・ブリヂストンから「TOUR B」ゴルフボールの新バージョンが登場
・4つのモデルそれぞれに独自の『REACTIV IQ(リアクティブIQ)』テクノロジーが搭載
・価格は49.99ドルで現在発売中
2022 年「TOUR B」シリーズの発売にあたり、ブリヂストンからは、「接点の科学」と「新規衝撃吸収材」の概要を紹介された。
簡単に説明をすると、ウレタンカバーに異なる素材を配合することにより、低初速のアプローチショットと、インパクトでの変形が大きい高初速のドライバーショットで異なる反応を生み出す。
ブリヂストンによると、「新規衝撃吸収材」は製造技術を駆使することで、ドライバーショットでは硬く速い初速で飛距離を生み、ウェッジショットではより柔らかく多くのスピンを生み出すという。
いわゆる「良いとこ取り」だ。
「接点の科学」は、ブリヂストン「e12Contact」ゴルフボール(USモデル)から続く技術。
具体的には、ディンプルの中央を隆起させ、インパクト時にフェースとの接触面積を38%アップさせる「コンタクト・フォース・ディンプル」の採用だ。ドライバーではエネルギー伝達が大きくなりウェッジでは摩擦が増えスピン量が増える。また見た目もクールだ。
「新規衝撃吸収材」と似たような話だが、そこに至る道がやや異なるのだ。
「REACTIV IQ(リアクティブIQ)」
「TOUR B」でも「コンタクト・フォース・ディンプル」を楽しみにしていた人は、がっかりするかもしれないが、「新規衝撃吸収材」の採用により、より緻密なアプローチを可能にする『リアクティブIQ』(ウレタンカバーの名称)へと続いている。
「REACTIV(リアクティブ)」についてはのストーリーは基本的に変わらない。「IQ」とは、より賢くより目的に沿ったアプローチで「新規衝撃吸収材」を活用していることを示す。
前世代「TOUR B」では、「衝撃吸収材」の配合は4つのボールすべて同じだった。つまりタイガーボール(TOUR B XS)とブライソンボール(TOUR B X)用に調整されており、「RX」シリーズは基本的にそれらに沿うだけだった。
2022年の「TOUR B」シリーズでは、アベレージゴルファーにも同様に彼らが好むように改良されている。今回の「TOUR B」ボールは、4モデルそれぞれが独自の「新規耐衝撃性改質剤」を備え、各モデル最大限の改善が施されたという。
ブリヂストン「TOUR B RX」と「TOUR B RXS」
それでは、「ヘッドスピード46.9m/s未満」向けのモデルから説明しよう。
マット・クーチャーの父親がコマーシャルしていたが、彼のヘッドスピードでは「TOUR B X」や「TOUR B XS」が妥当だ。どちらもキャロウェイ「Super Soft」ほど柔らかくはないが、「RXS」は同カテゴリーで最も柔らかく、どちらもウレタン市場では「ソフトボール」の部類に入る。
ここでのポイントは、「ヘッドスピード46.9m/s以上」の人向けのボールが進化した一方、新世代の「TOUR B」は、レクリエーションもしくはアマチュアゴルファーもターゲットにしていると言うこと。つまり、ゴルフボールにお金を払う人たちのことだ。
「TOUR B RX」
「TOUR B RX」の改良に至ったきっかけは、フィッティングで「TOUR B RX」を勧められたゴルファーが、結果タイトリスト「ProV1」を選ぶことが多いというフィードバックによるものだった。
なぜか?原因は、「グリーン周りのスピン」にあった。そこで、2022年版「TOUR B RX」では、グリーンの周りでより多くのスピンをかけるために『リアクティブ IQ』と「新規耐衝撃性改質剤」のカバー配合を微調整したという。
しかし、「グリーン周りのスピン」とは、ブランドや状況によって定義が変わる曖昧な言葉である。ブリヂストンの場合は、「15ヤード」のショットが基本だ。これは、平均的なゴルファーを測るのに最適な距離であることがデータから分かっている。
今回の「TOUR B RX」のポイントは、「飛距離」で引けを取らないのはもちろんのこと、「耐衝撃性改質剤」を改良したことにより、グリーン周りのスピン量が「PRO V1」より少し多くなったことがテストで明らかになっている。
「TOUR B RXS」
次に、同社は「TOUR B RXS」の顧客がキャロウェイ「Chrome Soft」に移っていることを認識していた。そこには、2つの課題があった。
「ティーショットでの飛距離」、「グリーン周りのスピン量」、ともに全世代の「RXS」はこの両方で「Chrome Soft」に遅れをとっていた。しかし、これは「RXS」がかなりのソフトボールであることを考えると特に驚くことではない。つまり、ティーショットでは高く打ち上がりにくく、グリーン周りではスピン量が少ないことを意味する。
しかし、今回カバーを再構築したことにより、2つの課題を効果的に解消したようだ。「RXS」の特徴である「低コンプレッション」はそのままで。
彼らの比較対象は前世代の「Chrome Soft」だ。2022年版「Chrome Soft」の発売に際し、キャロウェイはより多くの飛距離とグリーン周りのスピン向上を約束しているが、以前よりも両者の差が縮まっている可能性はある。
ブリヂストンサイドの強みは、比較的安価なことと、弾道測定器での測定が簡単なこと。15ヤードでの計測なら自分で行うこともできる。
「初速」もさることながら、今年の「TOUR B RX」と「TOUR B RXS」のストーリーは「スピン量」に集約される。どちらのモデルでも、アプローチショットで約5%(250-300rpm)多くのスピン量が期待できる。コース上でのイメージは、3バウンドしてランしていたボールが、2バウンドで止まるイメージだ。
「TOUR B X」と「TOUR B XS」
一方「ヘッドスピード46.9m/s超」のプレーヤーをターゲットにしたモデル(「TOUR B X」や「TOUR B XS」)のストーリーは少し異なる。「ヘッドスピード46.9m/s未満」向けボールは「スピン量」と「初速」が中心だが、「TOUR B X」と「TOUR B XS」の共通点は「弾道」だ。
水分への対処に関してはおそらく大々的に宣伝されることはないが、同社によると新しいカバー配合によって、ウェット/ドライコンディションの両方で一貫したパフォーマンスが可能になり、ラフとフェアウェイの打ち出し角やスピンの差が均一になるという。
消費者のフィードバックを反映させた「ヘッドスピード46.9m/s未満」向けのボールとは異なり、「46.9m/s以上」のボールは、ブライソン・デシャンボーやタイガー・ウッズを筆頭とする、主にブリヂストンのツアースタッフからのフィードバックが出発点となっている。
では「ブライソン」ボールから始めよう。
ブリヂストン「TOUR B X」
裏話だが、ブライソンの場合、打ち出し条件によって彼のドライバーショットが少し浮くことがあった。これを軽減するために、「TOUR B X」の『リアクティブIQ』を微調整して、ややフラット軌道に修正。結果、弾道がわずかに低くなり、スピン量が減った。
ここでの話はツアープロのための改良で、基本的に彼らは「改良はするが、変更はしない」。つまり彼らの改善とはミリ単位の話であり、アベレージゴルファーが弾道の違いに気付くことはほぼないだろう。
同社の宣伝では、今回の改良でブライソンのキャリーが9ヤード伸びたと謳うが、この件に関しては明確にしておかなければならない。
まず、アベレージゴルファーに対しては9ヤードを約束していない。実際、ドライバーの飛距離に関しては何も約束していない。距離が伸びれば素晴らしいが、それは必ずしも今年の「TOUR B X」の目的ではなく、ブライソンの例を控えめに言っているわけでもない。
では何を期待できるのか。わずかかもしれないがより「フラットな弾道」と「グリーン周りでのスピン量」だ。ブライソンの場合、さらにスピン量が約300 rpm増えた(これは2020年のボールへ切り替えた際に増えた700 rpmに上乗せ)。
これは1人の例に過ぎないため、どれくらい価値があるのか考えてみよう。
ブリヂストンの「TOUR B X」は、すでに「コンプレッションが±100」範囲の中では、すでに最高のボールだ。今回改良された2022年モデルからさらに「グリーン周りのスピン量」が得られるなら、さらに最高ではないか。損することは何もない。
「TOUR B XS」
2022年「TOUR B XS」(別名タイガーボール)では、「よりフラットな弾道」が中心ではあるが、ボールが浮かないようにするというより、タイガー好みの領域で飛ぶように設計が微調整されている。
しかし、これも一般ゴルファーが気付くレベルではない。ツアープロは一般的にこだわりが強いが、その中でもタイガーは最高レベルの選手だ。
グリーン周りのスピンの微調整に関してもやや視点が異なるが、タイガー自身がプレーをどう捉えているのか知ることができる。新「TOURB X S」では、スピン量が少し増えたようだがスピン自体はさほど目的ではなかった。
タイガーはグリーンの周りでよりアグレッシブに(ハードに)スイングできるように、ボールの「フェースタイム(乗り感)」を求めていた。
ボールがもう少し長くフェースに留まると考えてもらえると分かりやすい。そのために、『リアクティブIQ』技術を駆使して、ボールがフェースから離れる際のボール初速を遅くした。
同じ初速でスイングをするには努力が必要で、スイングがハードになるとスピン量が増える。しかしこれはタイガーのためのボールであり、「TOUR B XS」では「コントロール性」を重視している。
余談だが、「TOUR B XS」は「ヘッドスピード46.9m/s以上」の範疇を超える。このようなボールのフィッティングの可能性についても触れておこう。
「タイガーボール」ゆえに、「TOUR B XS」を使うレベルではないと感じる人もいるだろう(もしくはスピン量が多すぎる)。
肝心なのは、より柔らかい打感(PGAツアーで最も柔らかいボールの1つ)と、高いスピン性能により、クーチャーの父親レベルのゴルファーでもうまく機能する点。ドライバーではより初速を、グリーン周りではより多くのスピン量が得られる。
「TOUR B XS」は、ヘッドスピード46.9m/s以上をターゲットとしているが、中ヘッドスピードのプレーヤーが求める性能が十分備わっている。
そうは言っても、スライスやフックで苦労している場合は、低スピン特性(ドライバー)の「RX」シリーズが合うかもしれない。
価格と販売予定
2022年ブリヂストン「TOUR B」ラインナップは現在発売中。
Leave a Comment