・キャロウェイが新作フェアウェイウッド「EPIC SPEED」と「EPIC MAX」の2モデル発売
・対象ボールスピードは「EPIC SPEED」ドライバーシリーズに準ずる
・メーカー希望小売価格は299ドル
キャロウェイの「EPIC SPEED」フェアウェイウッドは、キャロウェイの「EPIC」シリーズの最新作だが、前作みたいなネーミングだと思われても仕方ないだろう。前作は「EPIC FLASH」で、その前は「EPIC」。
日本市場を中心に「EPIC STAR」もあった。さらに、多くの「EPIC」の発売の間に、「ローグ」、そして2020年には「マーベリック」シリーズもリリースされた。
過去4年におけるキャロウェイの「EPIC」シリーズを事細かに挙げるのは一苦労だが…、TVのクイズ番組の問題になってもおかしくない。
と言いつつ、「EPIC」シリーズは5年目を迎えた。そして、これまでの「EPIC」シリーズ同様、キャロウェイの「JAILBREAK(ジェイルブレイク)」テクノロジーから生まれたドライバー界トップクラスのボールスピードを設計の主軸に置いている。
そこで、キャロウェイがリリースしたのが「EPIC SPEED」と「EPIC MAX」の2モデルだ。早速、紐解いてみよう。
キャロウェイ「EPIC SPEED」の共通点
どのゴルフ用品も、デザインには優先順位がつけられている。開発者は決まった制約の中で開発を進める必要があるため、「あらゆる性能を最適化したクラブ」というものは存在し得ない。
例えば、「ものすごく寛容性があるドライバー」は、「最速のボールスピードは実現できない」ということだ。一言でいうと、人生と同じように、デザインにはトレードオフがあるわけだ。
だから、開発者たちにとっては、別の部分に大きな「悪影響」を与えることなく、特定の部分のパフォーマンスを「際立たせる」ようにすることが課題となっている。
今回の「EPIC SPEED」フェアウェイウッドは、そのネーミングの通り「スピードアップ」のためにデザインされている。
ぶっちゃけた話、キャロウェイのマーケティング資料に、滑稽であることは百も承知の上だとはいえ「スピードについての言及」が少なかったのにはちょっとガッカリ。
“機会損失”ってやつだ。たとえ「スペースボール」(メル・ブルックス監督による秀逸なパロディSF映画)に対する“宣伝文句”だとしても、対象視聴者にはすごく役立つんんだ、ということを考えるべきだ。そうだろ?
ともかく、言いたいことはキャロウェイが「EPIC SPEED」フェアウェイウッドの「重心ターゲット」を、ドライバーでやってきたものと同様にしているということ。
つまりこれがユーザーにとって何を意味するかと言うと、キャロウェイは、「主力ドライバーと同じようなスピード」を実現するように「EPIC SPEED」フェアウェイウッドを作り出したということだ。
「JAILBREAK(ジェイルブレイク)」を覚えているか?
オリジナルの「EPIC」を代表するテクノロジーは「JAILBREAK」テクノロジーだった。クラウンとソールを結ぶ2本の柱により「剛性」が増し、これによりさらなる「スピードアップ」を実現する。
過去数年の「Most Wanted」テストの結果を振り返れば、紛れもない事実が明らかになっており、キャロウェイは「ボールスピード」という点でトップかそれに近いドライバーを一貫して生産している。
芝は緑で、空は青い。キャロウェイのメタルウッドのボールスピードは「相変わらず速い」ってことだ。
「JAILBREAK」テクノロジーの最新版は、キャロウェイ曰く「AIベロシティ・ブレード」という。「ベロシティ・ブレード」は、機能面で「JAILBREAK」と同じ役割を果たすが、それでも着目すべき違いがある。
ブレード2本は薄くなっており、垂直ではなく斜めに立っている。加えて、ブレード間にスペースがあり、ヒールやトゥ側に配置されているのだ。
キャロウェイによれば、その理由は2つあるという。まず、ブレード間のスペースが広がったことで、AIを駆使した「フェースカップ」を適切にたわませることができる。
2つ目は、こうすることで「ねじれ」に対する剛性が増すのだ。オリジナル「JAILBREAK」の構造は垂直方向の剛性を生み出し、インパクト時のボールスピードがアップしたが「寛容性」を損なうことがあった。
今回、キャロウェイでは、「水平方向のねじれ剛性」を高めることで、特にフェース下部でショットした時にフェースがより最適にたわむとしている。
そして、殆どの「生まれ変わって改良された」新製品について、よくあることだが伝えておきたいことがある。ボールスピードを0.447m/s(あるいはそれ以上)増やすことは、メチャクチャ大変なことなのだ。
我々がここで語っている数字は“整数”ではなく、“小数点以下”のことなのだ。キャロウェイによれば、「AIベロシティ・ブレード」による前作とのボールスピードの差は、打点がフェースセンターで+0.491m/s、フェース下部で0.625m/s程度と数値化している。
キャロウェイ「EPIC SPEED」フェアウェイウッド
「EPIC」2モデルのうちの一つ、キャロウェイ「EPIC SPEED」はより「操作性」があり、やや「寛容性」を抑えたフェアウェイウッドだ。「マーベリック」に比べると、スピン量は“やや少なく”スピードは出る。
また「EPIC MAX」よりも寛容性では劣るとはいえ、昨年の「マーベリック」よりも36%も「スイートスポットが大きい」ことも特徴だ。
また「EPIC MAX」よりも前重心であるとともに、やや小ぶりで、キャロウェイでは「スイングスピードが速い」ゴルファーのニーズにマッチするモデルと考えている。
さらに、ロフトとモデルによって「フェース」が違うということも言及しておきたい。どういう意味かと言うと、フェース構造を多かれ少なかれ各クラブの「使用状況」にマッチさせる必要があるということ。
3番ウッドは7番ウッドとは違う。これは当たり前。しかし、静的ロフトはともかく、それぞれのゴルファーのクラブの使い方も、ロフトとモデルで変わるのだ。
簡単に言うと、キャロウェイでは、もしそれぞれの「番手」にそれぞれ「特定の役割」があるなら、その「役割に合わせてフェースを調整」することで、より「個々の使用状況に合わせたパフォーマンスを実現」できると考えているということ。
そして、これを実現するキャロウェイの手腕は「AI(人工知能)」に由来しているのだ。
多かれ少なかれ、「AI」はスーパーコンピューターを使い「特定の目的に基づいたクラブ設計」を作り出す。
AIの主なメリットは、コンピューターの方が人間よりも遥かに速く反復処理ができるということ。またコンピューターには、先入観や私見もない。
だから、そこから吐き出される答えは、あらゆる開発者が提示するものと全然違うということもあるのだ。
キャロウェイ「EPIC MAX」フェアウェイウッド
対照的に、キャロウェイの「EPIC MAX」はヘッド体積こそ大きいが「シャローフェース」になっている。そして「EPIC SPEED」のように、それぞれのクラブは「番手ごとに独自の最適なフェース」が採用されている。
また標準のウェイト配置は「EPIC SPEED」よりもドローバイアスの設定となっている。「EPIC SPEED」と異なり、「EPIC MAX」は「可変ウェイト」(2gと14g)が付属している。
ウェイトが配置されているのは、ソールの中央前部と中央後部。条件が全て同じなら、ウェイトを「前に」動かせば「ボールスピードとスピン量がアップ」し「打ち出し角が低くなり、寛容性が落ちる」。
ウェイトを「後ろに」配置すれば、その逆だ。「打ち出し角同様に寛容性も高く」なる。しかし、「スピン量とボールスピードは減る」というわけだ。
誤解のないように言うと、「可変ウェイト」は、それぞれのゴルファーが求める明確なパフォーマンス特性により合わせるため、性能上、微妙な変化をもたらすということだ。
キャロウェイでは、中程度のスイングスピードのゴルファーは「EPIC MAX」のほうがフィットすると予測している。
従って、上級者は、重めのウェイトを前部に配置することで「EPIC SPEED」よりも易しく感じる上、十分なボールスピードを得られると感じることができるだろう。
繰り返すが、これらのモデルが、様々なハンディキャップとスイングスピードのリアルゴルファーの手によってどのようなパフォーマンスを見せるかは「Most Wanted」テストまで待たなければならない。
純正シャフトと発売時期
キャロウェイ「EPIC」フェアウェイウッドシリーズの純正シャフトは以下の通り。
「EPIC SPEED」フェアウェイウッド:Project X Cypher(40g/W、50g/L)、HZRDUS Smoke IM 10(60g/ R、S、70g/S)、三菱MMT(70g/X)。
「EPIC MAX」フェアウェイウッド:Project X Cypher(40g/W、50g/L)、HZRDUS Smoke IM 10(60g/ R、S、70g/S)。
価格はともに299.9ドル。
Leave a Comment