2017年、キャロウェイはエピック(およびエピックプロ)アイアンを発売した。

研究開発部門の上席副社長であるアラン・ホックネル博士はこの製品についてコンセプトカーのようなものだと説明していた。

すでに大成功を収めていたエピックシリーズに新たに加わったアイアンは、キャロウェイが心血を注いで創り上げたものだった。

ヘッド価格250ドルと少々高めの値段設定も、搭載された多様な機能性を考えれば納得のいくものだった。

この最初のエピックアイアンは、PXGの0311シリーズの成功に対してキャロウェイが出した答えでもあった。

エピックは完璧ではなかったが、スタートとしてはまずまずだった。

特に打音や打感には改善の余地があったものの、公正を期して言うならば、どんな製品でも一代目よりも二代目、三代目のほうが完成度は高くなるものだ。それが進化的設計というもの。

毎年少しずつ改善されるということは、一代目の製品を購入する場合、もしかしたら次の世代に搭載される可能性のある機能を諦めることになるわけだ。

アイアンセットの買い換えは、新車を買うのとは訳が違うが、それでも3番アイアンからピッチングまでのセットで2,400ドルは安い買い物ではない。

キャロウェイ,エピック,フォージド,アイアン,ハイブリッド
 

エピックが鍛造に

2019年のエピックフォージドアイアンは、方向性はほぼ同じながら、改良の道筋に変更が加えられた。

今回のバージョンは今のところプロ仕様ではない。

それはより熟達したコントロール技術のゴルファーをターゲットにしたApexおよびApex Proの人気の高さを考えれば納得の選択である。

だが重要なことは、キャロウェイはいわゆる『ウルトラ・プレミアム・フォージド・ディスタンス』を得るための様々な技術の組み合わせ方法を変えてきたのだ。

第一世代のエピックアイアンではExo Cage(エクソー・ケイジ)構造の採用や内部の設計特性を強化することで、エピックドライバーに搭載されていたジェイルブレイク・テクノロジーに近い機能をもたらしていた。

しかし今回のエピックフォージドアイアンは、最新のエピックフラッシュのどの製品より、技術的にはローグやローグXアイアンに近いのだ。もちろんその分類に深い意味はない。

なぜならエピックといえば今ではジェイルブレイク・テクノロジーの代名詞であり、エピックフォージドアイアンにはそれが搭載されていないからだ。

その代わりに今回の特徴は、ウレタン・マイクロスフィア(高分子微粒子)とサスペンデッド・タングステン・コアだ。

 

前作となにが違うのか

エピックフォージドは高価だ。1本300ドルは同種製品の小売市場において最も高い部類に入る。

まずその事実を受け入れ、もっと安い選択肢もあることを思い出し、比較検討するのが良いだろう。

キャロウェイはエピックフォージドにはそれだけの価値があると信じている。まず、外観の美しさに相当の自信を持っている。

そもそもアイアンセットに2,400ドルも払うなら、ちゃんと2,400ドルの見た目であってほしいと思うものだ。

今回キャロウェイはその点を重視して、最も目の肥えた顧客をも満足させられる高級感のあるデザインを実現させた。

エピックフォージドアイアンに搭載された技術とはつまり、複数の技術をバランス良く組み合わせた集合体であり、複数の素材をそれぞれの特性を最大限に生かそうとした尽力の賜物だ。

まず、1025フォージドカーボンスチールのボディにレーザーで溶接された17-4ステンレススチールのフェースカップ。

この2つの部品の間にあるのが、サスペンデッド・タングステン・コアと、特許技術のウレタン・マイクロスフィアだ。

高密度のタングステンは、最適な重心位置と打ち出し角、スピン量をもたらすために理想的な素材だが、従来の製造技術ではスチールに溶接できなかった。

そこでキャロウェイは、液状のウレタン・マイクロスフィア(プラスチックっぽい粘着素材)をキャビティのくぼみに注入し、周囲を固め、タングステン・コアを正確な位置にピッタリおさめることに成功した。

また、サスペンデッド・タングステン・コアのおかげでウェイトをヘッドの下方でも後方でもどこでも自在に動かすことができるようになった。

これで高い打ち出し角と、より高いヒール/トゥの慣性モーメント(寛容性)を実現するという目的が叶ったのだ。

キャロウェイ,エピック,フォージド,アイアン,ハイブリッド

前述したように、キャロウェイには最初のエピックアイアンにの打音と打感に関する意見が少なからず寄せられていた。

今回、もしエピックフォージドにスーパー・プレミアムというような形容詞をつけるならば、同じ轍を踏むわけにはいかない。

そのために、2018年のローグとローグXで重要な役割を果たしたウレタン・マイクロスフィアを採用した。

この素材は端的に言えば微細なガラスの球体で成る可鍛性のプラスチックで、浸透性の高さが特徴だ。

これにより、インパクト時の余計な振動を減らすことになり、ボール初速を落とすことなく打感を柔らかくすることができた。

改良された360フェースカップは改善されたスピンコントロールVFT(可変フェース厚)との相乗効果により、全番手において最適なスピン量を保ったままボール初速を上げることになった。

その流れで打てるように、アプローチウェッジとギャップウェッジ、サンドウェッジには1025フォージドフェースを採用した。

アイアンにおいての関心は飛距離であることが多い。確かに飛距離は有効なセールスポイントだし、男性の見栄に直結する要素ではあるが、飛ばせるだけではスコアは縮まらないのが現実。

ストロングロフトのアイアン(41度のピッチングウェッジでキャロウェイも十分ストロングロフトと言える)の課題は、飛距離増とともに、硬いグリーンを捉えることのできるスピン量と打ち出し角を確保することなのだ。

当然、キャロウェイも『正しく』ストロングロフト化する必要性は理解している。我々は、実際にエピックフォージドを手にする日まで判断を待たなければならないが。

最後に、エピックフォージドは、いわゆる鋳造vs鍛造論争に新たな視点を与えることになるだろう。

エピックフォージドは鍛造ボディだが、実際にボールにコンタクトするフェースは鋳造だ。

ゴルファーの多くは、鍛造のアイアンのほうが打感が良いと信じている(それにはかなり議論の余地がある)。

もしフェースが鋳造なら、鍛造ボディは打感の向上にどれだけ寄与するのだろうか。

キャロウェイ,エピック,フォージド,アイアン,ハイブリッド



 

スペック、レフティ対応、および価格

エピックフォージドは右利き左利きのいずれに対しても用意がある。シャフトはエアロテックのスチールファイバーFCまたはミツビシのテンセイAVシルバー。

グリップはゴルフプライドのツアーベルベット。追加料金なしのカスタムシャフトのラインナップもある。

小売販売開始は2019年8月2日。

小売価格は1本300ドル。

キャロウェイ,エピック,フォージド,アイアン,ハイブリッド  

エピックフラッシュ ハイブリッド

一代目のエピックハイブリッドは同シリーズのフェアウェイウッドおよびドライバーと一緒に発表されたが、今回はアイアンと一緒にハイブリッドがお目見えした。

発表のタイミングに拘わらず、そもそもハイブリッドは他のカテゴリーに比べて注目度はそれほど高くないため、一般的には他の製品のついでの発表になりがちだ。

とはいえ、2019年のエピックフラッシュハイブリッドは他のエピックフラッシュシリーズと同じく、機能満載のクラブであることは間違いない。

キャロウェイ,エピック,フォージド,アイアン,ハイブリッド

エピックフラッシュハイブリッドは、機能的で打ち出し角が低めのApexハイブリッドと、ヘッドが大きく寛容性の高いビッグバーサの中間に位置する。

エピックフォージドアイアン同様、熱心なミッドハンデのプレーヤーをターゲットにしている。彼らの求めるあと少しの飛距離と、ロングアイアンからは得られない寛容性を享受できるだろう。

エピックフラッシュハイブリッドは重量を軽くし再配分して、寛容性と打ち出し角、ボール初速を上げることを可能にした。

簡単そうに聞こえるかもしれないが、重量を軽くするということは、貴方のハンデを縮めるのと同じぐらい困難なことなのだ。しかも上達すればするほどそれは難しくなる。

さらに、クラブの総重量を軽くすることが目的なのではなく、重量を1箇所から取り去って、その分を他の箇所に加えることで、パフォーマンスを上げることが目的なのだ。

キャロウェイは可能な限り重量の調整をして、いくつかのMIM(メタルインジェクション・モールデッド)タングステンウェイトに配分した。

そのうちひとつは、クラブ表面にあるので確認できる。その他はクラブ内部、ヘッドの後方、低く深い場所に置かれている。

ウェイトの置き場所を創り出すため、キャロウェイは可変式のオプティフィットホーゼルを再設計し(13gを生み出し)、トライアクシャルカーボンファブリック(T2C)で5gに満たない新たなクラウンを創り出した。

キャロウェイ,エピック,フォージド,アイアン,ハイブリッド

また、80〜90gの可変式ウェイトは、ヘッドの総重量がその2倍ほどであることを考えるとかなりの重量を占めることになる。

外側にあるMIMウェイトは一見可変式ウェイトのようだが、実は固定式で、クラブフィッターがクラブのバランスを調整しやすいようになっている。

クラブヘッドの低く深い場所に置かれている2つめのMIMタングステンウェイトは、慣性モーメントと打ち出し角を上げる役割を果たしている。

エピックフラッシュハイブリッドの想定ターゲットは、エピックフォージドアイアンと同じく、ハンデ6~20あたりの中・上級のプレーヤーであることにご留意のほど。

エピックフラッシュハイブリッドはジェイルブレイク・テクノロジーを採用、2本の柱によりボディ剛性を高め、455カーペンタースチールのフェースに重量を配分している。

エピックフラッシュハイブリッドについてキャロウェイから飛距離の話は出ていないが、当然そこについても性能は上がっていることと思われる。

 

スペック、レフティ対応、および価格

エピックフラッシュハイブリッドの番手は、3h (18°)、4h (21°)、5h (24°)および6h (27°)。6h以外は右利き左利きのいずれに対しても用意がある。

純正シャフトは、ミツビシのテンセイAVシルバー。中打ち出し角、中スピン量で、フレックスはA、R、S。

エピックフラッシュハイブリッドは、エピックフォージドアイアンと同時、2019年8月2日に発売される。小売価格は1本300ドル。

※この記事に関するコメントを、いちばん下のコメント欄に寄せて欲しい。