「寛容性」はゴルフ業界では漠然とした言葉で、馴染みはあるが定義されることはまずない。“ゴルファーとして安定したパフォーマンスを発揮するドライバーを望むだろうか?”と聞かれれば、その答えは明らかにイエスだろう。

“ボール初速”のブレは小さいのか?“キャリー”の差は最小限か?“バラツキ”を示す楕円は小さいのか?いつでもインパクト後には同じような結果となるドライバーが欲しいはずだ。我々は「寛容性」に関してこうした指標を分析している。

では、「寛容性」でベストなドライバーを紹介しよう!


「寛容性」1位 PXG「0311 XF GEN6」


ポイント

「寛容性」トップは、PXG「0311 XF GEN6」。PXGの「0311」シリーズの中で「XF」は「寛容性」が非常に高いモデルとなっている。『Ti412チタン合金』は低弾性でありながら高強度を誇る。これは専門的な言い方だが、“強いけど柔軟性がある”ということ。また空力特性に基づいたヘッド形状と、ソールには取り替え可能な2.5gのウエイト1つと7.5gのウエイト2つの『スリーウエイトシステム』を採用している。さらに、調整可能な『アジャスタブル・ホーゼル(ロフト角・ライ角を調整する可変スリーブ)』を搭載。PXGのシステムは、ロフト角の増減が簡単。ほとんどのゴルファーがスライスすることを考えると、この設定は一番使用されるセッティングではないが、フックに悩んでいたり、ややフェードバイアスを求めているゴルファーにとっては、明らかに魅力的だ。「0311 XF GEN6」は、卓越したパフォーマンスに高い一貫性があり、バラツキを抑えたトータル的に優れたモデル。打ちやすさとやさしさを追求した、「初心者・初級者(超スコア改善型)」向けにもおすすめできる。だが決して万人向けではない。


おすすめ層

► 「一貫性」を求めている人:PXG「0311 XF GEN6」ドライバーは、深重心/中スピンで、MOI(慣性モーメント)5,500 を備えた「寛容性」トップのモデル。「ボール初速」、「キャリー」、「バラツキ」が非常に安定しており、「ボール初速(%)」で2位、「バラツキ(%)」では3位となっている。


不向きな人

✖︎ フィッティングが受けられない人:PXG「0311 XF GEN6」は、トータル的に優れたパフォーマンスで大きな可能性を秘めている。しかし、万人向けではないので、フィッティングを受けずに購入するのは避けた方が良いだろう。


テスターの主観的フィードバック

・「大きめのヘッドデザインがアドレス時に自信を抱かせてくれる」

・「テストしたドライバーの中で一番のお気に入り。衝撃的に良いね」

・「本当に良いドライバーで、驚くほど低スピン。今までで最高のPXGドライバーだ」

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専門家の見立て

PXGは毎年、最も「寛容性」の高いドライバーの一つになっている。「GEN6」シリーズにより、PXGは我々のテストにおける「寛容性」に関する評価を確固たるものにしており、PXG「0311 XF GEN6」は優れた「一貫性」を実現。豊富な調整機能により“未知の可能性を秘めたドライバー”となっている。また、PXG「0311 XF GEN6」は、包括的なフィッティングをすることで、一貫性のあるドライバーから最高のドライバーになるとも言える。そしてフェース全体で安定した数字を叩き出す。このドライバーは、「究極の寛容性」を求めるゴルファーのためにデザインされたことは言うまでもない。


「寛容性」2位 PXG「0311 GEN6」


ポイント

PXG「0311 GEN6」は、あらゆるレベルのゴルファーに向けてデザインされており、このモデルも非常に「寛容性」が高い。「総合スコア」は、PXG「0311 GEN6」(11位)は「0311 XF GEN6」(13位)よりもやや優れた結果となっている。こちらも「0311 XF GEN6」と同様、中スピン設計で、スピン量の数値としては「0311 GEN6」が2,429rpmに対し、「0311 XF GEN6」2,352rpm。打ち出し角は「0311 GEN6」の方が高め、キャリーはほぼ変わらず、トータル飛距離は「0311 GEN6」の方若干上回る結果となっているが、「飛距離」に関して今回テストした37モデルと比較すると平均をやや下回っている。そして「打感」に関しては、過去に採用していた『ハニカムTPEインサート』から『高精度のウエイトテクノロジー』へと変更し、内部のウエイトを再配置することで、不快な周波を解消。大幅に改善した心地よい「打音」と「打感」を実現している。


おすすめ層

► 安定したキャリーを優先する人:PXG「0311 GEN6」の「寛容性」スコアは10点中9.4。市場にある中で“一番飛ぶドライバー”ではないが、「キャリー」、「バラツキ」と「ボール初速(%)」でも上位につけている。


不向きな人

✖︎ フィッティングが受けられない方へ:PXG「0311 GEN6」はソリッドなクラブで、全体的にPXG「0311 XF GEN6」よりもやや高スコアとなっている。しかし、万人向けではないので、フィッティングを受けられる場所やサービスへのアクセスがない方にとっては避けるべきドライバーかも知れない。


テスターの主観的フィードバック

・「素晴らしい見た目と打感、そして打音。その上、数値も安定している」

・「個人的には弾道に魅力を感じている。嬉しい驚きがこのドライバーにはある」

・「間違いないドライバーだが、ボール初速には劣る」


専門家の見立て

PXGは毎年、最も「寛容性」の高いドライバーの一つになっている。「GEN6」シリーズにより、PXGは「寛容性」に関する評価を確固たるものにしており、「0311 GEN6」は特にキャリー(%)の数値において優れた一貫性を実現。豊富な調整機能により“未知の可能性を秘めたドライバー”となっている。また、PXG「0311 GEN6」は包括的なフィッティングをすることで、一貫性のあるドライバーから最高のドライバーになるとも言える。そしてフェース全体で安定した数字を叩き出す。クラブ設計は、「0311 GEN6」は定番のティアドロップ型に対し、「0311 XF GEN6」は大きなヘッドでスクエアには構えやすい。大き目なヘッドを好まないゴルファーは「0311 GEN6」を、“究極のやさしさ”を求めるなら「0311 XF GEN6」を選択すると良いだろう。

PXG「0311 GEN6」と「0311 XF GEN6」のロフト角は異なるので、詳細はPXGのホームページで確認してほしい。

※発売開始価格は¥77,000(日本モデル)。


「寛容性」3位PING「G430 SFT」


ポイント

PING「G430 Max 10K」は、『2024 年ドライバーランキング』総合部門で1位を獲得、ずば抜けた「正確性」で驚くほど真っ直ぐ飛ぶ。しかし「寛容性スコア」はPING「G430 SFT」が9.2 であるのに対し、「G430 Max 10K」 は 8.8。大したことではないように思えるかもしれませんが、「G430 SFT」 は今年のPINGドライバーの中で最も「寛容性」が高い。衝撃的だったのは、「G430 SFT」が「高ヘッドスピード部門」で最も「寛容性」が高いドライバーであること。これは、我々の想定外だった。また「寛容性」でトップというだけでなく、他のモデルを圧倒している。その最大の要因は「バラツキ」にある。PING「G430 SFT」の「バラツキ」は、次点のドライバーよりも27%多くのテスターにおいてトップ5に入っている。

「G430 SFT」はドロー設計で“スライスを矯正する”よう設計されている。「G430 SFT」は、8ポジションのロフト角とライ角の調整が可能になっており、ロフトは±1度と±1.5度、ライ角はスタンダードとフラットの8パターンで好みに応じて弾道をカスタマイズすることが可能だ。様々な可能性を探り自分のスイングに適したセッティングを見つけることができる。


おすすめ層

► 「寛容性」と「一貫性」を重視する人:PING「G430 SFT」は「寛容性」と「一貫性」が非常に高い。バラツキも小さく、「キャリー」と「ボール初速」も安定していることから「高ヘッドスピード部門」では他を圧倒している。

► 信頼できるドローバイアスドライバーを求めている人:毎年、PINGの「SFT」ドライバーは、最もドローバイアスなドライバーとして優れた結果を出しているが、「G430 SFT」も例外ではない。信頼性あるドローバイアスの結果を実現しており、またどちらかと言うとスライスやフェードを抑制する。


不向きな人

✖︎ 飛距離重視の人:PING「G430 SFT」は、その優れた「寛容性」にも関わらず、さらなる「飛距離」を求めるような気持ちにさせる。しかし、「高ヘッドスピード部門」での「飛距離」スコアは平均以下となっている。


テスターの主観的フィードバック

・「一貫性がスゴく寛容性も高い。毎回、フェアウェイをキープできるという感じになる。」

・「ドローバイアスのドライバーが欲しいなら、このモデルが良いだろう。過剰なドローやスライスに苦労することはないはずだ。」


専門家の見立て

PING「G430 SFT」は、確かに万人向けではない。とはいえ、とんでもなく「一貫性」があり、そのことは「高ヘッドスピード部門」の「寛容性」スコアでも分かる。基本的にドローバイアス設計だが、ドローの程度は過去モデルよりも扱いやすくなっている。そのため、ドロー弾道を強めにしたり、フェード/スライスを軽減するのに十分な多彩性もある。スライス軽減に役立つドライバーを求めているのなら、PING「G430 SFT」は最良の選択肢と言える。


下記は「寛容性」ベスト3のデータだ。

「寛容性」ベスト3の各モデルの特徴とデータを踏まえ、ドライバーを購入する際は是非とも参考にしてほしい。



「寛容性」TOP3 MGSスコア

モデル名総合スコア飛距離正確性寛容性
PXG「0311 XF GEN6」8.57.27.89.7
PXG「0311 GEN6」8.67.47.89.4
PING「G430 SFT」8.16.28.49.2


「寛容性」TOP3 トップ5%

モデル名キャリー(%)トータル飛距離(%)ストレートショット(%)バラツキ(%)一番速いと一番遅い
ボール初速の差(%)
最長と最短の
キャリーの差(%)
PXG「0311 XF GEN6」8.68.620.025.722.914.3
PXG「0311 GEN6」14.311.420.020.014.325.7
PING「G430 SFT」2.95.722.931.420.020.0

※全テスターのトップ5に入った割合を見ている。



「寛容性」TOP3各データ

モデル名ボール初速
(m/s)
打ち出し角
(度)
スピン量
(RPM)
高さ
(m)
落下角度
(度)
キャリー
(ヤード)
トータル飛距離
(ヤード)
左右のバラつき
(平方ヤード)
ストレート
ショット(%)
PXG「0311 XF GEN6」63.1813.312,3528.2235.88236.31248.932,96852.1
PXG「0311 GEN6」63.2813.852,4298.6736.88236.52250.453,05250.1
PING「G430 SFT」63.4513.492,7428.8837.74233.57246.782,33554.2