MyGolfSpy 『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの「品質」と「一貫性」の調査、数値化を行っており、価格に見合う最適なボール選びに役立てもらいたいと考えている。


今日取り上げるのはスリクソン「Z-Star XV」だ。『ラボ』で使用する機器の概要はここに掲載した。また、テストプロセスや、不良ボールの定義、独自の「True Price」測定方法については、『MyGolfSpy Ball Lab』のページにて確認できる。

これまでテストしたスリクソン2モデルから、「スリクソンボール」はモデルによって「ややばらつきがある」ことが『Ball Lab』テストで証明されている。


前世代の「Z-Star」の品質がスリクソンファンの期待に応えていた一方、「Q-Star Tour」は期待外れだったと言っても過言ではない。さらにスリクソンのボールをテストする過程で、数モデルに渡りいくつかのパターンが存在することに気がついた(詳細は以下を参照)。

「スリクソンボール」が多くのゴルファーに愛用されるブランドなのは間違いないが、「品質」に懸念がないというわけではない。


スリクソン「Z-STAR XV」について

スリクソン「Z-STAR XV」について

スリクソン「Z-Star XV」は、ウレタンカバーの4ピースボール。これは、スリクソンの2つの「Tourモデル」の中でも硬い方で、新モデルの発売に伴い「コンプレッションの差」がさらに拡大した。

「Z-Star XV」は、「Tourボール」カテゴリーの「X系のボール」(スピン重視のツアーボールの中でも飛距離に特化したボール)だ。同社によるとドライバーでは低スピン性能を誇るというが、フルショットでのスピン性能は「Zシリーズ」の中でも高い方だ。「Z-Star」のカバーはおそらくゴルフボール史上最も薄く、それによりグリーン周りで十分なスピン性能を発揮するはずだ。

また、「XV」のコンプレッションは標準モデルよりも約15ポイント硬いので、初速が少し早くなるはず。特にドライバーでは顕著だろう。

「Z-Star XV」は、インドネシアと日本の工場で製造されている。前世代のボールサンプルはすべてインドネシア製だったが、新モデルのサンプルはすべて日本製だった。


スリクソン「Z-STAR XV」-コンプレッション(硬さ)

スリクソン「Z-STAR XV」-コンプレッション(硬さ)

私たちの測定によると、2021年モデル「Z-Star XV」のコンプレッションは96だった。これは、前世代モデルと全く同じ値だ。同様のコンプレッション値を持つボールには、Snell 「MTB-X」やキャロウェイ 「Chrome Soft X」、タイトリスト「ProV1x」などがある。


スリクソン「Z-STAR XV」-重量と直径サイズ

スリクソン「Z-STAR XV」-重量と直径サイズ

今回のサンプルボールはすべて、USGAの重量制限である1.62オンスを超えていなかった。

しかし、球の丸みに関しては17%が一貫していなかった。おそらく偶然だと思うが、真円度の基準を満たしていなかった2019 年「Z-Star XV」の数値とまったく同じだった。テストした36個のボールのうち34個が、ポールの直径がシーム(継ぎ目)の直径の平均値を超えていた。

確かではないが、潜在的な原因の1つにシーム(継ぎ目)の過度な研磨にあるのではないか。しかし、原因に関係なくポール幅が広いのはいくつかのスリクソンのボールで見られた現象だ。






スリクソン「Z-STAR XV」-インスペクション(検査)

スリクソン「Z-STAR  XV」-インスペクション(検査)

中心性と同心性

4ピースボールによく見られるように、「Z-Star XV」の全てのコアが完全に中央に配置されているわけではない。しかし、パフォーマンスに影響を与えるほど「中心性」に劣るボールもなかった。同様に、外側のレイヤー(層)に小さな「同心性」の問題がいくつか見られたが、重大な欠陥レベルではなかった。


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コアの一貫性

今回注目したのは、2種類のコア混合物だ。「BOX 1」と「BOX 2」には、「BOX 3」には存在しなかった目に見える「粉砕再生材料」が豊富に含まれていた。

以下の測定データを見ると、「BOX 3」のボールは全体的に重く、コンプレッションは「一貫性」に劣り、各ボールで測定した3点のコンプレッション値に「大きなばらつき」があったことが分かる。これらがコア混合物に直接関係しているかは定かではないが、目に見える違いであることは確かだ。

コアの一貫性

カバー

「Z-Star XV」サンプルボールのいずれにも、重大なカバーの欠陥(ちょっとした欠陥さえも)は確認されなかった。

カバー

スリクソン「Z-STAR XV」 - 一貫性

このセクションでは、スリクソン「Z-Star XV」の「一貫性」について詳しく説明する。これは、これまでにテストしたすべてのモデルと比較して、サンプル内のボールが互いにどの程度一貫しているか示す目安だ。

スリクソン「Z-STAR XV」 - 一貫性

「Z-Star XV」の重量、直径、コンプレッションの一貫性については、特に目立つものはなかった。すべての測定項目が、平均範囲内に確実に収まっている。


重量の一貫性

・前述のように、「BOX 3」は平均してやや重かった

・全体的に「重量の一貫性」は平均範囲内


直径の一貫性

・全体的に直径は平均範囲内

・前述のように、「ポール(極または縦軸)」側の直径がやや大きい傾向があり、一部の「ポール」と「シーム(赤道または横軸)」の測定値の差は、球の定義を超えている


コンプレッションの一貫性

・全体的に「コンプレッションの一貫性」は平均範囲だが、「Q-Star Tour」同様にやや差異がある

・平均コンプレッション差は約9.5で、「コンプレッションの一貫性」における平均値の上限に値する

・各ボールで測定した3点のコンプレッションについては、許容範囲を超えていたボールが1個あり(同じボールが真円度の基準を満たしていなかった)「及第」とした。スリクソンのボールには、平均より高い割合で見られる。



TRUE PRICE-ボールの真の価格-

「True Price」とは、ゴルフボールの「品質」を独自に数値化した指標だ。これは、「優良ボール1ダース(12個)の対価として必要な金額」を表す。

「Ture Price」は常に「小売価格以上の金額」になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。


スリクソン「Z-STAR XV」-まとめ

詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義、「True Price」の測定については、MyGolfSpy Ball Labページを参照いただきたい。

スリクソン「Z-STAR XV」 - 一貫性

「Z-Star XV」を悪いボールとは言わないが、今回測定したサンプルデータからはその傾向が多少なり見られた。


良かった点

・「一貫性」を測る主要項目では、全体的に「平均」を保っていた


悪かった点

・各ボールでの「コンプレッションの一貫性」は、良し悪しが分かれた

・ポール(極)側の直径が長い傾向があり、多くのボールが丸みに一貫性がないと見なされた


最終スコア

スリクソン「Z-Star XV」の総合スコアは「70」。

このブランドのファンには期待外れだったかもしれないが、『Ball Lab』のテストとしては平均範囲内に収まっている。

また、従来の「True Price(真の価格)」が気に入っていた人のために、「Z-Star XV」の「True Price」は51.54ドルだったことも追記しておこう。小売価格に対して20%オーバーという結果だ。