ボーケイ「SM10」ウェッジのポイントは以下3つの主要素に集約される。

・ショットバリエーション

・飛距離と弾道のコントロール

・スピンの最大化

ウェッジのパフォーマンスを最適化させるには、これらの要素が絡み合っていることが大切だ。

では、ボーケイ「SM10」ウェッジがこれらの各要素をどのように繋ぎ合わせてきたのか見て行きたいと思う。


多彩なバリエーション

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ウェッジのショットでは、グリーン周りの芝、ラフ、バンカー、そして様々なコンディションから、あらゆる状況に合わせたショットが必要となる。また、それに対して求められるショットは多岐にわたる。

故に、それぞれのゴルファーが最適なウェッジを選択できるようバリエーション豊富な選択肢をメーカーは提供している。

そして、このボーケイ「SM10」ウェッジシリーズは、まさにその多彩な操作性を実現するために多くのオプションがあり、ロフト角46度のPWから62度のLWまでと(この間にもっと多くのバリエーションがある)、十分な選択肢をゴルファーとフィッターに提供しているのだ。

そんなボーケイ「SM10」シリーズは、合計で6種類のグラインド、25種類のロフト角、バウンス角、グラインドの組み合わせで構成されている。

実際、「SM9」の24オプションの内、23はそのまま継承されているのだが、「SM10」シリーズには、2つの新たなスペックが加わり、1つは削られている。


ボーケイ「SM10 54 M」

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ボーケイが、「WedgeWorks」限定で23年7月に発売した54度の「Mグラインド」が、54度の多様性を求めるゴルファーに向けた新たなローバウンスオプションとしてラインナップに投入された。

確かに、このモデルが定番になっていなかったのはちょっと不思議な感じもする。


ボーケイ「SM10 58&60 T」

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MyGolfSpyスタッフお気に入りの「Tグラインド」もついにラインナップに加わる。

これまで、「Tグラインド」は「WedgeWorks」にあったりなかったりという状態だったが、近年のPGAツアーでは定番の“ハイロフト&ローバウンス”の選択肢となるなど人気が高まっている。

いまや「Tグラインド」は、ツアーにおいてロフト角50度、バウンス角12度に次いでリクエストが多いボーケイウェッジとなっている。

理由は簡単。

「やるべきことをやってくれるから」と言うのはボーケイウェッジのレップを務めるアーロン・ディル氏。「最も『寛容性』が高いというわけではないことを除けば、弾道、スピン性能、多様性という点で優れており、セッティングに入れないわけにはいかない」。

無理ゲーだろって思っちゃうけど。ツアーの最先端ではそうなんだろう。


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さようなら「Lグラインド」

ラインナップに余裕を持たせるため、ボーケイのもう一つのローバウンスLWである「Lグラインド」は店舗向けのラインナップから外された。風の噂では「WedgeWorks」では手に入るらしい…。


フィッティングをする隠れた意味

ウェッジフィッティングは複雑な為、関心を持つゴルファーが非常に少ない。ラウンドで想定されるあらゆるショットやグラインドの最適な選択など、他のクラブカテゴリーのフィッティングで考える要素とは全く異なるが、恐らくウェッジフィッティングの一番大切な要素を一言で表すと「コンタクト」だろう。

どんなショットを打とうと、 「最適な結果」 は 「最適なボールへのコンタクト」があってこそ。理解することは難しいかも知れないが、それにはまず「グラインド」が重要となる。

数多くのグラインドの中から自身で最適なものを選ぶとなると、かなり頭が混乱するが、知識が豊富なフィッターにフィッティングをお願いすることで頭を悩ますことなく、あなたに最適なグラインドを見つけ、さらにベストスコアへと導くウェッジを提案してくれる。こんな楽なことはない!


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実際に「SM10」のフィッティングを受けてみると、グラインドを変えたときのフルスイング時の弾道の変化は興味深いし驚きさえある。ロフト角が同じ、シャフトも同じなのに、結果が明らかに違うのだ。

飛ぶぞ?

「グラインド」がグリーン周りでのショットバリエーションを豊富にさせるという話はよくあるが、グラインドはフルスイング時の弾道にも大きな影響を与えている。


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つまり、そういう点では、これまで語られてきたスコアライン、重心位置の変更、スピン、グリーン周りの多様性といったことは、グラウンドが適切じゃなければ全く意味がない。

最適にフィッティングされたウェッジならグラインドが仕事をしてくれるので、余計なことをしなくても最適な打ち出し角とスピン量、そして理想的な弾道と飛距離が得られる。

調整可能な『可変式ウエイト』や『マルチマテリアル(複合素材)構造』と同じというわけではないが、ボーケイ「SM10」シリーズにはほぼ間違いなくあなたに最適なグラインドがある。

「グラインド」はテクノロジーなのだ。


ボーケイ「SM10」ウェッジ – 改良された形状

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「SM10」ウェッジにおいて、ボーケイは文字通りウェッジの形状を改良した。

アイアンの形状は時代とともに進化している。そして、ウェッジは依然としてウェッジのような見た目である必要があるが、時代に合わせて「SM10」の形状を微調整することで、(視覚的に)今時のアイアン形状からシームレス(継ぎ目がない)につながるようになっている。

恐らく気づいているだろうが、PWやGWのロフトはリーディングエッジが真っ直ぐで、SWやLWのロフトだとやや丸みを帯びている。

リーディングエッジが真っ直ぐだと、まぁ断言はしないけど「Tシリーズ」のようなアイアンからの流れがスムーズになる。そして、ハイロフトスペックの丸みを帯びたリーディングエッジにすることで、グリーン周りでフェースを開いてもバランス良く見えるというわけだ。

また、目の肥えた人なら、ボーケイ「SM10」のトゥ部分の形状がやや対照的な形をしていることにも気が付くはず。中でも注目すべきは、トゥの最も先端部分(ヒールから一番遠い部分)が完全に(トゥの)中央にあることだろう。

そして、今回最も重要なことは、初めて同ロフトのボーケイウェッジが“全て同じ形状”になったということ。「54 Mグラインド」は、ホーゼルとリーディングエッジの高さに若干の違いがある以外、54度の「Fグラインド」と見分けがつかない。


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ウェッジの形状を変えたからといって、少なくとも従来の意味でパフォーマンスが向上するとは限らないが、パフォーマンスへの影響がないというわけでもない。改良の理由は、フィッティングの場におけるウェッジの見た目に対する意識を取り除くためなのだ。

「フィッティングで数あるモデルを試打する中、みんながそのヘッド形状の違いを気にしてしまう」と言うのはアーロン・ディル氏。「きっと『このウェッジは見た目がちょっと違う』と言うだろうけど、これはよろしくない。58度か60度のウェッジを渡してロフトの違いしか分からないようにしなければならない。形状やオフセットの違いなどあってはならないし、番手間の差はシンプルであるべきだ」。

クラインドを変更して何か違和感を持ったことがある人なら、これがなぜ大切なのか理解しているはず。「Tグラインド」が発売される数年前、私は58度の「Dグラインド」からローバウンスの「Kグラインド」に変えたが、その時「Kグラインド」には何か違和感を持ち、全然気分良く使うことができなかった。

今回の「SM10」では、その形状が全て一定しているということで、ゴルファーは見た目よりも適切なグラインドを見つけることに集中できるようになるはずだ。


飛距離と弾道コントロール

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我々が挙げたリストの2番目となるのが“飛距離のコントロール”、拡大解釈すれば“弾道のコントロール”だ。

ボーケイが、番手別の重心設計を施していることはお馴染みのこと。具体的に言うと、ロフト角が大きくなるにつれ重心も高くなっている。

理想的な重心位置は常に変動するが、ボーケイでは新モデルのたびに理論的に最適な位置に重心を配置するようにしている。例えば「SM8」では重心を最も浅くしたし、「SM9」では過去最高の重心高にした。

そして「SM10」では、両者間の違いを分け合っている。

さらにボーケイは「SM10」でドローバイアス加減を少なくした。また「SM9」ではオフセットを採用。「SM10」では重心を「実際のフェースの真ん中」に近づけている。

これでもまだヒールバイアスだが、これはタイトリストのキャビティバックとマッスルバックだけでなく「T100」アイアンにも対応するためだ。

ボーケイのテストによると、重心がややヒール側にあることで「安定性」、「打感」が向上し、ツアープレーヤーが求める最高のパフォーマンスを発揮するウェッジになったようだ。


こうした重心の話の全てが意味すること

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どういうこと?(と疑問に思うかも)

理解し難い人もいるだろうが、我々が伝えたいのはウェッジの弾道は“低く、フラットに、でも十分なスピンがかかっているべき”だと言うこと。

ウェッジフィッティングを受けたことがない人は、多分、これがどんなことか分からないかも知れない。

「適切な打ち出し角、スピン、弾道、飛距離のコントロール、そしてボールの着地点までがどんな感じかある程度のイメージができなければ、不安を感じるかも知れない」とディル氏。「本当のところは、これが『Pro V1』がどのくらい飛ぶのかを管理する最善策となっている」。

確かにボールの誇大広告のようだが、根本的なことが大切なのでスルーしておこう。

数字に置き換えた場合、ボーケイのチームによると、目安としては「ウェッジのロフト角を2で割って2度引いた打ち出し角」が理想とのこと。つまり54度のウェッジなら最適な打ち出し角は25度前後というわけだ。

繰り返しになるけど…もしウェッジショットの打ち出し角が25度になったことがなければ、本当か?と感じるだろうし、間違っているとすら思うかも知れないが、これが真実。目指すべき理想だ。


スピンの最大化

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3つ目、そして最後のポイントとなるのが最大スピンだ。アマチュアの大好物。

多くの方が以前から思っている通り、ボーケイのスピンについてはスピンミルド加工されたグルーブ(溝)が根っこにある。他モデルと同様にボーケイでも、クラブのロフトによってグルーブ形状を変更。46度から54度のウェッジは、より狭くて深い溝が採用されており、ハイロフトのモデルではショートアプローチでしっかり止まるように幅広で浅い溝を特徴としている。

「SM10」においては、スピンミーリングの作業精度が向上。つまり、公差が小さくなったので溝の仕様をルール限界にまで近づけることが可能になっている。

ゴルファーにとっては、さらにスピンがかかるようになったというわけだ。

グリーン周りのスピンは、溝の間にある『マイクロテクスチャー(実際は小さな溝)』によってさらに向上する。明確にしておきたいのは、これは2〜300回で摩耗してしまうスプレー式のものではないということ。ウェッジを使っている間は、メリットを享受できる永続的な機能となっている。


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また、ボーケイではウェッジの仕上げによって溝の形状を変えていることも特筆すべきことだ。全ての仕上げが同じではないため、仕上げごとに調整しないと、ウェッジのパフォーマンスが異なることになる。

誰だってそんなの嫌だろうし、もちろんボーケイ氏だって望んでいない。

さらにボーケイでは、製造工程の一環として溝の寿命を長くするために熱処理も施している。

最後になるが、全てのウェッジは溝が鋭いことを確認し、不良品が店頭に並ばないように全数検品されている。期待通りの性能を発揮できないウェッジを買ってもらうより、切削砥石を交換した方がマシと考えているのだろう。


ボーケイ「SM10」の仕上げについて

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(実際そんなに時間は経っていないけど)私が覚えている限りでは、ボーケイウェッジには仕上げが3つあり、「SM10」でもボーケイウェッジ定番のツアークロームとジェットブラックは継続している。

そして新規で追加となったのがボーケイ曰く、「ニッケル」仕上げだ。

正直、これはどうかと思う。まず、もう一つの仕上げがベストな仕上げとして知られている“ジェットブルー”ではなかったということ。また、どうしてタイトリストが私のNPGパートナーであるクリス・“ニッケル”の名前をつけたのかは不明だが、不公平なことは確かだ。

(トニー・“スレートブルー”に改名してどうなるか試してみようかな)


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ぶっちゃけ、もしボーケイのチームに新しい仕上げをスレートグレーとする先見の明があれば、これ以上のことはない。

新仕上げのニッケルは、ツアークロームとジェットブラックの中間のような、ボーケイが望むポジションに収まるもので、個人的には、以前のブラッシュドスチール(艶消しスチール)より大きく改善されている。小さいことだけど、耐久性もアップしており、指紋も全然つかない(写真撮影する時に大切)。

また「ノーメッキ」はカスタムで手に入れることが可能だ。


ボーケイ「SM10」のカスタムオプション、価格、発売時期

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ボーケイ「SM10」のカスタムオプションは以下の通りとなっている。

・刻印<10文字、フリースタイルスタンプ、トゥ周りに15文字と10文字で2行>

・ロフト、バウンスとグラインドマーク、BV Wingロゴのカラー

・6種類のトゥ部分の刻印

・ハンドグラインドによるグラインドのカスタマイズ

・ボーケイ“WedgeWorks”フライトライン

小売価格は189ドル。

※日本での発売価格は、1本¥27,500(税込)で3月8日発売

ボーケイ「SM10」ウェッジのフィッティングは2月15日からスタート。店頭販売は3月8日からとなっている。

追記:3月まで待てないなら「SM9」が150ドルで発売中だ。


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Q&A

ボーケイ「SM10」ウェッジはどこでフィッティングできるのか?

お近くのフィッターを見つけるのならボーケイのウェブサイトをチェックするのが最適だ。近くにフィッターがいない、あるいはセルフフィッティングしたければ、我々のフィッティングガイドが最適なウェッジが役に立つだろう。


どのくらいの頻度でウェッジを交換するべきか?

ボーケイの経験則だと75ラウンド後だ。これはおおよその平均なので、これを基準にすること。実際のところほとんどのゴルファーは、本来あるべきよりもウェッジを交換していない。

チーム・タイトリストのメンバーの50%がボーケイウェッジ使用者だが、その半分は未だに「SM7」かそれ以前のウェッジを使っている。

また、通常はSWとLWを頻繁に交換する必要があるが(バンカーショットが多いならもっと頻繁は高くなる) 、正直なところGWはそこまで問題ないだろう。

一番言えることは、グリップ交換はするなということ。グリップ交換が必要なら、それが新しいウェッジにするタイミングだ。


新しいウェッジは、なぜ「SMX」ではなく「SM10」なのか?

「X」 の方が面白かったかもって言いたいんでしょ? 私が聞いたところでは、議論もあったようだがボーケイは米国ブランドなのでローマ数字にする理由がないということなのだろう。


「Tグラインド」を買うべきか?

使いこなせればね。

「Tグラインド」は易しいと言えないが(ローバウンスで突っかかる傾向がある)、タイトなライや悪いライ、そして総合的なショットバリエーションを考えるとこれ以上の選択肢はない。ツアーで人気が出たのには理由があるのだ。