これまで「ザ・RSMクラシック」がPGAツアーで重要な大会だなんて思ったこともなかったが、(少なくともUSGAに関して言うと)コブラ、PING、PXG、そしてテーラーメイドの2024年新ドライバーが登場するタイミングと重なるということを考えると、この大会がジョージア州で開催される2番目に大切なトーナメントだと急に思えてきた。
というわけで、USGA適合ヘッドリストに何が出てきたかチェックしていこう!
コブラ
コブラは、いつもの典型的な2タイプとは別に、新たに「DARKSPEED(ダークスピード)」3モデルをリストに追加した。過去数シーズンに渡ってコブラをチェックしてきた人なら、特に驚くほどのことでもないだろう。
コブラ「DARKSPEED LS(ダークスピードLS)」ドライバー
ほぼ業界標準になっていることから、「LS」が「Low Spin」という意味だってことは想像つくはず。
USGAの画像を見ると、「3つのウエイトシステム」がアップデートされていて、「低スピン」を求めるゴルファーにとっては「AEROJET LS(エアロジェットLS)」で実現した以上の「寛容性」を高める新しい選択肢となっていることがわかる。
その他のコブラテクノロジー(『PWR-Bridge(パワーブリッジ)』、『PWRSHELL(パワーシェル)』、『H.O.T フェース』)は、USGAの説明に記載されている。
また特に言及されてはないが、「エアロダイナミクス(「AEROJET」の“AERO”)」は現行モデルの主要素になっているだけに、2024年もこれが進化しているはずだ。
コブラ「DARKSPEED X(ダークスピードX)」ドライバー
個人的には「LTDx」がコブラの2022年モデルの中でベストドライバーだっただけに、「X」がなくなって、『アジャスタブルウエイト(調整可能なウエイト)』なしのスタンダードモデルが登場したのはちょっとした驚きだった。
2024年モデルでは、「FLY-Z」でデビューしたコブラの『フリップゾーンウエイト』システムと「X」が「ダークスピードX」で復活する様子。
「ダークスピード LS」同様に、たくさんあるコブラテクノロジーは説明に記載されている。
このモデルは「ダークスピード」シリーズの中で一番人気になるはずだ。
コブラ「DARKSPEED MAX(ダークスピードマックス)」ドライバー
“MAX”は、用品業界が通常、最大MOIを実現していることを表すワードだけに、コブラ「ダークスピード MAX」もそれに当たると考えるのが妥当だ。
“MAX”で不十分なら、USGAの画像で見られるヒールトゥウエイトは「MAX」のデザインでは比較的当たり前だし、これによりゴルファーは、スライス矯正(ヒールバイアス)と重めのウエイトが後部に配置されている時の高MOIによる最大化した「寛容性」のどちらかを選択することができる。
PING(ピン)
PINGの新しいドライバーをUSGAドライバーリストで見るのはちょっと意外、強いて言うなら想定外だ。いつもなら「G430」ドライバーの発売周期というわけでもないし、PINGがおおむね市場を網羅していると思う人もいるだろう。ところが今回は違うようだ。
PING「G430 MAX 10K」ドライバー
USGAに掲載されている写真だと、我々が望むような細かい部分は分からない。
もらった資料によると、このPING「G430 MAX 10K」には注目点が2つあるようだ。
まず、現行モデルに採用されている『アジャスタブルウエイト(調整可能ウエイト)』とは対照的に、リアウエイトが固定式になっているように見える。
2つ目は、USGAによるとクラウンに『CARBONFLY WRAP(カーボンフライラップ)』とプリントされているということ。覚えているかも知れないけど、「カーボンフライ」はこれまでの「G430LST」独自のカーボンクラウンを表すために使われた用語だ。
となると「10K」にはどんな意味があるのだろうか?
最近「Hideoki」(高級紳士服およびカスタムウェアのメーカーである「Hideoki Bespoke」)とコラボしたことを考えると、「10K」とはゴールドの装飾が入っていて価格も1万ドルってことなのかな。それより、固定ウエイト、カーボンブランド、PINGのブランドアイデンティティからすれば、現行の「G430 MAX」を超える最大限の「寛容性」を示している可能性が高い。
また、このモデルが「G430」ということを考えると、現行の「MAX」もラインナップに残るはず。PINGの競合の言葉を借りれば、「10K」は単に“さらなるMAX”ってことなのかもしれない。
PXG
USGA適合ヘッドリスト上でPXGの新ドライバーを判断することは難しい。PXGは以前から同社モデルに(主力の)「0311」、(上級者向けの)「0317」とつけるようにしていたけど、当然、いきなり全てを変える可能性だってある。
「BLACK OPS」がプロトタイプなのか判断が難しい。「0311」シリーズの下につくネーミングなのか?あるいは、多くの人が覚えてもないシャフトブランドなのか?(これは確実)
ともかく、USGA適合ヘッドリストには、「Tour-1」、「Tour-3」などPXG「BLACK OPS」ドライバーが掲載されている。この中で「Tour-2」が何処に行っちゃったのかが一番気になることだ。
PXG「BLACK OPS」ドライバー
PXGで唯一「Tour(ツアー)」の表記がないということは主力シリーズの可能性がある。ソールには「0311」と見えるので、プロトタイプの段階は過ぎているということも予測できるだろう。
スタンダードの「BLACK OPS」は「3つのウエイトシステム」が採用されており、ここ数年のPXGのクラブと同様、ウエイトが極端に(あるいは徹底的に)ヒール側とトゥ側に配置されていることが特徴。
過去のシリーズでは、ウエイト位置によりスピンを抑えつつ極めて高いMOI(慣性モーメント)を維持できるようになっていた。
PXG「BLACK OPS TOUR-1」ドライバー
標準モデルと「BLACK OPS TOUR-1」の一番大きな違いはウエイト位置にある。「BLACK OPS TOUR-1」も「3つのウエイトシステム」が採用されているが、このモデルではヒートとトゥのウエイトがやや中央よりになっている一方で、後方のウエイトはソールから引き上げられた部分の後ろに配置されている。
これにより、浅重心設計でMOI(慣性モーメント)が低くなるとはいえ、低スピンになることが想定できるというのが私の見立てだ。
また、USGAの画像は最終版ではないものの(サイズ感を知るのはいつも困難)、他モデルに比べてヘッドの前後がややコンパクトになっていることは分かる。
現行の「0311」シリーズには、市場で一番の低スピンドライバーと張り合えるようなものはないので、PXGシリーズにも、その分野にチャンスを見出したということなのだろう。
PXG「BLACK OPS TOUR-3」ドライバー
「TOUR-1」と「TOUR-3」の両方が店頭に並ぶことはないだろう(まだ「TOUR-2」の登場に期待)。「TOUR-1」のソールには、「TOUR-3」にはない特徴的な部分がある一方、基本的なテクノロジーは「TOUR-1」と同じ。
お伝えしている通り、USGAの画像だと「TOUR-3」の方がヘッドの前後が長めに設定されているようだが、サイズ感も分からず、「TOUR-3」の方がロフトがついているようにも見えるためその確証も持てない。
テーラーメイド
テーラーメイドにとって、2023年は販売実績と「ステルス2」ドライバーのフェースの両面で不作の年だった。
同社が、カーボンフェースに注力しているとハッキリ言っている以上、同じテクノロジーを継承していると言うのが我々の見立てだけど、2年間に渡る「ステルス」と「ステルス2」の市場投入を経て、テーラーメイドがドライバーで重要視している「カーボン/メタルウッドシリーズ」のブランド再生を図る可能性はある。
テーラーメイド「Qi10 LS」ドライバー
現在、USGA適合ヘッドリストに掲載されているテーラーメイド唯一のこの新ドライバーを見ると、同社が「+/プラス」というネーミングの慣例を捨て、「LS」を選んでいることが分かる。「LS」表記は他メーカーと同じだから分かりやすくなった。
「Qi」の部分にも「10」の部分にも、恐らくネーミングの裏話があることは間違いない。あえて言うなら「LS」は低スピン系の「Qi 10」ドライバーで、まだリストには載っていないが、リストに掲載される際は最低2つ以上の選択肢があることは間違いないだろう。
また、今回の画像を見るとテーラーメイド「Qi10 LS」には、固定式のリアウエイトが搭載されており、同社独自の『スライディング・ヒールトゥ/ドロー-フェード・ウエイト』を採用していることが分かる。
興味深いのは、写真を見る限り『ウエイトトラック』が比較的コンパクトになっているということ。これにより、重心の移動距離が制限されているか、短い移動距離でも同じ結果になるように重めのウエイトが採用されている可能性がありそうだ。
そして、同社のテクノロジーに対するこだわりを明確にするためか、ソールに「CARBONWOOD」と記載されており、このモデルでも『カーボンフェース・テクノロジー』が存在していることが分かる。
おまけ:コストコ
厳密に言うと、このモデルがUSGA適合ヘッドリストに掲載されたのは先週だが、主要モデルとコストコや、それにかわる廉価モデルの両方に対するみなさんの親しみ(個人的にこれらは密接に関係していると思う)を考えると、このモデルを紹介する必要性を感じたというわけ。
カークランド「Signature(シグネチャー)」ドライバー
今回の新作はみなさんお待ちかねと考えた方が良いだろう。ずっとUSGA適合リストに掲載されているアイアンと同様、このドライバーにもリリース日はない。ぶっちゃけ、この商品にすごく期待を抱いているわけじゃないが、ターゲットユーザーも気にしていないとは思う。
USGAの画像を見ると、固定されたリアウエイトがあるだけで、余計なものはないように見える。ドライバーのソールやクラウン、スカート部分にトレンドを散りばめた主力ブランドとは違い、カークランドの製品には特徴的なテクノロジーに欠けている。
リストにあるのはロフト角が一つ(10.5度)だけで、これも変わることはないはず。また、このドライバーにはホーゼル部分の『アジャスタブル機能(調整機能)』こそあるみたいだが、シャフトの選択肢についてはあまり期待できないだろう。
今回の戦略がコスパにあることはほぼ間違いない。もし、コストコが600ドル(約89,000円)を大幅に下回るか価格帯で大手メーカーと遜色ないパフォーマンスを発揮できるのなら御の字ということだ。
乞うご期待?
2024年はびっくりするくらいドライバー豊作の年になりつつあるようだ。ここまで見てきた中で、どれを試してみたいだろうか?
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