毎年のことだが、我々は最高のボールを見つけるために、数あるボールを打ち比べそのテストした結果を解析し、そしてデータ化することに数えきれないほどの時間を費やしている。個々のレベルはどうあれ、皆やはり高品質のゴルフボールを使いたいはず。

だからこそ、我々は個人的な“フィーリング”や適当な感覚に任せるのではなく、ロボットを使用し正確かつ厳密にテストして出たデータに注目しているのだ。


2023年ベストゴルフボール

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「ゴルフボールテスト」

他にはマネできないこの数あるモデルの「ゴルフボールテスト」こそ、我々「MyGolfSpy」ならではのものだ。今回のテストは、異なる2箇所のテスト施設で80時間以上を費やし、46モデルのゴルフボールテストを実施した。

テストではドライバーとミドルアイアンを使用し、それぞれ「高・中・低」の、各ヘッドスピードになるようロボットをセットし、モデル毎にショットしたデータを収集。また、一般的な“グリーン周りのパフォーマンス”とされる部分をより理解するために、35ヤードのウェッジショットも行った。


ベストゴルフボール(総合)

では、どのモデルを使用したら良いのか分からない、または迷っている方はもちろんのこと、まずは『2023年ベストゴルフボール』総合上位モデルからご覧いただきたい。


タイトリスト「Pro V1x(プロV1x)」


価格

¥7,150(税込)


 
コンプレッション(硬度)

96(硬め)


構造

4ピース(デュアルコア)


👍こんな人におすすめ

飛びとスピンを求めている人。「Pro V1x」は飛ぶだけでなく必要な場面で十分なスピンもかかる。

「品質」が何よりも一番優先という人。タイトリストの第3工場で生産されるボールは我々が行う「品質」と「一貫性」を調査した『BALL LAB』でも常に高評価を得ているが、この「Pro V1x」も例外ではない。


👎 こんな人は他を探そう

✖︎ 硬いフィーリングが嫌いな人。コンプレッション(硬度)が「96」となっており「Pro V1x」の打感は硬く感じられる。これは初速の代償と言える。

✖︎ 掘り出し物を探している人。「Pro V1x」の価格は¥7,150(税込)で、市場にあるボールの中では高価な部類に入る。


特徴

「Pro V1x」は紛れもなく市場で「ベストゴルフボール」の一つだ。“ツアー”ボールとして十分な評価を得ている一方で、みなさんの想像以上の幅広い層のゴルファーにフィットする。そのためか、タイトリストのラインナップの中でも、最も多くのゴルファーにマッチするボールとなっている。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

ティーショットにおけるタイトリスト「PRO V1x」は、中・高弾道、適度なスピン、十分なボール初速が期待できる。このボールが、ティーショットで飛距離を出す上でベストボールと言える理由はこの組み合わせがあるからだ。

また、ヘッドスピードが遅めのプレーヤーは、低コンプレッションのボールが良いと誤解されがちだが、こうしたゴルファーでもこの「Pro V1x」の弾道とスピン特性からメリットを得られる。


アイアンのパフォーマンス

現行の「PRO V1x」は、ドライバーのスピンこそ軽減しているものの、アイアンショットにおけるスピン量は平均を遥かに超えている。ヘッドスピードの速いプレーヤーは、アイアンショットも高弾道になり、低~中ヘッドスピードだと中弾道になるはずだ。


ウェッジのパフォーマンス

ウェッジでフルショットした時の「Pro V1x」は、スピン量が平均レベルで中/低弾道。グリーン周りでのスピン量も平均の範囲内に収まっている。グリーン周りでの性能に特化しているボールは、他の場面でも過度にスピンがかかってしまう傾向にあるのが一般的だ。


「BALL LAB」の品質チェック

タイトリストの他のボールラインナップと同様に、この「Pro V1x」は「品質」と「一貫性」に優れている。現行モデルの得点は89で、我々の直近のテストにおいては「品質優秀賞」に輝いた。


Titleist Pro V1 タイトリスト「Pro V1(プロV1)」

価格

¥7,150(税込)


 
コンプレッション

87(平均-硬め)


構造

3ピース


👍こんな人におすすめ

アイアンショットでバランスの良いパフォーマンスを求める人。「Pro V1」はまさにアイアンショットで中弾道、中スピンを実現する。

“柔らかい”ツアーボールを求めている人。このモデルはソフトではないが、「Pro V1」は“真の“ツアーボールの中ではソフトな部類に入る。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ ドライバーで高さが必要な人。ティーショットにおいて、このモデルは我々がテストした中では低弾道ボールと言える。

✖︎ 価格重視の人。「Pro V1x」同様、タイトリスト「Pro V1」は¥7,150(税込)と高価格だ。


特徴

「Pro V1」は、全てのゴルファーにとってベストボールとは言えないが、初速という点でもパフォーマンスを発揮する中弾道、中スピンのボールにメリットを感じているゴルファーに適している。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

タイトリストでは、この「Pro V1」を中弾道、中スピンとしているが、我々のテストではドライバーショットの多くで、低めの弾道になった。スピン量もやや低いため、コンプレッション「87」という数値の割には飛んではいるが、弾道が低めなのでこのボールが理想とはいえないゴルファーもいるだろう。


アイアンのパフォーマンス

アイアンショットにおいて、タイトリスト「Pro V1」はその触れ込み通り中弾道、中スピンになっている。テストしたほとんどの条件下において、このモデルは弾道、スピン共に中間的な部類。こうしたニュートラルなパフォーマンスが、全レベルのゴルファーにとって人気の理由の一つになっている。


ウェッジのパフォーマンス

「Pro V1x」ほどスピンはかからないが、この「Pro V1」もしっかりとスピンがかかる。多くのゴルファーが、このモデルのソフトな打感を好むはずだ。


「BALL LAB」の品質チェック

タイトリストの第3ボール工場で製造されている他のボール同様、「Pro V1」の品質は平均以上であることが分かった。


キャロウェイ「Chrome Soft X(クロムソフトX)」


価格

¥ 4,840(税込)


コンプレッション

95(硬め)


構造

4ピース(デュアルマントル)


👍こんな人におすすめ

► スピンが必要な人。「Chrome Soft X」はどの番手でも相対的に高スピンを実現する。

► 柄物のボールが好きな人。「Chrome Soft X」には「Truvis(トゥルービス)」と「Triple Track(トリプルトラック)」パターンがあり、時折、限定版も発売されている。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ ドライバーのスピンを減らしたい人。「Chrome Soft X」は市場にある中で高スピンボールの一つ。

✖︎ ボールを高く上げたい人。「Chrome Soft X」は弾道が非常に低いわけではないが、それで問題解決とはならない。


特徴

「Chrome Soft X」は、キャロウェイのボールラインナップの中で最も過小評価されているものの、間違いなく最高性能のボールで、「飛距離」と「高スピン」を兼ね備えたゴルフボールを求めている人にとっては魅力的なモデルと言える。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

キャロウェイ「Chrome Soft X」は、条件によって“最も飛ぶボール”の一つと言える。誰でも飛ばせる一方で、我々のデータによれば、ヘッドスピードが速いゴルファーほどではないが、中ヘッドスピード以下でもドライバーでは十分な高スピンを実現する。

アイアンのパフォーマンス

アイアンショットにおけるキャロウェイ「Chrome Soft X」は、グリーンでしっかり止まるスピン性能を備え、中弾道を実現。ヘッドスピードに関わらず、このボールのフィッティングの幅は皆さんの想像以上であることを示している。

ウェッジのパフォーマンス

大きな違いではないが、ここまで紹介してきたベストゴルフボールの中において、キャロウェイ「Chrome Soft X」は、やや低弾道で、フルショットとコントロールショットにおいて最も高いスピンを実現している。


 
「BALL LAB」の品質チェック

『BALL LAB』で、以前キャロウェイのボールにおける「一貫性」の課題を指摘した。とはいえ最新のテストでは、このボールの品質が平均的であることが示されており、クオリティが改善していることが分かる。


ベストゴルフボール(飛距離)

「飛距離」はゴルファーに大きく左右されるものだが、我々のロボットによるボールテストの条件下においては、以下のモデルがティーショットの飛距離を“最大化させるボール”といえる。


タイトリスト「Pro V1x レフトダッシュ」


価格

54.99ドル(約7,990円)


コンプレッション

102(硬め)


構造

4ピース(デュアルコア)


👍こんな人におすすめ

► 少しでも飛距離を伸ばしたい人。多くのゴルファーが、この「レフトダッシュ」が高コンプレッションと低スピンの組み合わせのおかげで、飛距離が出るボールの一つであることに気づくだろう。

► スピンを軽減したい人。ツアーレベルのコンプレッションの低スピンボールを見つけることは至難の業。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ グリーン周りのスピンを犠牲にしたくない人。ウレタンカバーの硬めのボールとしては、グリーン周りのスピンが低い。

✖︎ ソフトなボールが好きな人。コンプレッションが「102」ということで、市場にある中で「レフトダッシュ」はかなり硬いボールになっている。


特徴

ドライバーの飛距離を重視するゴルファーにとって、この「Pro V1x レフトダッシュ」は間違いのないボールとなっている。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

タイトリスト「Pro V1x レフトダッシュ」は、高コンプレッション、中弾道、低スピンの組み合わせにより、低~中ヘッドスピードのゴルファーを含め、ほぼ全てのドライバー飛距離でトップレベルとなっている。


アイアンのパフォーマンス

アイアンショットにおいて、「Pro V1x レフトダッシュ」の弾道は通常の「Pro V1x」の弾道に近しい。違いは、「レフトダッシュ」の方が、スピンがかなり少ないということだ。


ウェッジのパフォーマンス

ウェッジのフルスイングにおける「Pro V1x レフトダッシュ」のスピン量は、平均をやや下回る程度。欠点があるとすれば、グリーン周りで「Pro V1」シリーズの他モデルような止まる力がないということだろう。


「BALL LAB」の品質チェック

『BALL LABテスト』において、タイトリスト「Pro V1x レフトダッシュ」のクオリティが優れていることは既に明らかとなっている。


Titleist Pro V1x タイトリスト「Pro V1x」


価格

¥7,150(税込)


コンプレッション

96(硬め)


構造

4ピース(デュアルコア)


👍こんな人におすすめ

► グリーン周りのスピンを重要視する人。「Pro V1x」はドライバーのスピンこそ低めだが、グリーン周りではスピンがかかる。

► 硬めのボールが好きな人。「レフトダッシュ」ほどではないが、「Pro V1x」は他のモデルよりも硬めだ。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ 高スピンの人。すでにスピンが十分にかかっているなら、「Pro V1x」だとスピンがかかり過ぎてしまう可能性がある。


特徴

「Pro V1x」のドライバー飛距離は、中スピン特性と高コンプレッションにより最長クラスを誇る。飛ぶボールは存在するが、「Pro V1x」ほど、どの番手でもスピンをキープできるボールはない。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

スピンなため、「Pro V1x」は多くのゴルファーにとって「レフトダッシュ」ほど飛ぶわけではない。両者とも弾道は似ている。


アイアンのパフォーマンス

グリーンでしっかり止まるボールを打ちたい人は、タイトリスト「Pro V1x」の高スピン性能に高い評価を下すはず。しつこいようだが、純正の「Pro V1x」と「レフトダッシュ」の差はここにある。


ウェッジのパフォーマンス

「Pro V1x」は、フルショットとグリーン周りにおいて、「レフトダッシュ」よりやや多めの平均的なスピン量が期待できる。


「BALL LAB」の品質チェック

上記でもお伝えしたが、「Pro V1x」は『BALL LAB』でテストしたゴルフボールの中でベストボールの一つとなっている。


最もお買い得な商品

究極のお買い得商品を探している人向けに、30ドル以下(約4,300円)のおすすめボールをご紹介する。


カークランド「Performance+ V3(パフォーマンスプラスV3)」

価格

17.5ドル(約2,500円)


コンプレッション
 

92(硬め)


 
構造

3ピース


👍こんな人におすすめ

► できるだけ安いウレタンボールが欲しい人。1ダースが17.5ドル(約2,500円)というわけで、ここまで安いウレタンボールはない。

► グリーン周りでのコントロール性を求める人。「Performance+ V3」はグリーン周りのスピンが最高レベルのボールの一つだ。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ スピンを減らす必要がある人。どのような状況においても、このカークランド「Performance+ V3」は最もスピンがかかるボールの一つと評価されている。

✖︎ 風の強い日のプレーがある中でプレーする人。このボールのディンプルパターンだと風がある状況ではプレーし難くなる。


特徴

カークランド「Performance+ V3」に欠点がないというわけではないが、1ダース20ドル以内(約2,900円)ということを考えれば、特に初心者や予算が限られている人にとって、パフォーマンスを補うだけの価値があることは間違いない。


詳細パフォーマンス

ティーショットのパフォーマンス

カークランド「Performance+ V3」は、ヘッドスピードに関係なく市場で最もスピンがかかるボールと言える。ヘッドスピードが遅めのプレーヤーなら中低弾道に、中~高ヘッドスピードのプレーヤーならしっかりとした中弾道を実現する。ボール初速は決してトップクラスではないため、高スピンと相まってティーショットの飛距離は平均をかなり下回る結果となっている。


アイアンのパフォーマンス

アイアンショットにおけるカークランド「Performance+ V3」は、あらゆるテスト状況で低弾道、高スピンになっている。これによりアプローチショットでボールがしっかり止まり、落下角度が緩やかなことから一部のゴルファーには理想的と言えるだろう。一方、ドライバーショットにおいては、スピン量が多いと飛びが平均を下回ることになる。


ウェッジのパフォーマンス

ウェッジでのフルスイングにおけるスピン量は、多い部類に入る。アイアンでは低弾道で落下角度が緩やかだが、グリーン周りのスピン量はテストした中ではトップクラスとなっている。


「BALL LAB」の品質チェック

『BALL LAB』では、現在「Performance+ V3」のテストが進行中だ。前作のテストでは平均以下のクオリティだったが、価格を考えれば驚くことではないだろう。


ベストゴルフボール(ソフトフィール)

ゴルファーはソフトなフィーリングを好むが、これは時にパフォーマンスを妥協することになる。ここで挙げたボールは求めるフィーリングと必要なパフォーマンスを備えたモデルだ。


キャロウェイ「Chrome Soft(クロムソフト)」ゴルフボール

 
価格

現在セール価格にて¥ 4,840 (税込)


コンプレッション

72(ソフト)


構造

3ピース


👍こんな人におすすめ

► ヘッドスピードは速いがソフトなフィーリングを求めている人。キャロウェイ「Chrome Soft」は我々が選んだソフトなゴルフボールの中では一番飛ぶボール。特に初速がある層だとそうなる。

► 線や柄物が好きな人。「Chrome Soft」には「Triple Track(トリプルトラック)」と「Truvis(トゥルービス)」があり、年間を通じて限定版も発売されている。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ グリーン周りのスピンが欲しい人。「Chrome Soft」は我々が選んだソフトなゴルフボールの中では一番スピンがかかるボールだ。

✖︎ ボールに最大限の止まる力が欲しい人。市場にあるボールの中で最も低スピンというわけではないが、ゴルファーによってはこのモデルよりもう少しスピンが必要なはず。


特徴

ヘッドスピードが速いプレーヤーは、「Chrome Soft X」か「X LS」が良いだろうが、低~中ヘッドスピードのプレーヤーで、それなりに多いスピン量を求めているなら、この「Chrome Soft」を試して欲しい。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

ドライバーショットにおけるキャロウェイ「Chrome Soft」は、スピン量が平均以下で、比較的低弾道から中弾道程度。同構造のボールよりもやや飛ぶが、これは、USGAの最小サイズ規定に合わせたデザイン仕様になっているためだ。


アイアンのパフォーマンス

「Chrome Soft」はアイアンショットにおいて、低〜中程度のスピン量で高弾道になる。特に低~中ヘッドスピードのプレーヤーにとって、飛距離は最高クラス。グリーン周りのスピン量は平均以下という感じだ。


ウェッジのパフォーマンス

お伝えしたとおり、我々が選んだソフトなベストゴルフボールにおいてウェッジのスピンに大きな差はないが、数値上は「Chrome Soft」が最もスピン量が多い。一方、グリーン周りのスピン量は平均をやや下回る。


「BALL LAB」の品質チェック

『BALL LAB』におけるキャロウェイボールの成績はマチマチだが、世代を重ねるごとに品質が向上していると信じるに足る理由はある。


ブリヂストン「TOUR B RXS」

価格

$44.99 44.99ドル(約6,545円)


コンプレッション

65(ソフト)


構造

3ピース


👍こんな人におすすめ

► グリーン周りのスピンが欲しい人。我々が選んだソフトなベストゴルフボールの中で、「TOUR B RXS」が最もグリーン周りのスピンがかかる。

► 最もソフトな3ピースボールを求めている人。ブリヂストン「TOUR B RXS」は検討する価値のある最もソフトなゴルフボールだ。


 
👎こんな人は他を探そう

✖︎ ヘッドスピードが速いプレーヤー。ソフトなベストゴルフボールとして選出した中で、ブリヂストン「TOUR B RXS」は、ヘッドスピードが速いプレーヤーにとってティーショットで一番飛ばないボールとなっている。

✖︎ ボールを止めるために高さが必要な人。ほとんどの条件下で、ブリヂストン「TOUR B RXS」は他のソフトなボールよりも若干、弾道が低い。


特徴

ソフトなボールにはパフォーマンスの限界があるが、最もソフトな3ピースボールを探しているなら、このブリヂストン「TOUR B RXS」が最適だ。


詳細パフォーマンス


 
ティーショットのパフォーマンス

ドライバーショットにおけるブリヂストン「TOUR B RXS」は、高さとスピン量が平均以下。これはほとんどのソフトなボールに当てはまる。このボールがいずれかの“飛距離賞”を獲得することはないが、ヘッドスピードが遅いプレーヤーにとっては、飛ぶボールに比べると大した差にはならない。


アイアンのパフォーマンス

ブリヂストン「TOUR B RXS」の飛距離はトップクラスだ。その要因の一端となっているのがスピン量。他と比べてスピン量が少ないことは、少なくとも部分的には高弾道と鋭角な落下角度に影響する。


ウェッジのパフォーマンス

前に聞いたことがあるなら言って欲しい。ソフトだとスピンがかからず、つまりはウェッジのフルショットにおけるスピン量が平均をやや下回ることになるが、それでも高弾道で落下角度が鋭角ならボールをしっかり止めることが可能だ。そして、グリーン周りのスピン量は、他のソフトなベストボールと同様に平均をやや下回っている。


「BALL LAB」の品質チェック

例外はあるが、ブリヂストンのクオリティは概ね我々の平均値と許容範囲に収まっている。


スライサー向けベストゴルフボール

ゴルフボールがスライス撲滅のベストな選択肢になることはないだろうが、あらゆる助けを求めているゴルファーのために、低スピンで且つ真っ直ぐ飛ぶオススメボールをご紹介する。


テーラーメイド「Tour Response(ツアーレスポンス)」


価格

¥5,720円(税込)


コンプレッション

71(ソフト)


構造

3ピース


👍こんな人におすすめ

► どの番手でも低スピンを望む人。テーラーメイド「Tour Response」はドライバーショットで単にスピンが少なくなるのではなく、最も低スピンを実現する。

► パターのアライメントで苦労している人。「Tour Response」は、パターのアライメントに苦労している人をサポートする“ストライプ”もラインナップしている。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ アイアンでさらにスピンが必要な人。お伝えした通りテーラーメイド「Tour Response」はアイアンショットでもそこまでスピンが掛からない。

✖︎ 高弾道のアイアンショットを打ちたい人。「Tour Response」はソフトなボールの中でも低弾道になる部類に入る。


特徴

どの番手でもスピンを軽減したいなら「Tour Response」は優れた選択肢となる。また、同シリーズのストライプモデルなら、パッティングのアライメントで苦労しているゴルファーのさらなるサポートにもなるだろう。


詳細パフォーマンス


 
ティーショットのパフォーマンス

テーラーメイド「Tour Response」は中弾道が特徴で、ドライバーショットでは最もスピン量が少ないボールの一つとなっている。スピン量が最も少なくなるのは、ヘッドスピードが遅いプレーヤー。その他ほとんどのゴルファーにとって、最も飛ぶボールとまでは言えないが、スピンがかかり過ぎる人にとっては、スピン軽減によるストレートショット&飛距離アップが期待できる。


アイアンのパフォーマンス

「Tour Response」を使用したアイアンショットには、ドライバーショットの飛距離不足を補うことができるほどの飛びがある。他のソフトウレタンボールよりも弾道がやや低いながらも、特徴である低スピンにより飛距離が出る。


ウェッジのパフォーマンス

ウェッジのフルショットではスピン量が平均より約500rpm少なく、グリーン周りのスピン量も平均以下となっている。これは比較的コンプレッションが小さい(ソフトな)3ピースボールでは一般的なことでもある。


「BALL LAB」の品質チェック

「Tour Response」は「BALL LAB品質優秀賞」に輝いたが、これまでテストしたテーラーメイドのボールでは最高のボールとなっている。


タイトリスト「AVX」ゴルフボール


価格

¥6,930(税込)


コンプレッション

77(ソフト-ミッド)


構造
 

3ピース


👍こんな人におすすめ

► ドライバーショットが高弾道過ぎる人。タイトリスト「AVX」はドライバーショットにおいて最も低弾道なボールの一つだ。

► アイアンで高く上げたい人。ドライバーでは低弾道だが、「AVX」はアイアンではそれなりに高く上がる。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ 最大限ボールを止めたい人。「AVX」は低スピン系のボールなので、他のモデルほどは止まらない。

✖︎ 節約したい人。「AVX」は「Pro V1」のように製造されているので、価格も「Pro V1」と同じになる。


特徴

低スピンがここでのポイントとすれば、「AVX」が、十分にスピンが掛からないということは言うまでもないが、もしあなたが低スピンボールでソフトな打感を求めているなら、このモデルはオススメボールと言える。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

ドライバーショットにおけるタイトリスト「AVX」は、適度なスピンで低弾道になる。低スピンなだけに、もう少し飛距離が欲しいがスピン量が多いプレーヤーが使うと良い。飛距離は平均程度からそれよりやや上という感じだ。


アイアンのパフォーマンス

アイアンショットにおける「AVX」は、「飛距離性能」でトップ10前後に位置するボールといえる。比較的高い弾道と低〜中スピンが、その飛距離の要因だ。


ウェッジのパフォーマンス

他の低スピン系のボールと同様、ウェッジのフルショットにおけるスピン量は、一番多いとは言えず、弾道も高いというよりは直進性がある感じ。短めのショットだと、「Pro V1」よりもソフトに感じられるが、スピンはかなり少ない。


「BALL LAB」の品質チェック

タイトリスト「AVX」は、「Pro V1」、「Pro V1x」とともに同社の第3ボール工場で製造されている。クオリティは、同社の他のプレミアムボールと同等だ。


タイトリスト「Pro V1x レフトダッシュ」


価格

¥6,930(税込)


コンプレッション

102(硬め)


構造

4ピース(デュアルコア)


👍こんな人におすすめ

► 初速があるプレーヤー。「Pro V1x レフトダッシュ」は、速いヘッドスピードにも対応できるコンプレッションを備えた数少ない低スピンボールだ。

► アイアンにスピンが欲しい人。「Pro V1x レフトダッシュ」は今回のリストにあるどのボールよりもアイアンショットでよりスピンがかかる。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ ソフトな打感を求めている人。「Pro V1x レフトダッシュ」は万能だが、柔らかくはない。

✖︎ 目立つボールが欲しい人。他の低スピン系とは違い、この「Pro V1x レフトダッシュ」はホワイトしかない。


特徴

「Pro V1x レフトダッシュ」は低スピン系ボールの中では独特だ。ドライバーショットでは低スピンで飛ばせ、ヘッドスピードが速いゴルファーに対応しているだけでなく、「デュアルコア構造」になっているためアイアンショットでは、スピン量が比較的多くなっている。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

「Pro V1x レフトダッシュ」は、市場にある中で最も飛ぶボールの一つだ。これはどのヘッドスピードでも言えることで、低スピン、高コンプレッション設計がその要因となっている。また低スピンであることに加え中弾道でもあるが、ヘッドスピードが遅めのプレーヤーの中には弾道が低くなり過ぎてしまう場合もあるだろう。


アイアンのパフォーマンス

決してアイアンショットで高スピンになることはない一方、「Pro V1x レフトダッシュ」のスピン量は平均の範囲に収まっており、アイアンショットでスピンをそこまで減らさずにスライスを軽減したいゴルファーにオススメと言える。


ウェッジのパフォーマンス

ウェッジのフルショットにおけるスピン量は、他のスピン系2モデルよりもやや多いかも知れないが、全体で考えると少ない方と言える。カバーは、「Pro V1」シリーズの他モデルよりも若干硬く、グリーン周りのスピン量がそこまで高くないのは、それで説明がつく。


「BALL LAB」の品質チェック

「AVX」同様、「Pro V1x レフトダッシュ」は。「Pro V1」、通常の「Pro V1x」とともに第3ボール工場で製造されており、品質管理とそれによる『BALL LAB』のスコアは素晴らしいものがある。


まだ紹介していないベストゴルフボール

全てのボールが何からのカテゴリーにうまく収まるものではない。ここでは、これまで紹介していなかったベストゴルフボールを挙げていく。


ミズノ「RB Tour X」

価格

¥6,930(税込)


コンプレッション

95(硬め)


構造

3-piece 3ピース


👍こんな人におすすめ

► ドライバーで高弾道が欲しい人。ドライバーショットにおいて、ミズノ「RB Tour X」は我々がテストした全ての条件下で一番高弾道なボールだった。

► ミズノ崇拝者。ミズノファンとしては、「RB Tour X」でようやく彼らの愛に値するボールを手にしたと言える。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ 硬めの打感は不要という人。「RB Tour X」の性能は素晴らしいが、「95」というコンプレッションの打感を好まない人もいるだろう。

✖︎ ドライバーで低スピンを求める人。そこまでではないが、「RB Tour X」のスピン量は他モデルのドライバーショット時のスピン量よりも多い。


特徴

誰もがイの一番で欲しがるボールではないだろうが、「RB Tour X」にはうれしい驚きがあった。ドライバーでの高い弾道とフラットなツアーレベルの弾道は、多くのゴルファーが求めていたものだ。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

ミズノ「RB Tour X」は、初速(飛距離)が十分にある高弾道ボールだ。ドライバーショットで高く上げたいゴルファーには最適。「Chrome Soft X」よりもややスピン量が少ないが、両者はスピンを求める人に十分なスピンを実現しつつ、飛距離も出るという点で似通っている。


アイアンのパフォーマンス

ミズノ「RB Tour X」のアイアンショットは、中〜中低程度の弾道になっている。ヘッドスピードが遅いプレーヤーのスピン量は平均レベルだが、中から速いだと、スピン量はそこまでではないがやや多くなる。またアイアンショットでの飛距離は、基本的に平均レベルの下の方になっている。


ウェッジのパフォーマンス

ウェッジのフルショットにおけるミズノ「RB Tour X」のスピン量は平均レベルだ。またこれはグリーン周りでも同様で、高スピン系ボールほどの食いつきはないが、他モデルくらいのスピンはかかる。


「BALL LAB」の品質チェック

初代「RB Tour X」は品質に問題があったが、ミズノではこのボールの設計を見直し、4ピースから3ピースに構造を変更させ品質管理への取り組みを促進。『BALL LAB』のテストにおける現行の「RB Tour X」は、“品質優秀賞”を惜しくも逃している。


スリクソン「Z-STAR◆(ダイヤモンド)」

価格

6,930円(税込)


コンプレッション

91(硬め)


構造

3ピース


👍こんな人におすすめ

► アイアンでスピンをかけたい人。「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」はアイアンショットで最もスピンがかかるボールの部類に入る。

► ドライバーでボールを高く上げたい人。市場を通じて、スリクソン「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」よりもドライバーショットが上がるのは数モデルしかない。


👎こんな人は他を探そう

✖︎ 既にスピンがかかり過ぎている人。ほぼ全ての条件下において、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は高スピンボールに区分されている。

✖︎ アイアンで最大飛距離が欲しい人。低~中ヘッドスピードのゴルファーにとって、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は特にアイアンで飛距離が出ないボールとなっている。


特徴

「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は、スリクソンボールの中で最も安定したパフォーマンスを発揮するボールで、「Chrome Soft X」、「TOUR B XS」、そして他の高スピン系ツアーボールに匹敵するモデルと言える。


詳細パフォーマンス


ティーショットのパフォーマンス

「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」はドライバーショットで十分にスピンがかかる。高弾道と相まって飛距離は十分だが、弾道矯正したいゴルファーだと他のモデルを探した方が良いだろう。


アイアンのパフォーマンス

アイアンショットだと、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は「Chrome Soft X」のような特徴があり、中弾道と高スピンによりグリーンでは十分に止まる。他のハイコンプレッションボールの多くと同様、最高部類の飛びということはないが、ヘッドスピードが速いプレーヤーなら十分に使えるボールと言える。


ウェッジのパフォーマンス

「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」はウェッジのフルショットにおいて、テストしたボールの中で最もスピンがかかるモデルの一つ。上げて止めたい人には使い勝手が良いボールだ。グリーン周りのショットでスピンが増えるボールがある一方、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」は35ヤードの試打において平均を上回るスピン量だった。


「BALL LAB」の品質チェック

これまでスリクソンのボールには品質への課題があった。ところが、「Z-STAR ♦︎(ダイヤモンド)」の2世代に渡るテストでは好印象な結果となっている。


テスト方法

『2023年ゴルフボールテスト』は、2箇所で実施し、合計80時間以上を費やした。

テストしたモデルは46あり、ドライバーとミドルアイアンを使用。グリーン周りのパフォーマンスに対する理解を深めるため、35ヤードからのウェッジテストも実施した。



テスト指標

ドライバーとアイアンそれぞれ3つの初速において、ロボットを特定の打ち出しとスピン量になるように調整。

各パートのパラメーターは、複数のボールメーカーと相談した上で設定した。各テスト条件(使用クラブを含む)の具体的形態は以下に詳しく記載する。

それぞれのテスト条件では、基準を決めるために基準球(タイトリスト「Pro V1」)を使用。これにより、変化する環境条件の影響を抑え、ボールを細かいグループに区分することが可能になる。またコントロールボールを使用することで、グループ間で有意義な比較も実施することができる。


テスト工程

各モデルとも3~4ショットしてから次のモデルに移行。全てのショットが終わるまで、このローテーション(順番はキープする)を繰り返し、そこから次のグループに移ることとした。

『ボールテスト』では、弾道全体を捉えることが必要不可欠なため、トラックマンの弾道測定器を使いデータを収集。また、フォーサイト「GC Quad(GCクワッド)」を並行して使用し、テスト全体の設定の一貫性を確保した。

データが本当に好きなら、この『2023年ゴルフボールテスト』で我々の全行程と有益な注目ポイントをチェックしたくなるはずだ。


自分に最適なゴルフボールはどれだ?

多くの人が、ヘッドスピードとボールのコンプレッションを合わせることが必要だという理由で、適切なボールを見つけるにはまずヘッドスピードから始めるべきと誤解している。実際、ゴルフボールを選ぶときに最も大切な要素は、弾道とスピンなのだ。

最高のゴルフボールテストを行うために、我々は大量のボールを分類・整理している。


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弾道とスピン特性についてのメーカー説明は、各社シリーズの他モデルに関係していることが多く、市場全体に関連したものとは限らないという事実があるので、こうした調査は複雑になりがちだ。例えば、メーカーが“高弾道”と謳っているボールも、そのシリーズの中では一番弾道が高いが、他メーカーのボールに比べると実際は中弾道なんてことがあるのだ。


飛ばすためのスピン

ドライバーショットにおいては、コンプレッションとボール初速に直接的な相関関係があることを理解することが重要だ。ヘッドスピードが非常に遅い人以外は、硬めのボールの方が、初速が出て、柔らかいボールだと遅くなる。

低スピンとハイロフトクラブによる打ち出し条件の間では、柔らか目のボールの方が飛ぶ傾向にある。

また、ソフトな打感は常に低スピンを意味することを理解することも大切。あなたのゴルフでもっとスピンが必要なら、特にアプローチショットにおいては低コンプレッションボールだと、その目的に全く適さない。もっとスピンが欲しいということなら、硬めのボールを探すべきなのだ。


ストレートなショットと低スピンボール

逆に、ストレートショットを実現するゴルフボールを求めるなら、低スピンボールが良い。「低スピン系のボール」なら毎回フェアウェイキープできるというわけじゃないが、「高スピン系のボール」なら毎度フェアウェイを外してしまうというわけでもない、ということも留意しておいてね。

最後に、一般的に言うと、ヘッドスピードが速いプレーヤーは、低コンプレッションのボールは避けるべきだろう。しかし、スピンがかかり過ぎるヘッドスピードの速いプレーヤーは、実際のところ低スピンのおかげで飛距離を出している。


ゴルフボールの基本


コア

コアはゴルフボールの“心臓”だ。コアがショットした際の「ボール初速」、「速度(速さ+方向)」、「総合飛距離」を左右する。「段階的コア」デザインを採用しているメーカーも存在し、ボールの中心が柔らかく、外側に行くに従って固くなっているコアもある。ブリヂストン、タイトリストなどが採用している「段階的コア」デザインは、ボールのレイヤー層を増やすことなく、より多彩なスピン特性を生み出す手段となっているのだ。


タイトリスト「Pro V1x」のコア。

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レイヤー(層)

ゴルフボールは1層(レイヤー)から5層(レイヤー)の間で構成され、レイヤーの数がパフォーマンスと打感に影響を与えている。スピンは、レイヤー間の硬さの違いで生まれているのだ(硬いレイヤーの外側にソフトなレイヤーがあるとスピンがかかる)。ボールのレイヤー層が多ければ多いほど番手を通じてスピン特性が変化する可能性は大きくなっており、今回リストに挙げたボールの大半は3ピース構造になっている。


コンプレッション(硬度)

ゴルフボールを変形させるために必要な力の大きさを示しているのが「コンプレッション(硬度)」だ。コンプレッションが高いほどボールは硬くなっていく。一般的にコンプレッションが低いゴルフボールは打感がソフトだが、コンプレッションが高いボールはスピン量が多く飛距離も出るようになっている。ヘッドスピードとボールのコンプレッションに直接的な相関関係はなく、「弾道」と「スピン」が、ボールフィッティングで最重要な要素と言える。


ディンプル

ゴルフボールの表面にある小さな窪みを「ディンプル」という。ディンプルの主目的はボールが空中を飛ぶ時に揚力を生み出し空気抵抗を減らすことにある。ディンプルの数とデザインは様々だが、ほとんどのゴルフボールはディンプル数が300~500個で、最適なディンプル数やベストなディンプル数というものはない。また、ディンプルの数が多いとパフォーマンスも良いということもない。

そしてボールは、空気抵抗を減らし、「エアロダイナミクス(空力特性)」と他の「性能特性」をマッチさせることで最適化する。条件が全て同じなら、通常、浅いディンプルのボールの方が、深いディンプルのボールよりも「高弾道」になる。またゴルフボールのポテンシャルを最大限に引き出すには、ディンプルパターンを構造に合わせる必要がある。


ベストゴルフボール:素材と構造

ゴルフボールの製造で最も採用されている素材の一つが「アイオノマー(サーリンというブランド名でも知られている)」だ。この高弾力のアイオノマーポリマーは、「耐久性」に優れており、一般的に1ピース、2ピース、また一部の3ピースボールのカバー素材として採用されている。また高級ウレタンカバーのマントル層にも使用されている。

アイオノマーカバーを採用したボールは、基本的にスピンが少なくなっており、その硬めのフィーリングから高コンプレッションなものもいくつかある。一般的に言うと、こうしたボールは水分がある時に「安定性に欠ける」のも特徴。従ってパフォーマンス重視という場合、アイオノマーカバーのボールはおすすめできない。

またゴルフボールではウレタンも採用されている。ウレタンカバーは、アイオノマーに比べ「スピン」、「コントロール性」、そして「打感の柔らかさ」が向上することから、通常は、マルチレイヤーの高級ボールに採用されている。

ゴルフボールのコアに関して言うと、合成ゴム素材の「ポリブタジエン」が最も一般的に採用されている主要素材となっている。様々なグレードのゴムを使うことで、ボールの初速やスピン特性に影響を与えることができるのだ。

コアとカバーに加え、マントルレイヤーを特徴としているボールもある。マントルはコアとカバーに間にある中間層で、アイオノマーやその他のポリマーが素材であることが多い。このレイヤーによって、ボールのエネルギー伝達とスピン特性を最適化することが可能となっている。


飛び性能、スピン特性、飛距離、正確性

ここからは「スピン特性」、「飛距離」、「正確性」について。これら三要素はみなさんのゴルフを向上させる上で重要な役割を果たす。


飛び性能

「飛びの性能」と「弾道」は、ゴルフボールのディンプルパターンによって主に左右されており、弾道は「打ち出し角」、「高さ(頂点)」、その「高さに到達するまでの距離」、そして突き詰めると「落下角度」で構成されている。

一般的に低コンプレッションのボールは、低スピンを相殺するために高打ち出し、スティープ(鋭角)な落下角度になる一方、スピン量が多いボールの方がややフラットでより直進性がある弾道になる。


スピン

ゴルフボールのスピンは千差万別であり、個々に合ったボールを選ぶことが大切だが、一般的にはスピン量には以下の3パターンがある。


・「低スピン」:この種のボールは基本的に弾道が「ストレート」になる。一方、スピン量が少ないということは、アプローチショットで、グリーン上で止めたり、ショートゲームでのコントロールが難しくなる。


・「中スピン」:自分で必要なスピン特性が判断できなければ中スピンが安全パイ。自分が最多層にいると思うならこの種のボールが合っているだろう。


・「高スピン」:一般的には高スピン系の方が扱いやすいとされている。スピン量が多すぎると飛距離ロスする可能性はあるが、スピン量が少ない多くのプレーヤー(これにはヘッドスピードが遅いプレーヤーやシニアも含まれる)にとっては、高スピンの方がより飛距離が出てグリーン周りのコントロール性も増す。


飛距離

ゴルフでは最適飛距離を手にすることが大切だ。そして適切なボールを使えば結果は大きく異なるが、飛距離だけに注目することも滅多にない。ボール初速は、多くのゴルファーにとって飛びを予測できる最大の要素となり、高コンプレションボールの方が飛距離アップに適している。また高弾道と低スピンも飛距離を引き出す要素となる一方、中~高ヘッドスピードのゴルファーにとっては、低コンプレッションボールで飛距離を最大化することは困難だ。

そして一般的に、高弾道と低〜中スピンに高コンプレッションが融合したものが最も飛ぶボールといえる。


正確性

正確性は、結局のところゴルファーのボールコントロールとボール自体のクオリティに左右される。そして正確性を向上させるには、以下3つの要素を考慮して欲しい。

・スピン:スピン量が少ないボールは、曲りも小さくなる。真っ直ぐ飛ばすことに苦労しているなら、低スピンボールが解決してくれるかもしれない。

・ディンプル:ボールのディンプルはその揚力と安定性に影響する。エアロダイナミクス(空力特性)がボールの他のデザイン要素と合っていなかったり、スイングに合っていないと、「飛距離」と「正確性」ともに「一貫性」を損なう場合があるのだ。

・品質管理:品質管理が良くないと、丸くないボールが作られたり、レイヤー同士が同心円ではなくコアが中心からズレてしまうようなことが起こる。これが原因で、スピンが安定せず、パットが入らなかったりボールが大きく狙いから外れることがあるのだ。過去のロボットテストでは、ボールが狙いから40ヤードも外れたことがあったし、同じ箱の中にあった2つのボールを完璧にショットしたのにも関わらず、そのうちの1つは70ヤードも離れたところに落ちたこともあった。つまり、外からは分からない部分で問題が生じていれば、いくら完璧なショットをしても、ミスに繋がるということ。あなたのそのミスショットは、“ボールのせい”だということがあるのだ。消費者は何の疑いもなくボールを購入するだろうが、そういうケースもあるということは覚えておいてほしい。


価格とパフォーマンス

大きな疑問が未解決のままだ。それはプレミアムボールだとスコアが良くなるのか?ということ。マッチするボールを使ってもタイガー・ウッズにはなれないが、価格と性能にはある程度の相関関係がある。ウレタン/多層ボールは、アイオノマー構造よりも製造コストが掛かるが、より完璧なボールを手にいれることはできる。安いボールの設計意図は基本的に一つだけだが、高品質ボールはどの番手でもパフォーマンスが発揮できるようにデザインされている。

また価格とクオリティは大きく関係している。高級ボールの全てに厳しい公差が設定されて製造されているわけではないが、『BALL LAB』におけるアイオノマーボールのスコアは、ウレタンボールよりも基本的には低いものとなった。


ベストゴルフボールQ&A

ゴルフボールを選ぶ際に考えておくべきことは?

ゴルフボールを選ぶ上で最も重要な要素が「弾道」と「スピン」だ。あなたのゴルフのあらゆる面で必要な性能を発揮してくれるボールこそ、あなたにとってのベストボールだと言える。あまりお勧めしないが、ゴルファーは時に価格、フィーリング、カラーの好みを満たすためにパフォーマンスを犠牲にしていることがある。


自分のヘッドスピードにゴルフボールを合わせる方法は?

ゴルフボールは「初速」によって少しずつ挙動が異なるものの、あなたのヘッドスピードに適したボールというものはない。注目すべきは、ゴルフボールの「弾道」と「スピン特性」。これこそが、最終的にあなたに一番適したボールを見つける方法となる。


低コンプレッションボールと高コンプレッションボールの違いは?

ゴルファーなら打感の違い(低コンプレッションの方が、打感がソフト)に気づく可能性は高いが、最大の差はパフォーマンスにある。低コンプレッションボールは、バッグにあるどの番手を使っても低スピンで高く飛ぶ。「コンプレッション」と「ボール初速」には直接的な相関関係があるため、低コンプレッションボールの方がドライバーショットの初速は遅くなる傾向にある。


ゴルフボールブランドよりパフォーマンス差は?

ゴルフボールのブランドによって、パフォーマンス目標に影響を与える優先順位は違う。ソフトな打感を重視するブランドもあれば、幅広いゴルファーに向けて弾道とスピンを最適化しようとするブランドもある。


ゴルフボールの書かれた数字の重要性は?

ゴルフボールに描かれている数字は、主に他のゴルファーのボールと区別するためのマークという役割がある。ブランドによっては、特定モデルかコンプレッションに関連した番号をつけている場合もあるが、数字自体がパフォーマンスに影響することはない。


近隣でゴルフボールフィッティングを見つける方法は?

多くのゴルフショップやプロショップでボールフィッティングサービスが可能だ。またお住まいの地域のフィッティングサービスをネットで検索することもできる。フィッティングは、ゴルフボールの弾道全体を理解することが重要なので、できれば屋外でするのが良い。これは多くの場合、屋内では不可能だ。


柔らかいゴルフボールとは何か?

ここでは「柔らかい」ボールと「柔らかめ」なボールについて話をする。ゴルフボールを柔らかくする意味を定義する広く受け入れられた基準というものはないが、「ソフトな打感」とはコンプレッションが35~100までのボールに対して使われる。

話の目的上、ここではコンプレッションが70台半ばからそれ以下を「柔らかい」ボールとする。コンプレッションが80台前半なら、そのボールは「柔らかめ」。市場にある中で最も「柔らかい」(コンプレッションが60以下)ゴルフボールは、硬いアイオノマーカバーで失ったフィーリングを相殺するためにソフトなコアを採用した2ピースのアイオノマーボールになる傾向がある。


ゴルフボールはいつ交換すべきか?ソフトなコンプレッションと硬いコンプレッションにおいて、(あるとするなら)いつ切り替えるべきか?

スイングが変わった時ならいつでも検討した方が良いだろう。また新作ボールが発売される度にチェックするのもおすすめ。「より良い」ボールということなら、新モデルは前作モデルよりも多少は違うということが大抵だ。

また変えることで良くなるということも時々あるが、お気に入りのボールを変えても上手くいかないこともよくある。

MYGOLFSPY

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数多くのテスターと最新の計測企画を用いてテストを行い、ゴルフ用品の本当の価値と実力をデータによって明らかにする記事を提供するアメリカのゴルフメディアサイト。大手ゴルフ用品メーカーからの広告を一切もらうことがない為、中立的な立場でデータを示す事ができる数少ないメディアである。最近では、コストコのKirklandボールがタイトリストPro V1よりも優れているという記事を発表して、全米のコストコで大人気商品となり長期間欠品を招いた事件は全米ゴルフ業界に衝撃を与えた。





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