「ゴルフウィーク」のデビッド・ダセック氏のツイッターをフォローしている人なら、ブルックス・ケプカとスリクソンに関するこの投稿を見ているはずだ。


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『2022年の全米オープンに挑むブルックス・ケプカが、テーラーメイド「M5」ドライバーと2017年のタイトリスト「Pro V1lx」ボールにスイッチしているようだ』。

その通り、ケプカは全米オープンウィークにドライバーとボールを変更した。ダセック氏によれば、2度の全米覇者が、2017年のタイトリスト「Pro V1lx」(ケプカのメジャー4勝の全てで使用したボール)と、2019年の全米プロなどで使っていたテーラーメイド「M5」ドライバーに戻したという。

ケプカは昨年、スリクソン-クリーブランドとスリクソン「ZX7」ドライバーとスリクソンの新しい「Z-STARダイアモンド」ボールを含めた総合契約を締結。スリクソンは、このボールについてケプカを意識して設計したと堂々と発表していたほどだった。

一体どういうことなのか?なぜケプカはこうした変更をしたのか?これはスリクソンにとって悪いことなのか?


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詳細説明

「ゴルフウィーク」のダセック氏の記事によると、ケプカはザ・カントリークラブのショートゲームの練習エリアで古い「Pro V1x」で練習していたようだ。その後、練習場に移動すると、ヘッドカバーこそスリクソンだったものの、以前使用していたテーラーメイドのクラブを取り出したという。

我々がスリクソンにコンタクトしたところ、以下の様な文章が送られてきた。


「我々のパートナーシップの初期段階において、ブルックス・ケプカ氏は当社のドライバーとボールのパフォーマンスを検証しているところです。パフォーマンスは間違いありませんが、その特性はまだ完璧にフィットしているとは言えません。

我々は、この調整期間をより効率的なものにするため、ケプカ氏の意見とニーズを考慮して開発された、近い将来ツアーでデビューするスリクソンのドライバーとボールのプロトタイプを、ケプカ氏にフィットさせることに全力を注ぐことにしました。

今後数ヶ月で準備を進める一方、当社ではケプカ氏が以前使用していたボールとドライバーを使うことを承認しています。もちろん、ケプカ氏は、スリクソンのアイアンとクリーブランドのウェッジについては使用を継続してくれるはずです。両者は今回のパートナーシップに完全にコミットしており、当社ではケプカ氏が近いうちにスリクソンのドライバーとボールを使用してくれると確信しています」。


そのまま読み取れば、合理的に見える。「パフォーマンスを検証」と「特性が完璧にフィットしてしない」についてはケチをつけたくなるが、ケプカがアイアンとウェッジまで変更していないということは、そういうことなのだろう。


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本当のところはどうなのか?

私達のもっとも最近のエピソードの議論(No Putts Given)を考えると、推測するのは簡単だ。ケプカが今回のボールとドライバーが嫌い、もしくは、スリクソンが何か大きなミスを犯したのか?スリクソンボールには問題があるのか?両者の関係に何かあったのか?ということだろう。

良い方に考えてもケプカの急な変更は、スリクソンにとっては厄介だ。同社では、ケプカとの契約を昨年11月に堂々と発表し、感謝祭期間中に開催されたブライソン・デシャンボーとの因縁対決でケプカが「Z-STARダイアモンド」を使った時には大喜びしていたのだ。

新しいボールとドライバーを使っているケプカは、ケプカらしくない。今年はトップ5入りが2回とバルスパー選手権で12位タイになっているが、マスターズ、プレーヤーズ選手権、ジェネシス招待では予選落ちしていたし、全米プロも55位タイに終わっている。


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今季の「平均飛距離」は18位のケプカだが、「ティーショットの正確性」になると179位。ティーショットの貢献度を示す「ストロークス・ゲインド・オフ・ザ・ティー」は75位で、「ストロークス・ゲインド・ティー・トゥ・グリーン」は123位という状態だ。

そして、1月以降(5月まで)で10試合しか出場していない。ケプカは2018-19シーズンに3勝しトップ10に9回入ったが、用品とは関係なく、それ以降は同じゴルファーではないと言ってもいいくらいだ。この後のケプカは47試合で1勝と15度のトップ10入りという状態なのだ。

※「ストロークス・ゲインド・オフ・ザ・ティー」:すべてのパー4とパー5のホールの、ティーからのパフォーマンスを測定する。

※「ストロークス・ゲインド・ティー・トゥ・グリーン」:第1打の打ち出しから、ゴルファーがグリーンに到達するまでのすべてのショット。


では、スタッツ的に「ZX7」と「Z-STARダイアモンド」が完璧にフィットしていないという証拠はあるのだろうか?

ケプカの昨シーズンの「ストロークス・ゲインド・オフ・ザ・ティー」は7位でその前は28位だった。

ケプカは通常、「ストロークス・ゲインド・オフ・ザ・ティー」でトップ25に入るが、今年の結果は異常とも言える。ところが「ティーショットの正確性」になると、2018-19シーズンの102位がこの6年間の最高となっているようだ。


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スリクソンにとってのベストシナリオ

お伝えしたように、スリクソンにとってベストなのは、これが短期間のマイナスに終わることだ。(残りもシリーズも含め)「ZXドライバー」は2年周期の最終コーナーに差し掛かっており、2023年モデルのプロトタイプがツアーでお披露目される準備ができていると考えるのは合理的だ。

「Z-STAR」ボールも同じ流れにあり、スリクソンもケプカが開発プロセスに関わっているとはっきり伝えている。

「Z-STARダイアモンド」は、昨年秋に突如として登場したようなボールで、「Z-STAR」と「Z-STAR XV」の間という位置付けだった。表向きはケプカのためにデザインしたとしているが、100%しっくりきたわけではないと考えるのが妥当ということだ。

ケプカが道具を変えたタイミングはとても不思議だ。急なことではあるが、ケプカが全米プロ以降プレーしていないことには注目すべきだろう。当然、ケプカは結婚(とんでもないパーティだった!)したが、突然、今週になってドライバーとボールをスイッチしたことを決めたと考えるのは愚かだ。

そして、スリクソンが昨日不意をつかれたと考えることも愚かなこと。両者がここまでのSNS拡散に対して準備していなかったのかも知れないが、お互いが今回のことを知っていたと考えるべきだろう。


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スリクソンにとって最悪なケース

スリクソンにとっての短期的なマイナスが落ち着いた後のベストケースは、ケプカが新しいプロトタイプドライバーに移行し、プロトタイプのボールを手にすることだろう。スリクソンのボールは松山英樹、ショーン・ローリー、キーガン・ブラッドリーにもフィットしているので、スリクソンがケプカに完全にフィットするものを提供できないと考える理由などない。

ドライバーになると話はちょっと複雑で、松山の場合だとウッドをスリクソンとテーラーメイドでコロコロ替えている。最終的にケプカが違うドライバーに固執することになれば、前例にないことになる。

スリクソンにとって最悪とまでは言わないが皮肉なケースとしては次のとおり。今週、ケプカがスリクソンに背を向け優勝(あるいは優勝争い)すれば、おそらく「M5」と「Pro V1x」に固執することになるだろう。少なくともしばらくはそうだ。

当面の間、スリクソンに幸運は訪れないということ。こうなると、契約内容の変更も必要になるかも知れない。


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では“最悪のシナリオ”とはどんなことだろうか?それはケプカが、ジャスティン・ローズのようにスリクソンとの契約から抜けることだ。しかし、これはケプカとスリクソンとの間にはしっかりとした関係があることを示す表立った兆候があるので考えにくい。

多くの人は、ローズが、本間ゴルフをクラブが最悪という理由で捨てたと考えるだろうが、これには2つの側面があるのだ。

結論を急ぎ、話の矛盾を指摘することは簡単だし、スリクソンのメッセージにはそんなことがいくつか散見される。また、スリクソンはまともなドライバーとゴルフボールを作れないと早合点して主張することも簡単だ。

しかし、覚えておいて欲しいのはスリクソンの契約プロたちは、同社のボールとドライバーでメジャーに勝ったということ。

もしかしたら、ひょっとしてだけど、ケプカも我々と同じなのかも知れない。物事がうまく行かないとき、我々なら道具のせいにする。

ただ一つ違うのは、我々がクラブを変えてもSNSに何十万もアクセスは来ないということだ。