・新たな「BBシリーズ」ではベティナルディお馴染みのデザイン4種を採用

・“ヘクスペリメンタル(ベティナルディ得意の六角形と「試験的」を掛け合わせた造語)”として発表されていた「INOVAI 8.0(イノベイ8.0)」が店頭に並ぶ

・「INOVAI 6.0」が新たなデザインと『ロール・コントロール』フェースミーリングを搭載して驚きの復活


ベティナルディゴルフは、2年ごとのリリースサイクルを守り、2022年度の「BB」および「INOVAI」パターを発表した。「INOVAI」は去年も発売されたという異論もあろうが、「BBシリーズ」は間違いなく2020年版以来の発売となる。

ユーザーは「BB」シリーズに「納得」と「驚き」両方の感情を抱くことになるだろう。ベティナルディ「BB」シリーズは、期待通りのものであると同時に予想外の変化が見られる。わずか4本のパターにしてはなかなかのものだ。

サム・ベティナルディ氏に、新しいラインナップとベティナルディゴルフの現況について質問することができた。私が尋ねたのは「2022年について」だったが、以下の質問は「2021年末のベティナルディの状況」もよく表している。


2022年はベティナルディゴルフにとって飛躍の年になると思うか?

「2021年が既に飛躍の年だったよ!我が社の製品は現在、世界45カ国以上で販売されており、アメリカの主要大型店舗、専門のクラブフィッター、アメリカのトップ100のゴルフコースのうち60以上で販売されている。これからもシカゴ郊外の自社工場で世界最高の製品を作り出し、アクセル全開で進むつもりだ。ここ数年でチームが成し遂げてきたこと、そして今後の方向性をとても誇りに思う」

‐ベティナルディゴルフ執行副社長 サム・ベティナルディ


2022年のベティナルディ「BBシリーズ」について

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新しい「BBシリーズ」で最初に目に飛び込んできたのは「色」だった。いや、むしろ「色のなさ」と言うべきかもしれない。

2016年のライムグリーンへの回帰は期待していなかったが、ミニマリズムの美学とも思っていなかった。グレーの美学は叫びというより囁きだ。私はきっと2020年から続く赤・白・青の大胆さを期待していたのだろう。

よく見ると、これらはかなりハンサムなパターだということがわかる。グラファイトグレーの仕上げはどのような環境においても映える美しい色だ。この仕上げならば、深みのあるブラック仕上げに見られるようなギラつく反射は生じない。

全体的なテーマは「ミニマリズム(完成度を追求するために、装飾的趣向を凝らすのではなく、むしろそれらを必要最小限まで省略する)」だ。フェースにはシンプルな六角形のみ、ソールに刻印された文字は塗装すら施されていない。

ラムキンの「ブラックシンクフィットグリップ」や、「ブラック&グレーのヘッドカバー」も、落ち着きのあるそのテーマに沿っている。ヘッドカバーにはクールな「フライミーリングパターン」が再び採用されているとはいえ。


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「ミーリング」といえば、今回はパターのバックエッジにも美しく贅沢なミーリング(削り出し)が施されている。

ブレードモデルの3本とも、フェースのパターンに合わせてバックエッジにミルド加工が施されているのだ。「BB46」にはこのミーリングがなく、ネックにベティナルディの名前もない。

最終的に言えるのはどれも素晴らしく美しいパターだということ。プレミアムパターに相応しいデザインだ。


カーボンからステンレススチールへの素材変更

新たなラインナップで最も期待値が高いのは?

「一番ワクワクしたことは、ソフトカーボンから『303SS』へと素材をアップグレードしたこと。この変更により、新しい『アグレッシブフライミル』でミーリングされたフェースの弾きが良く、プレーヤーが求めるフィーリングを生み出すことができた。もちろん、グラファイトグレーのPVD仕上げもヘッド全体に施されたミーリング跡をより際立たせている」

‐ベティナルディゴルフ執行副社長 サム・ベティナルディ


パターで最初に目につくのがその美観であることに変わりはないが、2020年から2022年への最も大きな変更点はスチール素材の切り替えだ。

2022年は、「カーボンスチール」が「303ステンレススチール」に変更された。価格が上がった理由が気になるなら、これがその原因だ。

ベティナルディの「BB」パターは、市場において軟らかいカーボンスチールを使った数少ないパターの1つだったので、この変更は個人的には少し残念だ。スコッティ・キャメロンはかなり前にカーボンスチールから移行した。

これが「BBシリーズ」の新常識なのか、それとも2022年の「BB」パターだけの特徴なのか、興味深いところだ。


「スーパーフライ」でなく「フライ」

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今回のもう一つの変更点は、『フライミーリング』が『スーパーフライ』ではなくなったこと。一体どういう意味かって?

基本的には溝の間隔と深さが変わったということ。その目的は、フェースをできるだけ平らにするためだ。しかしこのパターンの変更は、「打感」に影響を与える可能性がある。

『フライミーリングパターン』では、『スーパーフライミーリング』よりも深い溝になる。従来から、インパクト時にボールに触れる素材が少ないほど、ソフトな打感になると言われている。

ベティナルディの『F.I.T.フェース』が最もソフトな感触のフェースであるのはそのためだ。このフェースは、ボールに当たる金属が最小限に抑えられている。

同じ条件であれば、「フライミルド」パターの方が、「スーパーフライミルド」パターよりもソフトに感じられるだろう。しかし、軟らかい「カーボンスチール」から硬い「303ステンレススチール」への変更で、ミーリングの影響は中和されるかもしれない。

ボールを転がした感じでは、軟らかさは中ぐらいと言えるだろう。インパクト時に若干の弾き感はある。

では2022年の「BB」のスペックと個々のモデルを見てみよう。


スペック:ベティナルディ2022年「BB」シリーズ

・素材:303ステンレススチール

・仕上げ:グラファイトグレーPVD

・フェース:フライミル

・ロフト角:3°

・ライ角:70°

・長さ:32〜36インチ

・ヘッド重量:350g

・グリップ:ラムキン ブラックシンクフィットグリップ(スタンダード/ジャンボ)

・利き手:右利き用。BB1モデルは左利き用も対応

・メーカー希望小売価格:$430


ベティナルディ2022「BB1」


2022年のラインナップに「BB1」が入っていることに驚きはない。逆にもし入っていなかったら、フォードがマスタング抜きで新作発表するようなものだと感じただろう。

「BB1」はアンサースタイルのヒール/トゥバランスのブレードパターに望むものを全て備えている。丸みを帯びたバンパーとクランクネックは「DALE HEAD」を彷彿とさせる。ヘッドを見れば2022年の「BBシリーズ」の実用性重視の姿勢を感じ取ってもらえるだろう。自然にボールの後ろに置いて、すぐに転がしたくなる。


ベティナルディ2022「BB1F」


ベティナルディは、今年も「BB1」にフローネックのモデルを加えた。ネック形状の違いによる最も大きな影響は「BB1F」はアーク(弧)がより大きくなるということ。また、フローネック愛用者からはアドレス時のパターの見え方がとても良いという感想を聞いた。

フローネックでは、ネック上部にあるナックル(シャフト受け)がなくなることで、アドレス時のネックの存在感が薄れ、ボールとアライメントラインにより集中できるようになる。

当然ながら、このネックではアーク(弧)が強すぎると感じたなら、たとえアドレス時の見え方が気に入ったとしても、フローネックパターをバッグに入れておく十分な理由にはならないだろう。


ベティナルディ2022「BB8-WIDE」


ワイドブレードは今後も展開されそうだ。このタイプのパターは、もはや実験的なものではなく、あって当然のものに変わりつつある。ブレードの一般的形状にマレットの重量を後部に配した「BB8W」は、ブレードとマレット双方の利点を備えている。

しかし、このいいとこ取りの設計は、「ブレード」や「マレット」のような役割ではなく、まさに独立したカテゴリーなのだ。ベティナルディをはじめとするパターメーカーが「ワイドブレード設計」を採用し続けているのは、純粋に売り上げのためだ。

ゴルファーたちの呼び名が「ブレード」であろうが「マレット」であろうが、このデザイン自体を気に入っている。


ベティナルディ2022「BB46」


ベティナルディは常に「BBシリーズ」に丸みを帯びた「マレットタイプ」を投入している。まさに今年のマレットが「BB46」だ。「BBシリーズ」では初登場の型番だが、このパターはなんとなく見覚えがある気がする。

例えば、「BB46」のバンパー間の広いスペースは、「QUEEN B 11」のキャビティとフランジのデザインを思わせる。

また、「STUDIO STOCK 7」の半月部分を取り除く前の姿が「BB46」なのではないかとも思う。こうして「BB46」はベティナルディの歴代マレットの記憶を呼び起こすが、それが悪いと言っているわけではない。

いずれにしても、小さくて丸いマレットで、トゥハング(トゥの傾き度合)が小さいパターを探しているなら「BB46」はオススメだ。


グリップ:ラムキン「シンクフィット」

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2022年の純正グリップは「INOVAI」「BB」両シリーズともラムキン「シンクフィット」が採用された。サイズはスタンダードとジャンボの二択。ベティナルディは2020年にグリップを「シンクフィット」に変更したが、2022年も引き続き採用してくれて本当によかった。

このグリップはラムキン社の真の勝者だ。「形状」と「質感」が非常に優れており、私の場合、スタンダードサイズの「シンクフィット」をグリップした瞬間、手にしっくりきた。

閑話休題。話を「INOVAI」に戻そう。


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スペック:ベティナルディ2022年「INOVAI 6.0」シリーズ

・素材:303ステンレススチール/6061アルミニウム

・仕上げ:ダイヤモンドブラストステンレススチール/ブラック陽極酸化アルミニウム

・フェース:ロール・コントロール™

・ロフト角:2°

・ライ角:70°

・ヘッド重量:358g

・ネックオプション:3種(スラント/スパッド/センター)

・グリップ:ラムキンシンクフィット(スタンダード/ジャンボ)

・利き手:右利き用。スパッドネックモデルは左利き用も対応

・メーカー希望小売価格:$400


ベティナルディ2022「INOVAI 6.0」シリーズ


「INOVAI 7.0」が昨年発売されたこともあり、2022年に「INOVAI 6.0」を見ることになるとは思っていなかった。文句をつけているわけではない。たまには驚かされるのも悪くないものだ。

さて、「INOVAI 6.0」新バージョンはどう変わったのか?まず、ヘッドはヒールからトゥまでで5%ほど小さくなっている。ベティナルディはこのサイズ変更をユーザーやツアープレーヤーからのフィードバックによるものとしている。正直、比較するための旧「6.0」を持っていない私はサイズ変更に全く気づかなかった。

2つ目の変更点は『ロール・コントロール』フェースの登場だ。このフェースは形状こそベティナルディ『F.I.T.フェース』に少し似ているが、その意図は異なる。

フェースの素材を取り除いたことで『ロール・コントロール』フェースは『F.I.T.フェース』のようなソフトな打感となった。しかし、『ロール・コントロール』の溝の角度はより上向きで、インパクト時のスピン/転がりを助長させる。



「INOVAI 6.0」では引き続き3種のネック形状から選べる。「スラント」、「スパッド(ほぼネックが無いタイプ)」および「センター」だ。左利き用はスパッドタイプしか選べないが、少なくとも使えるものがひとつはあるというわけだ。

センターシャフト愛用者はすでにクレジットカードに手を伸ばしていることだろう。昨今、センターシャフトのパターを見つけるのは至難の業だから。


ベティナルディ2022「INOVAI 8.0」シリーズ


さて、ここで真打ちの登場だ。前述したように、2021年の「INOVAI」は「7.0」だったので、次は当然「8.0」となる。

ソーシャルメディアでベティナルディをフォローしているなら、数週間前にこのパターを新しい“ヘクスペリメンタル(ベティナルディの六角形と「試験的」を掛け合わせた造語)”モデルとして目にしていることだろう。

これは昨年「INOVAI 7.0」がツアーオンリーのプロトタイプとして最初にリークされたときと全く同じ展開だ。

では、ここでサムに「INOVAI 8.0」について聞いてみよう。


シリーズの進化における「INOVAI 8.0」の位置づけは?

「ツアープレーヤーが求める性能特性をすべて備えたのが「INOVAI 8.0」で、成長著しいコンパクトマレット市場に参入することができた。この「INOVAI 8.0」は、ベティナルディブランドのゲームチェンジャーだ。皆さんにこの新しいパターでプレーしていただく日が待ちきれない」 ‐ベティナルディゴルフ執行副社長 サム・ベティナルディ


ここでの話はサイズについてだ。「INOVAI 8.0」は、先代と同じ「ステンレススチール」と「アルミニウム」を使用しているが、サイズは小さくなっている。どのくらい小さいのか?参考までに、テーラーメイドの「スパイダーツアー」と「INOVAI 8.0」を並べた写真を載せておこう。


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マレットの適正サイズを見つけるのは容易なことではない。小さすぎるマレットは通常「MOI」を低下させるし、大きすぎるマレットは潜在的顧客の拒絶反応を引き起こす。「INOVAI 8.0」はコンパクトでありながら「高MOI」のマレットパターを実現している。

このように並べて見ると、「BB46」マレットが「INOVAI 8.0」よりも小さいことがわかる。

パターの重量はもちろん話の一部でしかないが、ステンレス製とステンレスとアルミニウム混合のパターでは、ヘッドの重量配分がかなり変わってくる。サム(ベティナルディゴルフ執行副社長)が「小さい」ではなく「コンパクト」という言葉を選んだのは言い得て妙だと思う。



「INOVAI 7.0」と「INOVAI 8.0」の比較

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この夏、「INOVAI 7.0」で何度もラウンドしたが、「INOVAI 8.0」への移行は容易だった。ただひとつだけ、アドレス時の感覚に違いが見られた。「INOVAI 8.0」はまるでボールの後ろにしゃがんでパッティングに備えているようなのだ。

私がよりスクエアなマレットを好むせいかもしれないが、このパターは安定感があり、ボールの後ろですっとスクエアに構えやすい。「7.0」にはそのような安定感はなかった。

「INOVAI 7.0」の『F.I.T.フェース』と「INOVAI 8.0」の『ロール・コントロール』フェースの感覚の違いを数値化できるかどうかはわからないが、全体的な印象としてはどちらも軟らかいフェースだといえる。遅いグリーンでプレーする場合は少し強めにストロークする必要があるかもしれない。

「INOVAI 8.0」のフェースのほうが転がってくれる気がするが、本当にそうなのか、それとも溝の角度における意図の違いを自分が意識しているせいなのか定かではない。

確かなのは、同じストロークでも「BB」パターの方が「INOVAI 8.0」よりもボールを弾くということだ。


2022ベティナルディ「BB」および「INOVAI」シリーズは近日販売開始

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「近日」はちょっと言い過ぎだった。2022年のベティナルディパターは2022年3月頃に店頭に並ぶ予定だ。そのため厳密にはそれまでこのパターの純正品を入手することはできない。

しかし、ベティナルディ社は、ブラックフライデーに新作パターの黒塗り版を再び限定販売する。11月26日午前11時(米国東部時間)に、黒塗り特別バージョンの「BB」パターと「INOVAI」パターのヘッドやシャフト、ヘッドカバーなどが入手できる。

「INOVAI」の純正品はもともと部分的に黒くデザインされているとはいえ、ブラックフライデーバージョンは全く別の究極のものとなるだろう。

ベティナルディのパターに投資するかどうかまだ迷っているなら、サム・ベティナルディからのもうひとつのメッセージを読んでほしい。


他社のパターではなく、ベティナルディのパターを選ぶべき理由は?

「アメリカ製であるというストーリーは、ゴルフ業界で最高のパターをあらゆるレベルのプレーヤーに提供してきた豊かな歴史とともに続いている。我々は今日に至るまで家族経営の会社であり、語るべき素晴らしいストーリーを有している。ベティナルディゴルフは、23年にわたるブランドの歴史において、世界中のツアーで94勝以上をあげている。海外での製造や大量生産が行われている今日、我々はこのような業界のトレンドに屈することなく、すべてをアメリカ国内で製造している。ベティナルディの製品を購入するということは、本当に特別な製品を購入するということであり、その自信があるからこそ家名を冠しているのだ」

‐ベティナルディゴルフ執行副社長 サム・ベティナルディ


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