メーカーが新商品を発売するとき、情報解禁日までは全面的に情報規制がかかる。
ところが、最近では販売戦略も進化し、消費者をじらして興味を持たせようとするメーカーもある。それが、最近のテーラーメイドのやり方だ。
テーラーメイドの新モデルSpider Xパターは、今年に入ってからツアーで目にするようになった。あえて他社のリリースと時期をずらして、新製品のウッドやアイアン、ボールなどに埋もれないようにタイミングを計っているのだろう。
新しいSpider Xは、これまでのモデルと何が違うのだろうか。
10年の歴史を通じて、Spiderパターの基本的なデザインは大きく変わっていない。
カラーバリエーションは、ホワイトやシルバー、ブラック、最近ではレッドも加わったがヘッド形状は基本的に同じという賢い戦略だ。
その結果、Spiderパターは最も認知度の高いパターの一つとなり、誰もが一目でテーラーメイドのパターだとわかるモデルに成長した。
設計を大幅に変更したわけではないが、Spider Xは新しいデザインとともに、カッパーとネイビーの2色が新たに加わった。ネイビーは完全に新色で、カッパーはキャロウェイのローズゴールドに似た色だ。
Spiderパターの特徴は、慣性モーメントを上げる後方の大きな「ウィング」だ。好みが分かれるところだが、Spiderは初代モデルからヘッドの大きさが特徴だった。
新Spider Xのヘッドは少し小さめで、ウィングの大きさも前モデルほどではない。
ツアープロ、特にローリー・マキロイが小さめのヘッドを望んだようだが、テーラーメイドはオリジナルモデルの性能に影響を与えない範囲でしか改良しようとしなかった。
合成コア
新しいSpider Xはオリジナルモデルより5%小さいが、MOI値は変わらない。
いったいどうやってそれを実現したのだろうか。その答えは、「合成コア」だ。このコアによって、ちょうど15gの重量をヘッドの中心から周辺部分に移動することができた。
旧Spiderパターが総重量の30%だったのに対し、新モデルは総重量の36%(旧モデルは30%)が周辺部分に配置されている。ウィングは小さくなったが、打感を微調整する可変式ウェイト(2g、6g、12g)が採用され、新たな特徴となった。
インサートの改良
テーラーメイドは、今回もフェースインサートを改良した。いち早くパターにグルーブ技術を取り入れたのは、テーラーメイドだった。
サーリン素材(ツーピースボールのカバーに使われる素材で耐久性に優れる)のホワイトインサートは、溝を5mm深くに削ることで非常に軟らかい打感になった。これもツアープロの意見を反映しているという。
アライメントには、独自の「トゥルー・パス・アライメント」を採用している。テーラーメイドの内部テストによると、12フィート以上のパットの66%が視差効果でトゥ寄りにボールが当たるという。
そのため、Spider Xでは正しいアライメントを重視した。最も分かりやすいのが、リーディングエッジから後方に向かって引かれた1本の黒いアライメントラインだ。
このラインは、後方まで伸びる白いアライメントエリアの中に引かれている。テーラーメイドによると、これらの「角度」がボールを正しい位置にセットするのに役立つという。
不思議なことに、カッパー/ホワイトモデルにはフェースバランスタイプのネックオプションしかない。他のモデルには、スラントモデルもある。
確かにスラントネックのマレットパターは最近人気があるが、フェースバランスネックのマレットパターを凌駕する勢いでもない(パターフィッティングのデータがそう示したとしてもだ)。
ブレークスルーゴルフテクノロジーとオデッセイがグラファイトパターシャフトを共同開発したが、テーラーメイドはKBSと協力して、新Spider X専用のCT Tourパターシャフトを開発した。
このシャフトは重さが120gでスタビライザーが内蔵されているのが特徴であり、KBSが開発した中で最も硬く、最もしっかりしたスチールパターシャフトだ。
最近のパターヘッドは大きて重いため、しっかりしたシャフトが余分なねじれを抑え、パットを安定させるのだ。
飾りとしてではなく、テクノロジーに惚れ込んでパターを買うゴルファーのほうが多いと思う。
この新モデルはSpiderにしては大きな変化だが、「真の改革」というより「進化」に留まると言わざるを得ない。
パターは進化しにくいクラブであり、その点は最近のiPhoneと変わらない。(偶然にも、どちらも「X」が付いている)。
価格と販売予定
テーラーメイドSpider Xパターの価格は349.99ドルで、シャフトはKBS C-Taperだ。2月15日に発売される。
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