MyGolfSpy の『Ball Lab(ボールラボ)』では、市場に出回るゴルフボールの「品質」と「一貫性」の調査、数値化を行っており、価格に見合う最適なボール選びに役立てもらいたいと考えている。
今回取り上げるのは、テーラーメイド「TP5」。テストプロセスや、「不良」ボールの定義については、MyGolfSpy『Ball Lab』のページにて確認できる。
テーラーメイド「TP5」について
現在「TP5」の2モデルのうち、「TP5」は「TP5x」よりもやや弾道が高めでスピン量が多く、打感が柔らかい。「打感」だけでゴルフボールを選ぶことには賛成しないが、この「打感」が「TP5x」よりも「TP5」が選ばれる理由になっている。
また、「TP5」は大手メーカーでは唯一の「5ピースボール」だ。この「5ピース構造」に異議を唱える競合メーカーもいるが、テーラーメイドによるとレイヤー(層)が多いほど、番手毎に適正なスピン性能を発揮しやすくなるという。
以前にも述べたが、テーラーメイドの製造方法は独特だ。コアと内側のマントル層は台湾で生産され、ほぼ完成に近い状態でテーラーメイドの米国工場に出荷され、そこでカバーが装着される。
テーラーメイド「TP5」− コンプレッション(硬度)
私たちの測定では、2021年テーラーメイド「TP5」の「平均コンプレッション」は87だった。前世代から約3ポイント低くなっている。現在の「TP5x」よりもわずか4ポイント柔らかく、比較するならタイトリスト「Pro V1」と同じ柔らかさだ(ただし、スピン特性は大幅に異なる)。
テーラーメイドの「Soft Response(ソフトレスポンス)」や「Tour Response(ツアーレスポンス)」と混同されることは決してないが、PGAツアーボールの基準では「ソフトボール」の部類に入る。
テーラーメイド「TP5」− 直径サイズと重量
サンプルボールのうち1個が、USGAの重量制限である1.62オンスを超えていたため不良品として扱った。
完全に丸いとは言えないボールがいくつかあったが、真円度の基準を満たさないボールはなかった。
テーラーメイド「TP5」− インスペクション(検査)
中心性と同心性
「TP5x」と同様、サンプルの6%が不良ボールだった。どちらの場合も、原因はレイヤー間の厚さが一致していないというもの。
他の「TP5」シリーズと同様に、レイヤー間において外層が内層に溶け込んでしまう問題が見られたが、不良ボールというほど酷くはなかった。これはよくある現象だが、同社にとってこの問題は課題であり、将来的には改善されることを願っている。
コアの一貫性
テーラーメイドのボールでコアの色が異なることは珍しくない。業界全体でもよくあることで、それが実際に性能に影響するレベルであれば測定値に反映されるはずだ。
同様に、マントルの色の違いも確認した。これはやや珍しいケースだが、同じく測定値に従い不良品かどうか決定する。
また、コアに斑点があるボール(混合が不完全)を確認したが、性能に影響を与えるボールはごく少数にとどまり、パフォーマンスに大きな影響を与える可能性は低いと感じた。
カバー
カバーの欠陥は見られなかった。
テーラーメイド「TP5」− 一貫性
このセクションでは、テーラーメイド「TP5」の「一貫性」について詳しく説明する。これは、過去にテストしたモデルと比べて、ボール同士の「品質」がどの程度「一貫」しているかどうかを調査したものだ。
「TP5」の「一貫性」における結果は無視できない。さらに、確認した問題のほとんどが同じ箱(BOX)のボールだったことも注目に値する。ボールの「品質」はすべて「一貫」しているのが理想であり、私達が購入した「TP5」だけの問題ではないと言える。
重量の一貫性
・「BOX 1」のボールは、「BOX 2」および「BOX 3」よりも重く、USGAの重量制限を超えるボールを1個確認
・「BOX 3」はやや軽かったが、「BOX 2」はサンプルの平均を最もよく表している
直径サイズの一貫性
・テーラーメイドのボールは比較的小さい。「BOX 1」が大きいといっても、テーラーメイドの基準での話だ
・「BOX 2」と「BOX 3」の平均直径サイズは小さく、ほとんどが最小許容直径に限りなく近いが、これこそテーラーメイドに期待されるボールだ
コンプレッション(硬度)の一貫性
・繰り返しになるが、「BOX1」は異常値が多い。他の箱よりも硬く、「一貫性」に欠けている
・サンプル全体の「コンプレッション差」は9ポイント。特に目立つものではなく、平均範囲内だ
・各ボールで測定した「3点の平均コンプレッション差」は、平均より上。特に、3ポイント以上の差があったのは、1個だけだった
True Price - ボールの真の価格 -
「True Price」は、ゴルフボールの「品質」を独自に数値化した指標だ。これは、「優良ボール1ダース(12個)の対価として必要な金額」を表している。
「Ture Price」は常に「小売価格以上の金額」になる。「Ture Price」と「小売価格」の差が大きいほど、ボールの品質が懸念される。
テーラーメイド「TP5」− まとめ
詳しいテストプロセスや「不良」ボールの定義、「True Price」の測定については、MyGolfSpyの『Ball Lab』ページを参照いただきたい。
少し追記させていただくと、テーラーメイド「TP5」(「TP5x」)は「品質」の観点では苛立ちを隠せない。独自の「5層構造」と、クラブ全体での「スピン性能をより正確に調整する」といった機能を考えると、同社の意図はタイトリストボールに挑戦することだろう。
肝心なのは、彼らのボールをテストする度に、「品質面」での課題がまだ残されていること。ほとんどの場合一貫しているが、そうでない場合もある。これらの「レイヤー(層)侵入の問題は、同様の「デュアルマントル構造」のボールよりも明らかに多く、防げる問題だと私たちは考えている。
「TP5」のラインナップは一見すべてを備えているが、「一貫性」と「性能」は常に一致するわけではないことを覚えておこう。
良かった点
・「BOX 1」がなければ、もっと良い結果だったはず
・(2つのボックスの)平均直径が小さいほど、距離のメリットが得られる
悪かった点
・「BOX 1」だけが、その他の箱と異なった
・変わらぬレイヤー(層)問題
最終スコア
テーラーメイド「TP5」の最終スコアは「65」だった。
スコアは、3個の不良ボール(重量とレイヤー(層)の同心性の問題)に加えて、重量と直径サイズの「一貫性」が平均以下だったことによる。
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