・キャロウェイの「APEX(エイペックス) UW(ユーティリティウッド)」は「上級者」がターゲット
・フェアウェイウッドとハイブリッドのデザイン要素を踏襲
・メーカー希望小売価格は299ドル
“ハイブリッドより高弾道なのに5番ウッドよりスピンがかからない“クラブは、何と呼ぶのだろうか?
それに対するキャロウェイの答えが、2021年モデルの「APEX UW」。キャロウェイのツアープロによるフィードバックから生まれた上級者向けの超ニッチクラブで、最も注目すべき点は、クラブにうるさいフィル・ミケルソンの意見が反映されていることだ。
キャロウェイによるとコンセプトは比較的シンプル。ハイブリッドの優れた要素とフェアウェイウッドの特徴を組みあわて、何とラブラドールに…いや、「ユーティリティウッド」にしたというわけだ。
一応言っておくと、私が期待していたのは「進化系のハイブリッド」。まぁそれは次の機会に。
キャロウェイ「APEX UW」とは
とりあえず、「何を以てフェアウェイウッドやハイブリッドというのか」というこれまでの考え方は捨てて欲しい。正直なところ、この手のクラブは、最も曖昧なカテゴリーだからだ。
それよりも、ここでは「上級者の視点」に立ってロフトの多いフェアウェイウッドとハイブリッドを考察してみよう。
ステップ1:2番・3番アイアンより「寛容性」があるクラブを見つける
ステップ2:「打ちたい弾道」「スピン量」を決める
ステップ3:各オプションの機会損失を評価し必要に応じて調整する
キャロウェイでは、「APEXハイブリッド」よりも高弾道で、「エピックスピードの5番ウッド」より重心位置がニュートラル(それほどドローバイアスではない)な“フェアウェイっぽいウッド”は、一部のゴルファーに有益であると考えている。
そして「APEX UW」は「エピックスピードの5番ウッド」より1.25インチ短いため、理論的にはよりコントロールしやすい。
キャロウェイのプレーヤーテストによると、「APEX UW」は「APEXハイブリッド」と同等のキャリーをもたらすが、「APEX UW」の方が「弾道の頂点が高く」、「落下角度が鋭角」とのこと。結果として同社の「APEX PROハイブリッド」に比べ17%も「正確性」が高いという。
では、「APEX UW」とは何か?実際のところ、まだ私は打ったことも触ったこともない。しかし、私が言えることは、このモデルは「普通よりも短いシャフトを装着したニュートラルな重心設定の小ぶりなフェアウェイウッド」ということだ。
「APEX UW」 – 特定ターゲットにハマる
キャロウェイは、「APEX UW」の特徴を「多彩性」としている。しかし、私はこの「多彩性」という言葉には惹かれない。なぜなら、ユーザーに大して何も示していないからだ。
よくあることだが、クラブが万能でない場合、メーカーは優れたパフォーマンスを発揮する部分のみ強調する。そんなクオリティがない場合に、「多彩性があるクラブ」と言うのだ。そしてこれの繰り返し。
ともかく、話を先に進めた方が良い。キャロウェイ「APEX UW」は、いくつかの明確な判断基準に基づき設計されている。つまり、全ての(あるいは多くの)ゴルファーに合うわけではない。
しかし、キャロウェイは、「APEX UW」がターゲットとなるプレーヤーにとって、打ち出しの低いハイブリットやドローバイアスのフェアウェイウッドより多用性が高いと考えているようだ。
テクノロジー
「APEX UW」は、「エピック・スーパーハイブリッド」と同様に、最新の『ベロシティブレード構造』を採用。今回は、クラウンとソールを結ぶ2本のブレードの間隔が広がり、フェースの中心に向かって角度がついている。
これにより、フェースの“最もたわみやすい部分”からブレードを遠ざけることが可能。ブレードにはフェースに「柔軟性」をもたらす一方、「剛性」を高める役割も担っている。
また想定通り、AIデザインの『フラッシュフェース SS21』も採用。AI(人工知能)により3つのロフト(17度、19度、21度)ごとに独自のフェースが採用されており、さらに鍛造の高強度『C300マレージングスチール』も用いている。
そしてキャロウェイでは、「MIM(メタルインジェクション・モールド)製法」による平均18gのタングステンでニュートラルな重心位置を実現。ちなみに「エピック・スーパーハイブリッド」では約4倍の90gのタングステンが搭載されている。
過去から学ぶ
昔の話だが、初の(お助けクラブとして知られている)ハイブリッドは、主に“ロングアイアンを安定して打てないゴルファー”にとってメリットがあるクラブだった。このターゲット層のゴルファーは、追ってお伝えするが、スイングに問題があり目標よりもかなりスライスしてしまうことが多い。
メーカー各社が「レスキュー/ハイブリッド部門」に力を注ぐようになると、ゴルファーの最大層もこれらのクラブを購入するようになった。するとどうなるかは一目瞭然で、「上級者向けのこのカテゴリーのクラブ」がなくなるという機会損失を招くことになった。
そして現在も、こうした動きは変わらない。マッスルバックの2番アイアンは事実上、過去のもの。その証拠に、ダイスティン・ジョンソン、アダム・スコット、そしてバッバ・ワトソンは今年7番ウッドを使用している。そして、そこから分かることが2つある。
一つは、最高のエリートゴルファーですらパフォーマンスにおける“メリット”を求めているということ。もう一つは、他のメーカーもこの分野でさらに独創的なモデルを出すかも知れないということだ。
こうした動きは既に存在し、リッキー・ファウラーが使った2016年のコブラ「バフラー F6」の5番ウッドは、オーガスタの15番パー5のセカンドショットを念頭に作られている。
キャロウェイにとって、秋の新製品市場は、追加商品を投入してその反応を見るには最適な場となっている。より正確に言うなら、業界最大手メーカーが、小規模マーケットのニーズに応えるチャンスとも言える。
また、頭に入れておきたい大切な歴史的背景がある。主にPGAツアーにおいて、この分野はいわば「未開拓」。我々にとっては「だいたい3番ウッドと4番アイアンの間」と呼んでいるものを意味するのだ。
まとめ
個人的には興味をそそられるクラブだ。唯一躊躇しているのは、アジャスタブルホーゼル(ロフト角・ライ角を調整できる可変スリーブ)がないので「番手間のギャップ」を適正にすることが難しいかも知れないということ。
しかし、こうしたクラブがベストマッチするゴルファーは、恐らく適切なフィッティングにも時間をかけてくれるはずだ。
しかし、今回の場合、キャロウェイが「ボール初速」や「飛距離」ばかりを強調しているわけではないということをきちんと認識した方がよい。それよりも(キャロウェイが)強調にしているのは、「かなり短めのシャフト」、「落としどころに打てる正確性」、そして「飛距離コントロールに必要とされる鋭角な落下角度」だ。
さて、今後「正確性重視」のこのカテゴリーはどう変化していくのか?
価格と発売時期
ロフト:17度(右利き)、19度(右利き/左利き)、21度(右利き)
発売日:10月14日
価格:299.99ドル
純正シャフト:プロジェクトX「HZRDUS Smoke RDX Black(ハザーダス スモークRDX ブラック)」
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