MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの「品質」と「一貫性」の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立てもらいたいと考えている。
今日取り上げるのはミズノ 「RB Tour」だ。ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。
また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義、独自の「True Price」測定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページにて確認できる。
よくミズノの「RB Tour」ゴルフボールは「ポイント」が違うと言われるが、正確には全くそうではない。
しかし、ミズノが意図的に「Pro V1」の“類似品を作らない”と決めているという話は事実だ。
「RB Tour(またはRB Tour X)」は、「低弾道/高スピン」が特徴のツアーボール。それを「独特」と呼ぶのは少しおおげさかもしれないが、ボール業界では誰もが選ぶ商品ではない…。少なくとも小売業界では。
「RB Tour」は“ベルカーブの端”に該当するボールで、正当に比較できるのは「Volvik S4」(低弾道/高スピンゴルフボールの最も極端な例)や、最近でいうと「カークランド3ピース」の前作といったところだ。
これは万人受けのスペックではないが、間違いなく“誰か”には機能する。
ミズノ「RB TOUR」について
ミズノ「RB Tour」は、360のディンプルを持つ4ピース構造ウレタンカバーボール。
打ち出し(弾道)とスピンの特性は大きく異なるが、コンプレッションと打感の観点から見ると、タイトリスト「Pro V1」に似ている。当初の価格は45ドルほどだったが、ミズノは34.99ドルまで引き下げた。
「RB Tour」は、ナイキが「RZN」ボールを製造していたベトナムの「Fang Tey」工場で作られる。因みに、同社は引き続きRZNブランドで「RZN」ボールを製造している。
ミズノ「RB TOUR」-コンプレッション
私達の測定では「RB Tour」のコンプレッション値は91を記録したが、まさに予想通り。
「ツアーボールカテゴリー」で最も一般的なコンプレッション値は90であるため、ミズノのツアーボール2種類のうち主流モデルのコンプレッションがその値であることは多かれ少なかれ当然の流れだ。
コンプレッション値が90前後の他のブランドと同様に、市場全体の基準に従い「FIRM(硬い)」に分類したが、ツアーボールとしては、打感は「ミディアム」に近い。
ミズノ「RB TOUR」-重量と直径サイズ
・USGAの重量制限である1.620オンスを超えるボールはなかった。
・真円度の基準を満たないボールが確認されたのは1個のみ。
・USGAの最小許容直径より小さいサンプルボールはひとつもなかった。
上記3点は、重量、真円度、またはサイズに関して重大な欠陥がなかったことを示す。
また、「RB Tour」がツアーカテゴリーではやや軽量でありながら、サイズが大きめであることは注目に値する。これらは、同カテゴリーの他のボールと比較して「スピード」と「飛距離」を犠牲にする可能性があるからだ。
ミズノ「RB TOUR」-インスペクション(検査)
中心性と同心性
コアの中心性やレイヤーの「同心性」の問題が見つかったのは、サンプル全体の3分の2にも及んだ。
さらに、全体のほぼ20%に不良品に値する重大な欠陥が確認された。
大部分の問題が、コアが中心から外れているというものだったが、マントルとカバーレイヤーの厚さが一貫していないという問題も観察された。
「中心性」の問題によってアウターレイヤーの厚さが不均一になることはよくある。
コアの一貫性
コアカラーは、総じて一貫して優れていた。共通して見られたのは、目に見えるリグラインド(粉砕再生材料)があったこと。しかし、物質の塊や異常なものは確認されなかった。
カバー
同心性の一種である厚さの問題以外は特に問題はない。
ミズノ「RB TOUR」の一貫性
このセクションでは、ミズノ「RB Tour」の「一貫性」について詳しく説明する。
これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。
重量の一貫性
・ミズノ「RB Tour」の(重量の)一貫性は平均範囲内だった。
直径サイズの一貫性
・直径の一貫性は、データベースと比べて平均範囲をやや下回る結果となった。
コンプレッションの一貫性
・一部問題が見つかったが、サンプル全体のコンプレッションの一貫性は平均的だった。
・サンプル全体の中央値より約10ポイントコンプレッションが低かったボール1個を不良品とした。
・別のボールは、3箇所で測定したコンプレッションポイントに大きな差があったため欠陥品とした。
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
『True Price』は、ゴルフボールの品質を独自に数値化した指標だ。これは、「優良ボール1ダース(12個)を得るのに必要な金額」を表す。
『Ture Price』は常に「小売価格以上の金額」になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。
ミズノ「RB TOUR」-まとめ
詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義方法、「True Price」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照ください。
良かった点
・「RB TOUR」のボール特性は、“オプションが少ない”という点でニッチなカテゴリーに当てはまると言える。
・平均範囲内に収まった測定項目がいくつかあった。
悪かった点
・全体の3分の2に小さな欠陥が見つかった。合計で、サンプルの25%が不良品として識別された。
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
ミズノ「RB Tour」の「TRUE PRICE(真の価格)」は46.64ドル。これは、「小売価格を33%上回る」。明らかに、「品質として優れていると言えない」。
これまでも、ミズノアイアンやウッドの性能には感銘を受けてきたが、特に「低弾道/高スピン」が必要なければこのボールはあまりお薦めできない。
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