・ミズノが2022年モデル「ST-X 220」&「ST-Z 220」ドライバーを発売
・両モデルとも安定性の向上を重視
・小売価格は449ドル。発売は2月3日(アメリカ)※日本発売は3月から
昨年「Mizuno Proアイアン」シリーズにおいて、我々はミズノの新たなアプローチについてお伝えした。その新たな歴史を作っていきたいというミズノのアプローチは、“近代化”と言っても良いし、単にゴルフ市場が変化したことに対する必要な対応とも言える。
しかしながら、「Mizuno Proアイアン」で証明されているのは、生まれ変わったミズノは、ドライバーのフェースを赤くするような過激なことはしないということだ。
新しい「ST-X 220」&「ST-Z 220」ドライバーは、一歩一歩、進歩している、というに尽きる。そこには、お飾りのない改良、そしてこれまでと変わらないミズノを愛する者に訴えかける普遍的な魅力がある。
そのことを頭に入れた上で、「ST-X 220」&「ST-Z 220」ドライバーがこれまでの製品とは全く異なるものになっているとは思わない方が良い。
『プレミアムβチタン・コアテックフェース』
これまでのミズノのドライバーは、『コアテックフェース』に採用している「SAT2041 βチタン」という鍛造素材が話の中心だった。この素材の特徴は、ゴルフクラブに使われる従来の「チタン合金」よりも、より強度が高く柔軟性があるということ。またより高価であり、それがあまり採用されない理由の一つとなっている。
「βチタン」の強度が高いということは、ひび割れや平板化、そして「CTクリープ(経年でフェースがより反発するようになる)」が引き起こりにくく、フェースが疲労しにくいということ。
「CTクリープ」は我々にとっては棚ぼた的なものだが、ツアープロやUSGAにとって、これは悪夢のようなもの。
「柔軟性がある」という部分は、ある「CT値(スピード)」においてフェース全体のボール初速が高くなることを意味する。
ミズノは、USGAルールを回避しているとは言っていないが、他社同様、「βチタン」は「CT値」(フェースの反発を制限する現在のUSGA基準)と旧基準「COR(反発係数)」(ボール初速により相関がある)にうまく対応する上で役に立つとしている。
ミズノ「ST-X 220」&「ST-Z 220」ドライバー – スピードを超えるもの
「βチタン」にはいくつかの改良が加えられているが、ミズノでは初速に関して理解しているので、この「ST-X 220」と「ST-Z 220」においては、より安定性に注力できるようになったと考えている。
ミズノはドライバーの「慣性モーメント(MOI)」を表現するのに、技術的ではない言い方として、「安定性」という言葉を用いている。この考えは、より安定したドライバーはスイートエリアを外した時のゆがみやねじれが小さいということ。
ゆがみが小さければ、ボール初速はより速くなる。高MOIクラブがより「寛容性」があると言われるのはこれが理由だ。
「MOI」や「寛容性」に関する大抵の話は、ヒール・トゥの安定性(ゴルフクラブのX軸)に焦点が当てられているが、上下(クラブのY軸)の安定感も、特にスイートエリアの上下で当てた時の安定した打ち出し角やスピン量の実現に関係するため、安定性においては重要な役割を果たす。
物理は揺るがないものだ。スイートエリアでのインパクトに対してフェース上部でのインパクトは、打ち出し角が高くなりスピン量は最大1,000rpm少なくなるが、フェース下部のインパクトだとショットは低弾道になりスピン量も1,000rpm以上多くなることがある。
オフセンターヒットだと必ず初速は落ちるが、もし設計上、インパクトのフェース上下のギャップを縮めることで安定性を向上させることができれば、ゴルファーはフェースのどこに当たっても、より均一的な結果が得られるはずだ。
とはいえ、ミズノが安定性を高めるために実行したことは、ゴルフ用品業界ではそれなりにお決まりのことだ。そこでまず、ミズノの開発陣はソールを改良し「カーボンファイバー」が40%増大した。
そのおかげで、余剰重量を低・深部に配置することが可能となり、テールウェイトは11gから20gに増量された。どんなデザイナーでも、9gの増量は好ましいことだと思うだろうし、割合的にもかなりの数字と言える。
ミズノ「ST-X 220」&「ST-Z 220」ドライバーを数字で見る
これを数字で表すために、ミズノでは「スイートエリア」という指標を取り入れている。これは基本的には、楕円で表されるトゥ・ヒールと上下のMOI値のこと。これまでのモデルに比べ、「ST-Z」のスイートエリアは20%拡大し、「ST-X 220」のそれは30%も大きくなった。
ミズノのロボットテストによるあらゆる数値を伝えることは可能だが、結論は非常にシンプルだ。ミズノによると、垂直方向(上下)の「MOI」と「スイートエリア」という点で、同社の「ST-X 220」と「ST-Z 220」ドライバーは市場でトップだという。
ミズノ「ST220」ドライバー2モデル
「ST-G 220」に「ST-X 220」と「ST-Z 220」が加わったことでミズノの「ST-220」シリーズが完成した。どちらもすっきりとした見た目で打音も魅力的なことが特徴。こうしたことは共に少なからず主観なので、数値化することは難しい。
とはいえ、クラブデザインの世界では、「音」を表現することは一般的になってきており、デザイナーは波形を見て、多くのゴルファーがその音を気にいるのか予測することが可能になっている。
このことは、ミズノのメタルウッドシリーズの強みとは言えないが、近年、同社はゴルファーが好む音を理解していると思っているのは確かだ。
ミズノがネーミングを決める際に由来とする各モデルの背景にあるコンセプトは、直感的に理解できるとは言い難い。とは言え、それぞれのヘッドがどのような重量配分を行い、求めるパフォーマンスを発揮するのかを伝えるようにはなっている。
ミズノ「ST-X 220」
少し前のことを復習してみると、「X軸(トゥ~ヒール方向)」はトゥ・ヒールに伸びているので、「ST-X 220」の「X」は重心が「X軸」に沿ってヒール側に動いていることを指し、結果としてややドローバイアスになっていることを意味する。
他の「ST-220」ドライバーと比べてみると、「ST-X 220」はやや形状に丸みがあり、真っ直ぐというより若干左を向いている。
「JPX-EZ」アイアンはともかく、ミズノが自身のデザインで過度におかしなことをするわけではないので、「ST-X 220」はスライス軽減を目的としているものの、比較的従来通りの見た目をしている。
スライサー専用みたいな見た目にはなっていないようだが、間違いなく魅力の一つであり、上級者の中には、このようなデザインを好むゴルファーもいるだろう。
「ST-X 220」のスペック
スタンダード(45インチ)の「ST-X 220」はロフト角が10.5度と12度。純正シャフトは三菱の「Tensei AV Raw Blue(テンセイAVローブルー)」、アルディラ「Ascent Red 50(アセントレッド50)」と「Ascent UL 40(アセントUL 40)」だ。
「ST-X 220」の日本版は長尺(45.75インチ)で、USTの軽量「HeLIUM NanoCore(ヘリウムナノコア)」が装着されている。
44インチのレディースモデル(HeLIUM)もある。
「ST-X 220」ドライバーは右利き用のみ。
ミズノ「ST-Z 220」
「Z軸(垂直方向)」ということについては特に話をしていなが、クラブ設計において、これは前から後方への軸を指す。重心が「Z軸」に沿って後方に行くほど「MOI」は大きくなる。そのため「ST-Z」の「Z」は、ミズノが重量を後方(そして下部)にシフトさせ、「寛容性」を高めていることを示している。
「ST-X 220」と比較して、「ST-Z 220」はトラディショナルな洋梨型のヘッド形状をしており、フェースも真っ直ぐからやや右に向いて(通称「ツアースクエア」)いる。
「ST-X」同様、「ST-Z 220」は1つのことだけに特化しているわけではない。前作よりも寛容性は高くなっているが、ミズノとしては「ST-Z 220」の寛容性の最大化を目指すこと、ピンの「G425 MAX」やPXGの「XF」のような競合に匹敵するクラブにするつもりはないということだ。
「ST-Z 220」は寛容性があるが、市場シェアの大部分を占めるテーラーメイドやピン、タイトリスト、そしてコブラの主力モデルに匹敵するようにデザインされている。
「ST-Z 200」のスペック
スタンダード(45インチ)の「ST- Z 220」はロフト角が9.5度と10.5度。純正シャフトは「HZRDUS Smoke Blue RDX 60(ハザーダス スモークブルーRDX 60)」、三菱の「Tensei AV Raw Blue50gと60g(テンセイAVローブルー)」、アルディラ「Ascent Red 50(アセントレッド50)」と「Ascent UL 40(アセントUL40 )」だ。
「ST-Z 220」の日本版(10.5度)は長尺(45.75インチ)で、USTの軽量「HeLIUM NanoCore(ヘリウムナノコア)」が装着されている。
USTの「HeLIUM」シャフトを装着した44インチのレディースモデル(12度)もある。
9.5度のヘッドを除き、「ST-Z 220」は右利き用のみとなっている。
価格と発売時期
ミズノの「ST-G 220」と「ST-X 220」ドライバーの小売価格は449ドル。店舗での発売は2月3日(アメリカ)現在予約受付中。
※日本発売日は3月から
Leave a Comment