キャロウェイ「EPIC MAX STAR」アイアンとハイブリッドの注目点
・キャロウェイの新作「超高級・超軽量アイアン」と「ハイブリッド」
・AI設計による「ヘッドスピードの遅いゴルファー向け」製品
・3~8番ハイブリッド(左利き用は3~6H)および5番アイアン~サンドウェッジのラインナップ
・1本349.99ドル。9月30日発売
キャロウェイの新作「EPIC MAX STAR(エピックマックススター)」についての本記事を読んだときのあなたの反応は次のうちのどれだろう。
A:不機嫌になる
B:憤慨する
C:怒りに燃える群衆と化す
D:興味津々
答えはもちろん各々のヘッドスピードや、どのゴルファー層に属しているか、口座の残高などにより異なるはずだ。
キャロウェイの新作「EPIC MAX STAR」のドライバーとフェアウェイウッドについては既に紹介済みなので、本記事では「EPIC MAX STAR」アイアンとハイブリッドに焦点を当てる。上記アンケートで(D)と答えた方、下のコメント欄にコメントをどうぞ。また、(D)と答えなかった方もぜひコメントを。
楽しくなりそうだ。
キャロウェイ「EPIC MAX STAR」アイアンとハイブリッド
まずはこの話から。キャロウェイ「EPIC MAX STAR」アイアンとハイブリッドの価格は1本349.99ドル。
民よ、息を、息をするんだ。
きっと貴方は自分自身に問いかけているはずだ。そんなの買う人いるの?と。いるんだな、これが。
「このタイプのゴルファーにとっては性能がすべて」と、キャロウェイの研究開発担当副社長、アラン・ホックネル氏。「EPICシリーズに搭載されている技術は、様々なタイプのゴルファーにとって非常に有益であることを市場が証明している」。
果たして「このタイプのゴルファー」とは一体誰のことを言っているのか?業界では「ヘッドスピードが遅いゴルファー」と呼んでいる。つまり、主にEPICシリーズの購入に際して金に糸目をつけない「シニアゴルファー」のことを指す。
「技術的に可能なすべての性能を搭載しつつ、もう少しやさしく扱えるものにしたかった」と、ホックネル氏。「パワーやスピードに限界がある人々のために」。
「EPIC MAX STAR」は遡ること2017年のキャロウェイ「EPIC STAR」の第3世代にあたる。価格としては、本間の「ベレス」2スターグレードよりはわずかに下回りあり、「ベレス」3スター、4スター、5スターグレードと比べるとかなり安い。
また一方で、これら「スターグレードシリーズ」に比べると「XXIO Prime」、「XXIO 11」、「XXIO X」もお買い得に思える。
EPICアイアンのテクノロジー
キャロウェイ「EPIC MAX STAR」アイアンは、「ヘッドスピードが遅いゴルファー」のため、「軽量化」と「ボール初速の最大化」を追求したものだ。
「ヘッド構造の点で、このようなアイアンは他には存在しない」とホックネル氏。「このアイアンにはスコアの改善が必要な中級者ゴルファーが安定した速いボール初速で容易に高さを出すのに役立つ多くの要素が詰まっている」。
「EPIC MAX STAR」アイアンは、「APEX DCB(エイペックスDCB)」、「MAVRIK MAX(マーベリックマックス)」、「BIG BERTHA B21(ビックバーサB21)」など、キャロウェイの「中級者向け」ラインナップと多くのDNAを共有している。具体的には、『1025鍛造ヘッド』、AI設計の『FLASHカップフェース』、『タングステン・エナジー・コア』、そして人気の高い『ウレタン・マイクロスフィア』など。
「EPIC MAX STAR」の特徴は、遅いヘッドスピードに最適な性能を実現するべく設定された人工知能の製造プロセスにある。中空のボディから『FLASHカップフェース』に至るまで、すべてが35.76m/s以下の人々のために設計されている。
『タングステン』および『ウレタン・マイクロスフィア』
「EPIC MAX STAR」は中空ボディを採用しているが、それはボディが空っぽという意味ではない。そこに大量の『ウレタン・マイクロスフィア』と大量の「タングステン」を詰め込んでいる。
キャロウェイの現在の「APEXシリーズ」の特徴である『タングステン・エナジー・コア』により「超低重心化」を可能にしている。
「フェースの低い位置でのインパクトに対する効果は絶大だ」とホックネル氏。「このアイアンを使うであろうゴルファーには多く見られる打点だろうから。また、ヒールトゥ・ウエイトシステムによってオフセンターヒット時の安定性も図られている」。
『ウレタン・マイクロスフィア』については以前取り上げたが、「中空構造のメリット」のひとつは、「フェースのたわみを最大化してボール初速を上げられる」ということ。一方、「中空構造」や「極薄フェース構造」のデメリットは「打音」と「打感」のお粗末さだ。
1本350ドルも払ってお粗末というわけにはいかない。
「OEM(Original Equipment Manufacturingの略:他社ブランドの製品を製造すること」では、振動を抑えるためにヘッドに発泡体や粘着剤を注入する方法がとられているが、「フェースのたわみ」を確保しつつ「振動を抑制する」ことが重要だ。
キャロウェイは、2018年に「ROGUE(ローグ)」アイアンで『ウレタン・マイクロスフィア』を導入した。
「『ウレタン・マイクロスフィア』とは、ウレタン組織内部にある中空の球体で、ヘッドの極めて特定の部分に注入されている」と、ホックネル氏。「フェースがたわむとき、(『ウレタン・マイクロスフィア』は)フェースの柔軟性をまったく妨げないので、ボール初速の利点をすべて享受できる。インパクト後、エネルギーに満ちているフェースは振動したがるが、これはその振動を抑制し、上質な打感をもたらす」。
キャロウェイ「EPIC MAX STAR」アイアンのスペック
「ヘッドスピードの遅いゴルファー」がそれまで失っていた飛距離を取り戻すために設計された「EPIC MAX STARシリーズ」だが、ここで驚きの事実がある。
この新しいラインナップはなんと「ロフトを寝かせている」のだ。それも大幅に。
「何度も言うようだが、カタログ上の数字だけでアイアンの性能を説明することはできない」と、ホックネル氏。「特に5番、6番、7番アイアンでは、弾道の頂点の高さを決定づける『重心位置』や『オフセット』などの他の要素を考慮する必要がある」。
ちなみに、アイアンの番手ごとに比較するとそれぞれ前作に比べてロフト角が「1度または2度から4度」寝ており、ショートアイアンでは「4~5度」も寝ているのだ。30度の7番アイアンを基準にすると、全体的なロフト構造は「中級者向け」の域から大きく逸脱はしていない。
キャロウェイは「トリプル・ブラック・プラズマPVD」と呼ばれる仕上げを採用している。いずれにしろ「物理蒸着(物質の表面に薄膜を形成する蒸着法のひとつ)」は基本的に「プラズマガスプロセス」なので、通常の「ブラックPVD仕上げ」とどう違うのかはよくわからない。
どちらにしても、「PVD」は業界ではいわれのない非難を受ける傾向にある。“高級”と謳われるアイアンに採用されていることに疑問を感じるのは理解できるし、「ダイヤモンドブラックメタル(DBM)」や「ダイヤモンドライクカーボン(DLC)」、「クエンチポリッシュクエンチ(QPQ)」ではないわけだし。
ただ、これは2回打ちっぱなしに行っただけで剥がれるようなものではない。
また、写真を見る限りでは、「ブラック&ゴールド」と「ゴールドシャフト」の組み合わせはかなりいい感じだ。
「EPIC MAX STAR」アイアンは、超軽量「ATTAS SPEED(アッタス スピード)」シャフトを採用し、1本あたり350ドルという価格を実現している。USTマミヤでは、「ATTAS SPEED」を“超軽量でありながら、正確なコントロール性と打感を兼ね備えた完璧なシャフト”と謳っている。
純正グリップは軽量の「WINN DRI-TAC LITE(ウィン ドライタック ライト)」だ。
「EPIC MAX STAR(エピック マックス スター)」ハイブリッド
キャロウェイはまた、「ヘッドスピードの遅いゴルファー」に向け、AIを活用して「EPIC MAX STAR」ハイブリッドも開発した。
「AIは(「EPIC MAX STAR」に関しては)他のEPICシリーズと異なる解答を導き出した。特にヘッドのねじり剛性を高めることに注力している」と、ホックネル氏。「フェースの中心に当たらないと、ヘッドにねじれの負荷がかかる。それを解消するためだ」。
このハイブリッドは、キャロウェイの『ジェイルブレイク AI ベロシティブレード」と、カテゴリーに特化したAI設計の『FLASHフェースカップ』を採用している。『FLASHフェースカップ』によりたわみが生まれ、『ベロシティブレード』が剛性面でバックアップする。
「『ベロシティブレード』をヘッド上でより広く配置した」と、ホックネル氏。「フェースの柔軟性を妨げることなく、垂直方向の剛性と他の方向での剛性も高めている。つまり、我々は非常に効率的な『フェースカップ』を有しており、『ジェイルブレイク』のおかげで『フェースカップ』が更に機能している」。
ハイブリッドには、AIデザインの高強度SS21マレージング鋼製『FLASHフェースカップ」』が搭載されている。そしてそのフェースは、かなりフェアウェイウッド寄りのハイブリッドのボディに取り付けられている。
「このモデルはリーディングエッジにキャンバーがあり、フェアウェイウッドのようなヘッド形状になっている」と、ホックネル氏。先月発売された「EPIC SUPERハイブリッド」に似ていると思うかもしれないが、それで正解だ。
「これにより、重量を配置する場所によって特定の目的を果たすことが可能になった」と、ホックネル氏。「ソールのヒールとトゥの部分にタングステンウエイトをそれぞれ配置することで、高い寛容性と低重心を実現し、容易に高さが出せるようになった」。
「EPIC MAX STAR」アイアン同様、ハイブリッドでも「ATTAS SPEED(アッタス スピード)」シャフトと「WINN DRI-TAC LITE(ウィン ドライタック ライト)」を採用している。
組み合わせ自由自在
オプション好きなら「EPIC MAX STAR」はお勧めだ。4本のフェアウェイウッド、6本のハイブリッド(右利き用は17度の3Hから32度の8H、左利き用は3Hから6H)、アイアンは23度の5番アイアンから58度のサンドウェッジまで、どんな組み合わせでも思い通りだ。ハイブリッドとアイアンの価格が同じなので、8Hまで価格を気にせずに選ぶことができる。
そもそも5,000ドルを超えるセットを検討している人なら、価格面についてはそれほど気にしないだろう。
「万人向けではないが、フロリダやアリゾナ、カリフォルニア、ロングアイランドなどの地域ではとてもうまくいっている」と、ホックネル氏。
超高級品市場は思ったよりも大きい。コーチェラバレーやスコッツデール、マイアミなどの会員制クラブを訪れると、想像以上に多くの「XXIO(ゼクシオ)」や「BERES(ベレス)」、「EPIC STAR(エピックスター)」を目にする。
残りのゴルフ人生を最大限に楽しみたいと願うターゲット層にとって、価格はたいした障害にはならない。
「XXIO」も「BERES」も最初からターゲット層に合わせて設計されていた。しかし「EPIC STAR」シリーズは同じではない。
当初はキャロウェイの最新の「初級者向けクラブの超軽量版」にしか見えなかった。AIを使って「EPIC MAX STAR」をターゲット層向けに設計したことは、このシリーズが独自のカテゴリーに進化していることを示しているように思える。
前述の通り、キャロウェイ「EPIC MAX STAR」アイアンとハイブリッドの価格は、1本あたり349.99ドル。9月23日よりプレセールを開始、9月30日から販売を開始する。
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