スリクソン「Z-STAR」2023年モデル 重要ポイント
・スリクソン「Z-STAR」、「Z-STAR XV」、「Z-STAR♦(ダイヤモンド)」の2023年モデルが登場
・「Z-STAR XV」は、従来のデュアルコアの4レイヤー(層)からシングルコアの3レイヤー(層)に変更
・二色の「DIVIDE(ディバイド)」もアップデート
・価格は47.99ドル。2月15日発売(アメリカ)
・「DIVIDE」は4月14日発売予定(アメリカ)
※日本での価格は、各¥6,930円(税込)、発売は23年2月10日
※数量限定モデルから定番商品化した「DIVIDE(ディバイド)」の価格は、¥6,930円(税込)、発売は23年2月10日
2023年モデル「Z-STAR」の大部分は、2020年モデルからのわずかな微調整と機能的な強化に留まる。今回革新的な変化は何もないものの、従来よりもさらに良いものになっていると同社は自信を見せている。では、どの程度良くなっているのか?見てみよう。
「Z-STAR」シリーズが好きなら、2023年モデルが更に気に入るはずだ。そうでない場合は、さらに遠ざかってしまうかもしれない。
新「Z-STAR XV」には比較的大きな変化が見られるが、「Z-STAR♦」はわずかな調整に留め(ケプカのため)、スタンダードの「Z-STAR」にはいくつかの改良がされている。そして、これらの改良は“うわべ部分”にある。
一方、アップグレードに関しては“コア”に深く切り込んでいる。
では、その意味を詳しく説明しよう。
「Z-STAR」何が新しい?
USGAによる新たな制限がかかってないことから、2023年に発売されるツアーレベルのゴルフボールは、その主要な特性の1つとして「飛距離」を全面に押し出してくるのではないかと想定できるが、スリクソンはそうではない。
スリクソンは、「Z-STAR」シリーズに最新の『Spin Skin+(スピンスキンプラス)』コーティングを施して、驚きのスピンを実現した。つまり、スリクソンの主要ポイントは「スピン」ということ。先ほど“うわべ部分”と言ったのは正にこれに当たる。さらに、モデル毎に独自の改良、改善、設計の見直しを行い、それぞれに独自の『Fast Layer DG(ファストレイヤーDG)コア』を搭載している。
2023年モデルの最大の改良点は、この「コア」にある。「Z-STAR XV」は、「Z-STAR」シリーズの中でも高コンプレッション、低スピン特性を持つモデルであり、従来のデュアルコア4レイヤー(層)からシングルコア3レイヤーに変更された。
つまり、レイヤー(層)が1つ少なくなったのだ。
これに対して「3ピースのコアでも実質4ピースと同じような機能を発揮する。」と同社プロダクトマネージャー、アメリア・デラザー氏は述べる。「私たちは、柔らかい内側から固い外側へとコアの硬度分布を劇的に変える添加物を開発しました。」
ボールの設計においてはどのメーカーも、多少の差はあれ、内側を柔らかく、外側に行くにつれて徐々に硬くなるように設計するのが一般的。劇的なアイデアではないが、理にかなっている。
柔らかいコアがドライバーで打ったときのスピン量を軽減し、外側に行くにつれて硬くすることで「ボール初速」を促進し、中間レイヤー(層)とカバー間の硬さと柔らかさの比率がアイアンとウェッジのスピンをもたらす。
つまり「Z-STAR XV」で「スピン」が手に入るということ。皮肉なことに、それは 「Z-STAR♦」の本来の役割だったはずなのだが。
「Z-STAR♦(ダイヤモンド)」スピン性能
スリクソンは昨年(22年)、ブルックス・ケプカとの契約の一環として「Z-STAR♦」をリリースした。これは、ケプカを念頭に設計されたボールだった。
ある時までは。
彼が「Z-STAR♦」と「ZX」ドライバーを捨て、タイトリスト「Pro V1x」(2017年モデル)に戻ったのは、全米オープン前、LIVに参加する直前だった。当時、「ボールの特性が完全にケプカに合っていない」として、新しいプロトタイプに彼を取り込むため調整していると同社は語っていた。結果的に、LIV ツアー直後に新「Z-STAR♦」モデルを使っていたため、その調整が上手くいったのだろう。
そこにたどり着くには、「ダイヤモンド」にさらに「スピン」が必要だった。「ダイヤモンド」は「XV」と同じコンプレッション(硬度)「102」)だというが(当社『Ball Lab(ボールラボ)』は「ダイヤモンド」のコンプレッションを「95」、「XV」を「96」と測定)、「ダイヤモンド」のカバーは若干厚めで、モデルに合わせた『ファストレイヤーDG)コア』が搭載されている。
結果として、さらに高スピンの「XV」と比べても、やはり中間モデルと言える。
同社のテストによると、「ダイヤモンド」は「XV」よりも2ヤード飛距離が短いが(ヘッドスピード50.1m/s)、ドライバー、アイアン、グリーン周りのスピンは 「XV」 よりも高いという。実際、ウェッジテストでは最高スピンボールであるスタンダード「Z-STAR」との差は100rpm以内という結果だった。
その「スピン」と言えば・・・
スタンダード「Z-STAR」“スピンドクター”
スタンダードの「Z-STAR」は、ラインナップの中で最も柔らかい、コンプレッション(硬度)は「92」と記されている。『Ball Lab(ボールラボ)』での測定では2019年モデルが「88」で、それでも硬い方に分類される。
また、タイトリスト「Pro V1」 やブリヂストン「Tour B XS」などの中コンプレッションの競合他社よりも、グリーン周りのスピン量が200〜400rpm多い「Z-STAR」ファミリーの中の“スピンマイスター”。さらに、ティーショットでも最大で1.5 ヤード増えると謳っている。
「Z-STAR」は、独自に再設計した『ファストレイヤーDGコア』と、「Z-STAR♦」と同じ厚さのカバーにすることで、高い「スピン性能」と「飛距離性能」を実現している。とはいえ、カバーの“厚み”というとやや語弊がありますが、スリクソンのウレタンカバーは業界最薄の部類に入ります。
「Z-STAR」シリーズは独自の『Spin Skin+(スピンスキンプラス)』コーティングにより、さらなるスピンが得られる。「+(プラス)」は「追加」を表すことが多いが、この場合は「新たな」という意味だ。
「新『Spin Skin+』には最新のウレタン化合物が採用されており、インパクト時の摩擦を増やし、グリーン周りでのスピン量が向上する。」と デラザー氏。さらに、「耐久性」も向上するという。
またスリクソンの特徴である「338スピード・ディンプルパターン」がラインナップ全体で採用されており、風に対しても強い性能を発揮する。その証拠に、強風のトーナメントでは、リーダーボードのトップにスリクソンの契約プロが多く見受けられる。
ヘッドスピードが「40.2m/s」以上には「Z-STAR」を、「47.0m/s」以上のヘッドスピードを持つゴルファーには、低スピンかつコンプレッション「102」の「Z-STAR XV」が推奨されている。また、その高スピン性能により、「ダイヤモンド」はヘッドスピード「40.2m/s」以上の人にも合うという。
「Z-STAR DIVIDE(ディバイド)」
デュアルカラーの「Z-STAR ディバイド」は、「スタンダード」、「XV」モデルともに、ホワイト/イエローの組み合わせで発売される。好みではないかもしれないが、このデザインは確かにボールの追跡が楽だ。
目が悪い方には特に良いかもしれない。
色分けされたカラーでスピンとアライメントの確認がしやすく、チッピングやパッティングの練習に使っているゴルファーも見受けられる。また、性能については、スタンダードの「Z-STAR」との差は特に感じられない。
当面の間、ホワイト/イエローの配色に変わりはないだろうが、別の色が登場する可能性も十分にある。他の色が欲しい場合は、「Q-STAR Tour Divides」に多くの選択肢がある。
価格と販売予定
ゴルフボール市場シェアは、「スリクソン」と「ブリヂストン」がボールシェア4位をかけて競い合っている。「タイトリスト」は誰もが認める王者であり、2位には「キャロウェイ」が追う。
さらに、最近の買収によりボール開発へ注力する「テーラーメイド」は、すぐにはトップに這い上がることは難しいだろう。その中で、スリクソンはついにブリヂストンを抜いて4位に浮上しそうだ。
「スリクソンのゴルフボールをより多くのゴルファーに試してもらえるよう取り組んでいる。『Z-STAR』と『Soft Feel(ソフトフィール)』シリーズは当社のトップセラーだが、『Q-STAR Tour』シリーズも最近の『Divide(ディバイド)』カラーにより売り上げを伸ばしている。」とデラザー氏。
通常、シェアが4位、5位のブランドなど誰も気にしない。しかし、ゴルフボール業界では、差別化のため面白いアイデアやデザインを投入するのは、いわゆる“敗者”であることがよくある。巨大なゴム会社を後ろ盾に持つこのボールメーカーは、業界で戦うだけの“技術力”を確かに持ち合わせている。
新「Z-STAR」ラインナップの価格は、47.99ドル。価格上昇が激しい今の世の中で、新「Pro V1」よりも7ドルも安い。
「Z-STAR」と「Z-STAR XV」は、ピュアホワイトとツアーイエローが揃う。「Z-STAR♦」は、ピュアホワイトのみ。もちろん、「Z-STARディバイド」はホワイト/イエローの配色だ。
「Z-STARS」は2月15日に発売。「Z-STAR Divide」モデルは4月14日に登場する(アメリカ)。
※日本での価格は各¥6,930円(税込)、23年2月10日発売。
Leave a Comment