多くのゴルフ用品メーカーは、女性ゴルファーへのアプローチがあまり得意ではない。
よくあるのは、「勘違いしたレディーファースト」を決め込んでしまっているケースだ。
特に、本気でレディースクラブに取り組んでいるメーカーほど、その傾向が強いように思う。
女性ゴルファーと話をしたり、用品テストをしてきた経験で、1人のゴルファーとして女性と接し、パフォーマンスや最新クラブが彼女たちのゴルフにどうプラスになるのかを説明する中で、色についてすごく気にするという女性は、ごく少数だった。
つまり、どんなゴルファーにも性能で売り込むことはそんな難しくはないはずだ。女性も男性のようにとてもコース上では競争心が強いということ。
思うに、女性ゴルファーに向けたゴルフクラブを製造することに関して、現在のところピン以上のメーカーは存在しない。
デザインに多少の難があったりピンクが使われていることは変わらないが、デザインはパフォーマンスを追求した結果だ。
そしてピンク、もっと正確に言うとマゼンダ色を採用しているのは、やり過ぎることなくデザインにちょっとした女性らしさを付加したかったからに他ならない。
ピンの最新モデルである「G Le2シリーズ」からは、コスメや女性に向けたデザインという抽象的イメージを基本原則としていないということが、はっきりと伝わってくる。
どのクラブも真剣なゴルファー(一般的にゴルファーは、軽量シャフトとグリップを含め、軽量クラブを使っている)向けだ。色ではなくパフォーマンスを大切にしているということなのだろう。
「G Le 2」には、G410のウッド、Gシリーズ、iシリーズのアイアンの特徴の多くが継承されている。
軽くて短くはなっているが、それ以外はピンの他のクラブと同じテクノロジーが採用されているということだ。
G Le 2ドライバー
「G Le 2」が他のピンのクラブと同じ証として、「G Le 2ドライバー」は前作よりも軽量化されたことに加え、初速が上がりより寛容性がアップしている。
「G Le 2ドライバー」のヘッドはG410よりも約15グラム軽く、標準のクラブ長は44.75インチだ。どうであれ、男性でもシャフトは短い方が、メリットがある。
そしてG410 SFT同様、「G Le 2ドライバー」は重心設計がヒール寄り。これにより(スライスを抑制し)ドローしやすくなっている。
また、弾道調整機能はないが、G410シリーズにも採用されている新ロフト・ライ角調整機能(±1.5°) を搭載していることも特徴だ。
最も特徴的なのは、メンズのドライバーに採用している素材を継承していることだ。
「G Le 2ドライバー」は、設計こそ対象ゴルファーのスイングスピードに最適化されているが、T9S+フェースを採用。
アドレスでターゲットに向きやすくするようにタービュレーターも搭載している。通常、タービュレーターは空気抵抗を抑制するが、ヘッドスピードが遅いとそのメリットも落ちる。
物理学的にはヘッドスピードが速い方が恩恵を受けるのは不公平だが、実際のところシリーズを通じて採用されていることから、タービュレーターにメリットがあることは明らかだ。
「G Le 2ドライバー」の標準シャフトは、PING ULT240DでフレックスはLとUL。メーカー希望小売価格は435ドルだが、実売価格は割安になることが予想される。
G Le 2フェアウェイウッド
「G Le 2フェアウェイウッド」もお伝えする内容はほぼ同じだ。軽量化されている一方でボール初速をアップさせるため、マレージングC300フェースを採用している。
ヘッド形状は打ち出し角を高くし寛容性をアップさせるために改良。ドライバー同様、フェアウェイウッドでもバラツキを抑えるため、ヘッド内部で重量配分されている。
また8ポジションに調整可能な新ロフト・ライ角調整機能も搭載した。
「G Le 2フェアウェイウッド」の番手は#3(19°)、#5(22°)、#7(26°)、#9(30°)の4つをラインナップ。
距離を打ち分け番手間のギャップを埋めるために多くのオプションが用意されている。
標準シャフトは、PING ULT240FでフレックスはLとUL。メーカー希望小売価格は270ドルだ。
G Le 2アイアン
ピンが、男性用クラブと同じように注意を払い、細部に渡る配慮と性能を女性用クラブにも用いていることを最も表現しているのは、間違いなくアイアンだろう。
パフォーマンスの訴求ポイントは他のラインナップと同じで、新COR EYEテクノロジーと新トップレールアンダーカットにより、より初速と寛容性がアップし高弾道も実現する。
他のピンのアイアンと同様、ヘッド素材は17-4ステンレススチールで、耐久性に優れ撥水性も改良されたハイドロ・パール2.0仕上げを採用しているが、目を引くのは一目瞭然なタングステン・トゥ・ウェイト。
これによりスイングウェイトの調整が可能となり、慣性モーメント(寛容性)もさらにアップする。ピンが、あらゆる点で男性と同じように女性のゴルファーに対しても適切にフィッティングしようとしていることが分かるだろう。
「G Le2アイアン」は、#6〜#9、UW、PW、SWまでラインナップしているが、長い番手が6番からということも注目に値する。
固定概念にとらわれたくないが、長いクラブに関しては、女性の方が頑なではなくスマートにクラブ選びをする傾向にあるように思う。
番手オプションに寄るが、高弾道が打てるハイブリッドよりもロングアイアンを選ぶような馬鹿げたプライドは低い。
「本物のゴルファー」はロフトのついたハイブリッドなど使わないというトンチンカンな考えはしない。ただ多くの男性ゴルファーは、4番アイアンでボールが上がらずミスショットに終わるケースバイケースが多い。
「G Le2アイアン」の標準シャフトは、PING ULT240iでフレックスはLとUL。メーカー希望小売価格は1本137ドル50セントだ。
G Le 2ハイブリッド
何度も繰り返すが、「G Le 2ハイブリッド」の構造もほぼ「G410ハイブリッド」と同じだ。軽量化されている一方で、前作に比べ低・深重心化したことで慣性モーメント(寛容性)がアップしている。
また今回からロフト34°の#7が追加されことで、ハイブリッドのフィッティング幅がミドルアイアンの領域まで広がった。
「G Le2アイアン」の標準シャフトは、PING ULT240HでフレックスはLとUL。番手は4H(22°)、5H(26°)、6H(30°)、7H(34°)の4つがラインナップされ、メーカー希望小売価格は1本200ドルとなっている。
G Le2パター
「G Le2シリーズ」の締めくくりとして、ピンでは様々なパッティングストロークのタイプに合うよう3つのヘッドを用意している。
まず、ANSERパターがなければピンとは言えない。こちらは、やや弧を描くようにストロークするゴルファーに理想的なモデルだ。
そしてストロークの弧が大きいゴルファーには、SHEAのミッドマレットがオススメ。
ANSERとSHEAのヘッドは17-4ステンレススチールを採用し、同社独自の二重構造のペバックスがインサートされており、素晴らしい打感と距離感を実現。
両モデルともにマゼンダ色をアクセントに、シャンパンニッケルのメッキ仕上げが施されている。
そして、ストロークが真っ直ぐからやや弧を描くタイプのゴルファーには、ECHOマレットをラインナップ。
6061アルミニウムとステンレススティールのソールプレートを採用し、二重構造のペバックスを搭載している。
全モデルとも長さが31インチから35インチ(出荷時は33インチ)まで調整可能で、グリップは新型のソフトなPP59が装着されている。
「G Le2シリーズ」は、女性ゴルファーにワンパターンなフィッティングを提案するものではない。
フィッティングによるクラブ選びと番手と番手の間を埋めるクラブ選択が可能になると同時に、現実的に、多くの女性が、あえて言うなら男性用クラブと呼んでいるギアでゴルフを楽しめるようになるだろう。
「G410シリーズ」をフィッティングして好結果をもたらすなら、「G410シリーズ」で選択可能なオプションを外す理由などないのだ。
また、ピンの他のクラブと「G Le2」との主な違いは重さであるため、スイングスピードが平均的か遅めのゴルファーにとっては、性別を問わずプラスとなることは間違いない。
ゼクシオやウィルソンのDシリーズ、タイトリストのTS1、その他のスイングスピードが遅い人向けのクラブを探しているゴルファーが、「G Le 2シリーズ」からメリットを享受できないという理由などないだろう。
Leave a Comment