・PXG「0211 ST」アイアンは伝統的なマッスルバック形状
・「8620ソフトカーボンスチール」のトリプルフォージド加工
・メーカー希望小売価格は1本149ドル
PXG「0211 ST」アイアンは、PXGのより手頃な価格の「0211シリーズ」におけるニッチな製品の流れを汲んでいる。PXGの標準的な「0211」アイアンは幅広いプレーヤーに合うように設計されている。
しかし、「0211 ST」(Super Tour/スーパーツアー)アイアンを一目見れば、今回はそうではないことがわかる。
相対的には易しくなった
「0211 ST」アイアンは、「熟練ゴルファーの飛距離と実行能力を向上させる」というPXGの表現通りのクラブだ。短めのブレード長、コンパクトな形状、最小限に抑えられたオフセット、薄いトップラインなど、いわゆるブレードアイアンに必要な特性は備わっている。
しかし、PXGによると、またしても設計方針に少しひねりがあるようだ。「テーパードソール」と「バックボトムフランジ」により、クラブヘッドのトウ側に向かって重量が追加されている。さらに、上部中央セクションから一部の材料が削除され、ハイトウ方面に再配置されている。
重量の再配分により、クラブフェースは多少なりとも安定したものになる。とはいえ、ブレード長が短いほど、シャフト軸の周りのMOIが少なくなり、インパクト時のクラブフェースの制御が難しくなる。
基本的に、PXGは本質的に全く寛容性が高くないクラブの設計においてMOI(寛容性)を高めようとしている。“文脈”というのは常に重要であり、企業はあるクラブについて「概ねはこうだが、多少はこうなっている」などと明言するものだが、その手の発言は常に“相対的”なものだ。
そのため、いくらメーカーがマッスルバックアイアンの寛容性を激増させる設計要素を表明したとしても、本質的には「かなりの熟練ゴルファーのみが恩恵を得られる程度の機能」を搭載した“マッスルバックアイアン”のままにすぎない。
NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)で最も小柄な先発レフトタックルと称される選手を考えてみればわかるだろう。小兵とはいえそれはあくまでNFLにおいて、だ。オフェンスラインマンには変わりない。
ブレードの恩恵
我々が最初に目にした「ST」モデルは、PXGの以前の「GEN3」シリーズの一部で、100%ミルドされたPXG「0311 ST」アイアンだった。
それはPXG“初”となる真のマッスルバック製品だった。しかし、1本650ドルの価格設定で、典型的なPXGユーザーを対象に設計されたものというよりは、PXGの限界を押し広げるアイデンティティを象徴するショーケースのような作品だった。
それはさておき、「0211」シリーズに「ST」モデルが加わるというのは、バランス的には理にかなっている。
これは、より熟練したプレーヤーにとって、コストばかり気にせずに済むPXGブランドへの入り口となる。実際、1本149ドルという価格は、多くの競合他社の主力製品をわずかに下回っている。
とは言うものの、PXG「0211 ST」には少々興味深いラインナップの空白がある。PXG「0211」アイアンは、「GEN3」モデルの中で最も寛容性の高い前世代の「0311 GEN3 XP」アイアンと同じスペックだ。
反対に、PXG「0211 ST」アイアンは、そこから最も遠いところに位置している。それはつまり、現時点では、その間を埋める「0211 T(またはP)」モデルが存在しないことを意味する。
PXGは、2つの既存のモデルで消費者の大半をカバーできると考えているのかもしれない。あるいは、これが「0211」アイアンの最後の製品ではないのかもしれない。見てのお楽しみだ。
素材・価格・発売時期
PXG「0211」アイアンは、「8620カーボンスチール」からトリプルフォージド加工されている。参考までに、これはPINGがマッスルバックの「ブループリント」アイアンで使用しているものと同じ基本素材だ。
「8620」は、シングルピースのフォージドアイアンによく見られる「1020」または「1025」カーボンスチールほど柔らかくはないが、PXGによると、この素材と鍛造プロセスにより、「タイトなグレイン構造が素材の強度を高め、溝の寿命を延ばし、並外れた打感を生み出す」ことが可能になったという。
また、誤解のないように言っておくと、「0211 ST」はソリッドボディのアイアンだ。ポリマーや発泡体、中空キャビティについての議論はまた別の機会に。
PXG「0211 ST」アイアンの価格は1本149ドルで、現在販売中。
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