード比は、ホワイト・ホットの100分の2か3以内で、音の振動数と振幅値も同様。
簡単に言うと、マイクロヒンジ★インサートは、ホワイト・ホットに似たフィーリングと打音を達成しつつ、ボールの転がりについても向上しているのだ。
マイクロヒンジス★インサートは、ホワイト・ホットに変わるインサートになる可能性があるし、少なくともホワイト・ホット支持者も試すべきインサートと言えるだろう。
ラインナップは7モデル
2020年、オデッセイはストローク ラボ ブラックシリーズに5モデルを追加し、TENとBIRD OF PREYと合わせたセットを完成させている。
新作モデルは人気のONEやSEVENに加え、歴史的な人気を誇ったROSSIを復刻させ、最新マレットタイプのR-LINE ARROWをラインナップ。ここで写真撮影した2モデルを掲載することにする。
ROSSI
R-LINE ARROW
R&Dは5分間
パターデザイナーと設計プロセスについてお喋りをするのが、私のお気に入りの一つになっている。
私にとって、素材をどのように配置するのか、そして形状を変えることでパターの性能と音の特性がどう変わるのかを聞くこと以上に楽しいことはない。
パターの設計は、通常いくつものプロトタイプを経た上で最終デザインが決まるため、その設計プロセスには時間がかかる。
ところが、トリプルトラック パターのデザインプロセスは5分で済んだらしい。
この5分間の会議は、昨年、キャロウェイがERCボールにトリプルトラックのアラインメントデザインを採用した後に行ったという。
デザインチームが、テープとペンで瞬時にトリプルトラック パターのモックアップを作ったそうだ。
それくらい簡単だったということ。優れたデザインとはそういうものだ。
最初に写真を見たときは、彼らのやりたいことが分からなかった。
彼らのもとを訪れる前にこれらのパターの写真を見たが、自分には全く魅力的に感じなかったのだ。
私のパターに関する必要最小限の感覚からすると、デザインは派手だし、私の「パターとして使えない」リストにほぼすぐに追いやられるようなパターに見えたのだ。
オデッセイの担当者がプレゼンしている時も、トリプルトラックに対しては無関心のままだった。
この写真を見る前までは。
私はこの写真を見て大きなショックを受けた。
なんでこのデザインの素晴らしいシンプルさを見逃していたのか?
真面目な話、ボールに対して上記写真のどちらのパターようにアドレスしているだろうか?
わざとミスしようとしているゴルファーだけが、全てのラインが並行にならないようにアドレスするはず。
ボールのラインに正しく合わせようとすれば、パターヘッドも正しい向きになるはずなのだ。
私には分からないほどあまりにもシンプルだったのか、シンプルすぎて効果がなさそうに見えただけなのかもしれない。
オデッセイにはまた驚かされた。
オデッセイではレーザー機器を使い、テスターがどこを向いているのかと、ボールとパターのトリプルトラック・アライメント・システムによりゴルファーが実際に目標を向く可能性が向上することを裏付けるデータを示している。
ボールとパターを合わせた場合の29%は、わずかとは言えない数値だ。
目標に向けてより正しくエイミングできるようになれば、パットが決まる可能性も恐らく増えるだろう。
エイミングの改善に加え、トリプルトラックを使用しているゴルファーは、よりパターのフェース中央でストロークできるようだ。
オデッセイも驚く結果となったが、これはゴルファーにとって喜ばしいことだろう。何せ106%とは恐るべき改善だ。
これをゴルフの他の要素に置き換えたら、どんな意味になるかわかるだろう。飛距離が106%アップだとしたら、とんでもないことだ。
こうしたアウトプットは、5分間の設計会議で生まれたことかも知れないが、トリプルトラック・アライメントシステムは本当にとっつきやすくメリットのあるテクノロジーとなるように思える。
もちろん、最大の効果を得るにはトリプルトラックのゴルフボールも必要で、キャロウェイでもそのボールの使用を期待しているはずだ。
そして、トリプルトラックテストの結果としてこれ以外に特筆すべきことは、デザインなしのパターを使うべきではないということだろう。
トリプルトラックシリーズ
今回のトリプルトラックシリーズは、マレットタイプが中心で「ブレード」と言えるのはDOUBLE WIDEと2-BALL BLADEだけ。
オデッセイマレットのデザインテーマとなっているブレードのように使えるというデザインテーマはこのシリーズでも健在で、TENとDOUBLE WIDEではスラントネックもラインナップしている。
トリプルトラックパターは、ストローク ラボ ブラックと同様に全モデルともマイクロヒンジ★インサートとストローク ラボ シャフトを採用している。
以下はトリプルトラック数モデルの詳細画像だ。
トリプルトラック 2-BALL
トリプルトラック TEN
トリプルトラック DOUBLE WIDE
2020年のオデッセイは見どころ満載
どうやら2020年のオデッセイは販売とツアーの両面で期待が持てそうだ。
マイクロヒンジ★インサートがホワイト・ホットの牙城を崩すことになるのか?
ストローク ラボ シャフトを使用するプロが、特にオデッセイと契約していないプレーヤーで増えるのか?
プロ、アマともにトリプルトラックのテクノロジーを受け入れるのか?
もちろん、ツアーの誰かがトリプルトラック パターを使用するはずだ。
オデッセイのパタースペシャリスト、ジョー・トゥーロンと一緒にプレーした時に彼が約30mのパットを沈めたことがその理由。
3mじゃない。彼はどんなパターでも扱える素晴らしいプレーヤーで、トリプルトラック TENでパットを決めていた。
トゥーロンはオデッセイのツアートラックにいるので、オデッセイのツアープロとの距離感も非常に近い。
トーナメント中にグリーン上で不調になり別のパターを探すプロもいるはずだ。
たった5分で完成したデザインのパターを使って、5分あたり10万ドルの賞金を稼ぐことができれば、オデッセイにとってこれ以上のストーリーはないだろう。
両モデルともに店頭に並ぶのは今月下旬(2020年1月30日)からで、価格はストローク ラボ ブラックが299.99ドルでトリプルトラック パターは249.99ドル。
どちらのモデルも、皆さんからのご意見が待ち遠しい。
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