・ミズノが新「ST」ドライバーシリーズをローンチ

・「ST-X」はある程度の寛容性も備えたドローバイアスタイプ

・「ST-Z」は高MOIの低/中スピンタイプのドライバー

・定価は400ドル


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ミズノは、「ST-X」「ST-Z」を発売することで、これまでの「ST」シリーズの勢いを活かしつつドライバーのヒットメーカーの一つとしての存在をアピールしようとしているようだ。


新しいルール

過去のミズノの記事で、同社のドライバーがどうして、そして何故、「PGAツアーから姿を消す」ことになったのか伝えてきた。競合他社が「ツアーでの使用数」を“お金で買っている”うちに、財布の紐が堅いミズノは「自身の契約プロが自社ドライバーを使わない」ことに慣れっこになってしまっていたのだ。

当時の“手法”は、契約プロがミズノのドライバーを使うまで首を長くして待っていること。となると大半の場合、プロは使うことなく、メーカーも多くを語らなくなる。

10年以上の間、ツアーにおけるミズノのドライバー使用数は「ゼロ」で安定しているわけだ。

ところがこの2、3年で状況は変わってきた。ミズノは、新しいルールとも言えそうなこれまでと違う“手法”を展開。競合他社のように、契約プロに対して「同社ドライバーの使用すること」に厳格になってきている。この先のツアープロとの契約では、間違いなくドライバーが使い物になることが求められているはずだ。


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ツアープレーヤーのフィードバックが、「ST-X」や「ST-Z」のようなデザインにおいてより重要な役割を果たすようになるにつれ、ミズノのツアーでの使用数はアップしてきている。“ゼロ”だったのだから「アップ」して当然なのだが。

これと同時に、ミズノが「デザイン工程を加速化」していることにお気づきの方もいるだろう。かつてのより「保守的なブランド」にとって、新作リリースが1年サイクルというのが今では当たり前になっている。

少なくともミズノをチェックしているアマチュアゴルファーにとっては、サイクルが長い方が良いだろうが、ミズノにとっては余分な時間は重荷になるだけだ。ツアープロがドライバーを気に入らなければ、ミズノはまた試してもらうために1年半待たなければならないのだから。

これはツアーで成功する秘訣とは言えない。そして現在、「ST-200」から1年が経過。ミズノでは、十分な議論を重ね十分な進化が実現したと考えている。この「ST」を「Show Time(ショーの始まり)」の短縮型を意味するものだと考えても、全然、おかしくなんかないのだ。


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ミズノ「ST-X」「ST-Z」ドライバー

ミズノの1年サイクルで登場した最新ドライバーが「ST-X」「ST-Z」だ。この新作を見て、瞬時に「ST-G」にはあった低スピンをもたらす「可変式ウェイト」がないことに気づいた方もいるだろう。この「G」は今回のリリースサイクルに乗るものではないが、今後復活しないというわけでもない。

「X」と「Z」のネーミングは、クラブヘッド内部の重量分布を表している。「ST-X」の重量は、X軸に沿ってヒール寄りに設定されており、「ドローが出やすい設計」になっている。

「ST-Z」だと、Z軸に沿い低くクラブ後方寄りという具合。スピンをコントロールしつつ「寛容性もアップ」させるためだ。

ミズノが「ST-X」「ST-Z」に対して描いた全体的なゴールは、非常にシンプルなものだった。それは「ST-200」でよかった部分を取り入れ、そして組み込むということ。テクノロジーを進化させ、進歩を見せ、ドライバーの見た目、打音、そしてフィーリングを改良することにある。

では、そのゴールに向けてミズノが行ったことを見ていこう。


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コアテックβチタンフェース

2021年はドライバーのフェースに注目が集まりそうだ。例年ある意味ではそうなのだが、今年は近年の記憶にはないくらい、フェースこそが「スピードの源」として各メーカーが焦点を当てている。

ミズノの「ST-X」「ST-Z」ドライバーの場合、素材そのものは前作と変わっていない。ミズノでは引き続き、「鍛造SAT 2041βチタン」を採用しているが、同社ではこの「素材」の方が、競合が採用しているどんな素材よりも「優れている」と考えているようだ。

「各社には、他社よりも良いと思える素材の特徴がある」と話すのはクリス・ボーシャル氏。「我々にはそれがいくつもある」。

ボーシャル氏が特に指摘している点が、ベータチタンの「変形からの回復率」と「微細粒組織」だ。

前者は、素材が元の形状に戻る速さを意味し、「ボールスピードアップ」につながる。後者は金属疲労がしにくいことを意味し、最終的により「耐久性」があり、もっと重要なところでは「CTクリープ(フェースのスピードが徐々に増えてしまうこと)」が少ないことを示している。


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ミズノではドライバーのフェースの再設計を行い、フェースの低い部分に当たった時にスピードが出るようにフェース下部を戦略的に薄くしたが、多くの競合と同様、スピードアップする上で公差が課題の一つになったという。

ミズノは「SAT 2041」を熟知してきたことで、USGAのルールに準拠する「一貫性のあるパーツ」を採用しつつ、デザイン目標をどこまで“安全に”限界まで上げることができるのか分かってきているようだ。ボールスピードを向上させる最も簡単な方法の一つは、「CT値」の目標を上げるように設計すること。

フェース素材のこうした性能を活かしたヘッドであれば、これが実現できるというわけだ。


「WAVEテクノロジーソール」

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ミズノの「ST-X」「ST-Z」ドライバーにはともに、過去数世代のメタルウッドの主要特徴である「WAVEソールデザイン」が採用されている。

「WAVEソール」の目的は、クラブフェースの低い部分のたわみをいくらか吸収することで、フェースの圧力を軽減させることだ。機能的にはテーラーメイドの「スピードポケット」やタイトリストの「アクティブリコイルチャンネル」と同じ。ミズノ曰く、これにより「CORエリア(ボールスピードをほぼ最大化させるフェースのエリア)」が大きくなるという。


「CTリブ構造」

ミズノ「ST-X」「ST-Z」ドライバーのフェースの上部をつなぐ「CTリブ構造」は、「WAVEソール」を補完するヘッド上部の要素と言えるだろう。その特徴は「CORエリアを拡大」し、「CT値を規則内に抑えつつ耐久性を向上させる」ことと言える。

ミズノでは、「ST-X」「ST-Z」に3つのテクノロジー(「コアテックフェース」、「WAVEソール」、「CTリブ」)を搭載したことで、「COR値(ドライバーのスピードを管理するUSGAの古い規格)」と「CT値(現在の基準)」に絶対的な相関関係がないことを利用し、「スピードアップ」を果たそうとしている。

この分野では、現在の限界を超えない範囲で、従来の規則で許容されていたスピードを超える条件があるというのが極めて一般的な認識だ。

大きくスピードアップするというわけではないが、「素材が進化」し「製造が進歩」することでより複雑な形状にすることが可能となっていることから、徐々に改良する余地もあるということだ。


洗練された外観

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「洗練された外観」というだけに、ミズノでは「カーボンファイバークラウン」の見た目をアップデートしている。クラウン全体は光沢のあるブラックだが、その大部分はカーボンの織り目が視認できるようになっており、幅広くなったリーディングエッジがその織り目模様を囲んでいる。

また、ソールのカーボンファイバー部分も織り目が目立っている。非常に細かい部分ではあるが、より洗練されており全体的にビジュアルが魅力的という意見もあるほどだ。

では、ここまでは両モデルの共通点を抑えたので、それぞれのモデルを見ていこう。


「ST-X」ドライバー

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ミズノ「ST-X」は同社のドローバイアスモデルだ。ミズノでは、ドローバイアスモデルが誰にもマッチするわけでないことを理解しており(1モデルに止まらなかった理由の一つ)、ゴルファーにフィッティングを受け入れてもらいたいとも考えている。

「ST-200X」はミズノの女子プロたちから人気があり、平均的なゴルファーも同様にメリットが得られると思えるだけの理由もあった。「寛容性」の全てを犠牲にすることなく多くの「ゴルファーが求めるドロー」を実現するということがミズノの手法なのだ。


「ST-X」ドライバー – 長くて軽いというだけじゃない

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ミズノの「ST-X」ドライバーが前作と異なる点は、「Jスペック(日本仕様)」ではないということだ。欲しければオプションで選択可能という意味で。

「Jスペック」はオプションとなっており、他にもオプションはある。これには、「ST-X」ドライバーが“70歳以上向け”と思われたくないというミズノの想いが現れている。

今回のスタンダードの「ST-X」ドライバーは45インチで、11gの「ウェイトスクリュー」が搭載され合計ヘッド重量は204g。

軽量で長尺の「Jスペック」は45.75インチで4gの「ウェイトスクリュー」が搭載され合計ヘッド重量は194gとなっている。


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基本的にミズノ「ST-X」ドライバーはゴルファーが望む選択肢を用意しているし、それがあるべき姿だろう。

ロフト角は10.5度と12度がラインナップしている。

スタンダードの「ST-X」ドライバーの純正シャフトは、フジクラの「Motore X F3」と「Project X EvenFlow Riptide CB」。「ST-X」のJスペックはミズノの「M Fusion 40」が純正シャフトとなっている。


ミズノ「ST-Z」ドライバー

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ミズノ「ST-Z」ドライバーは、ボリュームゾーンに向けたモデルだ。重心をニュートラル軸に近くすることで低/中スピンを実現する「高MOI(寛容性)ヘッド」が採用されている。

そして、ドライバー市場でますます一般的になっている「低スピン」で「寛容性」をもたらすモデルであることが特徴だ。

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ミズノ曰く、「ST-Z」ドライバーはニュートラルバイアス(ドローやフェードの傾向がない)となっている。「ウェイトスクリュー」が中央に配置されており、ソールのカーボンファイバーは「ST-X」のように一つではなく、「ST-Z」には両側にバランスよく2つ搭載されている。

「ST-Z」ドライバーのロフト角は9.5度と10.5度がラインナップしており、10.5度モデルは右利き用のみ。純正シャフトは45イントだ。


価格と発売時期

ミズノ「ST-X」「ST-Z」ドライバーの価格は400ドル。発売日は2月18日となっている。(アメリカ)