MyGolfSpy史上最も要望の多かったテスト

新しい方が本当に良いのだろうか?新作のリリースごとに、ゴルフメーカーは“新作が過去モデルの測定基準を上回る”と主張している。

「スイングを問わず飛距離が出る!」 「限界を超えたスピード!」「これまでで最も遠くに最も真っ直ぐ飛んで、見た目も打音も最高のドライバー!」全部耳にしたことがあるはずだ。

ゴルフメーカーは、ゴルフプレーの改善のためには“新技術への投資”が必須であると我々に思い込ませたいのだ。

しかし、テクノロジーは広告のスローガンで言われるほど急速に発展しているのだろうか?我々の仕事はそれを見極めること。ということで、前代未聞の特別なテストをおこなった。

2016年から2020年までのドライバーランキングの勝者たちが、究極のチャンピオンの座に就くためピットインしたってわけだ。

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MyGolfSpyらしい方法で

35名のテスターによる、“タイトルホルダー”それぞれにつき2500回のショットをフォーサイトの「GCQuad」で弾道測定した。

これはMyGolfSpy史上最も要望の多かったテストであり、その結果は問い合わせの数々や2500回のスイングを費やした甲斐のあるものだった。

「ストロークス・ゲインド」「飛距離」「寛容性」を計算して、この「Most Wanted」史上最高のパフォーマンスを発揮するドライバーを決定した。

5本のドライバーから本当に“最高の1本”。データは嘘をつかない。

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結果発表の前に、記憶を新たにしよう。ベスト・オブ・ザ・ベスト・チャレンジを獲得するために競い合う過去5本の勝者を古い順に見てみることにしよう。

この段階では全ては明かさないが、ヒントとして、このテストで得られたいくつかのパフォーマンス指標とテスターのコメントに注目してほしい。

MYGOLFSPY版の「ストロークス・ゲインド」について

ストロークス ゲインド:元々は2011年からPGAツアーで導入されたプレーヤー指標。コースの難易度により大きく変動する「平均パット数」や「パーオン率」等では比較できない、選手の「本当の実力」を比較するために生まれた指標。同じコースでの全選手の平均ストローク数、あるいは同程度の難易度のコースや状況における平均ストローク数と自分のストローク数との「差」で示される。

「スコアを何で稼いでいるか」という観点で、「ドライバーショット」「アイアンショット」「アプローチショット」「パッティング」それぞれのショットが、平均値より何打“少ないか(ゲイン)“を数値化している。

MYGOLFSPYの「MOST WANTED」における製品テストでは、この「ストロークス・ゲインド」の考え方をベースとして、プレーヤーではなく“商品そのものの実力”を見るため、「ドライバー」「アイアン」「パター」等、各カテゴリーの「商品の実力」を比較する指標として用いている。


候補者たち


テーラーメイド「M1 460」(2016年勝者)

2016年のテストで、テーラーメイド「M1」は最高のキャリーとトータル飛距離を叩き出した。テスターの75%が、同テストにおける他のドライバーでの平均値を上回るストロークス・ゲインドを記録した。


ベスト・オブ・ザ・ベスト・チャレンジ 性能メモ

・テスターの総意は「このクラブは使える!」だった

・テーラーメイド「M1 460」の打感については好評価だったが、2016年当時と同じく、クラウンデザインについては意見が分かれた


スリクソン「Z565」(2017年勝者)

2017年当時の要約

2017年のテストにおいて、スリクソン「Z565」はキャロウェイの名高い「ビッグバーサ」「エピック」を上回るパフォーマンスを発揮し、その結果、テスト範囲が拡大して以来、ドライバーランキング1位を獲得した“ビッグ5”以外の唯一のブランドとなった。


ベスト・オブ・ザ・ベスト・チャレンジ 性能メモ

・テスターはスリクソン 「Z565」の性能は確かなものだと思ったが、アドレス時にフェースが閉じて見えるという声も多かった

・打感や打音については評価されず

・テストしたドライバーのうち、可変式ウエイトのない2本のうちの1本


PING 「G400 LST」(2018年勝者)

2018年当時の要約

ピン「G400 LST」は強力な競合たちを上回り、2018年のランキングタイトルを獲得するとともに、飛距離部門でも3位に入った。


ベスト・オブ・ザ・ベスト・チャレンジ 性能メモ

・テスターは、ピン「G400 LST」のセットアップとデザインに満足している。ほとんどのテスターは打感にも好評価

・低めだがスピンはかかる、絶対的なフェアウェイキーパー


キャロウェイ「エピックフラッシュ・サブゼロ」(2019年勝者)

2019年当時の要約

「エピックフラッシュ・サブゼロ」は、テーラーメイド「M6」とPXG「0811XF」を破り、ドライバーランキングのタイトルを獲得、また、キャリー部門でも2位となった。


ベスト・オブ・ザ・ベスト・チャレンジ 性能メモ

・「エピックフラッシュ・サブゼロ」が優勝すると信じる者が多い、テスターのお気に入り

・ボールスピードはキャロウェイのドライバーの強みなので、「エピックフラッシュ・サブゼロ」がテストで最も速いボールスピードを達成したのは当然のことだといえる


PING 「G410 LST」(2020年勝者)

2020年当時の要約

「G410 LST」は、キャロウェイの「マーベリック・サブゼロ」とコブラの「キング・スピードゾーン・エクストリーム」両者を破り、2020年のドライバーランキングを制した。ストロークス・ゲインドで1位、飛距離部門では3位だった。


ベスト・オブ・ザ・ベスト・チャレンジ 性能メモ

・テスターのフィードバックによると、最高とは言わないまでも、最高の打感を持つドライバーのひとつ

・ピンは長年にわたり、特徴的な音響特性を創り上げる努力を続けてきた。「G410 LST」は、そのこだわりを継続している

・他のドライバーと比較してフェアウェイキープ率が高いという評価だった。十分な飛距離を稼ぎ、真っ直ぐに飛ぶ



結果

さあ、いよいよ発表。再生ボタンを押して、新しい方が本当に良いのかどうか見てみよう。



もう読まなくてもいいけど、お楽しみはこれから。結果を掘り下げてみるとしよう。


表彰台の面々

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データ

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勝者についての考察

常に新しければ良いというわけではないが、今回はそうなった。

5本の受賞クラブのうち「LST」ファミリーが2世代。「G400 LST」はトップパフォーマーであり、勝者となったデザインを改良するためにピンではかなりの努力が必要だったろう。

正直言って、「G400 LST」より優れたものが開発されるかどうか我々は懐疑的だった。

「G410 LST」(と「410 Plus」)では、ピンはそのフィッティング能力を拡大した可変式ウエイトを追加した。

ホーゼルのフラットな設定は、左を嫌がるプレーヤー、ボールを少しフェードさせたいプレーヤーにとって魅力的なものとなった。

「ベスト・オブ・ザ・ベスト」の勝者は、様々なプレーヤーに合う均整のとれたドライバーを作るというピンのアプローチから生まれたものだ。

あらゆるテスターにとって絶対的に一番飛ぶドライバーとはいえないものの、大きく外れているわけでもない。

寛容性や再現性、フェアウェイキープ率の高さは、ほんの少しの飛距離の犠牲を補って余りある。


主な注目点

必ずしも新しければ良いわけではない


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最も新しいドライバーが勝利したとはいえ、このテストでは5年前のドライバーが総合2位になっている。

実際のところ、トップ3に入ったドライバーはその差1ヤード以下、トップ4のドライバーでは2ヤード以下の差であった。

現実には、USGAは多かれ少なかれ製造業者を“ロックダウン”させている。

真の進歩が実現するまでには通常3~5年かかるが、それでも画期的なテクノロジーの話は、「新素材」や「製造工程の改善によって可能になった厳格な公差管理」についてがほとんどだ。

年々、その他は意匠の違いや、重心位置の微妙な改良についてがほとんど。あとはもちろん、とんでもなく素晴らしい話も。

新しい方がうまくいくこともある。実に多くの場合、新しいものは前と同じか、時には悪くなることもある。


キャロウェイのドライバーは飛ぶ

   
Best Distance - Callaway Epic Flash Sub Zero

最も飛距離のでるドライバー〜キャロウェイ「エピックフラッシュ・サブゼロ」

「フラッシュ」と命名された製品に何を期待するだろう。ボールスピードによって伸びる飛距離こそ、キャロウェイ「エピックフラッシュ・サブゼロ」の真骨頂だ。それは強者揃いのテストで誰もが欲しがる飛距離部門の王冠を勝ち取った。

「エピックフラッシュ・サブゼロ」が飛距離、ボールスピードの両方でトップに立っているのは驚きではない。

2016年以来、キャロウェイのドライバーは、我々がおこなった5つのドライバーテストのうち3部門でトップをマークしている。

参考までに、キャロウェイは2019年に1位は獲得しなかったが、ドライバーは同部門で2位と3位にランクインしている。

2015年はブランドにとって最高の年ではなかったが、キャロウェイのドライバーは2017年以来おこなわれた4回のテストのうち3回で「最高の平均飛距離」を出している。

ボールスピード同様、2019年はテーラーメイドがトップになり、「エピックフラッシュ」と「エピックフラッシュ・サブゼロ」が僅差の2位と3位でフィニッシュした。

「飛距離」と「ボールスピード」両方の王者としてのキャロウェイのポジションは確固たるものであり、それは並外れた軌跡だ。


再現性こそがPINGにとっての最重要事項

Best Forgiveness - PING G400 LST

最も「寛容性」の高いドライバー〜ピン「G400 LST」

今回の粒揃いのテストにおいてピンが「寛容性」のトップに立ったのは驚きではないはずだ。2018年はピン「G400 LST」の年だった。その実力はこのテストでも存分に発揮されていた。

「絶対的に速い」とか、「絶対的に飛ぶ」ということではなく、ピンは、多くの競合他社にはないやり方で、「バランスのとれた性能」というものを見つけ出したようだ。

我々がどれだけテストをしても、ピンドライバーは寛容性においてはトップかその近くに位置し続け、テスターはフェアウェイをキープする。しかも「飛距離を損なうことなく」それを実現するのだ。

これは特に、世代を続けてランキングを勝ち抜いてきた「LST」モデルにおいて顕著だ。

「Most Wanted」テストの歴史の中で、この偉業を達成した唯一のモデルであり、2021年のテストでは「G425 LST」が候補に挙がっているため、「LST」が3世代にまたがって3回の勝利を達成できるかどうか、誰よりも気になるところだ。

要するに、我々は常に皆さんのキャディバッグに入っているクラブそれぞれについて合うものをプロとして薦めていくつもりでいるが、理由はどうあれ、もしもサイコロを振って既製品ドライバーを選ぶというなら、もちろん選択は自由だが、我々としてはピンに賭けてみることをお薦めする。

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結論と自分のゴルフ

「死と税金」、そして毎年あふれる新作ドライバー。これらは避けられないものだ。最初の2つからは何も良いことは起こらないが、後者は、飛距離アップとスコアアップへの新たな希望と楽観をもたらす。

現実であろうとなかろうと、技術の進歩は継続し、性能は向上していく。年を追うごとに少しずつではあるものの…。

とはいえ注意すべきは、このテストにおいて最新のドライバーが最高のドライバーであったとしても、それが必ずしも貴方にとってより良いパフォーマンスを保証するものではないということだ。

我々からのアドバイスは、「(クラブの)ロゴを無視して合うものを探し、自分のゲームに最適なドライバーを見つけること」。それが「プレーヤーにパワーを」ということなのだ。

この結果をどう思っただろう。貴方のお気に入りは王位に就いただろうか。ぜひ聞かせてほしい。