・ミズノが「JPX 923 HOT METAL(JPX 923ホットメタル)」アイアンシリーズを発表
・ラインナップは「Fli-Hi」ハイブリッド(ユーティリティ)を含めて5モデル
・同シリーズの発売は10月
・「JPX 923 FORGED(JPX 923フォージド)」と「JPX 923 TOUR(JPX 923ツアー)」は来年2月に発売予定(USの場合)
※(日本では9月に全5モデルが発売されている)。
ミズノが2023年モデルとして新しい「JPX」アイアンを5モデル、そう5モデルを発売する。
10月にはスタンダードの「JPX 923 HOT METAL(JPX 923ホットメタル)」、「JPX 923 HOT METAL PRO(JPX 923ホットメタルプロ)」、そして「JPX 923 HOT METAL HL(JPX 923ホットメタルHL)」の「JPX 923ホットメタル」アイアンシリーズをリリースする(発売予定の記載はUSの場合で、日本では9月に全5モデルが発売されている)。一方、鍛造アイアンの「JPX 923 FORGED」と「JPX 923 TOUR」は、来年2月までお預けだ。
ミズノとしては、「HOT METAL(ホットメタル)」の発売を秋にすることでアメリカの南部と南西部のベストシーズンに投入することができる。このあたりのゴルファーは、ミズノの中級者向けクラブの理想的な層と言えるし、特に「JPX 932 HL」はドンズバではまるはずだ。
JPXの売れ筋
「ホットメタル」の新モデルを早めに店頭に投入するもう一つの要因は、「JPXホットメタル」のおかげで2021年のミズノの通期市場シェアが10%を超えたから。これは2018年比では7%アップとなっている。
ミズノは「鍛造」で有名だが、一番の売れ筋は「JPXホットメタル」だ。2番目?なんと「ホットメタルPRO」だ。
つまりミズノにとって「HOT METAL(ホットメタル)」シリーズは、欠かせないラインナップということになる。
何よりこうしたことは、ミズノのアイアンは“上級者に特化している”というゴルファーの思い込みが少しずつ崩れ始めていることを物語っている。ミズノは、同社製品の魅力を幅広い層に広げようとしているが、その効果が売上にも表れているということだ。
MyGolfSpyのユーザーの多くはミズノの鍛造を好んでいるけど、鋳造の「ホットメタル」シリーズこそ、アベレージゴルファーとともにミズノに勢いを与え、そして牽引しているのだ。
「JPX 923 ホットメタル」シリーズ
「JPX 923ホットメタル」シリーズは、どのモデルも「テクノロジー」、「素材」、「構造」は同じ。つまり「JPX 923」のどれかに採用されているということは、他にも大体採用されているということ。違いは、ヘッドサイズとセッティングのスペックとなっている。
今度の「HOT METAL(ホットメタル)」は硬い
ミズノでは、過去3世代のアイアンにおいて「クロモリ(4140M)」を採用してきた。
この素材も悪くはなかったが、今はさらなる初速アップが必要な時代でもあるため、同社では「COR」と「CORエリア(ミズノがMOI(慣性モーメント)よりも安定性に寄与すると考える同社の寛容性の指標)」の限界に近づける剛性の高い合金を必要としている。
新素材の「ニッケルクロムモリブデン鋼」は、「4140M」と似ているが、ニッケルが加わることで剛性が増している。ゴルフ業界でこの「ニッケルクロムモリブデン鋼」を採用しているところはほとんどなく、この素材は、航空機の着陸装置や変速機、軍用機などに使用されている。
薄肉フェース
数字で見ると、「ニッケルクロムモリブデン鋼」は前回のクロモリ素材よりも35%も強度が増しており、これによりミズノではフェースの厚みを8%薄くすることに成功している。
薄肉フェースは、大きなトランポリンのように作用し、一般的にボール初速がアップする。これが『シームレス・カップフェース』。
「ニッケルクロムモリブデン鋼」なら、何も補強しなくてもフェースの強度を向上させることが可能。つまりミズノでは、「破損防止のために、ストレスがかかるエリアに過度な厚みを持たせる」必要がなくなったというわけだ。
結果として、「JPX 923 ホットメタル」の全シリーズは初速がアップしているだけでなく、「CORエリア(COR値が0.800を超えるフェース部分)」が16%も向上しているのだ。
バリアブル・シックネスソール
「JPX 923」アイアンシリーズでは、フェースから繋がるソールに『バリアブル・シックネスソール』デザインが採用されている。フェース同様、ソールでも好ましいエリアをたわませることでより初速アップが可能になるからだ。
ソールの薄肉エリアは18%拡大しており、その分たわむということは、お察しの通り初速アップするというわけ。
要約すると、新しいミズノ「JPX 923 ホットメタル」アイアンシリーズは、単に速いというわけではなく、より「一貫性」が向上している。同社では、「JPX 923」が競合アイアンセットの中で最も速く、最も安定したボール初速を実現するとしている。つまり、“飛んで易しい”。そんなところだ。
「Vシャーシ」デザイン
薄肉フェースは初速という点では良いが、「打音」と「打感」においては深刻な影響を及ぼす。
「巷には、安っぽい音がする高CORのクラブに溢れている」と語るのはミズノのクラブデザイナー、クリス・ヴォーシャル氏。
「打音」と「打感」で業界を常に牽引してきたメーカーとして、「安っぽい」ものなど通用しないというわけだ。
『Vシャーシ』は基本的にクラブヘッドの形状を指し、これを採用することで「鋳造」の極薄フェースなのに鍛造アイアンのような打感が得られる。
全3モデルの「JPX 923ホットメタル」デザインにおけるヘッド構造で注目したいのは、シングルピースの鋳造だ。
しかも、ミズノでは振動を抑えるためフォームやグー(粘度の高い充填剤)などは使用していない。ヴォーシャル氏が“無駄な重量”と呼ぶものは別として、充填材は必ずしも、フィーリングを良くさせるほどには「打感」を改善するわけじゃない。
「もっと皆さんには『打感』を感じてほしい」とヴォーシャル氏。「それ故、ちゃんとしたフィーリングを感じてもらうことが我々の仕事なのだ」。
今回の『Vシャーシ』は、往々にしてトップラインに沿ってキャビティアイアンを補強する構造を付加するアイアンが多いが、打感を損なわないようにする役目を担っている。
専門的に言うと、補強されたフレームにより低周波が抑えられ、高周波ではより音圧が大きくなる。
実際にこのアイアンを使ってみて気づかされるのは、音は少し大きいが「カチャッ」とした音ではないということ。
ヴォーシャル氏によれば「ホットでソリッド。中途半端なフィーリングじゃない」というわけだ。
では技術的な話はここまでにして、ここからはミズノ「JPX 923」の3モデルをチェックしていこう。
ミズノ「JPX 923 ホットメタル HL」
まずは「JPX 923」の新作モデル、「ホットメタルHL」からチェック。
ゴルフ用品の世界では当たり前だが、「HL」は「高打ち出し」を指す。高打ち出しは中級者向けアイアンにとっては好ましいように感じるが、業界が何年にも渡り、「打ち出し」と「スピン」を犠牲にして「飛距離」を追求してきたことを伝える際に、皆さんはその裏話はご存じないだろう。
もちろん、高ヘッドスピードのゴルファーにとって、低・深重心による高打ち出しとスティープ(鋭角)な落下角度は、ストロングロフト化によるスピンロスを相殺する効果をもたらす。
しかし、ヘッドスピードが「平均程度かそれ以下」のゴルファーにとって、ストロングロフト化の背後にあるこの効果は成立しない。
この層のゴルファーが「グリーンでしっかり止める」には、「(大きな静的ロフトによって)打ち出し角を高くしスピン量を向上させる」しかないのだ。
当然、今回のミズノも、特定のゴルファー層に合わせるために独自のアイデンティティをなくすつもりはないし、「JPX-EX」を再現させるわけでもなく、全くミズノらしくないクラブを作るつもりも毛頭ない。
今回の「JPX 923 ホットメタルHL」のデザインは他のモデルとはちょっと違う。
技術的には、ヒールからトゥまでのブレード長はスタンダードモデルと一緒だが、「パーエリア(ホーゼルとフェースの間)」を伸ばしており、この部分が長く見えるようになっている。要するに、ヘッドが長くなったと言っても良い。
スタンダードの「JPX 923ホットメタル」と比べると、この「JPX 923 ホットメタルHL」はややオフセットが大きく、トップラインが若干薄くなっていることも特徴だ。
つまり、今回の「JPX 923ホットメタルHL」で強調しておきたいことは、このアイアンは本格的な中級者向けか初級者向けアイアンを求めるゴルファーにデザインされている一方で、初級者向けのような見た目になることなく、中級者向けのメリットを実現しているということだろう。
マジでウィークロフトになっている!
形状以外で言うと、「JPX 923 ホットメタルHL」は、他の「ホットメタル」よりもロフト角が2.5度ウィーク(寝ている)になっている。これについての欠点は、ゴルファーによっては「飛ばない」ということだろう。
よく話題にしているように、「飛ぶ」アイアンは売れるが、グリーンを狙うことが目的なら飛距離にそこまでの価値はない。
「ウェッジで挽回する回数が少なくなるなら、多少の飛距離は犠牲にしても良いだろ?」ってこと。
フィッターの視点から
TXG(ツアーエクスペリエンスゴルフ)のイアン・フレイザー氏は、「JPX 923ホットメタルHL」を“業界が熱望していたアイアンだ”としている。
フレイザー氏は、多くのフィッターの声を代弁していると思う(少なくともそうであって欲しい)が、これはこのアイアンが、直近10年の大半に渡ってゴルフメーカーがゴルファーを犠牲にして避けてきた禁断のクラブであるという不都合な真実を物語っている。
ではミズノはなぜ、これまでと違う開発方針を打ち出したのだろうか?
今回、「JPX 923ホットメタルHL」は、ミズノの「シャフト・オプティマイザー」を活用したフィッティングで集まったデータを大きな開発要因となっている。ミズノでは、このデータを分析したところデザインに影響を与える傾向をいくつか見つけたというのだ。
ミズノによると、昨今のフィッティングに見られるゴルファー像は、よりシャフトをしならせる傾向にあり、大抵はボールに対しての入射角もスティープ(鋭角)で、ヘッドスピードの遅いというものだという。
余談になるが、ミズノの「シャフト・オプティマイザー」はプレーヤーのスピン特性に合わせてオススメのゴルフボールを教えてくれるが、データによれば、この「シャフト・オプティマイザー」は一貫して、「高スピン系」のボールを推奨しているとのこと。
つまりこれら全てのまとめると、ミズノのほぼ全てのデータによれば、クラブ設計の世界が「低スピン」に大幅に偏っているということだ。
「JPX 923 ホットメタルHL」は“『ホットメタル』でもっとスピンをかけるにはどうしたら良いのか?”の問いに対する答えとなる。
ここではスピン向上だけの話をしているわけじゃない。ロフト角を増やすことで、ターゲットとなるゴルファーは、高弾道とオールラウンドな性能を実現することができるというわけだ。
「JPX 923ホットメタル HL」の対象プレーヤーとは?
ミズノによれば、「JPX 923ホットメタルHL」とスタンダードの「ホットメタル」の対象ゴルファーの別れ目は、7番アイアンのヘッドスピードで32.6m/sになるという。
7番アイアンのヘッドスピードが分からなければ、ドライバーのヘッドスピードで38.9〜40.2m/sと考えてもらえば良い。もしヘッドスピードがそれ以下なら、「JPX 923ホットメタルHL」がベストチョイスとのこと。
ちなみにミズノのフィッティングでは、これに当てはまるのは男性ゴルファーの27%程度だという。そして、ここで問題となるのが、ミズノは昨今の中級者向けカテゴリーでの成長にも関わらず、未だに上級者向けと考えられているということだ。
こう思われるのは、ミズノのフィッティングを受けるゴルファーは、現実の平均よりも初速が出るというイメージがあるから。つまり、「JPX 923ホットメタルHL」のメリットを受けると思われるゴルファーの割合は30%を超える。
繰り返すが、「JPX 923ホットメタルHL」は“飛ばす”ことを無視しているわけではない。ミズノによれば、ターゲットゴルファーは、ボールの落下条件がより実用的でありながらも、キャリーをキープし、飛距離をさらに伸ばすこともできるという。
これを実現するのは容易なことではないので実現させることは難しいが、ミズノでは今回の「JPX923ホットメタル」を“一番止まって初速が出るアイアン”にしようとしているのだ。
「JPX 923ホットメタルHL」の純正シャフトはダイナミックゴールド「DG95」と「Recoil ESX(リコイルESX)」カーボンシャフトとなっている。
セットにマッチしたウェッジ
ミズノでは、アイアンにマッチしたウェッジが欲しい人や、やや大型ヘッドのウェッジにメリットを感じるゴルファー向けに、「JPX 923ホットメタルHL」のGW、SW、そしてLWをラインナップしている。
「JPX 923 HOT METAL(JPX 923ホットメタル)」(スタンダードモデル)
スタンダードの「JPX 923ホットメタル」アイアンは、ややシャーシが小さい「HL」と同じテクノロジーが詰まっている。
「JPX 923ホットメタル」は教科書通りの中級者向けアイアンだ。市場全体と比べてみると、ミズノはこのスタンダードモデルがより「速く」、より「寛容性」が高いものの、スイートエリアは「HL」よりも若干小さいとしている。
重心位置もやや高く、セットを通じてロフト角がストロング化しているのも特徴だ。そして、当たり前のことを言うようだが、「JPX 923ホットメタル」は「HL」よりも打ち出し角が低くスピン量も少ない。
またスタンダードの「JPX 923ホットメタル」(さらに「JPX 923ホットメタルPRO」)は、ソールのバウンス角がやや大きくなっている。
こちらも「シャフト・オプティマイザー」で集めたデータの結果によるものだ。これはスティープ(鋭角)な入射角への対応策と考えて欲しい。バウンス角が大きくなったことで、ザックリのリスクが増すことなく必要に応じてフィッティング時にストロングロフトにすることが可能となる。
「JPX 923ホットメタル」の純正シャフトはダイナミックゴールド「DG95」(R)とKBS「Tour Lite(ツアーライト)」(S)、「Recoil ESX(リコイルESX)」カーボンシャフトとなっている。
「JPX 923 HOT METAL PRO(JPX 923ホットメタル プロ)」
「JPX 923ホットメタルPRO」アイアンを一言でまとめるとこうなる。
スタンダードモデルに比べ小ぶりで薄く、若干易しい。
新しいテクノロジー以外の大きな変更点は、ヘッドデザインがさらにコンパクトになったこと。
そしてサイズについては、「JPX 923ホットメタル」と「PRO」の方が、「JPX 923ホットメタル」と「HL」より大きい差がある。
私が感じたのは、「JPX 923ホットメタルHL」はそこまで大きくないのに、「JPX 923ホットメタルPRO」がビックリするほど小ぶりになっているということだ。
これがメリットだと思うなら、そこには2つの理由がある。まず、コンパクトヘッドを好むゴルファーがかなりの「寛容性」を手にできるということ。
そして、シリーズに「JPX 923ホットメタルPRO」というコンパクトヘッドのアイアンが加わったことで、ミズノが「JPX 923 Forged」アイアンをもう少し小ぶりにできるようになったということ。これにより「JPX 923 Forged」を使うプレーヤーにはかなりの人気となるはずだ。
ミズノ「JPX 923ホットメタルPRO」の純正シャフトはダイナミックゴールド「DG95」(R・S)となっている。
セットにマッチしたウェッジ
ミズノでは、「JPX 923ホットメタル」と「JPX 923ホットメタルPRO」用に「ホットメタル」ウェッジをラインナップしている。デザインは(「Tシリーズ」に比べ)やや中級者向けだが、最小限に留められている。
「ホットメタル」ウェッジは「Tシリーズ」同様、『クワッドカットグルーブテクノロジー』を特徴としているため、パフォーマンスを犠牲にすることもないだろう。
「JPX 923 FLI HI」(「HL」でも不十分なゴルファーに)
「JPX 923ホットメタル」シリーズの弾道の最適化について、ミズノはさらなる手段を打っている。
「JPX 923ホットメタル」で実現する打ち出しよりもさらに高打ち出しが必要なゴルファーに対して、「シャフト・オプティマイザー」(またはフィッター)が、「JPX 923 FLI HI」を1本か2本(または3本)セッティングに入れることを勧めてくるかも知れない。
低・深重心ハイブリッド(ユーティリティ)
「JPX 923 FLI HI」の最新モデルは、低・深重心が特徴のハイブリッド(ユーティリティ)だ。これにより、高打ち出しを実現することができる。
ハイブリッド(ユーティリティ)は通常、ロングアイアンよりも長い(シャフト長がそもそも1/4インチ長い)ということで、ミズノでは新しいベン・ホーガンの手法を手本とすることにした。
「JPX 923 FLI HI」に番手の数字(3、4、5など)をつけるのではなく、ロフト角を刻印することにしたのだ。
これはミズノが物事を複雑にしているようにも思えるが、ゴルファーに対してはシンプルさを追求した結果だ。
「JPX 923ホットメタルHL」の5番アイアンのロフト角は、同じ番手の「JPX 923 ホットメタル」のロフト角とは異なる。
ミズノは、分かりづらくて避けられるよりは、置き換えたいロングアイアンのロフト角をチェックして、できるだけマッチする「JPX 923 FLI HI」を見つけてもらいたいと思っている。
例えば、「JPX 923ホットメタルHL」の5番アイアンに代わる「JPX 923 FLI HI」を求めるなら、25度が最適。スタンダードの「JPX 923ホットメタル」で同じようにするなら、「JPX 923 FLI HI」の22度にすれば良いということだ。
スペック・価格・発売時期
ミズノ「JPX 923ホットメタル」シリーズ(「Fli-Hi」ハイブリッドを含む)のメーカー希望小売価格は、ミズノの追加料金なしのラインナップ内のシャフトとグリップも含めて1本137.5ドルとなっている。
発売は10月8日から。
「JPX 923 FORGED」と「JPX 923 FORGED TOUR」について
ミズノでは、鍛造アイアンも2モデルリリースする。MyGolfSpyの「JPX 923 FORGED」と「JPX 923 FORGED TOUR」の記事はここからチェックして欲しい。
Leave a Comment