MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの品質と一貫性の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立てもらいたい。
今日取り上げるのは、スリクソン「Z-Star」だ。ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義方法、独自の「True Price」測定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページにて確認できる。
先日「Q-Star Tour」をレビューしたばかりなので、すぐにスリクソンボールを取り上げるつもりはなかったが、多くの読者が同社のツアーモデルのテスト結果に関心があるようだ。
実際、先週Twitterに投稿した非公式の調査で、次の候補として圧倒的だったのが「Z-Star」だった。アメリカ大統領選のように“再集計”の必要がないほど明確だったため、早速取り上げることにした。
「Z-Star」は、「Q-Star Tour」と明らかな品質の差があるのか?「Z-Star」では、「Q-Star Tour」を挽回できるのか?
では結果を見ていこう。
スリクソン「Z-STAR」について
スリクソン「Z-Star」は、3ピース構造のウレタン「ツアーボール(PGAツアー)」カテゴリーに入る。定期的にPGAツアーでプレーされるボールである。
2019年MyGolfSpyボールテストのデータによると、「Z-Star」の打ち出し・スピン性能は共に「中」であることが分かる。
小売価格は39.99ドルだが、現在(記事を書いている時点で)スリクソンは「2ダース購入したら、1ダース無料」キャンペーンを実施している。
今回テストしたサンプルボールはすべて、日本のスリクソン工場で製造された製品だ。以前テストした「Q-Star Tour」はインドネシアの同社工場で製造されているため、両者の品質に差があるのか興味深いところだ。
工場間で品質の違いが見られるかどうかは、今後スリクソンボールをテストする際にも考慮に入れていきたい。
スリクソン「Z-STAR」-コンプレッション
Ball Labでの計測の結果、スリクソン「Z-Star」の平均コンプレッションは88だった。ツアー基準では、「ソフト」と表現するのが妥当だが、マーケット全体で見ると「FIRM(硬い)」に分類される。
例えるならば、ブリヂストン「Tour B XS(ツアーでプレーされるボールの中で最も柔らかい)」とタイトリスト「Pro V1」を足して割ったようなボールだ。
スリクソン「Z-STAR」- 重量と直径サイズ
・すべてのサンプルボールが、真円度の基準を満たしている。
・USGAの重量制限(1,620オンス)を超えたサンプルボールはひとつもない。
これは、大きな改善だ。
「Z-Star」のサイズは、ツアーカテゴリーとしてはやや大きく、軽いことは言うまでもないが、重量、サイズ、真円度に顕著な問題は見つからなかった。「サイズ」と「重量」には、ボールスピードが基準に違反する可能性が潜んでいる。
スリクソン「Z-STAR」-インスペクション(検査)
中心性と同心性
「Q-Star Tour」と同様に、「Z-Star」のボール内部を評価することは少し難しい。スリクソンのマントルは、それを囲む極薄カバーと見分けがつかないことが多い。そのためカバーの厚さの問題が露呈しにくいが、中心性と同心性の問題は特定しやすくなる。
また、3ピースボールと言っても、何のことを話しているのかさっぱり分からない人もいるだろう。
目視検査では、サンプルの6%を不良品とした。「Q-Star Tour」と同様に、主にマントルの厚さに問題があった。勿論0%が理想的だが、6%でも問題はない。
また、サンプルの4分の1以上に、パフォーマンスの問題を引き起こす可能性が“極めて低い”小さな欠陥(レイヤーの同心性の問題)が指摘された。
コアの色は一貫して優れていた。一方、「Z-Star」にも粉砕材料の破片が見つかったが、心配するレベルではない。
カバー
「Z-Star」のカバーには、特に問題や欠陥は確認されなかった。
一般考察
前に述べたように、スリクソンのカバーは業界で最も薄く、競合他社の中には「収穫逓減」(※ここではカバーを薄くすれば比例してスピン量が増えるわけでは無い、ということ)を指摘する者もいるが、グリーン周りのスピンが不足する心配はない。
「Z-STAR」の一貫性
このセクションでは、スリクソン「Z-Star」の『一貫性』について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。
重量の一貫性
・スリクソン「Z-Star」全体の(重量の)一貫性は平均範囲内。
・最も重いボールと軽いボールの重量変動はミニマムだった。
直径サイズの一貫性
・他のボールデータと比較して、直径の一貫性は平均範囲だ(高平均に近い)。
・すべてのボールの真円度が一貫しているだけでなく、全体的に異常に大きい、または小さいなど目立った差異がなく、ボール同士の平均直径が一貫している。
コンプレッションの一貫性
「Q-Star Tour」で見られた問題を考えると、今回の平均レベルは十分な結果だ。
平均コンプレッション差分値が2.32だったため、「IBCR(In-ball Compression Range)」は少し高い傾向がある。念のため説明すると、「IBCR」とは各ボールで測定する3箇所のコンプレッションの差(シーム2箇所、ポール1箇所)を表す。
「Q-Star Tour」と同様に、「Z-Star」のサンプル全体の平均コンプレッションは平均値よりもわずかに優れている。これらすべてを考慮すると、「Z-Star」のコンプレッションの一貫性は平均的な範囲だと言える。
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
『True Price』は、ゴルフボールの品質を独自に数値化した指標だ。これは、優良ボール1ダース(12個)を得るのに必要な金額を表す。
『Ture Price』は常に小売価格以上の金額になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。
スリクソン「Z-STAR」-まとめ
詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義方法、「True Price」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照ください。
良かった点
スリクソン「Z-Star」は、「Q-Star Tour」と比べて大幅に品質と一貫性が高く、一般的に「優れた」ボールと言える。
悪かった点
欠陥ボールが混ざっていたため決して完璧とは言えず、「IBCR値」もやや懸念材料だ。
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
スリクソン「Z-Star」の『TRUE PRICE』は、42.39ドル。これは、小売価格を6%上回っている。これだけでも手堅い結果だが、現在スリクソンは「2ダース購入したら1ダース無料」キャンペーンを行っているため、さらにお買い得だ。
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