1インチとは、本当に1インチだろうか?そうだと思うのが普通だが、答えはノーだ。
ゴルフ業界では、1インチは正確な1インチではない。もっと言えば、角度の1°も正確な1°ではない。9.5°のロフト角、これはさすがに固定値ではないか?そう思うかもしれないが、過去には、9.5°といえば、9°から11°までを意味したこともある。ゴルフ以外の世界で絶対とされている数値の測定精度は、ゴルフ業界では度々、あまり参考にならない。
スペック表を見れば分かることもあるが、安定的かつ正確に計測するまで、自分がどんなスペックのクラブを振っているのかを正しく知るのは難しい。
ツールが多いほど、データも多い
昨年、MyGolfSpyはゴルフ用品測定機器において業界トップの、Golf Mechanixとパートナーシップを結んだ。
新しい測定機器、Digital Swing Weight Scale(デジタルスウィングウェイト)やLie&Loft Gauge(ライ&ロフトゲージ)、USGA Standard Rular(USGAスタンダードルーラー)を使って、テストクラブをもっと詳細に調べることができるようになった。
テスト範囲を拡大し続けるにあたり、表示スペックや実際のスペックと、パフォーマンスにおける効果の相関性をより理解する必要性が出てきた。
データ
下の表は、2017 MOST WANTED(最も欲しいドライバーテスト)で対象になったドライバーを測定した値である。信憑性を図るため、私達のテストで測定された値とメーカーが提供する規定スペックの両方を表示した。
データに触れる前に、いくつか考察すべき点がある。
・どのメーカーにも、許容誤差はある。クラブは以前よりは設計書に近づけて造られるようになってはいるが、メーカーはロフトやライ角において0.5°もしくはそれ以上、ヘッド重量では数グラムの余地を残して製造する。
・規格上のロフトと実際のロフトの違いは、しばしば意図的に作られる。虚栄のロフト(クラブに表示される値より大きめのロフトで製造すること)は、本来より小さいロフト角でプレーしたいというゴルファーによくある自意識を回避する目的で意図的に行われている。
・ほとんどの場合、スペックとクラブ長は各メーカーがどのように計測するかによって変わる。一部のメーカーは、USGA-standard 60°rulersを使用しているが、使用しないメーカーもある。また、グリップを装着する前に測定する会社もあれば、ソールからグリップの先端まで測る会社もある。実際、どのように仕上がり45.5インチのドライバーの長さを計測すべきか、といった基準に関する協定は存在しない。
注意:
*AirForceOneとSMTはスウィングウェートを明確にしていない。
*接着材で設置されたホーゼルを特徴とするヘッドに関しては、ヘッドと別々に測定していない。
*シャフトは1/8インチ単位まで測定されている。
*SMT 455F(C SwingWight)以外の全てのスウィングウェートはDの範囲である。
考察
・ヘッドの平均重量は197.4gだった。
-テーラーメイド M2 2017年モデル(~185.5g)は、測定した中で最も軽量。
-10.5°Wilson FG Tour F5が、204.4gで最も重かった。
・ドライバーの平均クラブ全長は45.51インチであったが、短めのものでも45.47インチであった。
-Callaway Epic Sub ZeroDriverは、スペックより丁度0.5インチ長かった。
-Air Force One Driver は、スペックより0.5インチ短く、Cobra F7+は、ほぼスペックに比例している。
・最も長いドライバー(46インチ):Wilson D300 (2), PING G LS Tec (2), PING G SF Tec (1), TaylorMade M2 '17 (2), Callaway EPIC Sub Zero (2)
・最も短いドライバー(45インチ):Srixon Z765, Z565, Mizuno JPX 900, Cobra F7+, AFO DFX and DFX Tour
・MtGolfSpyの測定から分かるとおり、虚栄のロフト角との差はそれほどない。平均規格ロフトが、9.91°で、一方平均測定ロフトは、9.92°だ。
・スウィング重量測定は、スペック表から大きく逸脱している。
-平均規格スウィングウェイトはD3.29で、平均測定スウィングウェイトは、D3.66だった。
-ほぼ全てのスウィングウェイトは規格より重い。
・Mizuno JPX-900は最も規格から外れている。1.8スウィングウェイトも重い。
-スウィングウェイトに影響を与える多くの要因は、各部分をつなげるヘッドや、チップアダプター、シャフト、グリップ、グル―やエポキシ―にあり、各種が異なるため生じると言われる。
ゴルファーにとっての意味
実際の差異と、これらがどうプレーに影響するのかを理解することは大変重要である。全テスト平均を見ると、差異は最小限に留まっているが、個々の値を見ると、これらは明らかにパフォーマンスにおける差を生んでいる。残念なことに、何が示されようとも正しい答えはない。全てのゴルファーにぴったり合う長さ、ロフト角、スウィングウェイトはないのだ。私たちは、程度の差こそあれ、みんな違う。自分のスウィングの特徴に合った変数の組み合わせを見つけられれば、それが一番の結果を生むのだ。
使用ツール
この記事の測定のため、GolfMechanixから以下のツールを使用した。
• Auditor Professional Digital Swing Weight Scale
• Auditor Ultimate Digital Lie & Loft Measuring Gauge
• Deep Throat Club Length Ruler with Lie Angle Gauge
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