オデッセイトゥーロン・シカゴ&シアトルパター

まず、オデッセイのトゥーロンパターのシカゴとシアトルが、他のニューパターのように大きな話題となるようには思えない。

2020年モデルのパターにおいてはユーザーの関心は二極化している。オデッセイ・トリプルトラックシリーズのアライメントラインや、溝がないピンのヘプラーフェース、そしてテーラーメイドのトラスパターが高性能なのかに対しては、多くの人々が明確な見解を公表しているのだが。

このモデルに関しては、そのような声は聞こえてこないだろう。とはいえ、オデッセイトゥーロンのニューパター2モデルを直ちに眼中から外すつもりもない。

実際、私は両モデルとも高く評価している。ただしトゥーロンデザインのシカゴとシアトルパターは、単に現行のトゥーロンパターシリーズの拡充版。革新的で話題となるようなテクノロジーを搭載した新モデルではないということだ。

トゥーロンデザインのシカゴとシアトルパターは、パターの常識を変えるようなものではなく、パターにさらなる選択肢を与えるものであり、これまでトゥーロンデザインに興味があったのにしっくりくるパターを選べなかった人にとっては、歓迎されるべきモデルになるだろう。

では、トゥーロンデザインのシカゴとシアトルパターを深掘りする前に、トゥーロンデザインシリーズの主な特徴を振り返ってみよう。

 

プレミアムミルド構造

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オデッセイの他シリーズと異なり、トゥーロンデザインは100%ミルドステンレス構造が特徴だ。

他モデルは複合素材構造で再デザインされたインサートを採用しているが、トゥーロンデザインパターはミルドステンレス鋼材ビレットのみで作られている。

これはオデッセイのパター開発者がスチールさえ使っておけば良いと考えているわけではない。その真意は、オデッセイのウェブサイトのこの言葉にある。

それぞれの細かい形状、調和、輪郭を隅から隅まで考え抜き、検討し、そして仕上げた。

これは、何となく嘘っぽい売り文句のようにも感じるが、オデッセイを訪問した際、直接この細部へのこだわりを目の当たりにした。

パタープロデューサーのショーン・トゥーロン氏とオウスティー・ロリンソン氏が、発表前のプロトタイプにおけるたった一箇所のグラフィックロケーションの善し悪しを議論していたのだ。

どのようなものかを伝えることはできないが、私だったら些細なこととして取り上げないようなパターの特徴に対する彼らの情熱に感銘を受けたことは、伝えることができると思う。

彼らは、自分たちの昔のパターが競合パターと比べてそこまで良くなかったことに対して非常に素直だ。

しかしながら、2018年の設備入れ替え以降、オデッセイは非常に細かいミルド製造法で競合に対抗。オデッセイは大手パターメーカーとなったが、その開発に誇りを持つスタッフが会社の中心に存在している。

 

オデッセイのブランドとテクノロジー

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シカゴとシアトルには、2019年のトゥーロンデザインの他の特徴も継承。オデッセイという名称を、トゥーロンの名前とロゴよりも圧倒的に押し出し、ゴルファーの認知度を高めようとしている。

各トゥーロンデザインモデルに採用されたフェース前面にあるディープダイヤモンドフェースミリングとストロークラボシャフトは、それに次ぐ特徴。

ディープダイヤモンドフェースミリングとストロークラボシャフトは、トゥーロンデザインパターの主要テクノロジーだ。これらのパターは、最先端テクノロジーで驚きを与えるものというよりは従来のミーリングパターという色合いが強く、そこにパッティングを改善するテクノロジーが含まれているということは注目に値するだろう。

ずいぶん長い説明になってしまったが、ここからはシカゴとシアトルがトゥーロンデザインシリーズにおいてどのようなモデルに位置付けられるのか見ていこう。


 

トゥーロンデザイン・シカゴ

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このワイドブレードパターが、シカゴの街にちなんで名付けられているなんて最高だ。シカゴといえば、いつだって1985年のスーパーボウルで優勝したシカゴ・ベアーズのことを思い出す。

とんでもないチームで、ウォルター・ペイトン、ジム・マクマーン、マイク・シングレタリー、そしてニックネームが「冷蔵庫」の巨漢ウィリアム・ペリーという壮々たるメンバーだった。ワイドパターの名前がかつて「冷蔵庫」を擁した街にちなんでいるならば、私には名案に感じる。

もし、私のネーミングに関する仮説が正しいと思えないなら、シカゴモデルのロゴが熊(ベアー)になっていることに着目して欲しい。私がトゥーロンのネーミング法を解読したことが分かるだろう。

それはさておき、オデッセイ 1 ワイドやダブルワイドを好む多くのゴルファーなら、シカゴに魅力を感じるだろう。他のオデッセイモデルの人気を考えれば、このモデルも売れ筋となるはず。

シカゴがトゥーロンガレージのラインナップに追加され、他のホーゼルが選択できるようになることも興味深い。フローネックのシカゴなんて、セクシーに思えるだろう。

 

トゥーロンデザイン・シアトル

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私のシカゴに関するネーミングの解読に異論があっても、それはそれで結構だ。シアトルに関しては、名前とモデルの関連性を見出すことができなかった。

トゥーロンシリーズの名前の由来を紐解くのはここまで。シアトルは、デザインが近郊の街の名前を冠したポートランドに似ていることから、デザインの類似性と街の近郊具合を元にモデル名が決まったのだろう。

シアトルは、オデッセイの他のパターとよく似ていることがわかる。初めて見たときはオデッセイのJAILBIRD MINIを想起させたし、パター後部の出っ張り部分をつなぐクロスバーがついたポートランドと解釈することもできる。

デザインを微調整しメタルの配置を変え、いくつかの構成要素を組み合わせることは、全てパターデザイン工程の一部であり、パターメーカーはそれを複合的に組み合わせて“正しい転がり”を造り出すレシピを探し求めている。

シアトルは、シリーズを問わずコンパクトマレットの新たな選択肢となるモデル。空洞部分の長方形は、みなさんが求めていたアライメントの改善に役立つだろう。

 

トゥーロンデザイン・シカゴ&シアトル

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先述したとおり、この2モデルがパター市場に大きな影響を与えることはないだろう。しかしながら、2019年モデルのトゥーロンのデザインとテクノロジーをキープしつつも、新たにヘッドの選択肢が2つ増えたことは確かだ。

モデルが増えれば増えるほど選択肢も広がる。みなさんの見た目の好みとストロークに完璧にマッチするパターを見つけることができるようになるのではないだろうか。

前シリーズのトゥーロンデザイン同様、今回のプレミアムパターも定価は449.99ドルとなっている。

高額ではあるが、昨今のパター市場における他の完全ミルドパターと同等の価格となっており、価格と価値が見合うのかという判断は、最終的にゴルファーに委ねられることになる。