・PXGが「GEN4」ドライバーシリーズを発表
・3モデルは、寛容性が超高いものからヘッドスピードが速いプレーヤーに特化したものまで揃っている
・小売価格は549ドル
主力製品を値引きする時代は終焉を迎えた...少なくとも今のところは。
PXGの新しい「0811 GEN4」ドライバーは彼らの以前のプレミアムドライバーほど高額ではないものの、今回のリリースにより彼らが性能と価格で業界のトップメーカーたちと対決するつもりであることを示唆している。
先週発表された15人の新たな契約選手(カン・スン、ダニー・リー、ハドソン・スワッフォードなど)を見ても、PXGが再びゴルフ業界で重要な役割を担うべく舵を切ったことが伝わってくる。
おかえりなさい。
PXG 「0811 GEN4」ドライバーのラインナップ
「0811 GEN4」ドライバーのラインナップは、例年通り3モデル。「X」と「XF」は「GEN2」と同じ役割を担っており、「XT」は全く新しいモデルとなる。市場においてかなりの異彩を放っており、狭いターゲット層の中で注目を集めることになるだろう。
いつものように、3つのモデルを個別に紹介するが、まず、「0811 GEN4」ドライバーの共通点を見てみよう。
ハイブリッドクラウン構造
今回のPXGのトップニュースは「クラウン構造」にある。具体的には「AVカーボンファイバーインサート」を用いた『ハイブリッドクラウン構造』だ。
一体どういう意味なのか?
“ハイブリッド”とは、PXGが「GEN4」ドライバーのクラウンに「チタンとカーボンファイバーの複合素材」を使用していることを指す。この部分は今年初めに発売された「0211」シリーズと変わらない。
競合他社のクラウンはどちらか一方の素材を使用するのが一般的だが、PXGはこの手法によりチタンの構造的利点とカーボンファイバーの軽さによる利点を得られると考えている。
AVカーボンファイバー
「GEN4」シリーズのドライバーは、「0211」のデザインをベースに、「AVカーボンファイバー」をクラウンに採用している。「AV」とは“Aluminum Vapor=アルミニウム蒸気”の略で、「真空チャンバー(真空環境で作業する装置)」内で、カーボンファイバーに「気化したアルミニウム」を塗布する技術のことだ。
このAVコンポジット素材は、三菱から供給されている。三菱は「AVシリーズ」のシャフトに同素材を使用しているが、ゴルフクラブに「アルミニウム蒸気(AV)」が使用されるのは今回が“初”となる。
AV処理されたカーボンファイバーは、より軽く、より薄く織ることができ、効果的に素材を硬くできるというのが、自画自賛の域を超えた実際のメリットだ。素材が硬くなることで、全体的に剛性の高い構造になり、フェースのたわみエネルギーを維持し、未処理の繊維よりも(インパクト)エネルギーが逃げにくくなる。
最終的には、(クラウンの)変形によって失われるエネルギーが少なくなり、インパクト時にボールに伝わるエネルギーが増えることになる。
加えて、カーボンファイバーによる軽量化も果たしているわけだ。
見逃すことはない(残念ながら)
PXGは、「AVクラウンインサート」を、(マットブラックの)クラウンの他の部分とは対照的な「ライトグレー」に塗装して、強調している。ゴルファーは目に見えるテクノロジーを好むものだし、これによりアライメントの助けにもなるかもしれないが、個人的には目に見えずともPXGの技術者の言葉を信じているし、ヘッドの他の部分との色の統一感があるほうが好ましい。
私は「GEN2」のクラウンの見た目が気に入っていた。今回のこれははっきりと好みが分かれるはずだ。人によってはこれが選択肢から外す理由になるだろう。
T1412フェース
2021年はフェース素材について語るシーズンになっているようで、PXGも例外ではない。PXGは「GEN4」ドライバーのフェースに「TI412」を採用しており、この素材は高強度と低弾性率を兼ね備えていると説明している。
つまり、強くて柔軟性があるという意味だ。
「柔軟性」についてはボール初速の話に基づいており、技術者がよりボール初速を追求するためにはありとあらゆる手を尽くす必要があるという現実を物語っている。USGAの古いCORルールと現在のCTルールの間にある隙間は(今のところ)狭いものの、この隙間を縫う余地が全くないわけではない。
対して、“強さ”というのは、何度ボールを打ってもその形状がが崩れないということだ。
ハニカムTPEインサート
PXGの「ハニカムインサート」は、ウッド設計における目に見えない特徴的な要素となっている。内部に配置された構造により重心位置を最適化し、打音と打感を向上させている。
PXGは、自分たちが最高の打感を持つアイアンを創り出していると信じており、ゴルファーがウッドでも同じように感じてくれることを期待している。「私たちは、ウッドにおいても同じ理想郷を創りたかったのだ」とPXGの最高製品責任者であるブラッド・シュヴァイガート氏。「そしてずば抜けた打感と打音となった」。
3つのウエイトシステム
「0811 GEN4」ドライバーシリーズのシンプルなウエイトシステムでは、「3つのウエイトポート」を備えている。それぞれのモデルはプレーヤーのタイプに応じて設計されているが、ウエイト機能はモデル間で統一されている。
3つのウエイトのうち最も重いウエイトが「フロントポジション」にあるときゴルファーが実現できるのは、最高のボール初速と低い打ち出し角、低スピン、フラットな弾道となる。
最も重いウエイトが「バックポジション」にあると、打ち出し角とスピン量は高くなるはずだ。ピーク時のボール初速は少し落ちるかもしれないが、スイートスポットを外した時でも高初速を維持する。
ヒール側に重いウエイトを置いた場合、MOIはバックポジションにあるときほど高くはないが、ドローバイアスとなり、スライスに悩むゴルファーや頻繁にヒール側で打っているゴルファーの助けになるはずだ。
かつては地球上で最も(過度に)複雑なウエイトシステムだったが、PXGは意図的にシンプルにして、ラインナップ全体に一貫性を持たせている。
「0811 GEN4」ドライバーは、「0211」シリーズやPXGのパターと同じウエイトを採用しており、フィッターはウエイトを移動させて弾道を最適化するだけでなく、ウエイトを組み合わせて最良の結果を得られるヘッド重量にすることもできる。
PXGは、フィッティング手順の中で“ヘッド重量”を重視している。厳格なルールはないものの、ゴルファーに様々なヘッド重量を試してもらい、しっくりくるものがあるかどうかを確認することが手順の一部となっている。
2gから20gまでのウエイトで、ヘッド重量はおよそ194〜248gとなる。248gのドライバーヘッドが賢明だとも現実的だとも言わないが、PXGのフィッターは195gから210gの範囲内だとフィッティングしやすい。
また、PXGはすべての人にフィッティングを受けてもらいたいと考えているが、皆がそうするわけではないことも承知している。そのため、競合他社と歩調を合わせるために、純正シャフトの長さを45.5インチにしている。その結果、純正のヘッド重量は従来のモデルよりも軽くなった。
3つのモデル
業界の大半がそうであるように、PXGは3つのドライバーモデルを提案している。これは、ほぼすべての人に対応するモデルを用意し、フィッティング時に調整機能を使ってゴルファーに合わせて調整するというものだ。運が良ければその微調整がコース上でのパフォーマンスにつながることだろう。
PXG 「0811 XF GEN4」ドライバー
「GEN2」モデルと同様に、「0811 XF GEN4」ドライバーはPXGの中で最も寛容なモデルだ。前作の「XF」はUSGAのMOIの制限に抵触していたが、「GEN4」ではその心配はない。
確かにマーケティング的には、”寛容性”は我々が望む通りの意味を持つ言葉の一つだが、定量的に見る限り、PXGのロボットテストによると、「XF」は「GEN4」ドライバーの3モデルの中で最も球が散らばらないことがわかっている。
数学的にはそうなるはずなのだ。
「Most Wanted」のドライバーテストで収集されたデータによると、「0811 XF」はミスヒット時のボール初速を維持するという点で、市場で最も優れた製品の一つであると言える。
ご想像通り、「GEN4」シリーズの3つのウエイト設計では、最も重いウエイトを後方に配置することでMOIが最も高くなる。しかし、すべての「GEN4」モデルにおいて、ドローバイアス(重いウエイトをヒールポジションに配置)にしたり、重いウエイトをフロントポジションに移動させて、MOIを多少犠牲にする代わりに初速を上げるなど微調整が可能だ。
PXG「XF」の魅力は、高MOIにもかかわらず、低重心設計が過剰なスピンを抑える役割を果たしていることだ。これはあまり評価されていないかもしれないが、目的を持ってうまく考えられた「XF」シリーズの構成要素だ。
大きいが許せるソール面積
『first-look』の記事を読んだなら、ある要素の設計が別の要素をも決定づけることが多いことはわかるだろう。PXG 「0811 XF GEN4」ドライバーでは、ソール面積を大きくすることで、最大のMOIを実現している。
「XF」は「GEN4」ドライバー3種の中で、「前後の長さ」と「ヒールからトウまでの幅」が最も大きい。そのため、「GEN4」ドライバー(すべて460cc)の中では最も大きく見えるものの、過剰な大きさや扱いにくさは感じさせない。
私の目には何か小さいものと並べたときに、初めて大きく見える程度だ。「GEN2 SGI」アイアンはともかく、大きすぎたり不格好に見えない設計は、PXGが最初から得意とするところだ。
PXG 「0811 XF GEN4」ドライバーのロフト角は、9度、10.5度と12度。
PXG「0811 X GEN4」ドライバー
「GEN2」シリーズでは、「X」はPXGの中で最も低スピンモデルだった。PXGのロボットテストによると、「0811 X GEN4」ドライバーも同様であると考えられるが、「XT」モデルの方が低スピンになる場合もあるとPXGは考えている。
「0811 X GEN4」は、「0811 X GEN2」と「0811 X PROTO」ドライバーをベースに開発されており、その概要は「低スピン」と「寛容性」の両立だ。これは、市場全体でますます一般的なものになっているが、前「X」モデルの重心位置は、かなり高いMOIを提供しながらも最も低いものだった。
基本的には嘘ではない。
ピン「G425 LST」、キャロウェイ「Epic Max LS」、コブラ「RADSPEED」の後方にウエイトを配したもの(RADSPEED XB)が対抗馬になるだろうか。
「0811 X GEN4」の形状は、一般市場の基準からするとオーソドックスなものだと言える。見た目的には「GEN4」のラインナップの中では真ん中に位置している。長さや幅は「XF」ほどではないが、フェースは「XT」よりも明らかに高くなっている(詳細は後述)。
「PXG 0811 X GEN4」ドライバーは、ウエイトを前方に配置することで低スピン設計となるが、「XF」と同様、ヒールにウエイトを配置したり(アンチスライス/ドローバイアス)、重いウエイトを後方に移動すればMOIが微増し、打ち出し角とスピン量を少し増やすことができる。
PXG「0811 X GEN4」ドライバーのロフト角は、7.5度、9度、10.5度と12度。
PXG「0811 XT GEN4」
ちなみに、PXG「0811 XT GEN4」ドライバーでは、「T」は「Tour」、「X」は「Xtreme」の意味で、間違いなくPXGならではのものだ。
PXGは「XT」を「Speedモデル」と表現している。これは十分に明快だが、“免責事項”がある。
ほとんどのゴルフメーカーの技術パッケージには「空力」に関するものが含まれている。その点ではPXGも同じだが、際立っているのはPXGが聴衆に明確に語りかけていることだ。「XT」は、“ツアースピード”を持つゴルファーのため、より具体的には「ヘッドスピード47m/s以上」のゴルファーのために設計されている。
それだけでも、「GEN4」のラインナップの中で「最も簡単にフィッティング」できて(そして購入できる)モデルであることがわかる。
PXGによると、「ヘッドスピード47m/s以上」のゴルファーならば、0.67m/s程度のヘッドスピード向上が期待できるという。ボール初速に換算すると1.34m/sで、つまり飛距離が伸びることになる。
おいしい話じゃないか、47m/s以上で振れるならの話だが。
47m/s未満の場合、潜在的な利益がないわけではないが、ゴルフは確率のゲームなので、「XT」の空力による恩恵なしで得られる実際のメリットは極僅かになるだろう。ヘッドスピードが遅いゴルファーや中程度のゴルファーにとっては、PXGの他の「GEN4」モデルのメリットに代わる価値はほとんどない。
スピード重視の形状
PXG「0811 XT GEN4」ドライバーの形状を見ると、テーラーメイドの「SIM」シリーズやコブラの「SPEEDBACK」(現RADSPEEDの形)と比較するのが妥当だ。空力性能を向上させるために、クラウンを大幅にフラットにして、フェース高さはより低く、クラウンの前縁(フェースとクラウンの境目)に沿ってトゥまで滑らかになってる。
また、テーラーメイドやコブラ、そしてタイトリスト(TSi1)のように、ソールの後方部分を引き下げて重心を低くしている。
フック防止はお望みのままに
PXGによると、「XT」はアドレス時に他の「GEN4」製品よりもクラシックなティアドロップ型(洋ナシ型)に見える。そのため、重心がトウ側に寄ることになり、フックに悩むゴルファーにとっては魅力的な形状となる。
フックに悩むゴルファーはまた、ホーゼルのフラットなセッティングを利用して、フェードを打ちやすくしたり、ドローの幅を小さくすることも可能だ。
あまり知られてはいないが、PXGのアダプターのロゴの設定(標準から180度)では、ロフト角をノーマルのままに、ライ角を3度フラットにしている。ロゴのマイナス側に1クリックすると、ライ角が2.5度フラットになり、ロフト角が1度減少する。プラス側に1クリックすると、ライ角が2.5度フラットになり、ロフト角は1度増える。
フッカーにとっては、数少ないお助けドライバーのひとつとなるだろう。
PXG「0811 XT GEN4」ドライバーのロフト角は、7.5度、9度と10.5度。
PXG「0811 GEN4」ドライバー:純正シャフト
「GEN4」に純正シャフトは存在しない。その代わりに、PXGは「Project X HZRDUS Smoke(ハザーダス スモーク)」、「Evenflow Riptide(イーブンフロー リップタイド)」、「Aldila NV(アルディラ NV)」、「Diamana D+(ディアマナD+)」などの追加料金なしのオプションを提供している。
また、100ドルから300ドル支払えば、追加オプションのカタログにある豊富なラインナップから選ぶこともできる。
PXG「0811 GEN4」ドライバー:価格および選択肢
PXG「GEN4」ドライバシリーズは、現在発売中
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