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なぜ「ゴルフボール」にフィッティングが必要なのか?

ごもっともな質問だが、そもそも「ボールフィッティング」を真剣に捉える人は少ない。多くの人が曖昧な反応を見せる。

基本的にすべてのショットで使う唯一の道具が「ボール」であるという事実を忘れてはいけない。

ボールフィッティングでは、「7番アイアンでの弾道の頂点(高さ)」や、「グリーン周りのスピン量」、「5番アイアンの落下角度」など、特定の状況をチェックする。

さらに、2つのボールが同等の性能を持つ場合の決め手には個人差があり、多くの場合ドライバーの飛距離とは関係がないことも分かった。

そこで、バージニア州リッチモンドの「インデペンデンスゴルフクラブ」で14人のゴルファーに対しプレミアムボールのフィッティングを行なった。

プレーに個人差があるように、フィッティングもプレーヤーによって異なるが、いくつかの傾向が見られた。その中で最も重要なのは、スキル、プレー経験、プレースタイルに関係なく、すべてのゴルファーが「フィッティング」からメリットを受けられるということ。


事例研究

<ベネット・グリーン氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

ベネット氏は、最終的にタイトリスト「Pro V1x」を選んだ。その理由は、全体的に「弾道」が高くなり、特にアイアンの「落下角度」がより鋭角になったためだ。「Pro V1x」はグリーン周りでやや硬く感じた。

しかし、その感触がグリーン周りのスピン量を示すとは限らず、ベネット氏の場合は「Pro V1x」の方が、それまで使用していたブリヂストン「B-XS」と同様のパフォーマンスを示した。


<スティーブ・キャロル氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

スティーブ氏は、もともと「低弾道/低スピン」ゴルファー。そのため、「Pro V1x」の「高弾道/高スピン」の特性は、クラブとの相性を最適化させるのに役立つ。ドライバーに限っては、「Pro V1」と「Pro V1x」共に同じ「打ち出し角」と「ボール初速」だった。75ヤードのウェッジショットでは、「Pro V1x」のスピン量が6,500〜7,000rpm、落下角度が4 6度。

7番アイアンのデータを比較すると、「ProV1」ではスピン量が5,400rpm、弾道の頂点(高さ)が22.7ヤード、落下角度は40度。一方「Pro V1x」は、スピン量が多く(6,000 rpm)、落下角度は41度だった。

スティーブ氏の例は、自分の癖を相殺してくれるボールが、パフォーマンスの向上につながるという良い例だ。反対にスピン量が多過ぎたり、ボールを高く打ちすぎる傾向があるゴルファーは、「低弾道/低スピン設計」のボールを探してみると良いだろう。またその逆も同様だ。


<ライアン・コール氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティング概要

ライアン氏は、ミニツアーとPGAツアーラティーノアメリカで戦うプロゴルファー。彼は19アンダーを叩き出し、2021年「アイオワステートオープン」で優勝した実績を持つ。「Pro V1」と「Pro V1 Left Dot(プロV1レフトドット)」が同じようなデータを示しても、彼は自分のスイングを変えることなく「スピン」や「弾道」の特性を加えたいため、わずかにスピン量の多い「Pro V1」を好む。

7番アイアンのデータを確認すると、「ProV1」のスピン量が6,900rpm、弾道の頂点(高さ)35ヤード、落下角度50度、飛距離は176ヤードだった。一方「Pro V1 Left Dot」では、スピン量が6,800rpm、弾道の頂点(高さ)34ヤード、落下角度49.5度、飛距離は177ヤードという結果だった。


<チャーリー・フラッコ氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

チャーリー氏のケースは、なぜボールフィッティングが大切か、その必要性を説いてくれる典型的な例だ。彼は、以前使用していた「Srixon Soft Feel(スリクソン ソフトフィール)」の「ソフト(軟らかい)」な特性が彼のゴルフに適していると信じていた。つまり、「低コンプレッション」でより「柔らかい」ボールがグリーン周りでスピンを提供し、ドライバーの飛距離が伸びると信じていたのだ。

だが、トラックマンのデータによると、「Pro V1x」を使うとドライバーのキャリーが伸び、「高コンプレッション」によってグリーン周りのスピンが大幅に増えた。このような誤解の根底にあるのは、「プレミアム」ボールに適したヘッドスピードが必要と信じ込んでいたことにある。


<トム・ベーゼル氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

トム氏は典型的なアマチュアゴルファーで、すべてのクラブにおいてスピン量が多い。彼の打球はやや鋭角で、オーバースイング傾向にあり、左から右への(フェード)弾道が多い。「AVX」は「低スピン」が特性だが、それでもトム氏には低すぎた。

そこで選んだ「Pro V1x Left Dash」は、「AVX」と同じ低スピンだが、「AVX」よりも高い打ち出しと落下角度(45度)をもたらしてくれた。


<アダム・ホートン氏 「MyGolfSPy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

アダム氏は熟練したアマチュアゴルファーであり、彼がよくプレーするコース条件に合わせてパフォーマンスを最適化する必要がある。トーナメントコースは、硬く速いグリーンで設定されることが多く、それが「Pro V1x Left Dash」より「Pro V1」を選んだ理由だ。

65ヤードのピットショットでは、「Pro V1」が「Pro V1X Left Dash」よりもスピン量が多かった(8,000rpm vs 7,500 rpm)。さらに、「Pro V1」の方が、「Pro V1x Left Dash」(44〜45度)と比較して、落下角度(49度)がより鋭角だった。さらに、「Pro V1xLeft Dash」に引けを取らないボール初速(ドライバー)に大変満足していた。


<クリス・ニッケル氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

クリス氏は「高弾道/高スピン」プレーヤーだ。予想通り、「ProV1」と「ProV1 Left Dot」はボールの弾道を抑えるのに役立った。「Pro V1x Left Dash」のデータも興味深かったが、それでも最適な弾道よりもやや高めだった。

「ProV1」と「ProV1 Left Dot」を比較すると、「ProV1 Left Dot」の弾道はやや低く、ウェッジのコントロールショットとグリーン周りで多少スピン量が多かった。

7番アイアンのデータで比較すると、「Pro V1」のスピン量は6,900 rpm、弾道の頂点(高さ)35ヤード、落下角度が51度。一方の「Pro V1 Left Dot」はスピン量が少なく(6,600 rpm)、弾道の頂点(高さ)32ヤード、落下角度は48度だった。


<ライアン・バーソルド氏 「MyGolfSpy」ゴルフフィッティング>


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フィッティングの概要

ゴルファー自身の試行錯誤の結果、理想的なボールを見つけることができる。今回ライアン氏の場合、フィッティングデータによって彼が使用していたボール(Pro V1)が最適だったと再確認できた。

70ヤードのショットで、「Pro V1」のスピン量は6,800 rpm、弾道の頂点(高さ)が19ヤード、落下角度51度だった。7番アイアンでは、「ProV1」のスピン量は6,900rpm、弾道の頂点(高さ)が31.3ヤード、落下角度は48度。指摘するとすれば、ドライバーのスピン量(2,800rpm)をもう少し減らしたいところだが、弾道の頂点(高さ)が32.7ヤード、落下角度が39度なので十分な範囲内だと言える。

ここでの伝えたいのは「フィッティング」により必ずしも道具を変更する必要はないということだ。


<フィリップ・ビショップ氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

フィリップ氏は典型的な「低弾道/低スピン」プレーヤーだ。そのため、「Pro V1x」のスピン特性を生かし、8番アイアンで弾道の頂点(高さ)(27ヤード)と落下角度(46度)を上げることができた。また、同じくスピンと弾道を最適化させて、ドライバーの飛距離と操作性が向上した。

他の多くのゴルファーにも当てはまることだが、自身の弾道とスピンの傾向に対して「反対の特性を持つ」ボールを見つけることができれば、パフォーマンスの向上が期待できることがある。そのため、特定の打ち出し条件を目指す必要がある。

フィリップ氏は義足なので、スピンや特定のショットで高さを出すのが難しいのかもしれない。


<クリス・ブライム氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

クリス氏は、ロングアイアンで十分な高さを出せないことが、自分の弱点だと感じていた。興味深いことに、4番アイアンではPGAレベルのボール初速(ドライバーのヘッドスピード61.2m/sに相当)だったが、落下角度の42度はツアー平均の48度よりも6度少ない。

そこで、「Pro V1x」を試したところ、スピン量(350 RPM)と落下角度(46度)の両方が増加した。また、グリーン周りでのあらゆるショットがより可能になった。どちらのボールが最適か決める際には、特定のショットやカテゴリーで絞ることも有効だ。


<ハリー・ノッドウェル氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

ハリー氏は最近プロに転向し、地域のプロのイベントに参加している。どちらかといえば、ハリーはショートアイアンでスピンをかけ過ぎたり、チップやピットショットではスピンが不十分な傾向がある。「Pro V1x」では、アイアンのスピン量が多過ぎて弾道が高くなり、「Pro V1x Left Dash」ではグリーン周りのスピン量が不十分だった。

そうなると、選択肢は「ProV1」と「ProV1 Left Dot」に絞られる。

最終的に、「Left Dot」がショートアイアンでのパフォーマンスが良くなり、ショートチップやピットショットで明らかにスピン量が増えた。彼のドライバーで最も多いミスは、スピン量の多いハイフェード。「Pro V1 Left Dot」で打ったティーショットは、「Pro V1」よりもスピン量(2,200 rpm)が少なく、弾道の頂点(高さ)も1.7ヤード低くなった。

その結果、「Pro V1 Left Dot」でショットした時のドライバーのミスは、ミスはミスでも「許容範囲内」に収まるようになった。


<ジミー・ボスウェル氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

ジミー氏ほど一般ゴルファーを代表するテスターはいない。フィッティング経験前は、どのボールが自分のプレーに最適か理解することなく、さまざまなボールを使っていた。このようなゴルファーの「No.1ボール」は、もしかしたらバッグの中に転がっていたボールやペナルティーエリアに捨てられていたボールの可能性だってある。

多くのゴルファーは、何を理解しなければならないのかを知らないでいる。ジミー氏もその中の1人で、「スピン」がグリーン周りのチップやピッチショットをコントロールし、柔らかく薄いカバーのボール(Pro V1)がショートゲームを向上させてくれるという知識や経験がなかった。彼は最初、その柔らかな打感が魅力の「AVX」に惹きつけられた。

しかし、実際は「Pro V1」の方が、ウェッジのコントロールショットでスピン量が増えた(4,425 vs 4,050 rpm)。さらに、ショートアイアンでは高い弾道と最適な落下角度が得られることがわかった。


<ボブ・テイラー氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

時々フィッティングは「完璧」を追求するがあまり、そのことが目的となってしまい、本来の目的を見失ってしまうことがある。つまり、最良のボールとは「欠点が少ない」ボールという意味だ。弾道とスピン量の組み合わせは理想通りではないが、「Pro V1」ではドライバーでの十分な飛距離を保ちながら、アイアンとグリーン周りでより多くのスピンを提供してくれた。

7番アイアンでは、スピン量が6,500rpm、落下角度が35度という結果となった。比較すると、「Pro V1x Left Dash」はスピン量が少なく(6,100 rpm)、落下角度は38度とより鋭角になった。


<ジョン・ハワード氏 「MyGolfSpy」ボールフィッティング>


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フィッティングの概要

ジョナサン氏はショートゲームを重視してスコアメイクする元大学ゴルフ部出身のゴルファーだ。予想通り、彼はグリーン周りとウェッジでのスピン量が多いボールを好んだ。「AVX」を除いた他のモデル(「V1」、「V1x」、「V1xLeft Dash」)はすべて、彼のニーズを満たすスピン量を生み出した。

「Pro V1x」使用時の7番アイアンのデータ(スピン量6,500 rpm、弾道の頂点(高さ)26.3ヤード、落下角度44度)から、さらに高い打ち出しとスピン量があれば飛距離を最大化できることが示された。

しかし、「Pro V1x」は、ラインナップの中ですでに最高の弾道とスピン量を誇るモデルであり、彼に最適な高さ(頂点)と落下角度を提供するベストチョイスだ。


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ボールフィッティングとは?

テストは生きたプロセスだ。質問の度に驚くような回答もあれば、思い込みやメーカーの売り文句を信じたり、否定したりする人もいる。そこで、今回のフィッティング経験からの5つの重要なポイントをまとめた。


#1。スキルレベルに関係なく、ボールフィッティングはメリットをもたらす

#2。現在使用しているボールは、あなたのプレーに最適ではない可能性がある

#3。すべてのプレーヤー、またはすべてのショットに最適なボールは存在しない

#4。完璧な「最適化」を目指すのではなく「改善」を目指せ

#5。迷ったときは、より高い弾道でスピン量があるボールを選ぶことをお勧めする


フィッティングツール

ボールフィッティングから最もメリットを受けられるのは一般ゴルファーだ。その大半が、ツアーレベルのフィッティングを経験する機会がないことが分かった。ボールメーカーもこの現実を理解している。そのため、タイトリストでは実際のフィッティングと同様のバーチャルフィッティングを提供。

ブリヂストンは、2017年に「VFIT」アプリをリリースし、ほとんどのボールメーカーはセルフガイドのオンラインフィッティングツールを提供している。また、フィッティングに頼らない人は、私たちのセルフチェックリストを参考にすると良いだろう。

より多くのゴルファーが「正しいボールを使うメリット」に気付くようになった時、ボール業界は一体どのように対応するのか。おそらく今後、ピンの「Ballnamic」($ 39)などのより多くの複合的フィッティングエンジンがでてくることだろう。もしくは、各メーカーがブランド独自のツールを進化させることもあるかもしれない。

あなたなら、どんなツールを期待するだろうか?