先月、読者の皆さんに「アイアンの満足度調査」にご協力いただいた。「ドライバー満足度調査」と目的が同じなため、基本的には同じ質問に答えてもらった。
特定ブランドの購入者の「満足度」は他のブランドよりも高いのか、また以前の「ドライバー満足度調査」を生かし、「フィッティング」が「満足度」にどのように影響するのか理解を深めたかった。その過程で得られた興味深い発見を是非読者の皆さんにシェアしたいと思う。
今回のアンケートには、合計で10,000人以上(正確には10,073人)が参加。それでは、結果を見ていこう。
試打体験
アンケート結果からいくつかの発見があった。
・新しいアイアンを購入する前に試打するモデル数として最も多かったのは「3モデル」。これはドライバー満足度調査と同じ結果である
・約15%の人が試打なしにアイアンを購入するようだ。これはドライバーの場合よりも少ないが、それでも(私には)衝撃的な結果としか言いようがない
・また、驚くことに「5モデル以上」試す人が15%以上存在する
試打したブランド
上の結果に基づき、これまで試打したことのあるブランドを以下のグラフにまとめた。
・ドライバー同様、「テーラーメイド」と「キャロウェイ」が最多
・続いて多かったのが、「ミズノ」、「ピン」、「タイトリスト」
・もっと試打が行われてもよいと思われる「スリクソン」が6番目というのは少し驚きだ
全体的にドライバー満足度調査と似た結果だ。アイアンでも同じく「メジャーブランド」の方が試打の頻度が高い(上位5ブランドは、6番や7番目の2倍以上)。最終的に、「ミズノ」を除く「小規模ブランド」は“顧客を作るチャンス”が与えられていないということがわかる。
最近購入したブランド
試打や試打会などで話題に上るのはどんなブランドか。「メジャーブランド」で占められていることは容易に想像できる。さて、次の質問は「最近購入したアイアン」についてだ。
・マーケットリーダーは「キャロウェイ」だが、読者の間で最も人気があったのは「ミズノ」
・「ミズノ」はこれまでのアイアン調査でも人気が高いためが、特に驚くべきことではない。MyGolfSpyの読者は非常に「ミズノ」推しが多い(それはそれで問題はない)
・「テーラーメイド」と「ピン」がその後に続く
・「ワンレングスアイアン」が成功したにもかかわらず、「コブラ」は「ピン」や「スリクソン」に後れを取っている
・「Sub 70」は直販ブランドの中でトップであるだけでなく、「ツアーエッジ」や「クリーブランド」などの主流ブランドを上回る
・驚くべきことに、41%の人が昨年(2020年)新しいアイアンを購入している
ハンディキャップ別アイアンカテゴリー
アンケートの焦点とは少々ずれるが、「ハンディキャップ別」に購入したアイアンカテゴリーを見てみよう。面白いことが見えてくる。
・ハンディキャップ5〜10の10%の人と、ハンディキャップ10〜15の5%の人を含めると非常に多くの人が「ブレード」を使っている
・ほとんどの場合、アイアンの選択は段階的に進む。ハンディキャップが増えるにつれて、ゴルファーは当然「やさしい」クラブを選ぶ
・「上級者向け飛び系アイアン」を使うのは、一部のゴルファーに限られるため例外的
・「上級者向け飛び系アイアン」は、ハンディキャップ5.1~10から10.1~15の範囲のゴルファーに多く使われ、ハンディキャップが増減するにつれて使用率が低下する
・「上級者向け飛び系アイアン」は、優れた(スクラッチ)プレーヤーにはそれほど人気がないもののアベレージ・ゴルファーに訴えるようだ
アイアンの満足度
購入ブランドが分かったところで、次はアンケートの核心に触れよう。最終的には何を購入したかが重要だが、このアンケートでは購入品にどれだけ「満足」したかについて調査した。
答えを導き出すために、各質問を関連づけて質問した。
まず、購入したアイアンの「満足度」に関して調査。チャートを見やすくするため、最も「購入頻度」の高かった上位10ブランドに限定した。
・直販ブランドの「Sub70」がトップに立ち、「期待以下」という回答はたった1.5%未満だった
・「Sub70」の評判でもある優れたカスタマーサービスを考えると、特に驚くべきことではない
・ゴルフボール調査でも似たような現象を目の当たりにしたのだが、直販ゴルフ用品の購入者は、非常にブランドに忠実だ
・主流ブランドの中では「ミズノ」の満足度が高く、69%が「期待通りもしくは期待以上」だと回答
・「期待通りまたは期待以上」という回答が55%以下だったのは「キャロウェイ」のみ。既製品での購入が多いからだろう
「アイアンの満足度」をさらに追求すると、最も一般的な不満は、単に「性能」が「価格」に見合っていないという声が多く、その次に「やさしさ」がくる。他には、「飛距離の一貫性」が欠ける(フライヤーやミスヒット)、「弾道特性」が適正でないなどが挙げられた。
もう一度やり直すとしたら?
次に、「同じアイアン」を購入する可能性について聞いた。
・前の質問の結果からも予想できるが、「Sub 70」の購入者は「同じアイアンセットを購入する」可能性が最も高かった
・次に「スリクソン」、「PXG」、「ミズノ」が続く
業界のリーダーである「キャロウェイ」と「テーラーメイド」の結果を見て驚くかもしれない。これらは既製品で多く購入されるブランドであり、満足度が低いのはフィッティングを行わないで購入することが原因だろう。
総合的な満足度
最後に、調査によく使われる「ネットプロモータースコア(顧客ロイヤルティを数値化する指標)」に関する質問「友人や同僚にそのブランドのアイアンを推薦する可能性」についてアンケートを取った。
※「ネットプロモータースコア」顧客ロイヤルティ、企業やブランドに対する愛着・信頼の度合いを知るための指標
・同じ傾向が続く。DTC(直販)ブランドの「Sub70」が最も多く、次に小規模ブランドの「スリクソン」と「ミズノ」が続く
・「PXG」のネットプロモータースコアは、「ピン」や「タイトリスト」よりも高い
・トップ10ブランドの中で、「キャロウェイ」、「テーラーメイド」、「コブラ」の満足度が最も低かった
フィッティング
ドライバー調査から学んだように、消費者の満足度に寄与する要素は、“ブランド”を超えて他にもある。ここで興味深いのは「フィッティング」に関するものだ。
フィッティングを行ったか?
アンケートでは、購入に際してどこまでフィッティングを行ったか調査した。
・22%は「試打なし」で「アイアンを購入」したと回答。多すぎる気がするが、ドライバーよりも7ポイント低い
・21%は「試打をした」が、「フィッティング」を行っていない。ドライバーの時より約7ポイント少ない
・56%は「フィッティング」を行ってから「アイアンを購入」したと報告している。これは、ドライバーの時よりも13ポイント高い
次に、購入ブランド別にフィッティング体験のレベルを見ていこう。
・DTC(直販)ブランド以外では、「コブラ」の「フィッティングを行っていない」割合が最も高かった。このブランドの満足度の低さを説明している
・「ミズノ」、「ピン」、「タイトリスト」、「PXG」購入者のフィッティング率は非常に高い
・「キャロウェイ」と「テーラーメイド」は、「試打のみでフィッティングを行っていない」人が多い
・上記以外のブランドを購入している場合も、おそらくフィッティング率はかなり低いだろう
「アイアンが期待通りか否か」という質問を振り返ると、さらに深い洞察が見えてくるが、ほぼドライバー調査から学んだことと同じだった。
・「アイアンのフィッティングを行った」グループは、「期待通りもしくは期待以上」と答える確率が増える
・同じアイアンを再度購入する可能性は、「試打を行った」グループと、「試打なしで購入した」グループでほぼ同じだった
・「フィッティングプロセスを経た」グループは、同じクラブを再度購入する可能性が大幅に高くなる
・最後に、「ネットプロモータースコア」をもう一度見てみると、フィッティングしたグループは、そうでないグループよりもアイアンを推奨する可能性がほぼ2倍に跳ね上がる
フィッティングの場所は関係する?
次に、フィッティングを受けた「場所」が「顧客満足度」にどのように影響するのか調査した。
まず、ゴルファーがアイアンをどこでフィッティングするのか知る必要がある。
・新たに2つのオプション(「Golf Tec」と「2nd Swing」)を追加したが、購入するクラブによって購入場所が大きく変わることはないということが分かった
・チャート内では最下位だが、「TXG」でフィッティングするゴルファーの割合がわずかに増えた
上記の場所でのフィッティング体験に満足しているかどうか知るために、「フィッティングした場所をお勧めする可能性」についてアンケートを取った。(注:以下の場所は、アンケートで30回以上選ばれた場所のみ。)
※「ネットプロモータースコア」顧客ロイヤルティ、企業やブランドに対する愛着・信頼の度合いを知るための指標・もちろんサンプルサイズが大きいのもあるが、「TXG」でフィッティングしたゴルファーはアイアンに最も満足しているようだ
・「TPI(Titleist Performance Institute)」や「PXG」などのメーカーの施設でフィッティングしたゴルファーは非常に満足しているが、彼らは「TXG」には満足していない可能性がある
・カスタムフィッティングチェーンの中で、「クラブチャンピオン」を体験した人は最も満足度が低い。これは、「ドライバー満足度調査」でも同様のことが当てはまる
・大型ゴルフショップは顧客満足度が低く、「ネットプロモータースコア」はマイナスだった
最後に、フィッティングの場所に基づいて、ゴルファーが同じアイアンを再度購入する可能性を調べた。
・メーカー所有の施設でフィッティングをしたゴルファーは、同じアイアンを購入する可能性が最も高かった
・「CoolClubs(クールクラブ)」と「True Spec(トゥルースペック」は、プレミアムカスタマーフィッターの間で人気
・これらの2つと「TXG」は、「同じアイアンを絶対に購入しない」と言った人がほとんどいなかった
・「クラブチャンピオン」は、カスタムフィッティングチェーンの中でリピーターになる可能性が低かった
その他気づいたこと
調査結果から他に気づいたことを挙げよう。
・回答者の20%以上が、アイアンに1,000ドルから1,200ドルを費やす
・「心地よい打音と打感」は、購入決定に影響を与える要素として最も多く挙がった
・性能に関しては、「やさしさ」が最も重視され、次に「正確性」が続く
・フィッティングの68%は屋内で行っている。実質的にそこまで多くないが、アウトドアフィッティングの満足度は高い
・ドライバーと同様に、高額なアイアン(2,500ドル以上)ほど満足度が高い傾向があるようだ
・600ドル以下のアイアンで、満足度も低くなる
・ドライバーと同じように、ゴルファーのスキルが優れるほど、そのモデルにフィットし最終的には購入に満足する可能性が高くなる
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