PXG「0211」アイアン:主な注目点
・価格がより手頃(1本195ドル)
・前作「0311 GEN3 XP」アイアンと同じスペック
・様々なタイプのプレーヤーに合うような設計
PXGが、新作の「0211」アイアンでちょっとした変化球を投げてきた。おそらく読者が今思っている数字よりも価格は低い。
PXGは他のゴルフ用品メーカーとは異なる存在だ。フェラーリやロレックス、これらと同種の企業は、まず製造してから価格を決定する。時間とコストという典型的な制約を受けずに動けることにはメリットがある。
そのため、ゴルファーが新しいPXGの道具について調べる際には、値段の高さに驚く準備もできている。しかし、新しいPXG「0211」アイアンではいつもと少し様子が違うのだ。
PXG「0211」アイアン:基本情報
PXG「0211」アイアンは、PXGのラインナップに加わった「価格重視のエントリーモデル」だ。「0311 GEN3」アイアンが約12ヶ月前に発売されたときの価格は「1本425ドル」。ほとんどのゴルファーにとってお話にならない価格だった。
しかし、「バナナリパブリック」が「GAP」(という低価格ブランド)を保有するように、「PXG」は今や、「PXGの世界」に足を踏み入れたい消費者のために、「(いくつかの機能を省いた)価格重視のモデル」を保有するようになったのである。
当然のことながら、次の2つの質問は、「いくらか」と「何が違うのか」である。
「いくらか」については簡単。PXG「0211」アイアンの小売価格は「195ドル」だ。しかし「何が違うのか」に関してはより綿密な調査が必要になる。
PXG「0211」アイアン:詳細
2021年版の「0211」アイアンは、従来の「0211」アイアンの「完全な後継モデル」だ。加えて、PXGが2021年「0211コレクション」と呼ぶ、ウッド系を含む包括的なリリースとなる。
「0311 GEN3」アイアンに詳しい人なら、「0211」 アイアンにあるいくつかの審美的な「類似点」に気づくだろう。最もわかりやすいのは「台形のキャビティ」だ。
見た目の連続性のみならず、この設計は内部のキャビティスペースをより多く作り出すためにある。この中空ボディの内側には、PXGの「DualCORポリマーインサート」が入っているのだ。
「0311 GEN3」アイアンと同様、「DualCORポリマー」の充填剤は2つの微妙に異なる素材で構成されている。
内側の素材(フェースから最も遠い方)は、フェースを直接補強するものではなく、「弾力性」がある。
フェースに接する他方の素材は、「より硬く」「より補強力」がある。PXGがオリジナルの「0311」アイアンで使用していた素材に比べて、「DualCOR構造」はより複雑で、PXGによると、「さらなるボール初速を生み出す」ものだという。
しかし、どのような多面的な設計においても、最終的な製品を形作るのは、さまざまなパーツの相乗的な組み合わせなのだ。
フェース素材は厚さ1.5mm、最高級の「HT1770マレージングスチール」で作られている。
PXG「0211」アイアンのボディは、「304ステンレススチール」のバッジを備えた「431ステンレススチール」で構成されている。仕上げは「クローム」と「サテンクローム」のミックスだ。
PXG「0211」アイアン:設計
番手別設計という概念は特段新しいものではなく、むしろ古風な響きすらある。とはいえ、この方法の進歩は、エンジニアが1つのクラブでどれだけ性能を変えることができるかによって裏付けられる。
極端な話、番手別設計とは、クラブごとに「異なる性能特性」を作り出すことだ。従って、ただ単にアイアンのセットを買うという話ではないのだ。
実際には、それぞれに「特性」がありつつ「一貫性」もある、別々のクラブを8本購入することになる。
PXG「0211」アイアンでは、ロングアイアンではオフセット度合いを強く、内部の空洞はより大きく、弾性の高いタイプのポリマー素材の割合が多くなっている。
その目的は、重心をクラブフェースの幾何学的な中心点から離れたところに配置して、「打ち出し角をより高く」、「スピン量を適度に減少」させることにある。
PXG内部のプレーヤーテストによると、これを活性コア素材と組み合わせることで、「さらなるボール初速」が得られるとのことだ。
ロングアイアンからショートアイアン(別名「スコアリングアイアン」)になるほど、クラブの「バウンド(地面からの跳ね返り)が少なく」なり、「オフセットは小さく」「ヒールからトウまでの長さも短く」なる。
そして「弾力性の高いコアポリマー素材の割合が少なく」なっている。一般的に、ショートアイアンだと入射角がスティープになりがちなので、バウンス角が大きいほど、クラブが地面に潜るのを防ぐ効果が期待できる。
また、ショートアイアンでは(飛ばしより)距離のコントロールがより重要になるので、ボール初速を上げるために試行錯誤する必要もない。
PXGによると、以前の「0211」アイアンと比べて、「有効打点距離」が15%アップしたと言う。
機能上は、これは及第点の結果をもたらすフェースの範囲が少し広がったという意味だ。この「有効打点距離」の増加は、フェース上下の有効打点エリアが広くなったという意味だ。
このように、寛容性のアップは、ゴルファーがフェース面のそうしたエリアでどれだけミスショットをするかに大きく影響する。
PXG「0211」アイアン:特性と性能
もしここで取り上げなかったら気にもとめられなかったかもしれないが、素材や基本的なアドレスでの見た目以上に、アングル(角度、ここではラウンド)のついた「トップレール」も特徴として際立っている。
肝心なのはそこだ。PXGのエンジニアは、重量の中心をクラブフェースの幾何学的な中心に合わせるために、さらなるウエイトをトウに向かって押し込む必要があった。
トップラインを徐々に薄くするのは解決策のひとつだが、ヒールからトウに向かって厚くなっていくトップラインは、少なくとも視覚的にはあまり印象が良くない。
そこでPXGが「0211」アイアンに施したのが、アングルのついた「トップレール」だ。具体的には、クラブの裏面がヒールからトウに向かって先細りになっており、これにより必要な重量をホーゼルから持ってくることが可能になる。
アングルのついたトップレールにはまた、トップラインをスクエアに見せるための「視覚的な効果」もある。
性能面では、PXGのテストによると、新しい「0211」アイアンは前世代よりも「最大1番手分飛距離」が伸びたらしい。
これはほぼ、「1.78m/s以上のボール初速の向上」によって起きる現象だ。また、打ち出し角は1度近く上がり、スピン量はわずかに少なくなっている(-700 rpm)。
とはいえ詮索し始める前に、いくつかの重要な注意事項を読んでもらいたい。
まず、PXGのテストはスイングスピードの速いプレーヤーに偏っている。なので、実際のターゲット層がみな飛距離増の恩恵を得たとしても驚きはないが、「1番手分」というのはおよそ言い過ぎのきらいがある。
全ての条件が同じだとすると、クラブ「0.5番手分」が現実的な数字だろう。
続いて、さらに重要なのは、アイアンは「飛距離が伸びればいいというものではない」ということだ。説明しよう。
新しい7番アイアンで前の6番アイアンの距離を打てるのは魅力的に思えるかもしれない。
とはいえ、最適な弾道(ピーク高、下降角)を犠牲にして手に入れる飛距離増が「スコアアップにつながることはない」ということだ。
それどころか、アイアンが飛ぶようになることで、「全番手間での飛距離の適正化」について悩むことになりかねない。
例えば、現在使っているPWの飛距離が140ヤードとして、それを145ヤードのウェッジに変えてしまうと、PWとGW(AW)の飛距離差を縮める必要がでてくるだろうし、逆に、一番短いフェアウェイウッド(またはハイブリッド)と一番長いアイアンの飛距離差をもっと広げる必要がでてくるだろう。
自分のクラブそれぞれのキャリーを最後に測ったのはいつだろうか?
PXG「0211」アイアン:スペック
スペックシートを見れば、低価格ではあるが、PXGが典型的な「やさしさ重視」のゴルファーをターゲットにしていることがすぐにわかるだろう。
オフセット度合いからロフト角、ライ角や長さまで、PXG「0211」アイアンは「GEN3 XP」アイアン(飛距離性能と寛容性を最適化したモデル)のスペックと一致している。
チャートからわかるように、この「XP」のスペックは標準的なスペックよりもわずかに長く、フラットだ。
PXG「0211」アイアン:総論
現時点では、性能については推測するしかない。ギアのプレビューはそもそもそういうものだ。そのため、今のところは性能よりも市場でのポジションが際立つ製品だといえよう。
PXG「0211」アイアンでは、ゴルファーはPXGの要である「DualCORテクノロジー」とPXG「GEN3」のいくつかの設計要素を手にすることができる。
しかし、象徴的な「周辺重量」と複雑な「鍛造構造」は採用されていない。
というわけで、「0211コレクション」とPXGの「シグネチャーシリーズ」がどのように違うのかをはっきり見極めるためには、後者の次作の登場を待つほかなさそうだ。
興味が湧いたかな?
PXG「0211」アイアン:価格と選択肢
PXGの2021年「0211コレクション」は現在入手可能。「0211」アイアンは1本195ドルから。
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