1999年、テ-ラーメイドは最初のレスキューを発売した。 市場初のハイブリッド(ユーティリティー)ではなかったが爆発的な人気を集め、以後レスキューは多くのゴルファーにとってハイブリッドの代名詞になった。ドライバーを「ビッグバーサ」とは呼ばないが、ハイブリッドを「レスキュー」と呼ぶようになったのだ。 テ-ラーメイドがハイブリッドカテゴリーに与えた影響の大きさがわかるだろう。
しかし、それは昔の話だ。 テ-ラーメイドが今回のGAPRで「二匹目のどじょう」を捕まえられるとは思えない。
GAPRはアイアンとウッドの間を埋めるクラブだ。 ご存知の通り、このカテゴリーにもたくさんの選択肢がある。 GAPRの知名度は、RocketBallz(大ヒット)やJetspeed(大惨事)のレベルには及ばないかも知れない。では、なぜ「Rescue」は有名になったのだろうか?
マーケティングは別として、ハイブリッドは現代のセッティングに欠かせないクラブになっている。
現代のゴルフボールでは、伝統的なロングアイアンを使用すべきゴルファーはそう多くはないだろう。 またシャフトが長く、ボールがやたらと高く上がる7番や9番ウッドのようなクラブは、ヘッドスピードが遅めのゴルファーに敬遠されがちだ。 ハイブリッドとドライビングアイアンはこのすき間を埋めるために造られたのだが、それぞれに問題を抱えている。
力自慢でボールを強く叩けないなら、ドライビングアイアンを使うのは難しい。ハイブリッドの設置面積は大きくなってきていて、サイズの面でフェアウェイウッドの領域を侵害している。はっきり言って、「楽に使える多目的クラブ」というハイブリッドの本来の目的から大きく乖離しているのだ。
さらに上級者がこれらのクラブでフックボールを打たないように相当な努力をしていることを考えると、このカテゴリーはまだ発展途上と言わざるを得ない。
GAPRは、あなたが使える一番長いアイアンと一番短いウッドのギャップを埋めることを目的に作られている。このアイデアは、長年にわたるタイトリストのフィッティング哲学の要素を拝借している。 テーラーメイドは異論を唱えるだろうが、これは決して新しいアイデアではない。とはいえ、テーラーメイドはこの3モデルでフィッティングの幅を広げることになるだろう。
テーラーメイドは、GAPRがゴルファーを惹きつける要素として「スピードフォーム(フェースの反発力を落とさず打感や打音を向上させる充填剤)」を挙げているが、これは PXGと係争している理由の1つでもある。 スピードフォームはボールスピードを上げ、振動を減らし、打感はソリッドになる。P790を打った人なら、わかるはずだ。
GAPRには3モデルがあり、それぞれの量は違うがスピードフォームを採用している。 3モデルとも450ステンレススチールボディとC300スチールフェイスで構成されていて、スピードスロット(ソールにある溝)とロフト調整可能なホーゼル、KBSグラファイトハイブリッドシャフトとゴルフプライドのツアーベルベット360グリップを装着している。
アクアマリンをアクセントカラーにしているが、全く同じでないとはいえ、キャロウェイのエピック、ローグを連想させる配色で、フォントまで似ている。 BMWのMシリーズのようなM3/M4とは全く違うデザインであり、偶然の一致ではないはずだ。
テーラーメイドはキャロウェイの成功を利用しているのだろうか?それとも最大のライバルを積極的に真似ているのだろうか? どちらにしても、今回テーラーメイドはこれまでのやり方に固執するのでなく、トレンドに従うということなのだろう。
GAPR LO
全英オープンに向けてGAPR LOが数名のプロに支給された。 GAPR LOは、オフセットが少ないドライビングアイアンで、P790 UDIより少し大きく、TP UDIと同じくらいのサイズで、ターゲットは上級者だ。
タイガー・ウッズとダスティン・ジョンソンは、カーヌスティ(2018年の全英オープン開催コース)でGAPR LOをテストしている。 ツアーではホーゼルが固定されたタイプが使われていたが、市販モデルのホーゼルは調整可能、ロフトは17°、19°、22だ。
GAPR MID
GAPR MIDは、より大きなアイアン型のハイブリッドだ。 ピンのCrossoverを想像してもらえればわかるだろう。 幅の広いソール、超低重心、調節可能な小さなウェイトがデザインの特徴だ。 ヘッド内部に贅沢に装填されたスピードフォームも忘れてはいけない。 ロフトは 18°、21°、24°の3種類が用意されている。
GAPR HI
最後はGAPR HIだ。 テーラーメイドが「現代のRescue」と呼ぶ形状が特徴で、 極端に低く、深い重心設計が高い打ち出しと低スピンを生み出し、あなたに必要な最大距離を生み出す。
重心位置を低くするために、テーラーメイドはスピードフォームを改良する必要があった。これまでのスピードフォームでは重心位置が上がり、インパクトでのフィーリングに悪影響を及ぼしてしまうからだ。
珍しい階段状のクラウンは、重心をさらに低くするのに役立っている。 このデザインは、ヨネックス Tri-PrincipleとElement 23ハイブリッドを彷彿させる。ロフトは19°、22°、25°、28°の4種類だ。
アダムスゴルフのDNAを継承?
GAPRシリーズの好材料は、MIDとHIの形状が今では機能していないアダムスゴルフによって設計された可能性があることを匂わせている点だ。 ハイブリッドを専門とするアダムスゴルフは、正式なハイブリッドセットを作った最初のメーカーの1つで、GAPR MIDは2013年のTech OS V3のミッドアイアンから形状のヒントを多く得ている。製品の進化が止まっているという意味ではないが、共通のDNAがGAPR MIDに受け継がれているのは確かだ。
「GAPRは必要だろうか?」という意見が出るのも無理はない。 テーラーメイドがM3/M4 のレスキューをリリースしたのは今年の初めで、まだ日が浅い。 P790 UDIもまだ比較的新しい。
投資家にアピールするために売上を増やす必要がある中で、テーラーメイドはニーズがあるから新しいカテゴリーを作ろうとしているのか、あるいはそのニーズを売上を増やすための口実にしているだけだろうか?
GAPRは儲け筋商品になる素質がある。 シーズン半ばに目新しいトピックで顧客にアピールしたい小売店のニーズにもマッチすることを考えると、おそらく後者なのだろう。
松田一人
6年 ago最新の情報がキャッチアップでき、興味ある内容である。