「Arccos(アーコス)」の素晴らしさを伝えるために、世界レスリングエンターテイメントのポール・ヘイマンの名を引用しよう。

※ポール・ヘイマン:90年代のアメリカプロレス界に革命を起こした天才プロデューサー

なぜヘイマンなのか?それは、ゴルフ界におけるビッグデータと人工知能(AI)で、誰もが認めるヘビー級チャンピオンはたった一人だからだ。

チャンピオンとは、「Arccos(アーコス)」だ。

紛れもない事実として、ファイティングチャンピオンになるためには、すべての対戦相手を真っ向から受けなければならない。しかし、「Arccos」に挑戦しようとした者の中には、競争相手というより多くの偽装者がいたのも事実だ。

それでは正義の戦いとは言えない。


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「ARCCOS(アーコス)」が得たトロフィー

ビル・ゴールドバーグ氏はかつて世界選手権レスリングで173連勝という圧倒的な記録を残したが、「Arccos」の記録と比較すると見劣りさえする。

※ビル・ゴールドバーグ:アメリカのプロレスラー。90年代後半から2010年代にかけて一世を風靡した。

コネチカット州スタンフォードで生まれたその会社は、今も“無敗”を続け、タイトルベルトに相応しい多くの賞を獲得しているのだ。

「Fast Company(テクノロジー、ビジネス、デザインに焦点を当てたビジネス誌)」は、スポーツ部門における世界で最も革新的な企業に「Arccos」を3番目に挙げている。MyGolfSpyは、「Arccos」搭載ドライバーをエディターズチョイス賞に選んだ。他にも多くのリストが存在する。

WWE(アメリカのプロレス団体)のプロレスラーA.J.スタイルズ(アレン・ジョーンズ)は、「The face that runs the place(この場を制覇するのは俺だ)」と言いながら入場したという。

16度世界ヘビー級王者の座をつかみ、「ネイチャー ボーイ」と呼ばれたリック・フレアーは、常に「男になるには、男を倒さなければならない」と言っていた。「ゴルフ界データベースの王者」に挑みたいなら、サル・サイード氏のいるリングに登らなければならないだろう。

※アレン・ジョーンズ:アメリカのプロレスラー。リングネームがA.J.スタイルズ。WWE世界王座を2回獲得。

※リック・フレアー:アメリカのプロレスラー。日本でのニックネームは「狂乱の貴公子」。


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挑戦者は、ハンデ戦を考えた方が良いかもしれない。

「当社の文化は、耳を傾けること」と、「Arccos」の共同創設者兼最高経営責任者であるサイード氏は述べている。

「それが顧客、パートナー、MyGolfSpyの読者、インフルエンサー、誰であろうと関係ない。彼らのフィードバックに耳を傾ける。もっと良いサービスを提供するには何ができるか常に知りたいと考えている。私たちの仕事は、そのフィードバックに基づいて行動し価値を提供することなのだ。」

サイード氏の共同創設者クリントン・グラスト氏とアマド・ファイサル氏は、10年前に共に「ショットトラッキング」と「AI」を組み合わせたツール及びプラットフォームをゴルフ界に送り出すという革命を起こして以来、常にフィードバックに基づいて行動することで成功を掴んできた。


「ARCCOS(アーコス)」の最新情報(2020年12月31日現在)

・300万本のクラブが「Arccosアプリ」と連動

・ユーザーによるラウンド数は600万ラウンド

・ユーザーによるショット数は4億打

・コース上の観測地点数は310億地点

・194か国で「Arccos」が使用されている

「Arccos」をより優位な立場にしたのは、昨年の同社の業績だった。記録的な2020年となった。



増え続ける「ARCCOS(アーコス)」ユーザー

・総距離は30億ヤード

・プレーされたラウンド数187万回

・コースでのショット数1億1300万打

「Arccosチーム」は、新規ユーザーの昨シーズン平均ハンディキャップが5.02ストローク改善したという功績に誇りを感じている。

「昨年の私たちのビジネスは実質2倍に成長した。すべてがパンデミックの影響とはいえないが、ある程度はそのおかげだ。2020年は多く困難に直面したが、回数は非常に多かった。」(サイード氏)


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昨シーズン、データ解析の分野で大きく差をつけたのは、3つの「Arccosテクノロジー」だ。


A.I.距離計(USGA適合ではない)

傾斜、風速/風向、気温、湿度、高低差に合わせてヤード表示をリアルタイムで調整する、世界初のAI搭載GPS距離計。


ARCCOS(アーコス)キャディーリンク

ショットデータを自動的に捉える小型で非常に軽量なスマートデバイス。「Arccos」メンバーなら、プレー中にスマートフォンからテザリングを解除できる。


ストロークス・ゲインド分析

「AIニューラルネット」を利用することで、プレー中に個人向けに分析されたアドバイスを得ることができる。この手の最初のプラットフォームである「Strokes Gained Analytics(ストロークス・ゲインド分析)」では、どんなハンディキャップでも(ツアープレーヤーからハンデ20まで)選択することができ、その目標に対する自分のパフォーマンスを測定することができる。

イェール大学のビジネススクールに通いながら、グラスト氏とファイサル氏と共同で「Arccos」を考案したサイード氏は、次のように述べている。「今では多くのゴルファーがデータの有効性に気がついている。」

「確かに、『私は自分の弱点を把握しているし、そこにシステムは必要ない』というゴルファーもいるだろう。しかし、ほとんどの人には“基準”がない。彼らは、プレー上の状況判断に関する自分のマネージメントレベルを分かっていないのだ。私達はゴルファーの世界を追跡する包括的なシステムを作り上げ、コース上で正しい意思決定を行い、パフォーマンスの向上に役立ててもらいたいと思っている。」(サイード氏)


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タッグチームによる成功

五年前、「ARCCOS」はコブラゴルフと独自の契約を結んだ。それはザ・ロックとミック・フォーリーのWWEバージョンのようなもので、同じような成功を収めた。

※ザ・ロック:アメリカのプロレスラー。1997年に“ヒール“に転向しスターダムにのし上がった。現在は俳優。

※ミック・フォーリー:アメリカのプロレスラー。ザ・ロックとはタッグチーム「ロックン・ソック・コネクション」として活躍した。

この2社ブランドは、文化は違っても協力的な関係にある。時間はかかったが、相乗効果を利用することで「コブラ&Arccosチーム」はゴルフデバイス分野に新たな革命をもたらした。

特に、第一世代の「スマートクラブテクノロジー」は、業界の注目を集めた。

「2年かかるのか、8年なのか10年なのか分からなかった」と、コブラプーマゴルフの副社長兼ゼネラルマネージャーであるダン・ラッド氏は回想した。

「私たちはいつか実現できると信じていた。簡単なことではないことも、否定する者がいることも分かっていたが、先を見越してリスクをいとわないのが私達のやり方だ。そして、それが実現した今、より多くの人がArccosシステムの可能性や、どれだけ画期的なものかに注目している。一番重要なことは、このシステムがいかにプレーの上達や楽しさに貢献してくれるか。それはゴルフに欠かせない要素だ。」

ところで、2020年コブラ「Connect Powered byArccos」搭載の反応はどうだったのか。

「150から200%の上昇を達成した。本当に素晴らしいことだ。」とラッド氏。

2016年4月にコブラと提携して以降、さらに大手2社(ピンとテーラーメイド)が「Arccos」と提携している。

昨年10月に契約を発表したテーラーメイドは、すぐに米国限定のプロモーションキャンペーンを開始し、新たなる関係を後押した。今後発表される新たな取り組みに期待しよう。

さらに「Arccos」と固いタッグを組んだのが、ピンだ。

同社社長のジョン・K・ソルハイム氏は試行錯誤を繰り返した結果、「Arccos」信者になった。

彼が個人的に「Arccos」をテストした際、ミドルアイアンとショートアイアンがグリーン左にミスするという奇妙な傾向に気づいた。

これはスイングの問題なのか、何か他のことが原因なのか彼は疑問に思った。


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「Arccosの画面にはアイアンの統計データが表示される。左にミスする確率は18%、右に2%と表示された。おかしいと思ったが、データがここにある。私はエリック(ピンのイノベーション・テストディレクター)にメモを送り、アイアンのライ角は間違っていないと思うが、シャフトを少し硬くすると改善されるかもしれないと彼に伝えた。そうしたら、左へのミスはすぐに改善された。いとも簡単に成果が出たのだ。」(ピンゴルフ社長 ソルハイム氏)

ソルハイム氏の「Arccos」に対する信頼は、会社全体に広がっていった。ピンのすべてのクラブに、カスタムアップグレードを通じて、「Arccosスマートグリップ」または「スマートセンサーテクノロジー」を搭載することができる。

また「G710」アイアンセットには、すべて「Arccosスマートセンサー」が標準装備されている。

特にデータやAIの洞察に影響を受けたのは、ピンのフィッティング/パフォーマンス担当副社長であるマーティ・ジェルトソン氏だった。

彼はウェッジフィッティングの改良を含む多くの場面で、これらのデータ情報を利用した。

「Arccosのデータによると、アマチュアゴルファーがウェッジを使う時の、約60%はラフからという傾向がある。そこが最も多くウェッジが使われる場所なら、ウェッジフィッティングはラフから行うべきだ。」(ピン ジェルトソン氏)

サイード氏は、データがゴルフ業界に与えるインパクトを新たなケーススタディとしてこの例を参考にしたいと考えている。

「私たちの使命は、メーカー各社パートナーと互いに協力し、ゴルファーの改善に貢献すること。それがアイデアや商品開発、さらには相乗効果につながる。まさに、ウィンウィンの関係だ。」(Arccos サイード氏)

ジェルトン氏は、「Arccos」とピンの未来図を大きく描いている。

「ツアープロは、コーチのネットワークやスタッツ(プレーヤーの統計数値)、テクノロジーにアクセスできる。そして、彼らは自分達のデータを見て調整を行う。今後アマチュアプレーヤーも同じことが出来るようになる。」(ピン ジェルトン氏)


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フィッティング・グリップ契約

「Smart Fitting(スマート・フィッティング)」の新たな取り組みは、「スマート・クラブ」の革新的プロセスから生まれた。

「Arccos」は別の専門家とのタッグチームを考案し、アメリカで最も有名なクラブフィッティングショップ3社、「TXG(Tour Experience Golf)」、「Club Champion」、「CoolClubs」と提携した。

今のところ、「Smart Fitting(スマート・フィッティング)」の立ち上げはまだ始まったばかりだ。

しかし、サイード氏は複雑に絡み合った要素を繋ぎ合わせる策として、「Arccos」を利用する考えに非常に前向きだ。

「私たちが提携したこれらのトップフィッティングショップはすべてフィッティングを熟知している。一番は、有能な彼らとの関係性だ。」(サイード氏)

加えて、ここ1年半から2年でグリップメーカーの「Golf Pride」、「SuperStroke」、「Lamkin(Arccosセンサー用)」との提携を確立したことも彼は言及した。

「彼らが望んでいるのはリピーターだ。それには、例えばドライバー(ショット)で変化が見られたのは、フィッティングなのかスイングを変えたからなのか理解できるデータと説明が必要不可欠なのだ。」

TXGの創設者兼CEOのイアン・フレーザー氏もそれに同意している。

オンタリオ州トロントにある「Arccosテクノロジー」は、今年、センサー価格とサブスクリプションをTXGのフィッティングにすべて組み込む計画を立てている。

「Arccosは急速に私たちのビジネスに欠かせない要素になろうとしている。顧客のフィッティング結果を数値化し、彼らのニーズを先に吸い上げるのに役立つ。私は常にクラブフィッティングの価値を信じてきたが、お客様がより確実に、最大限の価値をデータによるフィードバックによって得られるのであれば、それは最高の喜びだと思っている。」

「Arccos」がTXGにとって特に価値あるものになっているのは、フィッティング以前の価値提案だ。

「後にパフォーマンス追跡できることも素晴らしいが、フィッターはArccosを利用してセッションの前にプレーヤーのパフォーマンス傾向に気づくことができる。」(フレーザー氏)


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2021年も王座を守れるか

AIの主導を握るマイクロソフトと共に、「Arccos」は「AIがもたらす洞察」を駆使して、コース上のデータを応用する「革新的な方法」を模索し続けてきた。ゴールは常に、コース上でより賢い意思決定を行い、パフォーマンスの向上を目指すこと。

今月(2021年2月)、同社は新たに5つの取り組みを開始した。

「プレーヤーダッシュボード」–「Arccos」の「Strokes Gained Analytics(ストロークス・ゲインドの分析)」をダッシュボードに完全に組み込んで、プレーヤー、コーチ、フィッターがすべてのゲームの強みと弱みをより簡単に把握し、理解できるようにする機能。

アップルウォッチ用「Arccos Caddy(アーコスキャディ)」 – ベータ版から新機能を搭載したフル機能版に変更し、これにより、プレーヤーはスマートフォンを携帯しなくても、コース上のショットデータを「継続的に記録」することができる。

「スマート・ディスタンス・クラブアベレージ(自分の飛距離を知って、常に最適なクラブを選ぶ)」–新しいアルゴリズムを活用し、リカバリーショットや地形など状況を加味した“提案“が可能になり、クラブ選択に影響を及ぼす天候や高低差を示す「what if分析(どれが一番良いかを考える手法)ビュー」をかけ合わせることで、「Arccos」の「クラブアベレージ機能」を別次元に高める。

「Arccosキャディチームプログラム」 – 受賞暦もある「Arccosのプラットフォーム」を高校、大学、カレッジナショナルチームのニーズに合うようにカスタマイズしトレーニングと組み合わせ、コーチがプレーヤーのコース上のデータにアクセス、分析できるスペシャルパッケージを提供する。

パッティングデータの強化– 2打目や3打目のパット位置を記録し、ショートゲームのパフォーマンスに焦点を当てた機能を強化。

「すでにUSC(南カリフォルニア大学)やオクラホマ大学、その他NCAAチームが『キャディチームプログラム』を使用している。天候やコースの特徴に合わせてクラブ選択する際、コーチの役に立つのではないかと期待している。」(サイード氏)v

さらに「Arccos」のCEOは、パッティングデータにも関心を持っている。

「パッティングは、多くの人が誤解している部分だと思う。テレビでは、プロのパットは常に決まるように見える。PGAツアー全体で見ると、プロがすべてのパットを決めるわけではないことがよく分かる。7フィートからの成功率は、約50%に過ぎない。私は、彼らが思うほど、アベレージゴルファーのパッティングは悪くないと信じている。」


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今後のプラン

質問が意外な答えにつながることがあるので、まずは今後のプランに関して尋ねることにした。

サイード氏から詳細が語られることはなかったが、今年の夏に予定している「Arccos」のメインイベントについてほのめかした。

「非常に楽しみにしている。これまで敢えて公開してこなかったことは、今後開発できる余地のある分野だ。誰もが想像しなかった方法であばくつもりだ。」

核にあるのは、消費者が「自分のクラブ選択」」、「プレーヤーの弱点や問題のあるクラブ(番手)は何か」、さらに「その理由をどのように考えるのか」という点において、画期的な変化を起こすものだ。彼らがプレーすべきクラブやゴルフボールの種類さえも教えてくれるはずだ。

「現在、これらをデータによって決定することはない。しかし、今後変化し、クラブやあらゆるものを比較することができるようになる。私が言えることは、ゴルフの歴史において記念すべき瞬間になると信じている。」


新時代

310億に及ぶデータ数、4億以上のショット数が蓄積されたデータバンクを持つ「Arccos」には無限の可能性が広がる。2020年の新規会員とユーザーの急増に支えられ、同社はさらに、プレーヤーやコーチ、フィッター、メーカーにとって価値あるツールとして、コース上で得られたデータの検証を追及してきた。

「2021年上半期のリリースにより、引き続き我々のビジネスは加速することだろう。特に、『すべてのゴルフクラブをつなぐ』というビジョンの実現に向けて。」(サイード氏)

ヘビー級チャンピオンベルトは現在サイード氏の腰に巻かれている。今後も彼が保持し続けることを期待している。