コブラが新たに発売した2025年モデル「KING Tecアイアン」は、一見すると普通のアイアンリリースに思えるが、注目すべき進化がある。想定通り、飛距離アップ、より高い弾道、初速性能の向上、そして操作性の改善を実現している。

新たなカテゴリーの誕生か?それとも既存カテゴリーに新しい分野が生まれるのか?このリリースには、その兆しが感じられるのか否か?


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まあ、最悪の場合、独自路線を行くアイアンとして新たなネーミングをつけて、マーケティングチームが色付けするだけになるかも知れないけどね。

どちらにしても大切なことは、「競技志向派向け“お助け”」アイアンへの準備は良いか?ということ。

ではいってみよう!


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「上級者向けの中級者向け」とは?

コブラは、この新しい「KING Tec」アイアンシリーズを「『競技志向者向け“飛び系”』と『競技志向者向け“スコア改善型”』アイアンの定義を再定義する」鼻息荒く謳っている。

しかし、この『競技志向者向け“スコア改善型”』という表現は初耳な気がする。

だが、今回のコブラで注目すべきはまさにその点かもしれない。新アイアン3モデルは、2022年の「KING Tec」シリーズからアップデートされたものだ。ラインナップはスタンダードの「KING Tec」、「KING Tec-X」、そして「KING Tec」ワンレングスの改良版だが、やはり気になるのは『競技志向派向け“スコア改善型”』という新しいカテゴライズだ。


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キャロウェイの初代「APEX」が登場する前は、「上級者向け飛び系」アイアンなど存在しなかった。あったのは「ブレード」、「キャビティバック」、「初・中級者(スコア改善型)向け」、そして「初心者から中級者までの(超スコア改善型)」アイアンだった。

しかし、各メーカーが非常に薄くてたわむフェースを持つ中空ボディアイアンを生み出すことがブームになってくると、上級者が好むような、まるでロケットランチャーのようなアイアンを各社が製造するようになった。

これが「上級者向け飛び系」アイアンの誕生だった。上級者は、「初・中級者向け」アイアンより、ヘッドがコンパクトでトップラインも薄くオフセットが小さいアイアンを好むが、鍛造キャビティバックよりも「寛容性」が大きくて、「ボール初速」を向上させるテクノロジーを搭載しているという事実は、当然ながら受け入れられた。

そして、このカテゴリーが成長するにつれ、「上級者向け」から「初・中級者向け」までを幅広く網羅する「上級者向け“飛び系”」が出てくるようになった。

今回のコブラの「KING Tec」は「上級者向け」で、「KING Tec-X」はヘッドが大きくて「寛容性」も高く、「中級者向け」カテゴリーに近いモデルとなっている。


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もしあなたがマーケティング部門にいるなら、パッと頭に思い浮かぶことがあるはずだ。


コブラ「KING Tec」:『競技志向者向け“飛び系”』

コブラによると、今回の「KING Tec」は “もう少し飛距離が欲しい”というハンディが0から12までのゴルファー向けにデザインされているという。

コブラは、2025年モデルの「KING Tec」を、こうしたプレーヤーにとって見た目に魅力的なクラブに仕立て上げることにまんまと成功した。ブレード長は短くなり、トップラインはゆるやかに、そしてさらに大切なことは、PWが(10番アイアンではなく)ウェッジっぽくなっている。


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ボディは鍛造で(詳細は後ほど)、フェースはコブラが『H.O.T.フェース』と組み合わせた『PWRSHELL(パワーシェル)』と呼ぶテクノロジーを採用。これは、オフセンターヒットでもボール初速が一定になるフェースの肉厚を部分的に変化された『バイアブル・フェース・シックネス(可変厚フェース)』の「L字カップ構造」のこと。

コブラによると、新フェースは2022年モデルよりも薄肉化されていて、たわみが大きく、中空ボディ内部にある『マイクロスフィア・フォーム』により「打音」と「打感」が向上しているという。


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そしてコブラ「KING Tec」アイアンには、「寛容性」と「ボール初速」を向上させるために4番から7番アイアンにかけて、20gのタングステンウエイトをできる限り低い部分に配置。

可能な限り低重心にすることで、長めのアイアンでもボールが上がりやすくなり、インパクト時のねじれを抑えスピン量が少なくなるが、これに7番アイアンで29.5度というロフト角を基準としたロフト構成をプラスすることで、「ボール初速」と「飛距離」の向上を実現しているわけだ。

一方、8番アイアンからGWまではタングステンウエイトが搭載されていない。スコアリングアイアンでは、高重心の方がスピン量も増え、低弾道になり「正確性」がアップするからだ。


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スタンダードの「KING Tec」アイアンは4番からPWまでの7本セットで1,299ドル。純正シャフトは「KBS $ Taper Lite」で、グリップはラムキン「Crossline」が装着されている。右打ち用は店舗で手に入るが、レフティモデルはカスタムオーダー対応となっている。


※日本発売モデルは、5本セット(6I-PW) ¥148,500(税込) 単品(4I / 5I / GW) ¥29,700(税込)

シャフトは日本シャフト社製 N.S.PRO「MODUS³ TOUR 105 S」でグリップはラムキン社製クロスラインブラック60R(50g)。現在発売中。


コブラ「KING Tec-X」:王者の進化

コブラの「KING Tec-X」は、2024年『競技志向者(上級者)向け“飛び系”アイアンテスト』で総合2位となった。発売から3年目、そして製品サイクル最終年のアイアンとしては悪くない結果だろう。このアイアンは、総合2位となっただけでなくテストで一番飛距離が出るアイアンにもなったのだ。

つまりコブラを舐めんなよ、ということ。


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「KING Tec-X」は「競技志向者(上級者)向け“飛び系”」の中では「中級者向け」寄りなので、コブラが『競技志向者向け“スコア改善型”』とネーミングしたくなるのも納得できる。

それどころか、浸透する可能性もある。

「KING Tec-X」はスタンダードの「KING Tec」と比べてヘッドが大きく、より丸みを帯びた形状をしている。2022年モデルに比べると、トップラインが洗練され、オフセットも控えめだがオフセットがあるということは分かる。そしてコブラによると「KING Tec-X」は、ハンディ10から20を対象にしているようだ。


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内部に搭載されたテクノロジーの殆どは、新しい「KING Tec」と同じだが大きく違うことが一つある。

「KING Tec-X」には中空ボディの底部に70グラムものタングステンが搭載されており、これが想像通りの働きをしている。重心が非常に低くなっており、安定性が向上し、ボールが低スピンで上がりやすくなっている他、ボール初速も向上するのだ

スタンダードの「KING Tec」と同じく、タングステンウエイトが採用されているのは4番から7番アイアンまで。

ロフト構造は「上級者向け飛び系」というよりは「中級者向け」寄りで、7番アイアンでロフト角27度となっている。これに薄い「L字型カップフェース」、「可変厚フェース」、そして超低重が組み合わさっていることで、大ブレークする要素を秘めている。


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「KING Tec-X」は、「KING Tec」と同様、7本セット(5番からGWのスタンダードセット)で1,299ドル。純正シャフトはKBS「Tour Lite」、グリップはラムキン「Crossline」が装着されている。なお、こちらもレフティモデルはカスタムオーダーのみ対応している。


※日本発売モデルは、5本セット(6I-PW) ¥148,500(税込) 単品(4I / 5I / GW) ¥29,700(税込)

シャフトはトゥルーテンパー社製「エレベートMPH95」でグリップはラムキン社製クロスラインブラック60R (50g)。現在発売中。


コブラ「KING Tec-X」ワンレングス

ブライソン・デシャンボーとコブラが袂を分けて数年経つが、ワンレングスは今でもコブラのアイアン事業で欠かせない存在だ。同社によると、2017年の発売以来55,000セットものワンレングスアイアンセットを販売しており、アイアンシリーズにもよるが売上の20〜30%を占めていると推測される。

コブラのR&Dバイスプレジデントのトム・オルサブスキー氏によれば「シングルハンディじゃないなら、ワンレングスアイアンでもっと良いプレーができるはず」らしい。


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2025年のコブラ「KING Tec-X」ワンレングスアイアンは、スタンダードの「KING Tec-X」とほぼ同じだが、全く同じというわけではない。最大の相違点は4番から6番アイアンで、ソールが幅広になっておりさらなる低重心を実現している。また、オフセットも大きくなっている他、番手間の飛距離を均一にするためロフトもウィークな設定になっている。

なおコブラ「KING Tec-X」ワンレングスアイアンも他のラインナップと同様、5番からGWまでの7本セットで1,299ドル。純正シャフトはKBS「Tour Lite」、グリップはラムキン「Crossline」が装着されている。またレフティモデルはカスタムオーダーとなっている。


※日本でのワンレングスモデルの発売はなし。


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鍛造の工程について…

コブラがアイアンを鍛造するということは、まさにアイアンを鍛造していることを指す。同社は、他の多くの鍛造工程よりも一つ多い5段階の鍛造工程を売りにしているのだ。

最初の3工程は通常の鍛造と同じ。カーボンスチールの鋼片を約1,204℃まで熱し、クラブヘッドのおおまかな形状になるまで打ち出す。

4つ目の工程では、ヘッドを約816℃まで冷却し、1,200トンの圧力をかけてヘッド形状を整えデザインやロゴを刻印。最後の第5工程では、ヘッドが649℃まで冷却された状態で、さらに2,000トンの圧力をかけ、カーボンスチールの均一な結晶粒構造を生み出している。


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コブラ「KING Tec」シリーズの全モデルは、この5段階の鍛造工程の「1025カーボンスチール」鍛造ボディが特徴。また、極薄で柔軟性のあるフェースも鍛造で、ゴルフクラブによく採用されているマレージング鋼が使われている。

それぞれのコブラ「KING Tec」アイアンには、ホーゼルに「Forged」という刻印がある。「アイアンのボディだけが従来の鍛造な場合、『Forged』と呼ぶのは腹黒いのだろうか?」といえば、それはみなさんの胸先三寸次第。各メーカーはこの質問を回避するためにフェースも「フォージド」と呼ぶことにしているのだ。

とにかく、マルチピース中空ボディの『競技志向者(上級者)向け“飛び系”』アイアンには“飛距離アップの秘訣”がある。それは、ボディで囲まれた柔軟度の高い「超薄型スチールフェース」のこと。理論上は、このボディを鍛造にすることでさらなる強度を実現し、柔軟性もサポートしている。これで「1025鍛造」のできあがり。


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何かの役にはたつはずだ。

詳細はコブラのウェブサイトで。