タイトリスト・ボーケイデザイン「SM9」ウェッジのWEDGEWORKSによる「Kグラインド」ローバウンスが発売されることを予想できたと言っているわけじゃない。

しかし、マスターズで、ハイロフトでローバウンスのウェッジがボーケイシリーズに加わるということは、太陽が東から昇るくらい予測できたこと。

ボーケイの「SM8」ウェッジに、ローバウンスモデルの限定版がWEDGEWORKS「カスタムプログラム」を通じて追加されたのは2020年5月。それからおよそ2年が経ち、物語の根幹は基本的にそのまま。

全く同じことが何度も繰り返されているわけではないが、この明らかな既視感は、業界を牽引するウェッジブランドの大事な哲学的スタンスやビジネスの進め方を浮き彫りにしている。

変に受け止めないように。

別の言い方をすると、改善こそするが、成功の主要因となった方程式から(あまり)逸脱してはならない、ということだ。

そう考えると、「SM9」のローバウンス「Kグラインド」のリリース時期は理にかなっているし、オーガスタナショナルからのショートゲームに対する独自の挑戦状に備えて、ボーケイのスタッフが用意したバウンスとロフトの組み合わせということも理解できる。

挑戦状とは具体的に言うと、タイトなライ、難しいグリーン、そして柔らかくてフワフワしたバンカーのことだ。


WEDGEWORKSとは何なのか?

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ボーケイのWEDGEWORKSの使命は「全てのゴルファーにツアーの体験をもたらすこと」だ。その点では、カスタムスタンプやペイントオプションよりも遥かに多岐にわたるものを提供している。

しかし、WEDGEWORKSの主な役割は、標準ラインナップにはないバウンス角とグラインドの組み合わせを特徴とする限定版を提供することにある。「SM9」シリーズがそうであるように、58度と60度の「K」は現在のラインナップの一部。

「SM9」の「Kグラインド」は、現在ある「SM9」のグラインドで最もバウンス角があり(14度)、今回のWEDGEWORKSでも同様に、「SM9」の「Kグラインド」もロフトバリエーションは58度と60度になっている。





ボーケイWEDGEWORKSの「Kグラインド」について

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通常、標準の「Kグラインド」のようなハイバウンスのウェッジは、入射角が鋭角なゴルファーに最も向いている。また、幅広のキャンバーソールは、やわらかくてフワフワした状況に合うもの。

ではなぜ、あまりバウンス角がない「Kグラインド」がリリースされたのか?その理由はオーガスタにある。まぁ、理由の一要素というわけだが。ローバウンスとワイドソールの組み合わせは、リーディングエッジを地面に近い位置にキープしてくれる一方でザックリしないのだ。

長年、ボーケイのツアーレップを務めているアーロン・ディル氏によると「(『Kグラインド』は)『究極のバンカークラブ』として知られ、プレーヤーのショートゲームに自信を抱かせてきた。しかし、ツアープレーヤーたちに『Kグラインド』を使う理由を聞くと、彼らはバンカーショットのパフォーマンスだけではなく、ピッチングやチッピングの時にリーディングエッジが地面を這う感じが好きらしい」とのこと。

一般的にツアープロは、コースコンディションに応じてウェッジを変えることはなく、これはボーケイのウェッジフィッティングに対する“スイングはゴルファーに同調する”というアプローチと一致する。

しかし、オーガスタの巨大で起伏がきついグリーンと固く締まった芝は、非常にハイレベルなプレーヤーですら困惑する他にはないショートゲームの難問を突きつけることになる。


ローバウンスの「Kグラインド」はあなたにハマる?

この質問に答えるには、あなたのクラブセッティングを構成する各ウェッジの役割を考えなければならない。ロフト角、バウンス角、グラインドの各組み合わせは、特定の条件の中でプレーヤーによりけりであり、誰にもでも合うわけではない。

最適なアプローチは、フィッティングを受けること。そしてこれは必ずしも簡単ではない。ボーケイのオンライン上の「ウェッジセレクター」ツールも試してみるといいだろう。

ローバウンスの「Kグラインド」があなたのゴルフに適したクラブであるかどうかに関わらず、このモデルと、似ているが異なる2つのオプションの違いを理解しておくことは悪くない。

「SM9」の「Kグラインド」に比べると、どちらも幅広でハイキャンバーソールが特徴となっており、基本的にバンカーや軟らかい状況から打ちやすくなっている。

しかし、「SM9」の「Kグラインド」のバウンス角は14度あり入射角がスティープ(鋭角)にスイングするゴルファーにマッチするが、WEDGEWORKSの「Kグラインド」ローバウンスは、バウンス角が6度でスイングがシャロー(ゆるやか)なゴルファーやグリーンが固くて速い状況にマッチする。

他のローバウンスモデルである「SM9」の「Lグラインド」と比べてみると、WEDGEWORKSの「Kグラインド」ローバウンスは、ワイドソールでよりソールに丸みがある。「SM9」の「Lグラインド」はソール幅が狭く、ヒールとトゥ、そしてトレーリングエッジが削られていることが特徴だ。

一般的に、WEDGEWORKSの「Kグラインド」ローバウンスはバンカー脱出に適しており、「SM9」の「Lグラインド」はグリーン周りの様々なショットに対応する汎用性があると言える。


価格と発売時期

ボーケイのロフト角が58度と60度のWEDGEWORKS「Kグラインド」ローバウンス(6度)は、ノンメッキ仕上げ(右左)、ツアークローム仕上げ(右打ち用のみ)がラインナップ。

純正シャフトはトゥルーテンパーの「Dynamic Gold S200」で、グリップはツアーベルベット「360 White」が装着されている。価格は225ドルから。

注文はボーケイ販売店かVokey.comで可能だ。