数週間前、「女性」読者に「女性のゴルフ」についてアンケートを取った。目的は、女性読者のフィッティング経験や女性向けの選択肢(その少なさも含め)における「認識」を調査すること。
また、今急成長している女性ゴルファーに、より有益な情報を提供するため、新たな洞察を得ることも目的のひとつとしている。
私たちが行う通常のアンケートでは、10,000件以上の回答がある。今回のアンケートでは778件の回答があり、そのうち147件は女性ではなかったため対象外とした。
チャートに入る前に、女性回答者の概要について説明しておこう。
・年齢別でいうと最も多かったのが「55〜64歳」で、「25〜34歳」がその後に続く。「35〜54歳」になると、参加者数は数%少なくなる
・女性は男性よりも「年間世帯収入」の質問に答える確率が非常に低かった。約25%が回答を拒否
・回答者の25%近くが「ハンディキャップ」を把握していなかった。ハンディキャップを持つ人の中で最も多いのは15.1~20で、25.1以上がそれに続く
・プレー回数が最も多い人達(23%)は、年間11〜25回のラウンドを楽しむ。100回以上をプレーする人は、13%ほどだった
昨今急成長しているカテゴリーとして「女性ゴルファー」がよく取り上げられるが、特にコロナの影響でさらに加速し、その変化の推移を知る価値は十分にある。
・20年以上プレーしていると回答したのは28%以上(アンケートでは最多)
・5年~10年の経験者が27%
・16年~20年プレーしている人が約13%
・新規ゴルファー(3年未満)が20%を占める
「男性」に同じ質問をすると、おそらく別の結果になるだろうが「女性」の回答は以下のような結果となった。
・大多数(約70%)が、主な目的として「楽しむため」と回答
・「競技目的」が16%
・「ネットワーク作り」が1%強
今回の調査に関わった女性スタッフたち(私を含めた)は、女性ゴルファーが「リーグ戦」にどれだけ熱心に参加しているのか、特に関心を持っていた。
・「リーグ戦でプレーしない」と回答したのは57%
・ここで注目点は、約半数がプライベートクラブやセミプライベートクラブのように「リーグ戦」が普及していない「パブリックコース」でラウンドしていると回答したこと
・アウトドアでの「リーグ戦」に参加しているが40%近く
・インドア・アウトドア両方の「リーグ戦」に参加するが3%で、おそらく前者は主に寒い地域に住むゴルファーだろう
さて、次はアンケートの核心に触れていこう。「フィッティング」や、女性ゴルファーが使用している「ゴルフ用品」についてもう少し掘り下げたい。
回答者の52%近くが何かしらの「クラブフィッティング」を行ったことがあると回答。これは嬉しい結果だ。
(左から)Dick’s(ディックス)、Golf Galaxy(ゴルフギャラクシー)、PGA Tour Superstore、TXG、True Spec(トゥルースペック)、Club Champion(クラブチャンピオン)、Cool Club(クールクラブ)、メーカーの試打会、World Wide Golf(ワールドワイドゴルフ)、2nd Swing、ゴルフテック、ゴルフ場、ゴルフ場以外の施設、その他
・最も割合が多かったのが、「ゴルフ場外の施設」の20%。「その他」の大部分も「コース外」のカテゴリーに分類されたため、実際の割合はさらに高い
・「ゴルフ場」でフィッティングしたが19%
・「メーカーによる試打会」が10%
・「カスタムフィッティングチェーン(クラブチャンピオン、クールクラブ、トゥルースペック、TXG)」を利用する割合は、男性ゴルファーよりもはるかに少なく約10%に留まった
・「大型ショップ(DICK'S、ゴルフギャラクシー、PGAツアースーパーストア)」も、約10%だった
この質問や回答は、メーカーやフィッターが直面している課題を物語っているように思う。女性ゴルファーに露骨に詮索することなく、「男性ゴルファーとの扱いの差」について、どのように男女のバランスを取ったら良いのか?
・幸いなことに、72%が「フィッターは(女性)個人のニーズに応えようとしてくれた」と回答
・「女性スペックの選択肢が不十分」が26%
「NPS(ネットプロモータースコア)」は定量化が難しい場合があるが、一般的に、「0」を超えるものはすべてOKと見なす。ドライバーとアイアンの満足度調査で「平均ネットプロモータースコア」は「36」。
ブランド満足度調査では、トップスコアのブランドは「50」を超えた。実際には「9」も悪くはないが、女性ゴルファーは男性ゴルファーよりもフィッティング体験に満足していないことが分かる。
最近のドライバーとアイアンの満足度調査でも行ったように、フィッティングしたクラブを実際購入したか尋ねた。
・60%近くが、最終的にフィッティングしたクラブを購入
・「男性」の回答と同様、「性能のメリットと価格が見合わない」という理由で購入しなかった人が51%
・「フィッターが間違ったクラブを勧めた」、「価格が高すぎる」と感じたゴルファーの割合はほぼ同じ
「フィッティング」について少し触れたところで、女性ゴルファーが使うクラブとそのクラブに対する認識について探っていこう。
・54%が「女性クラブ」または特に「女性向けに販売されているクラブ」を使用
・「男性クラブ」を使用するが34%
これもまた「女性クラブ」市場の課題を物語っている。クラブの性別分けの必要性は、「性能」や「デザイン」とはあまり関係がなく、クラブを購入する一人一人の女性のゴルフに対する向き合い方や考え方などにより強く関係する。
・「ツアーボール」が42%
・「女性用ボール」が28%
繰り返すが、メーカーが取るべき正しいアプローチは「女性向け」と加えることなのか?疑問が残る。
設計の観点では、「女性」に特化できるものは何もない。男性ゴルファーと同じように、「性能」重視の女性は「ツアーボール」を選ぶだろうし、「好み」重視の女性はその「好みのボール」を選ぶはずだ。
昔は「好み」といえば「ソフトボール」だったが、ブリヂストンから「Precept Lady(プリセプトレディー)」や「Laddie(ラディ)」が登場し、今ではどのメーカーもソフトボールを販売している。さらにカラーをピンクにすることで「女性向け」を謳うことが多い。
この質問は、日頃から女性プロからよく聞いていた。
・「女性用クラブを購入していない」が30%
・「カラーが強調され過ぎている」が26%
・「マーケティングが巧み」と答えた人が11%。「女性向け」のクラブは実際には「女性向け」に設計されていないと感じている。まさにその通りだ。
・現在のオプションに完全に満足しているが20%
・「その他」を選択した人の中には、2つの傾向が見られた
・(1つ目)多くの人が男性と比べて、女性用の選択肢が少ないことを指摘
・(2つ目)中には夫がクラブを選択または、購入するか、お下がりを使っていると回答
多くの女性ゴルファーが不当に扱われていると感じていることから、現在ある選択肢の「品質(クオリティー)」をどのように認識しているか尋ねた。
以下の一文が説得力のある内容を物語っている。
・回答者の64%が、現在の女性用クラブは男性用クラブよりも「品質が低い」と考えている。
これが真実とは言い難いが、女性用クラブに対して男性用クラブと同等の努力が注がれていないという認識が広まっている。率直に言って、女性用クラブはそれほど努力を必要としない。 なぜなら、男性用クラブと同じようにすれば両刃の剣になってしまうからだ。
平均的な女性の体格に基づいた「クラブの長さ」と「シャフトのフレックス(硬さ)」などの選択肢を除き、他にできることは少ない。
それならばペイント(装飾)はどうだろうか?(例えば、クラブやシャフトのカラーを女性らしい色合いにするなど)それを望む女性もいれば、そのようなやり方を好まない女性もいる。
これは、現在のアパレル製品に満足していないという女性プロの一言から生まれた質問だ。アンケートをまとめていると、「ゴルフウェア」を探そうとすると「テニスウェア」にたどり着くといった声が目立った。
・「現在のアパレルの選択肢に満足している」と答えたのは3 0%で、つまり70%は満足していない
・「競技用向けに設計されていない」、「体型に合わせて作られていない」という回答が半々で、後者はひどいフィット感、小柄な人や、ややせ型~標準体型の女性に合わせて作られていると言った声が挙がった(メーカーによってはサイズの幅が異なり、大きめサイズを作っているメーカーはごく一部の為、好むデザインで選ぶことができず、サイズがあるか?で選ぶケースもある)
・「その他」と回答した人は主に以下の理由だ
・機能よりファッション優先
・価格が高い
・カジュアルすぎる(ジムウェアのよう)
・デザインが古い
この質問の背景として、5年ほど前私はメジャーゴルフブランドの上級管理職と話す機会があった。その会社の女性向けシリーズの売上げ状況を尋ねたところ、上手くはいっているがやはり男性と消費アプローチが異なるため、女性にリーチするのは難しいと述べていた。
具体的には、女性はゴルフ情報サイトの「ゴルフチャンネル」や「ゴルフダイジェスト」、「MyGolfSpy」などを頻繁に読んだり、情報収集をしないということらしい。すべての女性ではなく、あくまで“男性ほどではない”という意味だ。
彼の話で重要なのは、大々的に「女性」を対象とした、または「女性視聴者」が占めるメディアや広告を表示する媒体が存在しないことだ。
とはいえ、ここでの私たちの目的は女性ゴルファーがゴルフ用品に関する情報をどこで入手するか探ることだ。
・比較すると「MyGolfSpy」自体はうまくいっているが、女性の支持があまり得られていないことが分かる。そのため、このアンケートを「MyGolfSpy」で行うのは意味がありそうだ
・女性ゴルファーの34.51%が「パートナーや恋人」に頼っている。これは、前の質問「使用するクラブについて」の回答と一致している
・「パートナーや恋人」は、女性ゴルファーの情報源として重要
・その上で、「その他」を選んだ人の回答の中で最も多かったのは「夫」だった
・「母親」を挙げた回答者は一人もいなかった。ゴルフでは母親を頼ることはないようだ
・「息子」、「プロ」、「インターネット/ソーシャルメディア」も多く挙がった
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