「フック」は「上級者」のミスショットと考えられることが多いが、ボールがOBに消えていくのを見てしまえばそんなことは大した慰めにならない。
「スイングの力学」がミスショットの最大の原因ではあるが、現在のドライバーの特性なら、もっとフェアウェイキープ率を高めることができるはずだ。
フックを解消する処方箋
『2021年版スライスを解消するベストドライバー』で挙がったいくつかのモデルと違い、近年「フェードバイアス(左へのミスを抑制する)」に設定されているドライバーは非常に少ない。というよりは、むしろ右利きにとって左へのミスを抑制するためには、下記の組み合わせが求められる。
・オープンフェース
・フラットなライ角
・トゥよりの重量配分
アジャスタブルのドライバーが誕生する前は、カスタムフィッティングをするか、上記の条件になるようにドライバーをイジる必要があった。
しかし現在、「フックを軽減するベストドライバー」は、いくつかの上記組み合わせを実現している。多少の試打(あるいは適切なフィッティング)は必要かも知れないが、ちょっとした努力と微調整で、お望みの結果が得られるだろう。
これを頭に入れた上で、『2021年版のフック解消ベストドライバー』を挙げてみよう。
タイトリスト「TSi3」ドライバー
タイトリストの「TSi3」ドライバーは、2021年の「Most Wanted」ドライバーで素晴らしい性能を見せただけでなく、「フック」を解消する点でも全てを満たしている。
まず、「Surefitホーゼル」でロフト角が変わることなく、最大0.75度もライ角をフラットにすることが可能。ロフト角も調整でき、0.75度減らすことで同じ度数ほどフェースが開く。
「TSi3」ドライバーのウェイトトラックはポジションが5つ。多くのゴルファーにとって、トゥ側2つのセッティングならフェード系のスピン(あるいは少なくともドロー系のスピンが減る)がかかるようになっている。
最後に、「TSi3」ドライバーのトゥの形状によりアドレス時の見た目が開いて見える。これにより、左へのミスを恐れるゴルファーに信頼感を得られるというわけだ。
ピン「G425 LST」ドライバー
「G425 LST」は、今回挙げているドライバーの多くと違い、設計上、ややフェードバイアスになっている。ツアープレーヤーや、若干のフェードを好むスキルが高いゴルファーのニーズに応えるようなデザインとなっているのだ。
ほかの調整機能を使って「フェードバイアス」を強くすることも可能。ライ角は1.5度までフラットにでき、ロフトを寝かすことでフェースが開く。
ヘッドに搭載された17gの可変式ウェイトをフェードポジションに配置すれば、さらにフェードバイアスとなる。
寛容性もありつつ、こうしたフックを軽減する特徴を兼ね備えたクラブを探しているゴルファーにとっては、「G425 MAX」も選択肢となるだろう。
そもそも「LST」のような「フェードバイアス」ではないが、「LST」と同じ調整機能と重めのウェイトを搭載しているからだ。
タイトリスト「TSi4」ドライバー
「TSi4」、同シリーズのドライバー同様、「フェードバイアス」を最大化するためにロフト角とライ角が調整できる「SureFit」ホーゼルを搭載している。
最大の違いはヘッド形状だ。「TSi4」ドライバーは、小ぶりな430ccのヘッドが特徴。これは、上級者のボールストライカーを含め、多くのゴルファーにとってフックを軽減する素晴らしい要素となる。
小ぶりのヘッドは460ccヘッドよりも(重心がホーゼルに近くなるので)より「操作性」が高い。これによりゴルファーは、ドライバー自身がスクエアに戻ろうとしなくてもフェースをコントロールしやすくなるのだ。
「調整機能」と「操作性」の要素を合わせることで、ボールを適正に右サイドに飛ばす(そしてその軌道をキープさせる)ことができるゴルファーもいるはずだ。
コブラ「RADSPEED」ドライバー
コブラの「RADSPEED」は従来のフェード系ドライバーとはいえないが、フックを軽減する特徴をいくつか持ち合わせている。
まず、フェース角を2度まで開くことが可能。オープンフェースは、フックを解消させる一番直接的な方法の一つだ。
このドライバーのデザイン上の細かい部分はあまり知られていないが、重めのウェイトを浅い位置に配置していることでやや「フェードバイアス」になっており、低弾道と低スピンを実現しつつ、ボールを右サイドに行きやすくしている。
PXG「0811 XT GEN4」ドライバー
調整機能がフックを解消するカギならば、PXG「0811 XT GEN4」はあなたが求める「アンチフック」ドライバーになり得る。
このドライバーは、市場にある中でもかなりフラットなセッティングとなっている。ロフトやフェース角が変わることなく3度フラットにすることも可能。2つある「2.5度フラット」のセッティングのうちの一つは、ロフト角を1度寝かすことができ、フェース角もオープンになる。
またこのドライバーは柔軟性があるウェイトシステムも特徴。質量を前方に増やすウェイト配置に微調整することで、「フェードバイアス」がかかった低スピンの弾道がもたらされるのだ。
留意して欲しいのは、この「XT」モデルはヘッドスピードが速い(46.93m/s以上)ゴルファー向けにデザインされたクラブであること。ヘッドスピードが遅めのゴルファーには「0811 X」や「0811 XF GEN4」が合うだろう。両ドライバーとも、同じ調整機能を備えている。
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