MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの品質と一貫性の調査、数値化を行っており、無駄のない最適なボール選びに役立ててもらいたい。

ラボで使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、「不良」ボールの定義方法、独自の「True Price」測定方法については、MyGolfSpy Ball Labのページで確認できる。

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キャロウェイは「Chrome Soft」を「ゴルフボールを変えたボール」と呼ぶ。昨シーズンのロボットによるボールテストで私達が目にし、発見したことから表現すれば、「Chrome Soft」は「ゴルフボールに対する考え方を変えたボール」と呼ぶ方が相応しいかもしれない。

これが、MyGolfSpyが「Ball Lab」を立ち上げた主な理由にもなっている。したがって、「Ball Lab」の幕開けをキャロウェイの「Chrome Soft」でスタートすることは非常に理にかなっているというわけだ。

このレポートでは、ラボでの考察を簡潔に説明し、他のゴルフボールとの比較を行う。最後に、ボールの『真の価格』=『True Price』、つまり優良のボール1ダースがいくらなら妥当かを公表するつもりだ。


2020年キャロウェイ「Chrome Soft」について

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薄い注入ウレタンカバーである「Chrome Soft」は、一般に『ツアーボール』と呼ばれるカテゴリーに近く、ミドルサイズのインナーコア4ピースデザインが特徴だ。フルショットでは、高打ち出し、低スピンのボールとして分類されるが、コンプレッションの値を見れば納得だ。

世間がウレタンボールに期待するグリーン周りでのスピンも、申し分ないとキャロウェイは謳っている。また、キャロウェイ「Chrome Soft」ボールはすべて、マサチューセッツ州チコピーにある同社の工場で製造されている。


2020年キャロウェイ CHROME SOFT-コンプレッション

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私たちの計測では、2020年「Chrome Soft」の平均コンプレッションは75だった。

ボールマーケット全体でみると、「Chrome Soft」はミディアムコンプレッションの部類に入る。ただし、ウレタンカテゴリーでは最も柔らかく、PGAツアーで使われるボールよりもはるかに柔らかいボールであることは覚えておこう。


コンプレッションの一貫性

「Chrome Soft」のコンプレッションの一貫性は、平均的な範囲内だ。私達がテストしたサンプルボールはどれも、中央測定値から大幅にずれることはなかった。

同様に、各ボールで測定した3点のコンプレッションも、すべてのテストサンプルが許容範囲内に収まり、変動は最小限に留まった。

数あるブランドの中で最もコンプレッションの一貫性に長けているというわけではないが、特に心配には及ばない。


2020年キャロウェイ「CHROME SOFT」-直径サイズ

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マーケット平均に比べて、「Chrome Soft」の直径は小さい方で、ツアーボールには理想のサイズだ。

とは言っても、今回テストしたモデルでは、キャロウェイはUSGAのサイズ制限に目をつけられたようで、1個のサンプルがボールトラックテストではじかれてしまった。

サイズ規定に満たない個々のボールは「不良品」と見なすが、ロット自体はUSGA規定に適合している。



一貫性と真円度

全体的に「Chrome Soft」の直径の一貫性は平均内だが、真円度の基準を満たさないボールが1個見つかった。


2020年キャロウェイ CHROME SOFT -ボールの重量

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2020年「Chrome Soft」サンプルのボールは、どれ一つとしてUSGAの重量制限である1.620オンス(約45.93g)を超えていない。

ボールサンプルセット全体での重量の一貫性は、平均より上という良い結果が出ている。


2020年キャロウェイ 「CHROME SOFT」 -インスペクション

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サンプルのうち20%以上がコアの中心から外れているという結果だったが、パフォーマンスに影響を与えるほど著しく中心から外れたコアは1つだけだった。

もっと重要な問題はレイヤーの同心性の問題、つまりコアを取り巻くレイヤー(マントルとカバーを含む)の厚さが不均一であることだ。

カットしたボールの11%のレイヤーに厚さのばらつきがあり、確実にパフォーマンスへの影響が懸念される。


コアの混合

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2020年「Chrome Soft」は2層のコアで構成される。

コアに着色するのは、「渦」がないことや、素材の混合が不十分であることを示す異常な色パターンがないことを確かめるため。

コアが異なる2色(ダークとライトグレー)ではっきりと区分されていたことは注目に値する。通常、同モデルのコアは同じ色であったと思う。とはいっても、今回の測定では2色間に数値化するほどの差異は見つからなかった。


カバー

サンプルの「Chrome Soft」カバーは全般的にきれいで、工具の痕跡もなかったが、ディンプルにまたがる深い爪のような痕が見つかったため、ボール1個を規格外とみなした。


総合的な考察

2020年「Chrome Soft」のインナーコアはミディアムサイズで、マントルとカバーレイヤーは薄く、ソフトカバー。このような構造なら、グリーン周りのパフォーマンスが期待外れということはないだろう。

   

True Price -ボールの真の価格-

『True Price(トゥルー・プライス)』とは、優良品質のボール1箱分の真の価格を表したもの。簡単に言うと、「優良」ボールとは、サンプルセット内のボール同士が均一で、製造上の重大な欠陥がなく、USGAサイズ規定や重量規定に準拠しているボールのことを言う。

このように考えてほしい。12個(1ダース)の優良ボールを得るのに、2ダース購入する必要がある場合、1箱30ドルのボールに真の価値があるのか?『True Price』は、そのボールが実際にどれだけの価値があるのか、そしてどれほどの性能がボールに反映されているのか、より深く理解するのに役立つはずだ。

2020年キャロウェイ 「CHROME SOFT」 まとめ

詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義方法、「True Price」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照ください。

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MyGolfSpyの測定方法で測定した結果に従うと、キャロウェイ「Chrome Soft」の一貫性は総合的に「平均レベル」と言える。

前モデルから大幅に改善されているようだが、目視による検査では、コアが中心からずれていないか、レイヤーが偏っていないかが懸念される事象があることが分かった。

さらに、何らかの理由でサンプルセットの22%以上に「不良」が見つかったため、そこには十分な改善の余地があるといえる。

同社は継続して品質改善に取り組んでいると宣言しているため、引き続き「品質向上」が行われるものと信じたい。