アイアン型のユーティリティを「ドライビングアイアン」と呼ぼうが、「ユーティリティアイアン」と呼ぼうが、こうしたギアは市場ではニッチなクラブに分類される。では、あなたに合うモデルがあるとするなら、どれなのだろうか?
「ユーティリティアイアン」は、中〜高程度のヘッドスピードの上級者をターゲットにしている。モデルによっては、フェアウェイウッドの代わりとして使われたり、両サイドが狭いホールのティーショット用としても使用されている。ただし、万人向けではない。
今日、お届けするのは2023年のベスト「ユーティリティアイアン」レビュー。早速、チェックしていこう。
ベスト「ユーティリティアイアン」総合ランキング
2023年ベスト「ユーティリティアイアン」ランキング
モデル名 | 総合スコア | 飛距離(ヤード) | 正確性(%) | 寛容性 | ボール初速(m/s) | フェアウェイ キープ率(%) |
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PING iCrossOver Utility | 97.50/1位 | 227.7/1位 | 95.6/1位 | 97.1/2位 | 59.90/1位 | 81.5/3位 | |
Sub. 70 699 Pro V2 Utility | 88.40/2位 | 225.1/4位 | 86.3/5位 | 85.8/6位 | 59.40/7位 | 79,0/7位 | |
Caley Golf 01X Utility | 88.30/3位 | 221.7/9位 | 88.3/3位 | 97.6/1位 | 59.41/6位 | 82.6/1位 | |
Srixon ZX Mk II Utility | 88.29/4位 | 224.1/5位 | 88.8/2位 | 83.6/7位 | 59.50/4位 | 79.8/5位 | |
TaylorMade P790 UDI Utility | 87.60/5位 | 226.0/2位 | 85.2/7位 | 78.3/9位 | 59.76/2位 | 74.4/10位 | |
Sub 70 699 V2 Utility | 86.60/6位 | 224.1/8位 | 85.5/6位 | 91.6/3位 | 59.18/8位 | 79.2/6位 | |
Vega Golf Mizar Max Utility | 84.50/7位 | 220.5/10位 | 88.0/4位 | 86.3/5位 | 58.74/10位 | 82.3/2位 | |
COBRA KING Tec Utility | 84.10/8位 | 222.7/7位 | 84.1/8位 | 80.5/8位 | 59.14/9位 | 78.5/8位 | |
TaylorMade Stealth UDI Utility | 83.60/9位 | 224.3/3位 | 81.6/9位 | 70.5/11位 | 59.67/3位 | 72.5/11位 | |
TaylorMade Stealth DHY Utility | 81.40/10位 | 222.4/6位 | 80.6/10位 | 74.2/10位 | 59.41/5位 | 75.9/9位 | |
COBRA KING Tec One Length Utility | 64.80/11位 | 209.6/11位 | 71.0/11位 | 89.4/4位 | 56.99/11位 | 80.1/4位 |
ベスト「ユーティリティアイアン」の集計方法
この総合ランキングは、「正確性」、「寛容性」、そして「飛距離」の集大成。各項目を加算し、総合得点を出している。「ユーティリティアイアン」は特有の状況で使用されるが、今回は「ティーショット」でテストを実施した。「ユーティリティアイアン」で一番重点を置くべきは「正確性」で、次に「飛距離」とした。
正確性
「正確性」は総合スコアのかなりの割合を占めている。「正確性」の測定基準は以下の通りだ。
・ストロークス・ゲインド
「正確性」とは?
「正確性」は、各クラブのプレーヤーのショットが、そのプレーヤーのスキルレベルから予想されるものよりも上回っているか下回っているかを表す。プレーヤーのスキルで変わる変数を除外することで、「正確性」を見れば、クラブがプレーヤーの全体的なスコアをどのくらい向上させるのかが分かる。
寛容性
「寛容性」は安定性の尺度となる。そのため、我々の「寛容性」の測定基準は、最も安定した結果を残すクラブを見つけることを目的としている。注:「安定性」とは必ずしも安定して良いというわけではない。「寛容性」の測定基準は以下の通りだ。
・ボール初速の安定性
・スピンの安定性
・キャリーの安定性
・バラつきの範囲
どのように「寛容性」を測定するのか?
「寛容性」は、クラブフェースのセンターやセンターを外したショットがどのくらいクラブで修正されるのかを表す。「寛容性」の評価が高いと、クラブはスイングがブレた場合でも、一貫したパフォーマンスをキープするのに適していると言える。
飛距離
「飛距離」は「ユーティリティアイアン」にとっての主要目的の一つだ。しかし、「ユーティリティアイアン」は飛ぶから良いというわけではない。我々の「飛距離」の測定基準は以下の通りシンプルだ。
総合スコアでも、「飛距離」の項目で一番割合が少ない。とはいえ、全然飛ばないユーティリティアイアンを欲しい人などいないし、他のパフォーマンスが似たり寄ったりなら「飛距離」が購入の決め手になるだろう。我々の「飛距離」の測定基準は以下の通りシンプルだ。
・キャリーの飛距離
・トータル飛距離
どのように「飛距離」を測定するのか?
トータル飛距離とキャリーの飛距離を考慮し、我々の「飛距離」スコアは、最終的にクラブで達成した合計ヤードを指標にしている。
PING Iクロスオーバー ユーティリティ~2023年ベスト「ユーティリティアイアン」~
特徴
PING「iCrossOver」は2023年のベスト「ユーティリティアイアン」になった。他との差は歴然で、「正確性」、「寛容性」、「飛距離」という3項目の重要指標においてほぼ圧勝。「正確性」と「飛距離」ではトップだった。「寛容性」でも総合2位。ユーティリティアイアンとしてこのパフォーマンスを発揮するのは、素晴らしい仕上がりといえる。
高評価
2023年のベスト「ユーティリティアイアン」のPING「iCrossOver」は、「正確性」と「飛距離」で1位となり、「寛容性」では総合2位となった。全3項目でトップ2に収まっているだけに、ユーティリティアイアンの購入候補を挙げる際、このクラブを外すわけにはいかないだろう。またテスターたちによると、このモデルは「打音」、「打感」、「見た目」でも高い評価を受けている。
低評価
素晴らしいパフォーマンスと主観的フィーバックにおける好印象により、PING「iCrossOver」に欠点を見つけることは難しい。だが人によっては、このダークでやや暗めな仕上げが好みではないというのはあるかもしれない。ダーク仕上げのクラブには当たり外れが出る傾向があるからだ。
獲得した賞-「飛距離」「正確性」トップ
PING「iCrossOver」はツアーの意見が反映されたクラブでロフト角とライ角が調整可能な他、ロングアイアンでのパフォーマンスを向上するようにデザインされている。またコントロール性を良くするために、マレージング鋼フェースと『マイクロマックス・グルーヴ』、そしてクラブの長さを短めにしていることが特徴。『アジャスタブルホーゼル』により、ロフト角とライ角を±1.5度まで調整できるので、それぞれの好みに応じてカスタマイズできる。
おすすめ層
ほとんどの「ユーティリティアイアン」は中〜高ヘッドスピードの上級者に適している。初心者やヘッドスピードが遅い方は、「ユーティリティアイアン」を使いたいとは思わないだろう。しかしPING「iCrossOver」は非常に優れたクラブになっており、ユーティリティアイアンを検討するなら最有力候補にするべきだ。また、打ち出しを最適化できる『アジャスタブルホーゼル』も特徴となっている。
第2位 ‐ SUB 70「699 PRO V2」ユーティリティ
特徴
SUB 70「699 PRO V2」ユーティリティが2023年ベスト「ユーティリティアイアン」で総合2位となった。スコア指標となる全3部門での「安定性」と「一貫性」を発揮。トップとなった分野はなかったが、最も重要視されている「正確性」と「飛距離」で平均以上のパフォーマンスを見せた。
高評価
「699 PRO V2」ユーティリティは、スコア指標全3部門でトップ6以内にランクインしている。最も優れていたのは「飛距離」部門で4位。総合的なパフォーマンスにより、「699 PRO V2」ユーティリティは2023年のベスト「ユーティリティアイアン」テストにおいてベストバリュー賞(最もお買い得な商品)にも輝いた。
低評価
「699 PRO V2」ユーティリティは、テスターの意見によると「見た目」、「打音」、「打感」、「購入の可能性」で平均より下と、高い評価を得られなかった。
獲得した賞-ベストバリュー賞
SUB 70「699 PRO V2」ユーティリティは、飛ばす上で信頼できるモデルを求めているゴルファーのためにデザインされた多様性に優れたクラブだ。中空ボディ構造になっていることが特徴で、『455カーペンタースチールフェース』からボールへのエネルギー伝達を最大化。これにより優れたボール初速と「飛距離」の向上を実現する。
また、わずか1.7mmの極薄フェースにより「打感」とショットのフィードバックが向上。高MOIと周辺重量配分により、オフセンターヒット時でも安定性と「寛容性」が高まる。
おすすめ層
価格を考えると、このSUB 70「699 PRO V2」ユーティリティに勝ることは難儀だ。このモデルは「ユーティリティアイアン」に必要な「飛距離」、「正確性」、そして「寛容性」がハイレベルに融合している。
繰り返しになるがヘッドスピードが遅いゴルファーは、基本的に「ユーティリティアイアン」を使いたがらないもの。しかし、スキルがあってヘッドスピードもあるなら、この「699 PRO V2」ユーティリティを検討する価値はあるだろう。
第3位 ‐ CALEY GOLF「01X」ユーティリティ
特徴
CALEY GOLFは業界にとって新顔だが他の直販メーカー同様、なかなかの滑り出しを見せている。この「01X」ユーティリティは、2023年ベスト「ユーティリティアイアン」で総合3位。「寛容性」ではトップに輝き、総合トップ3に入る原動力となった。
高評価
CALEY GOLF「01X」ユーティリティは、「寛容性」でトップとなり「正確性」では3位。このパフォーマンスの融合が、2023年ベスト「ユーティリティアイアン」の総合トップ3入りを確固たるものにした。また我々のテスターによる「打感」、「見た目」、「購入の可能性」で平均よりやや上位につけた。
低評価
CALEY GOLF「01X」ユーティリティには、2つの弱点がある。1つ目は「飛距離」、そして2つ目は「ブランド力・手の届きやすさ」だ。まず「飛距離」では下位に位置しているので、「飛距離」が購入の決め手となるゴルファー向きではないということ。そして英国が拠点のCALEY GOLFを知っている人はあまりおらず、手にすることも難しい可能性がある。だからこそCALEY GOLFでは、クラブによって60日間の無料体験を実施している。
獲得した賞 - 「寛容性」トップ
CALEY GOLF「01X」ユーティリティは、スリムな形状に加え、低重心と簡単な打ち出しを実現するディープキャビティデザインが特徴だ。ヘッドは鍛造の高強度ステンレススチール製で耐久性に優れており、「極薄フェース」を採用しているためボール初速も向上。またソールには「タングステンウエイト」が搭載されており、さらなる「寛容性」と「安定性」を実現する。
おすすめ層
CALEY GOLF「01X」ユーティリティのパフォーマンスは自信を与えてくれる。スキルがあってヘッドスピードが速いゴルファーを満足させるだけでなく、低〜中程度のハンディキャップのゴルファーにも魅力的。その理由は、幅広い層にもアピールできる素晴らしい「正確性」と「寛容性」を備えているからだ。
その他のトップパフォーマンスベスト「ユーティリティアイアン」
第4位 ‐ スリクソン「ZX MK II」ユーティリティ
特徴
スリクソン「ZX MK II」ユーティリティが2023年ベスト「ユーティリティアイアン」で総合4位となった。以前からスリクソンの「ユーティリティ」と「ユーティリティアイアン」のパフォーマンスは群を抜いていたが、このモデルも同様だ。今年のテストでは2位、3位と4位の間には若干の差があるが、「ZX MK II」ユーティリティにとっての長所2つは「正確性」と「飛距離」。また、「打感」でもトップとなっている。
高評価
「ZX MK II」ユーティリティは、「正確性」で2位、「飛距離」では5位となった。これが2023年ベスト「ユーティリティアイアン」総合4位となった要因となっている。また「打感」でトップとなった他、「打音」、「見た目」、「購入の可能性」でも高評価を受けている。
低評価
「ZX MK II」ユーティリティは「寛容性」においては平均以下という結果となったが、これが最終的に総合2位、3位ではなく4位に終わった要因ともなっている。
獲得した賞 ‐ 「打感」トップ
「ZX MK II」ユーティリティは、最大限の「寛容性」と「飛距離」をゴルファーにもたらすためにデザインされた多彩性に優れたクラブだ。『鍛造SUP10フェース』の中空構造が特徴で、ボール初速の向上とインパクトでのソフトな「打感」を実現。
また新しい『リバウンドフレーム』によりミスヒット時のボール初速もアップする。コンパクトな形状になっている他、ソール幅が狭いことで、あらゆるライからの多彩性と操作性も向上。またロフト角もバラエティに富んでいることも特徴だ。
おすすめ層
スリクソン「ZX MK II」ユーティリティは、スキルが高くてヘッドスピードが速いプレーヤーだけでなく、多くのゴルファーが使いこなせるクラブとなっており、「正確性」と「飛距離」の双方を重要視しているゴルファーは、このスリクソン「ZX MK II」ユーティリティが好きになるはずだ。
第5位 ‐ テーラーメイド「P790 UDI」ユーティリティ
特徴
テーラーメイド「P790 UDI」ユーティリティは、2023年ベスト「ユーティリティアイアン」総合5位だった。2022年はトップに君臨したものの、今年は強豪たちの前に打ちのめされた形となった。とはいえ、「飛距離」2位とその実力は健在。また「見た目」、「購入の可能性」でトップ、さらに「打音」、「打感」でも高評価を受けている。
高評価
「P790 UDI」ユーティリティは、2位という「飛距離」が要因となって総合5位に押し上げられた形となっている。テスターたちから高評価だった「見た目」や「打感」と「打音」を重視するゴルファーにもおすすめだ。
低評価
「P790 UDI」ユーティリティは「寛容性」で平均以下となっており、これが総合パフォーマンスの足かせになっている。また、「正確性」も平均レベルとなっている。
獲得した賞 ‐ 「見た目」トップ、「購入の可能性」トップ
テーラーメイド「P790 UDI」ユーティリティは、高度なショット技術とヘッドスピードを備えたプレーヤーのためにデザインされた、上級者向けでツアースタイルのクラブだ。ロフト角17度の2番アイアンとして、トップラインの厚みは中程度でオフセットもほどほど。ショットはスイングなりの結果になり、オフセンターヒット時は硬く、カチッとしたフィーリングが得られる。
また、『スピードフォーム・エアー』、『貫通型スピードポケット』を採用している他、トゥ部分に31gのタングステンを搭載しており「安定性」と「寛容性」も実現。ヘッドスピードが速くても、低スピンと直進性がキープできるヘッドデザインになっており、「コントロール性」を求めるゴルファーに最適だ。
おすすめ層
テーラーメイド「P790 UDI」ユーティリティは、スキルを兼ね備えたヘッドスピードの速い多くのゴルファーに魅力的なクラブだ。このクラブが合っているのか、仇となってしまうかは、使い手によるというのは「寛容性」のスコアが証明してくれている。「P790 UDI」ユーティリティは、まさに“諸刃の剣”といえる。
打音トップ - テーラーメイド「ステルスUDI」ユーティリティ
特徴
テーラーメイド「ステルスUDI」ユーティリティは、2023年ベスト「ユーティリティアイアン」総合9位となった。「飛距離」部門では3位だが、それについて驚くこともない。それは、この「ユーティリティアイアン」には飛びのポテンシャルが詰まっているからだ。
しかし、「寛容性」では下位に位置しており、総合的な「一貫性」という点では懸念材料といえる。なお我々のテスターは、トップだった「打音」を含めた全ての主観的フィードバックの部門で、このモデルを高く評価している。
高評価
「ステルスUDI」ユーティリティは、「飛距離」3位という飛びに優れているモデルだ。もし「ユーティリティアイアン」で「飛距離」を重視しているなら、「ステルスUDI」ユーティリティは購入の有力候補となるはずだし、ユーザーにも魅力的なクラブといえる。またテスターからは「打音」で最高評価を得ている。
低評価
「ステルスUDI」ユーティリティは「寛容性」には優れていない。もしショットの結果に「一貫性」と「正確性」を求めているなら、この「ユーティリティアイアン」のパフォーマンスを最適化できるプロのフィッティングを受けた方がよいだろう。
獲得した賞‐打音トップ
「ステルスUDI」ユーティリティは、コントロール性と多様性をゴルファーにもたらすためにデザインされたテーラーメイドの最新で究極の「ユーティリティアイアン」だ。低打ち出しと中~低スピンにより、ティーショットでも芝の上からでも強力なショットが可能。
また『スピードフォーム・エアー』を搭載したことで、直進性のある弾道と、最適飛距離、精度の高い操作性を実現する。総合的に見て、この「ステルスUDI」は、飛びの安定性とナイスショットを求める全てのレベルのゴルファーにとって最高の選択肢となるだろう。
おすすめ層
テーラーメイド「ステルスUDI」ユーティリティは、見た目と飛びを重視する上級者ゴルファーの注目を集めるクラブだ。主観的要素と飛びのパフォーマンスは文句なし。パフォーマンスを最適化するためにプロのフィッティングを受けることをオススメする。
「打音」「打感」「見た目」ベスト ~スリクソン「ZX4 Mk II」アイアン~
特徴
スリクソン「ZX4 Mk II」アイアンは、2023年の『初・中級者向け(スコア改善型)ベストアイアン』の総合4位となった。また「テスターズチョイス賞」ではトップを獲得。「初・中級者向け」アイアンの「打音」、「打感」、「見た目」、そして「購入の可能性」でもベストという評価を得た。「ZX4 Mk II」における最高のパフォーマンス特性は「正確性」。この部門では総合2位となった。また、「寛容性」部門では4位となっている。
高評価
「ZX4 Mk II」は、「初・中級者向け」アイアンの「正確性」と「寛容性」においてベストアイアンの一つとなっており、それぞれのスコアは2位と4位。それ以上に、「打音」、「打感」、「見た目」、そして「購入の可能性」ではベストになっている。
低評価
「ZX4 Mk II」の最大の弱点は、まさかの「飛距離」。このランキングでは8位だった。
スリクソン「ZX4 Mk II」アイアンは、あらゆるスキルのゴルファーに優れた「飛距離」、「寛容性」、そして「正確性」を実現。『ツアーVTソール』により、インパクトと芝の抜けが安定する一方、番手別設計とホーゼル長により、セットを通じて最適な打ち出しと弾道をもたらす。スリクソン「ZX4 Mk II」アイアンは、『HT 1770Mフェース』、『431ステンレススチール』、中空ボディデザイン、さらに工学技術とヘッド形状が融合することで、「初・中級者向け」アイアンというよりシングルピース以上の、鍛造アイアンのような「打感」を実現している。
おすすめ層
スリクソン「ZX4 Mk II」は2023年のダークホースだ。多くの他「初・中級者向け」アイアンのように、中~から高ハンディキャップのゴルファーが対象だが、「見た目」、「打音」、「打感」により多くのゴルファーを相当に魅了していると言える。「正確性」と「寛容性」を求めているなら、要チェックのアイアンだ。
2023年ベスト「ユーティリティアイアン」各モデルのデータ
2023年ベスト「ユーティリティアイアン」データ
モデル名 | ボール初速 (m/s) | ショット範囲 (平方ヤード) | トータル飛距離 (ヤード) | キャリー (ヤード) | スピン量 ( RPM ) | 打ち出し角 (度) | 高さ (m) | 落下角度 (度) | 中央からの 距離(ヤード) | フェアウェイ キープ率(%) |
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PING iCrossOver Utility | 59.90 | 2359.8 | 227.7 | 212.9 | 2975.4 | 12.5 | 8.05 | 37.7 | 12.7 | 81.5 | |
Sub. 70 699 Pro V2 Utility | 59.40 | 3020.4 | 225.1 | 210.6 | 2712.6 | 11.0 | 6.83 | 33.3 | 13.1 | 79.0 | |
Caley Golf 01X Utility | 59.41 | 2676.1 | 221.7 | 207.5 | 2943.6 | 10.6 | 6.74 | 33.9 | 12.2 | 82.6 | |
Srixon ZX Mk II Utility | 59.50 | 2946.3 | 224.1 | 209.4 | 2969.6 | 12.0 | 7.53 | 36.2 | 12.6 | 79.8 | |
TaylorMade P790 UDI Utility | 59.76 | 3230.4 | 226.0 | 212.0 | 2647.2 | 11.3 | 6.77 | 33.1 | 33.1 | 74.4 | |
Sub 70 699 V2 Utility | 59.18 | 2954.0 | 224.1 | 206.8 | 2832.9 | 11.2 | 7.01 | 33.7 | 12.6 | 79.2 | |
Vega Golf Mizar Max Utility | 58.74 | 2911.2 | 220.5 | 204.8 | 2810.7 | 10.2 | 5.91 | 30.8 | 12.2 | 82.3 | |
COBRA KING Tec Utility | 59.14 | 3020.4 | 222.7 | 208.3 | 2947,0 | 11.7 | 7.22 | 34.9 | 12.7 | 78.5 | |
TaylorMade Stealth UDI Utility | 59.67 | 3746.6 | 224.3 | 212.0 | 2857.3 | 11.7 | 24.3 | 35.2 | 14.3 | 72.5 | |
TaylorMade Stealth DHY Utility | 59.41 | 3523.9 | 222.4 | 209.0 | 3103,0 | 12.6 | 8.05 | 37.7 | 13.6 | 75.9 | |
COBRA KING Tec One Length Utility | 56.99 | 3020.4 | 209.6 | 192.4 | 2810.3 | 10.6 | 5.55 | 30.7 | 12.8 | 80.1 |
ベスト「ユーティリティアイアン」の購入にあたり
「ユーティリティアイアン」を買う時は、パフォーマンス(性能)を一番に考えるべきだが、購入を決める前に考慮した方がよい点が他にもある。
シャフト選択
どんなクラブを購入する時でもシャフト選択は重要だ。「ユーティリティアイアン」はターゲット層を鑑み、多くのモデルに重めのカーボンシャフトのオプションがある。これにより、低く直進性のある弾道が可能となるため、ティーショットとしても理想的だ。突き詰めると、「ユーティリティアイアン」を使う際は、弾道、スピン、方向性におけるあなたのニーズを最適化してくれる適当なシャフトを選ぶと良い。
「正確性」、「飛距離」、それとも「寛容性」?
「ユーティリティアイアン」は、主にティーショット用として作られている。それ故、「正確性」、「飛距離」、「寛容性」のどれを優先するかはあなた次第だ。個人的には、最優先にすべきは「正確性」だと思っている。「飛距離」はその次。正確で、飛ぶ「ユーティリティアイアン」を手にすることができたら、あなたのゴルフが変わるだろう。
コスト
「ユーティリティアイアン」を検討中の人は、価格がそこまで高くないということを知って安心するはずだ。例えば、SUB 70「699 V2 Pro」ユーティリティは130ドル(約18,269円)程度。高性能「ユーティリティアイアン」としては驚異的な価格だ。
そして2023年のベスト「ユーティリティアイアン」となったPING「iクロスオーバー」は249.99ドル(約35,000円)で『アジャスタブルホーゼル』を搭載している。その他の「ユーティリティアイアン」のほとんどは、両モデルの間に収まる価格だ。
テスト方法
2023年のベスト「ユーティリティアイアン」を決める上で、我々は20名のテスターを起用し、合計3,960ショットを測定した。テスターたちには、各モデルを18回ずつショットしてもらった。
またテストに使用するゴルフボールは、タイトリスト「ProV1」に統一。弾道測定器は、フォーサイトの「GCクワッド」を使用することで、データのブレを抑えている。
ベスト「ユーティリティアイアン」 – FAQ
新しい「ユーティリティアイアン」を購入するにあたり
Q:「ユーティリティアイアンを買い替える頻度はどのくらいか?
A:多くのカテゴリーにおいて、一般的にメーカーがクラブの性能を向上させるには3〜5年かかる。特にパフォーマンスが飛躍的には伸びにくい「ユーティリティアイアン」はそうだろう。変化の多くは「形状」やデザインに起因するもので、それによって前作よりもパフォーマンスが変わることはあっても、革新的なテクノロジーがこのカテゴリーに採用されることはあまりない。我々がおすすめする買い替え時期は、今使っている「ユーティリティアイアン」よりも明らかに性能が優れた「ユーティリティアイアン」が見つかったときだ。もちろん、単に新作「ユーティリティアイアン」が出たから欲しいというなら、それも問題はないだろう。
Q:どのように自分のプレースタイルに適している「ユーティリティアイアン」を見つければ良いか?
A:専門フィッターによる適正なクラブフィッティングが、あなた独自のプレースタイルに合う「ユーティリティアイアン」を決める上で役立つ。しかし、そのためには「ユーティリティアイアン」で「どのようなショットを打つ必要があるのか?」、自分のニーズを把握しておく必要がある。「ユーティリティアイアン」を主に「ティーショット」で使うのか、それとも「芝」から打つのか?ティーショットで多用するなら、打ち出しが低く、スピン量が少ないモデルを使えばフェアウェイに転がすことができるだろう。逆にロフトが寝ている、ワイドソールで後重心の「ユーティリティアイアン」は、ボールを上げやすいし、ソフトにボールを落とすことができる。あなたの「ユーティリティアイアン」へのニーズをフィッターに理解してもらうためにも、フィッティングを受ける前に自分のプレースタイルをしっかり把握しておこう。
Q:シャフトは重要か?
A:もちろん重要だ。スピン量や打ち出し角が変わることは滅多にないが、シャフトを変えることでショットの精度や、ボールのバラつき、そして全体的な安定性の向上が実現する。我々は常に資格のあるフィッターのフィッティングを受けるように勧めている。もし、それができないなら、様々なシャフトの特性を理解し、それぞれのシャフト性能があなたのゴルフにとってメリットがあるのか、もしくは悪影響を及ぼすのかを理解することに時間を費やして欲しい。
Q:ユーティリティアイアンを試打する時は、何に注目すべきだろうか?
A:ゴルファーは飛距離以外に目を向けない傾向があると思うが、「(計測機の)細かい数字」や、「丸で囲まれた数字」にも注目すべきだろう。「飛距離」と「ボール初速」などの数値を比べる際も、必ず「標準偏差(計測機のモニター上では、これらの数値は大きな数字の下に表示される)」をチェックすること。数字が小さいほど「安定性」に優れているが、これはコース上だと1~2ヤード飛距離が伸びることでもある。同様に(楕円で囲まれた)バラつきも確認して欲しい。「安定性」を過小評価してはいけないのだ。
2023『ベストユーティリティアイアン』を決めるにあたり
Q:どのように>2023『ベストユーティリティアイアン』を決めたのか?
A:ランキングを決定するにあたっては、フォーサイトの「GCクワッド」弾道計測機を使ってパフォーマンスデータを収集している。そして、総合ランキングを決めるためには、平均値だけを重視しているわけではない。「正確性」、「寛容性」、「飛距離」という3つの主要指標を元に決定している。
Q:「最も飛ぶ」ユーティリティアイアンはどのように決めるのか?
A:「最も飛ぶ」ユーティリティアイアンは、単に平均データを見るのではなく、テスター全体を通じた平均のトータル飛距離とそのデータの統計的信頼性を考慮して決める。
Q:「最もやさしい」ユーティリティアイアンはどのように決めるのか?
A:「最もやさしい」ユーティリティアイアンは、以下の指標に注目して決定している。
・初速の安定性
・スピン量の安定性
・キャリーの安定性
・ボールのバラつき度合い
Q:どのようにテストモデルとなっている「ユーティリティアイアン」を各テスターにフィットさせるのか?
A:テストでは「フィット・フロム・ストック」というフィッティングプロセスを活用する。使用する「ユーティリティアイアン」は、カスタムフィットされた製品ではなく、メーカー在庫(ストック)にあるプロパー商品で、ロフト角は17度から19.5度までだ。このカテゴリーには多くないが、昨今は『アジャスタブル機能(調整機能)』が流行っている。『可変ウエイト』や『調整可能ホーゼル』が搭載されたクラブをテストするときは、それぞれのクラブが各テスターに可能な限り最適化するようにしている。弾道を改善できるように異なる標準シャフトが装着された複数のセットを送ってくれたメーカーがいたことも付け加えておく。
Q:見た目、打音、打感などの主観的なフィードバックが議論になるが、それらはどれくらい順位に影響するのか?
A:全く反映されない。この順位はローンチモニターのデータと測定できるパフォーマンスの数値のみで決定される。