MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの「品質」と「一貫性」の調査、数値化を行っている。今回取り上げるのは、2022年モデルのキャロウェイ「Chrome Soft(クロムソフト」ゴルフボール。テストプロセスについては、MyGolfSpy 『Ball Lab』ページで確認できる。
キャロウェイ「CHROME SOFT(クロムソフト)」ゴルフボールについて
以前取り上げたモデル、スリクソン「Q-Star Tour」とブリヂストン「TOUR B RXS」と同じく、キャロウェイ「Chrome Soft(クロムソフト)」も私たちが「非ツアーウレタン」と呼ぶカテゴリーに入る。
これは主に、グリーン周りでのスピンを完全に諦めてしまわずにソフトな打感を求める、低〜中ヘッドスピードのゴルファー向けボールとなっている。
この標準モデルは、「Chrome Soft」シリーズの他のモデル同様、同社が力を入れている『プレシジョン(精密技術)・テクノロジー』を特徴としている。この技術は今後も進化すると思われるが、現モデルに採用される『プレシジョン・テクノロジー』もレイヤー(層)の同心性の向上に大きく貢献している。
「CHROME SOFT(クロムソフト)」ゴルフボールの構造
「Chrome Soft」ゴルフボールは、332個のディンプルを搭載したウレタンボール。前代未聞というわけではないが、前モデルが低コンプレッションボールでは珍しい4ピース構造だったことを考えると、今回の3ピースへの変更は注目に値する。
「Chrome Soft」は、マサチューセッツ州チコピーにあるキャロウェイボール工場にて製造されている。
コンプレッション(硬度)
私たちの測定では、「Chrome Soft」の平均コンプレッションは『72』だった。これは2020年モデルよりも4 ポイント柔らかい。ウレタンボールの基準では「ソフトボール(柔らかい)」の部類に入るが、正直な話、「Chrome Soft」ラインナップの中でも唯一のソフトボールだ。
2ピースのボールの中にはさらに柔らかいモデルが多数あるため、市場全体で見れば硬さは中程度であると言える。
直径サイズと重量
注目すべきは、このモデルの直径サイズが比較的“小さい”点だ。つまり、同社が意図的にボールのサイズをUSGAの限界ギリギリに近づけようとしていることを示唆する。歴史を振り返るとまったく驚くべきことではなく、最後の1ヤードまで絞り出そうとするのであれば理にかなっている。
しかし限界を目指す以上、リスクが伴うのは当然だ。サンプル内のボール1個が直径サイズのテストに不合格だった(惜しくもなかった)。
重量に関しては、100%がUSGA規定に準拠していた。
検査
中心性と同心性
キャロウェイ、特に「Chrome Soft」のラインナップで、「同心性」は以前に問題が見つかった分野だ。今回特筆すべき問題が見つからなかったのは、現「Chrome Soft」にとって強調すべき点であり、非常に嬉しいことだ。
コアの一貫性
コアの色と混合は全体的に一貫しており、重大な問題はなかった。
カバー
カバーに目立った傷は確認されなかった。
キャロウェイ「Chrome Soft(クロムソフト)」ゴルフボールの一貫性
ここでは、「一貫性」について詳しく説明する。これは、過去にテストしたモデルと比べて、ボール同士の品質がどの程度「一貫」しているかどうかを調査したものだ。
重量の一貫性
・「Chrome Soft」の「重量」の一貫性は「Average(平均範囲内)」
・とはいえ、「Good(良い)」に限りなく近い平均以上に収まっている
直径サイズの一貫性
・「直径」の一貫性は、「Average(平均範囲内)」
・「重量」と同様に、平均範囲だが上限に限りなく近い
・ご覧のとおり、平均直径は最小値 (1.680) とほぼ一致しており、USGA規定を大いに活用している
コンプレッション(硬度)の一貫性
・コンプレッションの一貫性は、「Average(平均範囲内)」
・グラフが示すように、Box 1(1箱目)が最も柔らかく、Box 2 (2箱目)が最も硬く、Box 3(3箱目)が最も一貫性がなかった
・平均は決して悪い結果ではないが、間違いなく「コンプレッションの一貫性」は同社の弱点である
TRUE PRICE-ボールの真の価格-
「True Price」とは、ゴルフボールの「品質」を独自に数値化した指標だ。これは、「優良ボール1ダース(12個)の対価として必要な金額」を表す。
「Ture Price」は常に「小売価格以上の金額」になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質に疑問が持たれる。
まとめ
テストプロセスや、「不良」ボールの定義については、MyGolfSpy『Ball Lab』のページにて確認して欲しい。
スコア的には平均だが (平均は決して悪くない)、これらのデータはキャロウェイ「Chrome Soft」の品質が大幅に改善されていることをさらに証明している。
良かった点
・すべての項目で、一貫性が「Average(平均)」から「Average+(平均以上)」だった
・同心性の問題なし
悪かった点
・USGAの最小サイズを下回るボールが1個確認された
・「コンプレッション」の一貫性が、業界トップの標準からやや離れている
2022年モデルキャロウェイ「Chrome Soft」ゴルフボールのスコアは『76』で、テスト時点でのデータ平均 (73) よりも優れているという結果となった。
ボールの品質比較
ボール | スコア | 良いボール の割合 | コンプレッ ション(硬度) | 直径 サイズ | 重量 |
---|---|---|---|---|---|
2021 TITLEIST Pro V1 | 97 | 100% | 非常に良い | 良い | 平均 |
2022 TAYLORMADE TOUR RESPONSE | 93 | 100% | 良い | 良い | 良い |
2021 TITLEIST PRO V1X | 93 | 100% | 良い | 良い | 良い |
2019 TITLEIST PRO V1X LEFT DASH | 93 | 100% | 良い | 良い | 良い |
2021 MAXFLI TOUR X | 91 | 94% | 良い | 良い | 良い |
2020 WILSON STAFF MODEL | 91 | 94% | 良い | 良い | 良い |
2022 WILSON TRIAD | 89 | 100% | 良い | 平均 | 良い |
2022 TITLEIST AVX | 89 | 100% | 良い | 良い | 平均 |
2019 TITLEIST PRO V1X | 89 | 100% | 良い | 良い | 平均 |
2020 TITLEIST TOUR SOFT | 88 | 97% | 良い | 良い | 平均 |
2020 TITLEIST AVX | 87 | 94% | 良い | 平均 | 良い |
2022 SRIXON Z-STAR DIAMOND | 85 | 100% | 良い | 平均 | 平均 |
2021 MAXFLI TOUR | 85 | 100% | 良い | 平均 | 平均 |
2020 TITLEIST VELOCITY | 85 | 100% | 良い | 平均 | 平均 |
2020 ONCORE VERO X1 | 84 | 89% | 良い | 良い | 平均 |
2021 KIRKLAND PERFORMANCE + V2 | 84 | 97% | 良い | 平均 | 平均 |
2019 TITLEIST PRO V1 | 84 | 97% | 良い | 平均 | 平均 |
2019 SNELL MTB BLACK | 84 | 97% | 良い | 平均 | 平均 |
2019 MAXFLI TOUR | 84 | 94% | 平均 | 良い | 良い |
2021 TAYLORMADE TP5X | 82 | 94% | 良い | 平均 | 平均 |
2019 SRIXON Z-STAR | 82 | 94% | 良い | 平均 | 平均 |
2019 WILSON STAFF MODEL R | 82 | 86% | 非常に良い | 及第 | 平均 |
2020 VICE PRO | 80 | 89% | 良い | 平均 | 平均 |
2019 TAYLORMADE TP5 | 80 | 89% | 良い | 平均 | 平均 |
2020 BRIDGESTONE TOUR B X | 79 | 94% | 平均 | 良い | 平均 |
2020 VOCE PRO SOFT | 78 | 100% | 平均 | 平均 | 平均 |
2019 SNELL MTB-X | 76 | 97% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 CALLAWAY CHROME SOFT | 76 | 81% | 良い | 平均 | 平均 |
2021 CHROME SOFT X LS | 75 | 97% | 良い | 及第 | 及第 |
2022 CALLAWAY CHROME SOFT X | 75 | 94% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 TITLEIST TRUFEE | 75 | 94% | 平均 | 平均 | 平均 |
2021 TAYLORMADE TP5 | 73 | 92% | 良い | 及第 | 及第 |
2020 TAYLORMADE SOFT RESPONSE | 73 | 89% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 SRIXON SOFT FEEL | 73 | 89% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 CUT BLUE DC | 73 | 89% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 BRIDGESTONE TOUR B XS | 73 | 89% | 平均 | 平均 | 平均 |
2015 PINNACLE PRACTICE | 71 | 86% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 RZN HS-TOUR | 71 | 94% | 平均 | 及第 | 平均 |
2021 SRIXON Z-STAR XV | 70 | 83% | 平均 | 平均 | 平均 |
2020 TAYLORMADE TOUR RESPONSE | 70 | 92% | 平均 | 平均 | 及第 |
2020 BRIDGESTONE TOUR B RX | 69 | 97% | 及第 | 平均 | 平均 |
2020 CALLAWAY CHROME SOFT X | 68 | 89% | 平均 | 平均 | 及第 |
2020 BRIDGESTONE TOUR B RXS | 68 | 86% | 及第 | 平均 | 良い |
2020 TITLEIST TOUR SPEED | 68 | 94% | 及第 | 平均 | 平均 |
2019 BRIDGESTONE E6 | 68 | 94% | 及第 | 平均 | 平均 |
2017 ONCORE ELIXR | 67 | 83% | 及第 | 良い | 平均 |
2020 VICE PRO PLUS | 66 | 100% | 及第 | 平均 | 及第 |
2020 SRIXON Q-STAR TOUR | 66 | 50% | 良い | 平均 | 良い |
2020 TOP FLITE GAMER | 65 | 72% | 平均 | 平均 | 平均 |
2019 BRIDGESTONE GOLF E12 SOFT | 64 | 86% | 及第 | 平均 | 平均 |
2021 BRIDGESTONE GOLF E12 CONTAC | 61 | 89% | 及第 | 及第 | 平均 |
2018 KIRKLAND PERFORMANCE+ | 61 | 75% | 良い | 悪い | 及第 |
2019 SRIXON Z-STAR XV | 61 | 72% | 平均 | 及第 | 平均 |
2019 MIZUNO RB TOUR X | 60 | 86% | 及第 | 及第 | 平均 |
2022 BRIDGESTONE TOUR B XS | 59 | 92% | 悪い | 平均 | 平均 |
2019 MIZUNO RB TOUR | 59 | 75% | 及第 | 平均 | 平均 |
2021 SUGAR G1 | 57 | 86% | 悪い | 平均 | 平均 |
2018 NOODLE LONG & SOFT | 56 | 78% | 及第 | 及第 | 平均 |
2020 WILSON DUO SOFT+ | 53 | 81% | 及第 | 及第 | 及第 |
2019 MAXFLI TOUR X | 43 | 67% | 悪い | 平均 | 及第 |
2016 VICE PRO | 40 | 69% | 悪い | 平均 | 悪い |
2019 CALLAWAY GOLF SUPERSOFT | 40 | 78% | 悪い | 及第 | 悪い |
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